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懐かし邦画

        

結婚がテーマのラブコメディ 映画『女性に関する十二章』

category - ライフスタイル
2017/ 04/ 25
                 
市川崑監督の映画「女性に関する十二章」(1954年 東宝)を見ました。
脚本は市川監督の妻の和田夏十。
原作は伊藤整の「女性に関する十二章」という
『婦人公論』に連載されていたエッセイをまとめたもので
当時ベストセラーになったらしい。


原作はエッセイということでだいぶ脚色されているんじゃないだろうか。
ナレーターは原作者の伊藤整が務めており
伊藤整本人も出演している。
映画の中には小説自体も何度も登場していて
結構ユニークなつくりとなっていた。



バレリーナの飛鳥ミナ子(津島恵子)と銀行員の呉小平太(小泉博)は
学生時代から9年間付き合っている29歳同士で、倦怠期を迎えている。
フィアンセというよりは、もう兄妹のような関係だ。


女性に関する十二章

自身が所属するバレー研究所の脱退問題で
悩んでいるミナ子は結婚どころではない。


女性に関する十二章

それに音楽舞踏評論家の車田龍夫(上原謙)は
ミナ子にプリマ・バレリーナとしての復帰をすすめてきた。


小平太の母浜子(三好栄子)は息子を
なんとか結婚させたくて何度も見合いをさせている。


この日もミナ子と車田がいたレストランでは
小平太が15回目の見合いをしている最中だった。

女性に関する十二章

今回のお相手は大鳥初子(小泉澄子)で
彼女は結婚こそが女性にとって懸命な職業だという。


そんな小平太に急にフィリピン転任の話しが出た。
行くまでの間に結婚しなければならなくなった。

小平太はミナ子に結婚を迫るが
ミナ子にとって今はその時期ではなく
キッパリとプロポーズを断られ
またタイミングが合わなかった。


仕方なく小平太は母の言う通り初子と結婚しようとするが
ミナ子はせめて結婚相手は自分の知ってる人にして欲しいと
後輩の三枝千栄里(有馬稲子)をすすめてきた。


千栄里はクールなミナ子と違って夢見がちな
お嬢さんタイプだが、その反面小平太の身上調査までする
現実的な面も持ち合わせていた。
小平太が退社した後、銀行へ行き、小平太の年齢、家族構成、収入などを
同僚から聞き出しているという今では個人情報保護の面からも
考えられない場面が出てくる。



小平太と千栄里との結婚式当日に
小平太のフィリピン行が突然中止となった。

もともと海外への転勤のために決めた結婚。


有馬稲子

小平太は千栄里と結婚する気がなくなった。
式場の廊下で小平太はミナ子と会った。


女性に関する十二章


これまで9年間倦怠期を迎えていた二人の
関係が一気に結婚へ向かって加速していく。

千栄里を小平太に紹介したものの
その後ミナ子は心が落ち着かなかった。
ようやっと恋する相手はお互いなんだということに気づく。

式場を飛び出した小平太とミナ子は手を取り合って屋上に行く。
これまでの出会いから現在までを振り返る。


学生時代に結婚するのはまだ早いとミナ子が反対。
銀行に就職した小平太がもう少し高給取りになってから
結婚する自信がついてから、せめてバレエの稽古場を持ってから・・・
その後は小平太が大阪へ転勤となり、戻ってみると
ミナ子はいっぱしのバレリーナ気取りでバレエを教えていたり・・・
と9年間の間に結婚するチャンスを何度も逸してきた。

今となっては小平太も、仕事を持たず、
奥さん家業だけする妻ってどうなんだろうと思うようになっていたが、
ミナ子にそれを告げず、母が進める見合いを次々こなしていて
ミナ子には小平太の気持ちは伝わらずすれ違っていた。


専業主婦ではなくバレリーナが妻だっていいのだ。


そんな、二人は海へ向かい心中をはかる。
思い付きで海へ行ったものの中々死ねずにいた。
そうしているうちに、二人は夜の海で
海や空の美しさを感じ生きることへの素晴らしさに目覚めた。


二人がミナ子のうちへ戻り、結婚を決めキスをする。




なんとなく見たのだが、倦怠期を迎えたカップルの
「結婚」をテーマとしたラブコメディということで
軽快にテンポよく進んでいってなかなか面白かった。


最後に心中が出てくるがコメディなので
暗さは全くなく逆に滑稽なくらいだ。


原作者の伊藤整がナレーションをしているが
ただのナレーションではなく、話の展開に合わせて
この部分は本の第何章に書いてありますとか
劇中、小泉博ら俳優との掛け合いみたいになっていて
とてもユニークな作りとなっていて楽しめる。


