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「京都新婚旅行殺人事件・豪華遊覧船に仕組まれた密室トリック・・・・」 (1986年)  山村美紗 『京都新婚旅行殺人事件』

category - 土曜ワイド劇場
2018/ 07/ 12
                 
●「京都新婚旅行殺人事件・豪華遊覧船に仕組まれた密室トリック・・・・」  
1986年7月12日
原作: 山村美沙  京都新婚旅行殺人事件 (光文社文庫)
脚本: 長野洋
監督: 永野靖忠
制作: 東京映画新社
出演: 岡田茉莉子、かとうかずこ、荻島真一、
山本耕一、内藤武敏、高沢順子ほか



南田物産の秘書課に勤める田中美知子(かとうかずこ)は、
同社のホープ、営業部長の朱雀修一郎(荻島真一)と結婚した。


京都新婚旅行殺人事件




朱雀は再婚で、前妻の昌子(藍とも子)は新婚三か月に北海道でひき逃げ事故により死亡している。
彼女は元南田物産の秘書課に勤務していて、三年前まで美知子と同僚だった。
もともと朱雀に好意を抱いていた美知子は、
二人の結婚が決まったとき会社を休んだという噂が立っていた。


昌子の死後、南田社長(内藤武敏)と夫人・麗子(岡田茉莉子)から、
美知子に朱雀との縁談が持ち込まれ再婚する運びとなったのだ。



美知子と朱雀の結婚式は社長令嬢・南田千津(高沢順子)と
営業課長・森田一男(下塚誠)のカップルと同じ日に行われ
二組は京都へ二泊三日の新婚旅行に旅立った。



千津は朱雀を好きだという噂があり、森田の方にも社内のOL
川口アケミと付き合っていたという複雑な人間関係がある。
それに美知子たちの式には祝電でなく新婦の死をお悔やみ申し上げるという
何者かからの嫌がらせの電報が届いていた。




京都のホテルに着いた夜、美知子たちの部屋に
成田のホテルで専務の佐山(土屋嘉男)と
一緒に飲んでるという麗子から電話が入った。



京都新婚旅行殺人事件


その夜、憧れの朱雀との初夜を終え眠れずにいる美知子に
朱雀は睡眠薬を渡し彼女はそのまま寝入ってしまう。
だが、目が覚めた時には隣のベッドに寝ているはずの朱雀の姿がない。



一方、千津は森田との初夜を口実を設けてことわり一人でベッドに入った。
気持ちがおさまらない森田はそのまま部屋を出ていってしまう。





翌朝、千津の転落死体がホテルで発見された。
彼女はわざわざ洋服に着替えていて、ホテルの非常階段には靴が残されていて、
そこから転落したようだが、まだ自殺とも他殺ともわからない状況だった。



京都府警の刑事(山本耕一)が到着し、事件関係者に事情聴取を行った。


夕べ森田は追ってきたアケミと会ったがすぐに別れた。
アケミはその後行きずりの男と一夜を過ごし確かなアリバイがあり、
森田を取られた嫉妬にかられ千津を突き落としたという可能性は消えた。



京都新婚旅行殺人事件




千津は思い込みの激しい性格で一度自殺未遂を起こしたことがある。
初夜に森田がアケミと会っているのを見てしまい自殺したという疑いも出てきた。
森田は結婚前にアケミときれいに別れたと説明したが、
千津の父から反対をくらい葬儀にも出ることが出来ず
会社を辞めるのではと見られていた。



京都新婚旅行殺人事件



そこへ京都から捜査のために東京へ来ていた京都府警の刑事が
美知子に声をかけてきた。
千津の死はまだ他殺の疑いもある、何か気づいたことはないかと聞かれ、
初夜の日、目が覚めたときに朱雀がいなかったことが脳裏をよぎり、
夫に疑惑の目を向け始めた。



そんな美知子のもとに見知らぬ女性から朱雀を愛した昌子、千津が殺され
次はあなたの番だという怪電話がかかってきた。



その後、青酸カリを飲んだ森田の死体が自宅で発見された。
部屋にはワープロで千津を殺したことを匂わせる遺書が発見された。
だが、森田が大のワープロ苦手だったことを知っていた美知子は疑問を持った。



遺書の字体と森田の部屋にあったワープロの字体が違うことがわかり
彼の死は自殺ではなく他殺の線が濃厚になってきた。



そんななか、千津の件で新婚旅行を台無しにしてしまったという
社長夫婦の気遣いから美知子と朱雀が琵琶湖旅行に招待をされた。
この旅には美知子夫婦と社長夫妻の他に佐山も参加していた。



5人は遊覧船ミシガンで食事をすることになった。
ショーが始まると、なぜか南田社長の機嫌が悪い。
彼はショーをみていた朱雀を呼び出すとどこかへ消えていった。


京都新婚旅行殺人事件



残った美知子のテーブルに麗子と佐山が同席したが、
ただならぬ南田の様子に美知子は胸騒ぎを感じ
ショーを楽しむどころではなかった。



南田と話を終えた朱雀はなんでもないといい
二人の間でどんな会話が交わされたのかわからないままだった。



南田のいる船室へ美知子たち4人が行ってみるとカギがかかっており
通りかかった係員に鍵を開けてもらい中へ入ると
首にロープの紐が巻き付いたままの南田の死体があった。