女性に関する十二章

冒頭、いつもの看板の前で待ち合わせをするミナ子と小平太。
津島恵子と小泉博がデートをするところから話ははじまる。


女性に関する十二章


その後、津島恵子が書店前で原作本の看板広告を見つけ
本屋に入り原作を手に取る。
本がクローズアップされるとキャスト、スタッフ紹介へ。

これまでのムーディーな曲から一転
テンポアップした曲へと変わる。


女性に関する十二章

津島恵子は本を130円で購入するのだが
この書店には原作本の広告が貼られている。


女性に関する十二章

本屋から出て映画もやりすごして喫茶店でお茶するのだが
会計50円札と一緒にテーブルにはあわてて店を飛び出した
津島恵子が忘れていった原作本が置かれていた。


女性に関する十二章

伊藤整は、終盤小泉博の結婚式の場面に登場する。
同じ建物で行われている出版記念パーティーに参加するという設定だ。



若い時の小泉博がなかなかかっこいい。
そして、ダンス経験のある津島恵子もスタイルの良さも目立った。
実際にバレエのレッスン風景もありました。

津島恵子

牟田刑事官の妻というイメージしかなかったのだが
その後いろんな昔のドラマで津島恵子を見る機会があり
第一印象と変わって見えてきました。

一番驚いたのは、中年期になってからのテレビドラマだったが
地位のある旦那が浮気していて
妻である津島恵子も若いツバメと遊んでいるのを見て
それまでの陰で夫を支える品の良い妻の印象しかなかったので
自分の中でものすごいギャップを感じたのを覚えている。

この映画でもふぅ~っとタバコをふかしているしね。

飛鳥ミナ子という女性もとってもクールなんですよね。
女性の憧れ「結婚」というものにたいして淡々とした態度で。
恋人の小平太にもへんになびかないし。



音楽は黛敏郎が担当しているのだが
これがモダンな感じでとてもオシャレで心に残る。


津島恵子と小泉博の周りを固める役者たちも興味深い。

自分の女房には亭主関白ぶりを発揮するくせに
キザでやたらと外面がいい上原謙。

女性に関する十二章

レストランでも女性が座る前に椅子を引き、
コートを預かってやり、女性がたばこを手に取れば
すかさず火をつけてやりというレディーファーストぶり。



上原謙

しかし、家では帰宅後スーツを脱ぐと、その下はしっかりと肌着とももひきを履いており
部屋着の丹前に着替える。
しかし、妻から応接室にミナ子が来ていることを知らされると
そそくさとスーツを着なおしいつものように気取って出迎えたりして
そのキザっぷりには笑いが出てくる。






徳川夢声
小平太の父、平太には徳川夢声。




三好栄子


母の浜子に三好栄子。

三好栄子は高峰秀子の『カルメン純情す』で
政治家で男遊びが激しい娘を持つ母の役で出ていて
その時女性ながらヒゲをはやしていたので印象に残っていたから
今回もすぐにあの時の女優さんだとわかった。


女性に関する十二章

小平太の両親が手書きで結婚の招待状のハガキをせっせと書いている。
しかし、帰宅してきた息子は結婚の相手を大鳥初子から三枝千栄里に変更すると言い出した。
父親はヤケになってハガキの束を部屋に投げばらまいて、全部最初から書き直しだといい、
母親は大鳥初子をなんとか千栄里に書き換えればいいだけだと言う。

しかも、この招待状、時間を「三時」で出すところを
一本線を引き忘れ「二時」で出してしまうというドタバタぶりである。




他にも久慈あさみ、伊豆肇、三戸部スエらが出演している。


特に期待もせずに思い付きで見たのだが結構面白かった。

            
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映画「情炎」 ニーズが少なさそうなのでだからこそ敢えて記事にしてみる

category - ライフスタイル
2017/ 02/ 27
                 
TSUTAYAで「情炎」(1967年松竹)という
吉田喜重監督の白黒映画を借りてきました。

前回の「エロス+虐殺」を返却する際
たまたま目に止まったので「情炎」という
そそられるタイトルとパッケージの写真を見て
気軽に手に取りました。


原作は立原正秋の『白い罌粟』という短編小説らしい。

情炎 岡田茉莉子


特に記事にするつもりはなかったのですが
なんだかこの映画に対するニーズが少なそうなので
逆にそれなら敢えて書いてみたいという気になり
あらすじを追ってみることにしました。