最後に南田に会ったのが朱雀であり、部屋の中から激しく
怒鳴りつける声が聞こえたこともあって朱雀に容疑がかかる。


麗子は警察に以前から朱雀に言い寄られていたことを、
南田に打ち明けたことを話した。
美知子はそれを嘘だと否定しながらも、
琵琶湖に着いたときにふたりがなにやら話しているところを
のぞき見していて気持ちが動揺する。



他殺の線で捜査が進められたが船室は密室状態で、
部屋の窓も上下に開くだけで隙間は20センチほどしかなく
外から人が出入りすることは不可能だ。
警察から帰ってきた朱雀は機嫌がわるく、
夫婦の仲に亀裂が入り始めてきた。



昌子の事故死が気になった美知子は彼女の姉(高畑 淳子)を訪ねた。
そこで式に不吉な電報を送ったり、怪電話をかけてきた人物が
この姉であることを知った。
昌子は結婚前に朱雀が美知子に思いを寄せていることを知っていて
朱雀たちが昌子を事故死に見せて殺したと思い込んでいたのだ。



事件の真相を解明するため美知子は単身北海道へ向かった。
昌子が死んだ日は朱雀は出社していてアリバイがあった。
その日は、佐山も来ていて東京にいる麗子に電話をかけていたということを
社員から聞きだした。



東京へ帰った美知子はさっそくそのことを昌子の姉に伝え、
自分も朱雀もアリバイがあり彼女を殺していないと言った。
疑いがはれてふたりは掴んでいる情報を交換し合う。


京都新婚旅行殺人事件



美知子は寿退社した昌子に会ったとき会社を辞めて良かったと言っていた。
昌子は佐山専務の秘書をしていて、彼が社長の座を狙っているのを知り、
社長派の朱雀と結婚したことで居心地が悪かった。



それを聞いた昌子の姉は、彼女がそのことで殺されたのだと美知子に言う。
だが、佐山は事故が会った時、会社にいて東京の麗子と話したという
確かなアリバイがある。


佐山に昌子を殺す動機があっても殺害することは出来ないし、
麗子と佐山のつながりもわからず、麗子が東京にいて
佐山からの電話を受けたことは確かであり、麗子に北海道にいる
昌子を殺すことができないことも明らかだ。


家に帰った美知子に行方がわからなくなっていた朱雀から
自分は殺してないので信じてほしいという電話が入った。
濡れ衣を晴らすために琵琶湖へ行く途中の浜松からで
受話器の向こうから車が走る音が聞こえてくる。



電話を切った美知子は、京都での初日に
麗子からかかってきた電話も似たような状況だったことから
あることを思いつき麗子が泊ったという成田のホテルへ調べに行った。


帰り道美知子は転んで手にけがをしてしまう。
病院で薬をもらう時、調剤室の窓が船室の窓と同じように
上下に開くのをみて密室のトリックを見破った。


美知子は麗子にトリックがわかったと呼び出すと、
麗子は佐山を伴って船室にやって来た。


南田が殺された時と同じように佐山に船室へ入ってもらい、
南田がいたソファに腰かけてもらった。
外にいた美知子は佐山の背後にある窓から手を入れると
佐山の首にロープをかけて締め上げようとした。



京都新婚旅行殺人事件



これでトリックはわかった。
そこへ朱雀が姿を現し犯人は麗子だという。
はじめは否定する麗子だが、刑事もやって来て
麗子と佐山が組んで一連の殺人を犯したことを認めた。



森田が殺されてから朱雀も麗子を疑いはじめ接近していた。
それを逆手に取られて朱雀に言い寄られたと嘘をいい
事件の容疑の目を朱雀に向けようとした。



昌子が佐山の会社乗っ取りの計画に気づき、
アリバイを作るために北海道の会社から
東京の麗子に電話をかけるふりをして自動車電話に電話をかけた。
03の次に0を押して自動車電話の030を悟られないように回した。
麗子はアリバイをつくると、通りに歩いてきた昌子を事故に見せかけてはね殺した。




それから三年後、森田との結婚が決まった千津は南田が不在の日に
麗子に佐山が乗っ取り計画を企てていることを森田から聞かされ、
二人の悪事を暴くために森田との結婚を了承したと脅される。


焦った麗子は京都に泊まっている千津に森田が
アケミと会っているから非常階段の踊り場へ来いと呼び出し、
やって来た千津を突き落とした。



現場から走り去る麗子の車を、眠れなくて部屋を抜け出し散歩していた
朱雀が見てしまうが、その時はやり過ごしていた。


またしても麗子は自動車電話から美知子に電話をかけて
成田にいるようにアリバイをつくる。
成田のホテルには麗子の替え玉を仕込み佐山と同席させた。
だが彼女はグラスを割って手を怪我してしまい、
その事を聞いてなかった麗子は細工をしわすれ別人であることがわかった。


その後、森田の部屋へ行き青酸カリ入りの飲みものを与え殺し、
ワープロで遺書をかいた。


京都新婚旅行殺人事件



そして、船室のソファでくつろいでいた南田に背中にゴミがついているので
後ろを向いてと言い開いていた窓から南田の首にロープをかけて締め上げた。
南田は体が弱っていたため麗子でも殺すことが出来た。