私の感想も最後に綴ります。



///////////////////////////////////////////


織子(岡田茉莉子)は夫の降旗(菅野忠彦=現・菅野 菜保之)との
夫婦仲が冷え切っていた。


夫は愛人をつくり度々外泊するのだが
心を閉ざしてしまった織子は醒めきってしまい
嫉妬する気すら起こることもなく淡々としている。

織子は止めていた短歌を再開しようとしていた。

そこには彫刻家の能登光晴(木村功)がいた。
能登に織子の母(南美江)が亡くなったときのことを
聞き出そうとする。

実は、織子の母は夫が亡くなった後
年の離れた能登と男女の付き合いをしていたのだ。

母は男と過ごし酔っ払って自動車事故にあって死んでしまった。
織子は母の最期の様子を聞かせて欲しいと言うが
能登はお母さんから別れ話を切り出され
お母さんの最後の相手は自分ではないと話す。

それは、名前は知らないが労務者の男だったのだと打ち明ける。
そんな振られ方をしたので能登自身ショックだったと言う。

母がいた頃を思い出す織子。

情炎 岡田茉莉子

若い頃の織子がタイプライターを打っている。
そばには能登がおり、織子はそっと
「母の情夫 能登光晴」 と、タイプする。


情炎 南美江

帰宅すると鏡台で母が化粧をしていた。
織子の帰ってきた気配を察した母は
織子に、あじの干物を買ってきたけど
自分はせっかちでうまく焼けないから
自分で焼いてと言う。

しっかりと化粧を施し紅をさす母の姿を見て
織子は「体に魚の匂いが染み付くのが嫌なんでしょ」と
母に女を感じ、これから男と会うことへの抵抗を
ささやかながら示した。。。




能登は織子が夫とうまく行ってないことを察知して
織子に問いただすが織子はそれには答えない。


能登と別れて織子が帰宅すると
義理の妹のゆうこ(しめぎしがこ)から電話がかかり
近くでパーティーをやっているから来ないかと織子を誘う。



ゆうこは、兄が浮気していることを知っており
織子にも浮気しちゃえばいいのにと話す。


織子は誘いを断ったが、ゆうこは仲間の男(小野武彦)らを
連れて織子のもとへやってきた。
結局織子はゆうこ達と車で海へドライブに行くことになった。

若い男達はパンツ一丁になり浜辺で無邪気に遊ぶ。
車には織子とゆうこの二人だけが残ったが
ゆうこも車から降りて姿を消してしまった。

織子はゆうこが気になり探しに行くと
小屋のようなところでゆうこは見知らぬ
労務者風の男(高橋悦史)に迫られており
抵抗を試みたものの男に抱かれる姿を目撃してしまう。




拒んではみたが最後は受け入れるように男を
迎え入れたゆうこ。

野生的な男が女を抱く様子に感情が動く織子だった。




後日、織子はゆうこが男に暴行を受けたと
警察へ訴え刑事(江守徹)から事情聴取を受ける。
労務者風の男は警察に身柄を拘束されていた。
しかし、刑事はゆうこは暴行は受けておらず
合意で行ったと話していると言う。


久しぶりに家へ戻ってきた夫は
夜、織子を抱こうとする。
人形のように感情を出さない織子に
夫は行為を途中でやめてしまう。

織子は夫に飼い殺し状態を止めてくれるよう
離婚を切り出すが、愛人を作っても嫉妬せず
愛してもらいたいのにそうはしてくれない織子の要求を拒んだ。



情炎 岡田茉莉子 太地喜和子

珍しく洋装をした織子は夫の情婦(太地喜和子)の洋装店を訪ねた。



情夫に夫に自分と離婚してくれるよう
説得してと頼むがあっさりと拒否されてしまう。


織子はゆうこと関係をもった労務者の男をたずねていく。
例の小屋に入ると男が帰ってきた。
ゆうこのことを話しているうち
男が織子に迫ってきた。

逃げては見たものの、最後は半ば同意のような形で男と関係を持ってしまった。



実は、織子は亡くなった母に女として嫉妬していた。
織子は能登が好きだったのだ。


織子が能登のもとを訪ねていくと
見知らぬ女(松下砂稚子)が出てきて
能登は真鶴へ秋の彫刻作りへ出かけ
しばらく帰ってこないという。


真鶴まで追いかけていく織子。
能登は淡々と大きな石を彫りながら
「相変わらずご主人とうまく言ってないな」とつぶやく。


能登の宿泊先のホテルで織子は
「あたくし、母と同じような女になってしまったんです。
行きずりの労務者風の男と関係してしまったんです。」と
能登に浮気をしたことを話す。