佐山の会社乗っ取りと、麗子の南田家の財産独り占めという
二人の利害のために行われた殺人と見られていたが
動機は麗子の南田への復讐だった。


かつて南田物産で秘書をしていた麗子は病身の妻を持つ
佐山と密かに愛し合っていた。
そこへ南田が割り込み麗子を強引に犯して後妻になった。




一時は夫への疑惑が生まれながらも、無実を信じたいという
美知子の朱雀に対する愛情が事件を解決した。

そんな美知子を朱雀は新婚旅行のやり直しに京都に誘う。










            
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「ルーブル美術館展」@国立新美術館へ行ってきた 週末の混雑状況など

category - 美術・展覧会レポート
2018/ 07/ 11
                 
世間は6月から始まったワールドカップで盛り上がっているようですね。
私も日本戦を含め、いくつかの試合を途中からテレビで見ていました。
今回は番狂わせがいくつもあり、なかなか面白い大会になっていますね。




さて、先週の日曜日は六本木にある国立新美術館で行われている
「ルーブル美術館展 肖像芸術―人は人をどう表現してきたか」へ
行ってきました。



週末に美術館を訪れたこともあり混雑が気になるところでしたが、
ついてみると美術館の外は人もまばらで心配することはなさそう。




ルーブル美術館展 国立新美術館




私が行ったのは7月8日の午前10時半頃。
入り口付近はやや混んでいたものの、ストレスを感じる混みっぷりではなかったです。




今回は古代から19世紀までの”肖像”にテーマを絞って、
彫刻や絵画などが112点展示されていました。





チラシや看板に使われているのはヴェロネーゼ。
(見開きチラシの裏面はグロの「アルコレ橋のボナパルト」)



美しきナーニ ヴェロネーゼ


≪女性の肖像≫  通称 美しきナーニ
ヴェロネーゼ 1560年頃


今回の展示室は1階の「1E」でした。



まずは古代エジプトの棺用のマスクからスタートします。



ルーブル美術館展 国立新美術館



亡くなった人の顔立ちを再現するのではなく、
理想の顔が表現されています。






はじめは小さな展示物も多く、人だかりでやや鑑賞のしにくさがありました。
人物の全体像の彫刻では迫力があり、衣装の襞の自然なカーブや、
緩やかな曲線の感じを見事に表現しています。


「肖像」という視点では、モデルが男性の場合は”威厳”を、
女性の場合は”気品”が感じ取れました。




フランス王妃マリー・アントワネットの胸像

≪フランス王妃マリー・アントワネットの胸像≫  
ルイ=シモン・ボワゾに基づく 1782年


セーブル磁器というと、今年の1月に六本木にあるサントリー美術館で行われた
セーヴルの展覧会へ行った時のことを思い出しました。
今回もビスキュイの作品があり目を楽しませてくれます。




また個人的には中盤にあった”かぎ煙草入れ”が美しくて目を奪われました。




絵画部門で気になるところは、ナポレオンの肖像画とコチラ。



エカチェリーナ・ヴァシリエヴナ・スカヴロンスキー伯爵夫人の肖像

≪エカチェリーナ・ヴァシリエヴナ・スカヴロンスキー伯爵夫人の肖像≫  
エリザベート・ルイーズ・ヴィジェ・ル・ブラン 1796年


丸みを帯びた瞳と口角の上がった唇。
とても可愛らしい表情のスカヴロンスカヤ伯爵夫人は、
この時30代の半ばで早くも未亡人の身となっていた。


どうみても未亡人というよりは少女に近い愛くるしい顔の持ち主。
生活面での苦労がないのか実際の年よりも若く見えますね。



有名どころではレンブラントも1点ありました。



ヴィーナスとキューピッド レンブラント

≪ヴィーナスとキューピッド≫  
レンブラントハルメンスゾーン・ファン・レイン 1657年頃



そして、終盤へ来て何と言ってもインパクト大だったのはコチラ。



フランツ・クサファー・メッサーシュミット


≪性格表現の頭像≫  
フランツ・クサファー・メッサーシュミット 1771~1783年の間



彫刻よりも美術品や絵画に目が留まりがちな私ですが、
こちらの彫刻はさすがに足を止めてしっかりと見てしまいました。


モデルは作者自身で、心の病に悩んでいたメッサーシュミットは
自身をモデルにしてなんとかそれを克服しようと戦っていたようです。


しかし口をテープを止てのこの表情、病に苦しむ彼は
どのようなことを表現したかったのだろうか?



最後は、アルチンボルドの2作品がありそれで終わりでした。



今回の撮影スペースは展示室外に設けられていました。


ルーブル美術館展 国立新美術館


左右、各パネルの真ん中にあるところに自分の顔を入れて撮影するようです。


今回は約1時間ほどで鑑賞を終えることが出来て
11時半前には美術館を出ることが出来ましたが、
このあたりからそろそろ人の出入りも多くなってきた印象がありました。


今後は夏休みが始まるという事もあり、週末に訪れる予定の方は、
なるべく早い時間帯に行くことをおすすめします。

会期が9月3日(月)までなので、7月の後半から8月にかけては、
今よりも混むのではないかと予想しています。
私もそれを少しでも避けるためにこのタイミングで行ってきました。




                         
                                  
        

「黒の切り札」 (1964年) ラピュタ阿佐ヶ谷 大映の”黒シリーズ”第10作

category - 昭和の日本映画
2018/ 07/ 03
                 
先日、ラピュタ阿佐ヶ谷で1960年初期に大映で制作された
『黒シリーズ』 の10作品目 「黒の切り札」 を見てきました。

6月も最終日の午前、とても暑い日だった。




ラピュタ阿佐ヶ谷



ラピュタではこの日まで、映画監督・岡本喜八の特集も行われていました。
最終日の12時50分の回は、「殺人狂時代」(1967年)の上映後に
主演の仲代達矢を迎えてのトークショーが行われるとあって
「殺人狂時代」のみ早々と完売になっていました。