そして、またいつあの男のもとを訪れるかもしれないと宣言する。
能登はそんな織子の頬を叩く。


織子は母と能登の間柄に
女として嫉妬していたことを打ち明ける。



織子が帰宅するとゆうこが縁側にいて
織子が作った短歌を読んでいた。
その内容から、ゆうこは織子に好きな人が出来たことを気づいていた。


それはゆうこだけでなく、夫も同じだった。

真鶴には夫の会社の保養所があり
来ていた従業員が織子と能登の姿をみてしまったのだ。
夫は妹のゆうこにこのことについていろいろと聞かれていたのだ。




織子は再び真鶴へ向かう。
駅で能登を訪ねたときに迎えてくれた女と鉢合わせする。


織子と能登がホテルにいたとき
織子の夫が突然部屋に踏み込んできた。


当然、夫は二人の仲を疑ったが
織子は能登とはなんでもなく
行きずりの男と関係を持ったことを打ち明ける。



織子は能登を訪ねて言ったとき迎えてくれた
見知らぬ女が能登の愛人ではないかと問いただす。
「あれは留守番を頼んだ未亡人だ」とはぐらかす。
「ずいぶん未亡人と縁があるのね」と
母とも関係していたことを匂わすような発言をした。


能登と未亡人は愛人関係だったが
未亡人は秋には再婚が決まっているため
それまでの間柄なのだと告白した。


情炎 岡田茉莉子 木村功


その後、織子は能登と関係を持つ。


織子は能登を愛していたのだ。
能登よりずいぶん年上だった織子の母も
自分と能登が続くわけもないと感じていたのだろう。
織子と一緒になってくれと能登に頼んでいたそうだ。



しかし、織子が帰ったあと悲劇が能登を襲う。

自分が彫っていた彫刻が倒れてきて
能登はつぶされてしまい
体が動かなくなってしまった。

入院先の病院で医師から
能登が性的不能になる可能性が大きいことを知らされる。
能登自身もこのことを知っていた。

織子が病室へ帰ると、報告を受けたのだろうと察知した
能登が「性的不能になるかもしれない」とつぶやく。

気丈にふるまう織子。

病室のガラス窓から覗く織子の口元からは
「あたし、それでもいいの」といっているように見えた。


///////////////////////////////////////////




良くも悪くもこれといった感想はないのですが
最後の方で岡田茉莉子と木村功のベッドシーンがあるのですが
この演出のしかたが良かったですね。


正面で見せるのは胸の上部辺りまでなのですが
うつぶせになり、長い髪をかき上げてうなじをじっくり見せていくところとか
ベッドのヘッドボードに頭をぴったりとくっつけるところなど
(一番上の写真)
映像的にわかりやすい濡れ場ではないものの
そこでねっとりとした色っぽさを表現をされていて
その見せ方のアイデアと演じ方と役者の技量に感心させられました。


またひとりの女として消えていく女としての炎に抗うかのように
若い男たちと関係をもった主人公の母を演じた南美江。



結局は男とあって酒に酔った上に車に轢かれて死んでしまうのだが
その様子を白昼の人がいない広い道路の真ん中を
南美江が歩いていて、その後ろを大型トラックが通る。
トラックが行ってしまうとそこには倒れた南美江が。
そして、トラックの荷台から労務者風の男たちが次々に降りてきて
南美江を上から見下ろす。

倒れた南美江の視点で見る
囲まれるようにして見下ろされた男たちの顔、顔、顔。。

一人去り、二人去り、残った男は高橋悦史だった。


ラストシーン、母と同じように夫以外の男たちに体を許してしまった岡田茉莉子。
人がいないあの広い道路の真ん中を歩く岡田茉莉子を
大型トラックが通り抜けていく。

倒れた岡田茉莉子を見ていたのは高橋悦史

という具合に、未だに男と逢瀬を重ねる母を嫌悪していたが
それと同じ運命をたどってしまった娘を重ねていた。



それと「エロス+虐殺」よりはエロスを感じましたねー。

「エロス+虐殺」では伊井利子という女優の
オールヌードがあったのですが
こちらでは若き日の岡田茉莉子はもちろん
しめぎしがこも脱いでません。

(岡田茉莉子か差し替えかわかりませんが
背中をさらすというのはありますが。)


視覚を刺激するのは明らかに前者なのですが
後者の方が色っぽさを感じるのです。

年齢を重ねて色恋にも余裕がある大人の男性なら
こちらの方がグッとくるはず。

ねっとりとした男女の絡み合いを
静かに妖しく美しく映像にしてました。



また夫と心が通わなくて満たされない思いを抱えていた
岡田茉莉子が無骨な高橋悦史と一線を越えてしまうところも
抵抗を試みながらも身を任せてしまうという
弱さが伝わってきてせつなさを感じてしまいます。






2月も終わりということで
3月はこの2回と全く違うタイプのDVDを借りようと思っています。

                         
                                  
        