ラピュタ阿佐ヶ谷


どうやら遠くから「殺人狂時代」を見に映画館を訪れたお客さんもいたようですが、
9:30位の時点ですでに完売とあってチケット購入できず無念そうでした・・・。
ちょっと気の毒だが、仲代達矢が来場するとあっては早い段階でチケットが完売するというのは
ある程度予想ができるところなので仕方がないですね。





さて、『黒シリーズ』ですが、私はラピュタのチラシを見て初めてその存在を知りました。


11作品作られたようで、ラインナップを見ると
主演は田宮二郎と宇津井健の二人がほとんどを占めています。


今回見た「黒の切り札」は、その田宮と宇津井二人が競演しています。



黒の切り札


根来(田宮二郎)は将来弁護士か検事になろうと大学で法律を学んでいた。
大学では大崎稔(宇津井健)という友人がいて、
根来はサックス、大崎はピアノでバンドを組んでいた。
二人は、知子(藤由紀子)という一人の女性をめぐってライバル同士でもあった。


知子は根来に心が傾いていて、音楽と学業でも根来は大崎を上回っていた。
長身でハンサムな根来は順調に人生を歩んでいたかに見えたが、
深沢義則(内田朝雄)という男が根来一家のもとに現れてから歯車が狂いだす。



根来の母は深沢と不倫関係に陥ったのちに自殺、
父は深沢に財産を奪われた上に廃人同様になり脳病院に入院中となってしまう。


法を学んでいた根来は、それをもって深沢に戦いを挑んでいくが、
力のある弁護士を雇った深沢に対し太刀打ちできないまま敗れ去る。
この時、法律が完全でないことを痛いほど知った根来は、
大学を辞め愛する知子の前から姿を消すと個人で深沢に復讐をしようと誓う。


根来は深沢の息がかかった難波多組に親分を殺されたやくざ者の多田(待田京介)、
多額の借金を背負い父が焼身自殺してしまった林(山下洵一郎)という
深沢の周辺にいるものに強い恨みをもつ二人を仲間に迎えた。


根来自身は難波多組がやっているナイトクラブ「シルクロード」にサックス奏者として潜入し、
多田と林に難波多(北城寿太郎)を襲わせ自分がそれを助けるという茶番劇を演じて、
難波多の信頼を勝ち取っていく。


根来たちは極東信用金庫を襲い不正の証拠となる隠し帳簿を盗みだし、
それを大崎に送り付けるが理事長の宇部(村上不二夫)は、
難波多の機転により早々に香港に脱出してしまう。


ところが宇部は入院している息子の容態が危ないという知らせを受け秘密裏に帰国する。
だがそれはバレてしまい宇部は空港で捕らえられるのだが、
取り調べ中に息子の命があとわずかというニセ電話により、
大崎が帯同し宇部を病院に送り届けたところで難波多たちに射殺されてしまった。



この間、大崎は内偵もかねてシルクロードを知子と訪れていた。
根来が知子らの前から姿を消してから、知子は大崎と婚約していたのだ。
久しぶりに知子と再会した根来だが、今の自分は父の復讐を果たすことが最大の使命。
あの頃の関係には戻れない。
大崎はこの時の根来との会話から、根来が事件にかかわっていることを察知した。



大学時代、根来は大崎にも知子にも何も告げずに去って行った。
しかし、今回の事件を調べていくと、根来がなぜ学校を辞めざるを得なかったのか、
その辛い事情を知ることになった。



根来たちは、深沢に電話をかけると葬送行進曲を流し続けて
身に危険が迫っているという脅迫を繰り返した。



難波多たちは小山(小山内淳)という小役人にダンサーのミミイ(十和田翠)を抱かせ
賄賂を使っていた。
店内でその様子を見ていた根来はミミイとベッドを共にし詳細を聞き出す。
そして、多田と林の三人で小山を拉致すると、これまでの全てを告白させて
テープに録音した。


難波多は身柄を釈放された小山からこの報告を受け、犯人は三人組だったと聞き出した。
三人のうち多田、林は見当がつくが、残る主犯格がわからず深沢は
見えない大物の存在に怯える。
難波多は小山から事の次第を聞き出すと、自分たちに危機が迫る前に小山を殺害し口封じをしてしまった。



またしてもあと一歩のところで、父の仇・深沢を破滅させることが出来ない。



根来はこうなったら最後の手段、直接ぶつかるしかないと思い深沢に電話をかけると、
殺された小山の告白テープを聞かせ、自分が根来夫婦の息子であると正体を明かした。
ついに深沢はあの時の息子が両親の復讐のために仕組んだことだと知った。



根来は多田と林に深沢を張らしていたが深沢の行方がわからなくなってしまった。
多田の連絡で根来は深沢が別荘にいるしかないとあたりをつけて、
三人でそこへ乗り込むことにした。



出発前、根来は知子を連れて、精神を侵された父が入院している脳病院へ連れていった。
廃人となった根来の父の姿を見た知子は、根来のいいよいうのない憎しみを理解しつつも、
法律で悪人を裁くべきだと根来にいうが、法の網を潜り抜ける深沢には自分が直接手を下すしかない。
心配する知子の気持ちを感じながらも、根来は方針を変えるつもりはなかった。





シルクロードではミミイの他に別の女(万理昌代)ともデキていた根来は、
難波多たちの姿が消えたという知らせを受け、深沢の別荘に集まっていると予測を立てた。



根来たちが別荘へ到着すると、案の定深沢と難波多の姿があった。
部屋に乗り込んだ三人は、いよいよ復讐を完成させようとするが、
それは根来たちの動きを察知した難波多たちの罠だった。



根来たちはロープで縛られ身動きが取れないようにされ、ダイナマイトを仕掛けた部屋に置き去りにされる。
だが、間一髪三人は部屋から脱出しロープウェイに乗り難波多たちを追いかける。
その途中、深沢を乗せた車を発見、根来たちは持っていたダイナマイトに火をつけて
車めがけて上から落としまくる。


とうとう深沢を乗せた車は炎上し、谷底へ転落。
ついに深沢の息の根を止めることに成功した。



すると、向かいからこちらにロープウェイがやってくる。
それは三人を始末しようと難波多が沢山のダイナマイト積んだ凶器だった。
何も知らない根来たちが深沢を始末したことを喜んでいるとふいにロープウェイの動きが止まった。
近くにはダイナマイト入りのロープウェイが停車している。



根来たちが異変を感じたときには時すでに遅し。
難波多は、向かいのロープウェイにダイナマイトが積んであるというと、
導火線に火をつけてしまう。



空の上で身動きが取れなくなった根来たちは必死にそれから逃れようと試みるがなすすべがない。



その頃、大崎は深沢の別荘へ向かう前に根来が送っていた小山のテープなど
深沢たちの悪事を暴く証拠の品を郵送で受け取っていた。
そして、深沢の別荘へ向かおうと大崎はヘリに乗り込んで空中での捜査をしていた。


大崎は上空から、下にあるロープウェイで必死に助けを求める根来、多田、林の存在を確認。
すぐにロープを下ろすと、三人はロープをよじ登ってヘリに到着。
爆発まであと少しのところで、無事に保護された。



こうして逮捕された根来は、かつて学んだ法律によって裁かれて罪を償うことになる。



JALのスチュワーデスをしている知子は現在香港に行っており、
気持ちの整理を完全につけ大崎と結婚する運びになるようだ。






映画 黒の切り札



『黒シリーズ』で主役をはっていた二大スタア、田宮二郎と宇津井健のシリーズ初共演作品だが、
”ダブル主演”というよりは田宮主演作という印象が強い。


また、二人が劇中争うスチュワーデス・知子を演じているのは、
後に田宮二郎と結婚することになる藤由紀子。
やはり善人役の宇津井健よりも過去に暗い影があり復讐に燃える
田宮二郎とのツーショットの方がサマになっていました。



今回は刑事役で中条静夫も出演していて、宇津井&中条の組み合わせが
「ザ・ガードマン」っぽい。



監督は石原裕次郎主演「嵐を呼ぶ男」の井上梅次。
私にとっては土曜ワイド劇場の”美女シリーズ”の印象が強い監督さん。


最後のロープウェイでの脱出劇なんか、美女シリーズの
「黄金仮面」を思い出してしまった。


美女シリーズと言えば、「魅せられた美女」くらいでしか見たことがなかった
待田京介が角刈りやくざで、やたら二重が強調されていて
美女シリーズで見た時の容姿と全然違っていたのにビックリ。
若い時は結構武闘派っぽい見た目をしていたんですね。



また内田朝雄が田宮二郎一家を破滅に追い込む大悪人という
らしい役柄で出演している。
法を網をかいくぐり悪事を働きながらものうのうと生き続けるというふてぶてしさ。


何より若かりし田宮二郎のハンサムさがたまらない。
ナイトクラブでサックスを吹く姿もしびれるし、
親の敵に復讐するために女を利用する冷酷さもまた良い。


それでいながら、学生時代の意中の人、知子に対しては
複雑な心境ながら検事という立派な職業をもった友人と
幸せになってくれることを願う純粋さは安易に女に体を使って
情報を得る男とは相反するピュアさを感じさせてくれる。



                         
                                  
        

「古代舞の女・奈良古墳殺人事件」 (1988年)  黒川博行 『八号古墳に消えて』

category - 土曜ワイド劇場
2018/ 06/ 18
                 
笑福亭鶴瓶が関西の人情刑事を演じる。
ペアを組むのは古谷一行。



●「古代舞の女・奈良古墳殺人事件・
クロ・マメ刑事飛鳥路を走る!」  1988年6月18日
原作: 黒川博行  『八号古墳に消えて
脚本: 安倍徹郎
音楽: 渡辺兵夫
監督: 瀬木宏康
制作: 松竹芸能
出演: 古谷一行、笑福亭鶴瓶、佳那晃子、山本亘、
入川保則、海原小浜、菅貫太郎、堀永子ほか



大阪文科大学史学科の教授・浅川亮介(大河内範泰)が、
富田林の古代住居跡から死体で発見された。
浅川は泥酔していて、現場の泥水を飲んでいたことから
事故死という見解が下された。




他殺の線もあるとみて念のため大坂府警の黒木憲造(古谷一行)と
亀田淳也(笑福亭鶴瓶)は浅川の研究室に行きテレビの講座番組も持っている
余沢清(菅貫太郎)、浅川の姪の夫・今村浩郎助教授(山本亘)から聞き込みを行った。