「エロス+虐殺」 難解すぎてもう・・・と思ったが、出会うべくして出会った作品だった

category - ライフスタイル
2017/ 02/ 16
                 
この間TSUTAYAへ行ってきた。

2月にリニューアルしたばかりで
DVDのラインナップも以前とは変わっていた。

加藤泰の「男の顔は履歴書」のDVDが新作として入荷されて
イチオシみたいな展開をされていました。
もう一度こちらを借りて見てもよかったのですが
近くにデーンとディスプレイされていて
「男の顔は履歴書」と同じように大きく扱われていた
「エロス+虐殺」が気になったので借りてみました。

「エロス+虐殺」(えろすぷらすぎゃくさつ)は
1970年公開の吉田喜重監督の代表作だそうだ。
吉田喜重は岡田茉莉子の夫で、この映画にも岡田茉莉子が出ている。


タイトルと裏面の紹介文を読んだだけで
気軽に手に取った作品なので詳しいことはわからないままさっそく見てみることにした。



だが、20分程見たところで
「話が全くわかんない!」と再生をやめ
この映画がなにを描いたのかWikipediaを見たが
あまり映画の内容はわからないままだった。


しかし、大杉栄と伊藤野枝は名前は知っていたので
映画の詳細についてはわからないながらも
もう一度最初から見直してみることにする。



うす暗い闇の中にスポットライトが
若作りしている岡田茉莉子を照らす。

別の若い女(伊井利子)がこの女に詰問する。

岡田茉莉子はどうやら伊藤野枝の娘
大杉魔子のようだ。


エロスプラス虐殺 岡田茉莉子


この映画はロングバージョンとなっていて
なんと3時間超えの作品なのだ。
あまりに長いので連続再生はやめて
2つに区切られている章ごとに何日かに分けて
流し見で見た。

で、結局何を描きたかったのか
あらすじもよくわからないまんまです。


冒頭の魔子(岡田茉莉子)が伊藤野枝の娘であることを語り
魔子にまるで裁判のように質問を浴びせた若い女。
それに重なり合うように質問者の女が
ある男と出会い女に金を渡す様子が映る。

この魔子や伊藤野枝と女の関係がわからない。
非常にわかりにくい映画なのだ。
それもそうだ、だって次に出てきた
文章がこんなんだから。


エロスプラス虐殺



大正時代、無政府主義者の大杉栄(細川俊之)と
伊藤野枝(岡田茉莉子)の不倫による恋愛と
現在(昭和44年頃)の若者たちとの姿を
平行して描いた物語だった。


大杉栄は保子(八木昌子)という内縁の妻がありながらも
神近市子をモデルとした正岡逸子(楠侑子)という
愛人がいて自由恋愛を謳歌するという人生を歩んでいた。



(映画公開当時、神近市子はまだ存命で
映画では神近の名前を正岡逸子としていたが
名誉権とプライバシー権の侵害を主張して
映画の上映差し止めを求めていた。)



そこに辻潤(高橋悦史)という夫がありながらも
大杉栄と不倫の恋をする伊藤野枝。

二人の恋愛と後の刃傷事件を主体とした大正時代のお話と
二人にはまったく関係ない昭和40年代の醒めた生き方をする
若者たちの姿を同時進行ではさませる。



二つは途中、現在の若い女、束帯永子(伊井利子)と
野枝を絡ませたりして、野枝と栄子という
時代が異なる二人を時空を超えて同時にスクリーンに
登場させるシーンがあったりして
これがまた話をわかりにくくしているのだ。




大杉は野枝を愛したことを逸子に打ち明ける。
妻の保子、逸子、野枝の3人とも同居せず
それぞれが経済的に自立した上での
自由恋愛を大杉は主張する。


しかしこんな状態が続くわけもない。
ましてや大杉は経済的に自立しておらず
経済力がある逸子から金をもらっていた。
彼自身が”経済的自立”という条件から外れている。

逸子の方も金を渡せば大杉が会ってくれるので
自然と財布を開き金を渡す日々。


だが、大杉の野枝への愛はどんどん深まり
ある日逸子から自由になるために
大杉は逸子へ金を投げつけ縁を切ろうとする。


野枝に大杉の子供が出来たこともあり
嫉妬に狂う逸子は大杉を刺してしまう・・・
(日陰茶屋事件)
はずなのだが、このあたりも神近に遠慮したのか
あやふやな演出でわかりにくい。


最後大杉と野枝と甥が連れ去られた上に
殺害された甘粕事件も生々しい描写はなく
二人の死体が転がるのみ。



エロスプラス虐殺 岡田茉莉子と細川俊之

良かったのはモノクロ映画ながらも
映像が美しかったこと。
フィルムの状態が悪いからか
ところどころ人の顔の判別がつきにくい場面もあるが
桜の木の下で語り合う細川俊之と岡田茉莉子の
姿もとても美しかったが
日本家屋から覗く外の風景も情緒があった。