黒木はそこで高校時代の恩師秦野の娘・史子(佳那晃子)が
浅川の助手をつとめているのを知った。
史子は父が踊っていた久米氏の古代舞を引き継いでおり
黒木はその練習稽古場へも一緒に行った。
十八年前の昔話にしばし花を咲かせて秦野を懐かしんだ。


古代舞の女・奈良古墳殺人事件



浅川は生涯独身であったが、そのわけを史子から聞いた。
秦野と浅川は昔、ひとりの女を巡り争っていた。
女は秦野と結婚し、破れた浅川は生涯独身を貫いた。
秦野と女の間に生まれたのが史子で
驚いたことに秦野と妻は同じ日に死亡していることが分かった。



黒木たちが研究室を訪れた時、やぐらから遺跡発掘現場を撮影していた
研究員の植田が墜落する現場に遭遇した。
立て続けに同じ大学から二人の死亡者がでたが
植田の死は誤って転落しただけの事故死とみられた。



その後の捜査で、退職間近の浅川は、文化財研究所の所長に内定しているという
噂があり、その椅子は余沢も狙っていたとあって毒舌家で変わり者の
余沢にきな臭いものを感じる。


古代舞の女・奈良古墳殺人事件

亀田は事故死とみられた植田の体が落ちる前に跳ねたのがきにかかり
近くの事務所から配線をやぐらにつなぎ、植田が鉄の手すりに手を掛けたところで
何者かが配電をいじり電流を流しそのショックで墜落したのではないかと推理した。


現場に行ってみたが黒木はあのときそんな目立つ配線は見かけなかったし
配線を埋めてあった痕跡もみられなかった。


そこへこの土地の所有者の会社のものがやってきた。
ここは宅地の造成中だったが遺跡が発掘され工事が中断して迷惑していた。
だが今回の事件でもうここを掘り起こしてはいけないということになり
工事が再開されることになったとホッとした表情を見せた。



一時は事故死とみられた植田の死だが、彼が撮影していた写真には
配電盤のある事務所からやぐらまでビニールシートが敷き詰められていて
亀田の推理に信ぴょう性が出てきた。

古代舞の女・奈良古墳殺人事件



おそらく感電したショックで植田は落ちたのだろうが
まだ犯人の目星もつかず証拠もこれだけしかない。


そんな中、余沢が行方をくらました。
自宅の焼却炉からは焼け焦げた配線が、壺からはペンチが見つかり
植田殺しは余沢の可能性が大きくなってくる。


 
エキセントリックに見える余沢だが、妻の話では非常にマメな性格で
自宅からは日にちごとにその日の出来事が詳細に書かれた
日記のようなカードが大量に出てきた。


その中には、岡部不動産と窪池遺跡発掘にあたり
不動産業者と考古学教室の隠されたつながりを匂わせるような記載があった。




古代舞の女・奈良古墳殺人事件



黒木らが所属する班の班長宮元英治(入川保則)は余沢クロ説をおすが
几帳面な性格の余沢があんな証拠を残すのは不自然だと黒木と亀田は感じた。



余沢のカードには「秦野夫妻自決」の文字があり、気になった黒木は
史子に事情を聴きに行った。
十二年前、秦野は剣を振りかざし、妻を殺し自分も自殺した。


秦野は恋の勝利者にはなったが、学問的には浅川に負けた。
その後秦野の妻は浅川と関係を持ったのが原因ではないかと史子は話す。
浅川はその贖罪意識から史子が京都の大学を卒業後に彼女を今の大学の助手に迎えた。



黒木は亀田の家へ行き、母のハツノ(海原小浜)と三人鍋を囲みながら
十二年前の秦野夫妻の心中事件について話した。


古代舞の女・奈良古墳殺人事件




亀田の方は遺跡が出ると工事が止まり、利息だけで一日何十万円かかり
不動産業者は関係者を丸め込もうとするが、浅川と余沢は頑として応じず
彼らに恨まれていたことを話した。
余沢はこの動きに巻き込まれてしまったのか捜査を進めることにした。


そして奈良県警から余沢の死体が発見されたと連絡が入った。
宮元はあとは余沢の逃亡を助けた者をみつけるだけとし
あくまでも余沢犯行説を支持している。
黒木たちは次の会議の前に、なんとか真相に近づく証拠を見つけたいと画策する。



そこへ、黒木が秦野の論文を持っていることを知った史子から連絡が入り
黒木は会いに行った。


黒木は浅川と余沢が学者としては優れた能力を持っていたと評価していた。
秦野はふたりがいつか自分の論文を世に送り出してくれるものと信じていたが
余沢は秦野の論文が子供じみていて盗作の疑いがあると
その根拠を細かく例をあげてカードに書き残していた。


古代舞の女・奈良古墳殺人事件




それを知った史子はこれまで見せたこともない怒りを見せ
余沢のカードを破り捨てると余沢と浅川の意見を支持した黒木に
別れを告げて去って行った。



解剖の結果余沢の死は凍死によるものと判明した。
彼の両手の爪は潰れていて前歯が二本折れていた。
宮元は余沢は山中に逃げ込んだが、道に迷い疲労と空腹で
そのまま凍死したと会議で発表する。


しかし、空腹だったなら余沢の胃の中には木の実など何かが残っているはずだが
雨水か泥水とみられるものしかなかった。


黒木はこれまでの余沢犯行説を否定するシナリオを発表した。

犯人は死亡者三人に恨みを抱いており、浅川と植田を殺しその容疑を余沢に着せた。
そのために植田殺害で使用した配線とペンチを余沢の家へ残した。
だが、焼却炉からは配線を燃やした痕跡はなく焼いた配線を
中に突っ込んだだけだったことが分かった。


犯人は余沢の身柄を拘束し、おそらく死体発見現場付近の古墳に閉じ込めたため
胃の中が空でプランクトンを含んだ雨水だけが残り、
なんとか外に出ようと土壁をえぐり爪が潰れていた。


もう脱出できないと観念した余沢は自ら前歯を折って
ダイイングメッセージを残した。
それは余沢のテレビの考古学講座でいっていた助教授の今村だった。



余沢のカードには今村が宅地の造成工事を再開させるために
不動産業者から二百万円を受け取っていたことが書かれていた。
このことで浅川が亡くなる前に、今村は浅川、植田、余沢の三人から
徹底的な追及を受けていた。
浅川は今村の解任と学会からの追放を宣言していたことが書かれていた。



黒木たちは今村に余沢の解剖所見の結果を話して
死体発見現場付近の古墳に監禁されていて
それがどこだか教えてほしいと揺さぶりをかけた。


案の定、黒木の予想通り今村は動き出した。


ところが、彼が車で向かった先のレストランには史子が待っていた。


古代舞の女・奈良古墳殺人事件




今村の意外な協力者の存在に、黒木はショックを受ける。
史子と別れた今村は車である古墳へ入っていきそこで逮捕した。



今村はまるでゲームで負けただけのようにアッサリと自供した。


彼は窪池の発掘責任者でもあり不動産業者や建設会社と深いかかわりを持ち
二百万円の金を受け取ったことを浅川、余沢、植田らに激しく責められ殺意を持った。
史子にその悩みを相談したところ、浅川と余沢を恨んでいた史子は
殺人のシナリオをたてこのプランに今村を誘った。



浅川は史子が泥酔させたあとに、史学科の倉庫に連れ込み用意しておいた
富田林の泥水を飲ませて殺し現場へ運んで事故死に見せかけた。


浅川が死にその後継者に植田がなりそうなこと、また今村が二百万円受け取ったことも
知っていたことから植田は今村が一人で殺した。


そして余沢を古墳が見つかったと史子が誘い出し、今村と二人で余沢を突き落とし
石でふたをして死んだのを確認してから証拠となるメモはポケットから取り出し処分した。


今村の供述を受けて史子を逮捕しようと、踊りが披露される会場へ向かった。
黒木は踊りが終わってから史子を捕らえようと配慮をみせる。
史子の方も黒木の顔を見て全てを悟り、父が大切にしていた久米舞を踊る。


古代舞の女・奈良古墳殺人事件

踊り終えた史子は、捕まる前に自ら命を絶った。








この放送の前にサントリースペシャル「猫目石ころがった」で
クロマメ刑事としてコンビを組んでいた古谷一行と笑福亭鶴瓶が
土曜ワイド劇場で一年三か月ぶりに再会。


古代舞の女・奈良古墳殺人事件

前回の撮影が終了してから、お互いにもういちどやりたいと思っていたとのことで
このドラマも息はピッタリ。
度を超す仲の良さを見せつけていたという事です。



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「幻の船連続殺人」


「京おとこ京おんな連続怪死事件」



                         
                                  
        

「赤頭巾ちゃん気をつけて」 (1970年) @神保町シアター 庄司薫のベストセラーの映画化

category - 昭和の日本映画
2018/ 06/ 15
                 
神保町シアターで「赤頭巾ちゃん気をつけて」(1970年/東宝)という映画を見てきました。



神保町シアター


6月9日(土)から7月6日(金)までの27日間
「七〇年代の憂鬱-退廃と情熱の映画史」というテーマで
70年代の作品が17作品上映予定となっています。



赤頭巾ちゃん気をつけて

私が見に行ったのは初日の6月9日、この日の2回目の上映作品でした。
本来は見に行く予定ではなかったのですが、
主演が岡田裕介ということで見てみることに。




赤頭巾ちゃん気をつけて



この人の存在を初めて知ったのが、1970年に東京12チャンネルでやっていた
「江戸川乱歩シリーズ明智小五郎」での小林芳雄役でした。
これが何年か前に東映チャンネルで放送されたんですね。


岡田裕介



”明智小五郎”というと土曜ワイドの天知茂のイメージが強くて、
初めは拒否反応があったんですが、見てみるとまた美女シリーズとは違った面白さがあり
すっかりハマってしまいました。


「江戸川乱歩シリーズ明智小五郎」は「美女シリーズ」が始まる前に放送されていたんですね。




東映チャンネルで江戸川乱歩シリーズを見た時は、
岡田裕介はこの時代に役者をやっていた脇役の人で、
あまり芽が出ずに役者を引退したんだろうなと思っていました。


ところが、元東映社長の岡田茂氏の息子で、わりとすぐにプロデューサーになり、
その後は東映の社長を経て、現在は東映グループの会長になっていることを知って
すごく興味を持ちました。




細身の体に、ものすごい濃い顔と独特の声が印象的。
石坂浩二に顔が似ている。



役者デビュー後、すぐにこの「赤頭巾ちゃん気をつけて」で主演をつとめました。

今回初めて知ったのですが、庄司薫という人のベストセラー
「赤頭巾ちゃん気をつけて」の映画化だそうです。





赤頭巾ちゃん気をつけて (新潮文庫)