保子、逸子、野枝と3人の女性との関係を
同時進行させる色男、大杉栄を細川俊之が演じているのだが
甘い声と、舞台のような厚化粧を施した細川俊之は
大杉栄役にぴったりでした。


実際の大杉栄は重度の吃音があったり
ギョロ目でどうみてもイイ男に見えないのだが。

しかも、大杉は婚約者があった保子を
強引に犯して自分のものにしているのだ。
その上、神近市子と伊藤野枝も手に入れている。

一方の野枝も夫の辻がいながらも
大杉と不倫し、後に野枝と姉妹のように育てられた
女性が辻と抱き合っているところをみて
激しく嫉妬をするというエゴ丸出し。


大杉、野枝の間に生まれた女児に対して
世間から悪魔呼ばわりされたことから
自分の子どもに「魔子」という名前をつける。




映画に話を戻すと、、、

畳の上に細川俊之が倒れたところで
襖が次々と倒れていく様子など
演出の仕方も面白かった。


大杉と野枝のストーリーを進めながらも
昭和の永子の話も展開させていく。

永子は20歳の学生で売春行為も
気軽に行う現代の若者。

冒頭で永子に金を渡した男は
ホテルで永子を抱いていた。
全裸の永子と絡み合う中年の男。
その現場に何故かはいってくる
和田(原田大二郎)という若い男。
中年の男と和田は顔見知りなようで
この辺りも?でした。


栄子は別の男から金で体を売ったことをとがめられたり、
永子と和田が芝居を演じているみたいになったりと
いきなりこういう展開になるので
見ていて何がどうなっているのか混乱する。

この頃の若者の話し方がどうだったかわからないが
永子と和田の会話が今見るとうっとうしいくらいで
これが先ほどの画像の中の文章”トーキング”なのだろうか?


今回初めて知った伊井利子という女優の
背伸びをした演技が”トーキング”と相まって
21世紀の今現在見るのがちょっときつい部分もある。



*******************************************
常識的な見方をやめると見えてきた自分に必要な事
*******************************************


存在さえも知らなかった映画を
ふとしたきっかけで見ることになったのだが
当初無料券で借りたとはいえ
「これは借りて失敗だったか?」と思ったのだが
見終わる頃にはこの評価が180度変わっていた。


普段私たち大人は世間や親、教師などから与えられた
常識的な生き方にとらわれている。
一般的に当たり前という思考が脳に蔓延っている。

例えば努力をした人が成功するとか。
でも、世の中一生懸命やっているだけでは
成功できない人が多くいる。

私は常々、思考を活性化させたいと思っている。

この映画はあまりにわからなさすぎて
脳が混乱を起こしていた。
常識的な見方ではわからなかった部分が
思考が破壊されてきたことで見えてきたものがある。


そして、大正と昭和、同時に存在していなかった
人間たちが映画で遭遇する。
この時空を超えた出会いにも共感をもった。


今年に入ってから常識ではありえない
まさに過去と現在と未来が同時に存在しているような
ある出来事が私自身に起こった。

些細な出来事なのだが
いくら頭で考えてもあり得ない出来事なので
何故それが起こりえたのが未だにわからない。

でも、あの時、異次元が同時に存在するんだという
事が実際の経験を通じてわかった。


この映画はまさにこのタイミングで私に必要なものだったのだろう。


脳を混乱させ思考の枠をとっぱらい
時空を超えた世界が同時に存在するんだということを実感する。


まだまだこの辺り感覚的なもので
きちんと言語化できませんが。



自分の器を広げることで
借りて失敗と思った出来事も
借りて正解と思えるように認識が変化した。










「エロス+虐殺」というタイトルに目が奪われるが、
エロスも感じなければ、虐殺された甘粕事件もなかった。


映画としては大杉と野枝の物語を
もっと史実にそってシンプルにやって欲しかったな。



さて、最初に書いた加藤泰監督の作品だが、
「骨までしゃぶる」「男の顔は履歴書」「みな殺しの霊歌」を見たのだが
どれも良かった。


これらの映画を見るきっかけも
リラックスしている時にやってきた。




                         
                                  
        

寅さんの渥美清がゲイボーイ 「企業防衛」キャバレーの経営学入門

category - ライフスタイル
2016/ 12/ 05
                 
土曜日は2週連続で神保町シアターへ
『「経営学入門」より ネオン太平記』という
1969年の白黒映画を見てきました。

ネオン太平記

カメラマン姫田眞左久の100回目の誕生日である
11月19日から12月23日までの35日間にわたって
姫田が係った映画が公開されている。

磯田敏夫企業防衛


原作は磯田敏夫の「企業防衛」。

”経営学入門” となっているのは、その前に見たエロ事師が
”人類学入門” となり、原作も設定も違うがそれの姉妹編
『入門シリーズ』第2弾という扱いからこのタイトルがついたようだ。