岡田裕介演じる主人公・庄司薫は原作者と同姓同名。
日比谷高校の三年生で、彼の語りで物語は進行していきます。


1969年2月9日、大学紛争で東大入試が中止となった薫くんは、
怪我で足の親指を負傷したり、愛犬ドンが死んでしまったり、
かねてから思いを寄せている同級生のガールフレンド由美(森和代)から
電話で「舌噛んで死んじゃいたい」と言われ、しばらくは絶交状態が予想され、
さんざんな一日になりそうだった。


病院では足の爪を剥されてしまい、しばらくの間は足を引きずる生活になりそうだ。
街に出れば知り合いのおばさん(山岡久乃)から、大学へは行かないと決意したのに
大学へ行くことを前提におしゃべりをされる始末。


だが、薫くんは、それを否定することもしなかった。
いつもそうだ。
由美の家に電話をかけるとだいたい彼女の母(文野朋子)の
他愛もないおしゃべりに付き合ってしまう。



足の爪を治療に行った病院で、女医がかがんで患部を見たときに、
ちらりと乳房が見えた。
薫くんは、全裸の彼女と抱き合う妄想に駆られるが、
治療室で彼女を襲うこともなく帰ってきた。



一日に二度は女を強姦したい欲求に襲われるが、
未だに童貞の薫くんは女を抱くチャンスがあってもそれをモノに出来ない。


同世代の男女が裸で抱き合うパーティーに参加しても、
その様子を部屋の隅で眺めるだけだ。
そして、そばにあったピアノを演奏して、同じようにその輪に加われない、
女の子たちと歌を歌うことしかできない。


幼馴染の由美とも、子どもの頃キスをしたり膨らんできた胸を見ただけで、
その後は手を握ることもない恋人とも友人とも言えない関係を続けている。


傷んだ足をかばいながら引きずるように街を歩いていた薫くんは、
幼い少女とぶつかってその場にうずくまってしまう。
少女は近くの喫茶店で母親が友人と話し込んでいて、
その合間に本を買いに来たのだと話す。


薫くんは彼女の手を引いてさっき出てきたばかりの書店へ行くと、
その子のために一番いいと思う「赤ずきんちゃん」の本を選んでやった。


ひとりになった薫くんは、由美とデートする。


薫くんは大学へ行くのを辞めたと言うと、
並んで歩く由美の手をそっととり、と二人は手をつないで歩いていった。






赤頭巾ちゃん気をつけて [DVD]



大学へ行くことを辞めた薫くんの二日間ほどを描いた映画。



主人公・岡田裕介さんの相手役・由美を演じたのは森和代。
ショートカットにほぼノーメイクのような透明感のあるみずみずしい容貌を持っている。

なんと、森本レオの奥さんになった方だとか。
若くして結婚引退したようで、今回初めてその存在を知った女優さんでした。




足を怪我した薫くんの家へ遊びに来る友人・小林には富川澈夫(すみお)。
この人は「太陽にほえろ!」にゲスト出演しているので初めて知った。
無理に思える長髪っぽい横分けが印象に残り気になっていた俳優さんだ。
「俺たちの旅」でも見かけたが、屈折した青年を演じているイメージがある。


今回も優等生の薫くんとは違い、小難しい哲学をお手伝いが薫くんの部屋に持ってきた、
和菓子をパクつきながら延々と述べるシーンが面白かった。


薫くんのベッドに寝っ転がると、和菓子が乗った盆を腹に置き、
最後は涙を流しながら熱い思いを切々と語る。



私が富川さんを最後に見たのは、90年代に放送された
土曜ワイド劇場の牟田刑事官シリーズでの刑事役だったが、
もうすでにお亡くなりになっていたんですね。


薫くんの母親は風見章子、すぐ上の兄に中尾彬。
中尾彬が若くて清潔感があった。





「赤頭巾ちゃん気をつけて」は音楽もとても良かった。
歌っているのは佐良直美で、映画にとてもマッチしている。


音楽と言うと、ピンキーとキラーズの「恋の季節」が演奏されていたり、
薫くんが立ち寄った飲食店のテレビで
いしだあゆみが「ブルー・ライト・ヨコハマ」を熱唱しているシーンが流れていた。


薫くんが電車に乗ったときに、なにかワケがあって涙を流していた乗客を
結城美栄子が演じていた。



今回の神保町シアターのテーマ「退廃」が感じられましたが、
それでいてどこかその中に甘い雰囲気もある。
音楽も耳に残る心地が良い映画でした。




岡田裕介さんも、薫くんのイメージにピッタリです。
彼の無機質な語りだが、それでいて時折見える感情の起伏のようなものがあり
独特のリズムを持っていた。








映画館内の壁に貼られていたブロマイド。


神保町シアター


ちゃんと岡田裕介さんのものもありました。



さて、神保町シアターでは7月7日から料金体系が変更になるようです。


赤頭巾ちゃん気をつけて


これまで一般は1200円でしたが、これが1300円となり、
平日3回目の上映のマチネ割引、水曜日のレディースデーが廃止。
代わりに水曜日はファン感謝デーとなり男性でも1000円で見れるようです。


毎月1日の映画サービスデー1000円と、ポイントカードは継続するとか。


男性にとっては水曜日が感謝デーになったことで
いつでも1000円で見れるようになるのは嬉しいのではないでしょうか。



料金改定といえばシネマヴェーラ渋谷でも7/21から変更があるようです。


これまで1500円の二本立てでしたが、一本立て入れ替え制で一般が1200円となります。