キャバレーの経営学入門

10月か11月初めにTSUTAYA行った時に
告知チラシをもらい以来この日を楽しみにしてました。

当初このチラシを見た時に「経営学入門」がえげつなさそうで
面白そうだという話になって見に行くことを決めていました。

その後「経営学入門」の前に「人類学入門」があるという事を知り
「人類学入門(エロ事師たち)」と「経営学入門(ネオン太平記)」の
2本を見に行こうということになった。


本作の監督は磯見忠彦で、エロ事師たちの監督であった今村昌平は
磯見忠彦とともに脚本で参加している。
音楽は前作同様に黛敏郎。

出演もエロ事師たちに引き続き小沢昭一が務めている。
共演は西村晃、加藤武、吉村実子、松尾嘉代、北村和夫で
三国連太郎と渥美清が特別出演している豪華版なのだ。

ちなみに吉村実子は石立鉄男の元奥さんだ。



今回も舞台は大阪である。
エロ事師たちから2年後に公開された作品だ。




大阪・千日前のアルサロ「オアシス」の支配人益本利徳(小沢昭一)は
内縁の妻のカツ子(園佳也子)と赤ん坊の娘がいるが入籍しておらず
籍を入れるという話が出ると逃げ続けている。

その益本が店内で店がオープンする前に従業員の女たちを前に
カツを入れるシーンから物語は始まる。


前作のエロ事師たちがねっとりとした質感で描かれていたが
今回はテンポよくとてもエネルギッシュに作られている。


大阪の大きなアルサロということで客を獲得するためにも
女たちが客たちを素早くさばいていく姿が逞しい。


エロ事師たちでは出番が少なかった西村晃だが
益本の友人役で出ており、小沢昭一と西村晃の
掛け合いのようなやりとりが楽しめる。


アルサロは社長はある政治家で表舞台には出てこないが
マネージャーの益本とのアルサロ経営戦略において
度々スクリーンに登場する。


女も男も金がすべてのアルサロ。

ある日未回収の金を回収したままドロンした女たちの
存在が判明した。


マネージャーである益本が彼女たちの元へ向かう。

若いころからふくよかな肉体を持つ春川ますみは
病気だと偽るが益本は金をよこせと迫る。
春川ますみは色仕掛けで逃れようとする。


次の女は松尾嘉代で、彼女は実は店のボーイ島田と
出来ていたのだ。

水商売での従業員同士の恋愛はご法度だ。
早速ふたりともクビにする。


こういう店での女の入れ替えはよくあること。

双子の姉妹がオアシスに雇われた。

しつこくて嫌らしい客(三国連太郎)をうまく扱えなかった
双子の姉に従業員部屋で男の扱いの手ほどきをする益本。

三国連太郎に抱き着かれワンワン泣いていた双子の姉も
益本のおもろい話術つきの手ほどきを受け心が緩んでいく。


オアシスは二号店の話も進んでいた。
二号店は文教地区に近いということで
近所の主婦たちから反発を喰らうのだ。

このことが新聞記事となり肩身の狭い思いをするカツ子。

テレビ番組でオアシス益本と主婦たちの対決の
討論会の様子が映し出される。

この時の司会で「エロ事師たち」の原作の野坂昭如が出演。


私はわからなかったのだが、作家繋がりで言えば
小松左京も桂米朝とともにアルサロに訪れる客として
出演していたようだ。


オープニングの出演者で名前に気づいたのだが顔がわからなかった。


益本の店にはあいかわという地方出身の長身で口下手で
要領の悪いボーイがいた。
益本は偶然あいかわが乗っている電車に乗り合わせ
あいかわがカッターで女性の衣服の尻を切り裂く現場を目撃してしまう。



場所を移して益本はあいかわに詰め寄る。
その後飲み屋にあいかわを連れ出す。
口下手で要領の得ないあいかわだが
孤独感からあのような行為を行ってしまったようだ。

飲んだ日の深夜、あいかわを自宅に連れ込む益本。


狭い家に妻のカツ子と赤ん坊がいて
カツ子の母も遊びに来ていて一時的に宿泊していたにもかかわらず
あいかわはしばらく益本の家に同居することになる。

長身でおどおどしているようにみえたあいかわだが
益本の家では周囲に気を配ることなく
まるで我が家のように住み着いてしまいカツ子の怒りをかう。


そんなカツ子の存在がないかの如くふるまうあいかわ。


アルサロオアシスでは女性ダンサーに
わいせつな行為をさせておりそれがもとで
益本は警察にパクられてしまい豚箱へしばらくぶちこまれる。


この間カツ子は母を再び自宅に住まわせる。


益本は内縁の妻カツ子とカツ子の母ともども
入籍を懇願されるものの縛られる生活が大嫌いで
話をはぐらかす。


入籍するという普通の生活への嫌悪感は
益本の出自が深くかかわっているのだ。


益本がブタ箱にいる間に、カツ子と母が
益本の素性を洗い出す。

益本利徳というのは大阪での仮の名で
本名は違い東京の古本屋の息子だったのだ。


古本屋の息子時代の益本の家庭環境は
堅苦しい家風でありその縛りから逃れるため
大阪へ逃げ出し名前も変えて水商売についたのだ。


カツ子の母は、古書の目利きも出来るんだし
水商売から足を洗ってまっとうな仕事についてほしいと言う。



結局カツ子とは調停で争うことになる。



金にシビアで女を商品としてしか見てないように見えた益本だが
後にちゃっかりあの双子の姉と出来てしまう。


カツ子との関係が壊れてから双子の姉の家に
住み着いてしまう益本。


双子の姉妹は二人で暮らしており、そこへ泊まり込むうちに
今度は双子の妹とも関係をもってしまう。


妹と益本の関係に気がついた姉は狂わんばかりに妹と喧嘩する。
そしてふたりから養女でもいいからと籍を入れることを迫られて
双子の元から逃げ出す益本。


カツ子からも入籍を迫られたうえ、そういうこととは無縁と思っていた
双子からも籍を入れることを懇願された益本は
つくづく安定感を求める女のうざったさに疲れた様子だ。


そんなとき店を辞め消息を絶っていたあいかわが
突然、益本の前に現れる。

あいかわはふたりの男を連れて来ていた。


そして、あいかわが連れてきた男たちから
暴力を振るわれる益本と従業員。
益本たちが動けない間に、あいかわたちは
店の売上金を奪って逃げてしまう。


この不祥事が表ざたとなりオアシスの社長の
政治家のおやじも政界から身を引かざるを得なくなった。


結局あいかわは逮捕された。
あいかわは前科持ちだったのだ。


警察の廊下で益本はあいかわとすれ違いざま
あいかわに殴りかかろうとするがあいかわから
「マネージャーも弱いじゃないか」と言われる。



悪いことは続くもので、カツ子、双子の元にもおれなくなった
益本は店に住まうことになるのだが、店が火事にあってしまうのだ。


疲れ切って電車に乗っていた益本だが
そんな時魔が差し、指の間にカッターを挟み
あいかわのように女の着物の尻を切り裂きたい欲求にかられる。
ギリギリのところで思いとどまる益本。


人間誰しもが持っている弱さや不安定さ。
調子がいい時はいいが、ひとたび悪くなると
これらが顔をだしてきて自分自身との戦いが始まる。


しかし、大阪の地で水商売での成功を目指す益本は
逆境も跳ね返していくべく積極的に攻めていく。



オアシス二号店のオープンも諦めず、
火事となって営業できない一号店だったが
宣伝もかねてなのか益本は大胆なプランを実行に移す。


オアシスのホステスや従業員を引き連れ真昼間に大阪の街を
大行列でマラソンするのだ。

これはゲリラ撮影だったのかな?


爽快感あるラストシーンでした。


そして、益本たちがゲイバーへの店に行くところがあるのだが
ここでゲイボーイ(ゲイのママ?)役で出演していたのが
あの寅さんの渥美清なのだ。

着物と女もののカツラをつけていただけで
特に化粧もしてなかったのだが
大きな四角顔でゴツゴツしたゲイに扮した姿に
館内は大きな笑い声に包まれた。


出演時間は本当に短かったにも関わらず
観客の心を一瞬で掴んでしまった渥美清。

あれで全て持っていかれてしまったかんじでした。



ちょい役の渥美清だが、超脇役でありながらも
存在感の大きさが際立っておりさすがだなと感心させられました。


またゲイといえば加藤武もゲイ役で小指を立てながら出てました。
加藤武とゲイという組み合わせの意外性が笑えました。


あと、名前はわからないがゲイボーイに扮していた長身の俳優さん。

きれいなゲイボーイで、男性としての姿もさぞかし
イケメンなんだろうなと思い誰だか気になっています。



小沢昭一が演じた主人公の益本利徳だが関西弁の大阪人かと思いきや
実は東京の出身だったという設定なのだが
小沢昭一も東京の出身だったんですね。

この映画を見ててっきり関西方面出身の方かと思っていました。



20161203_4.jpg

私が見た「経営学入門」の前には
今村昌平監督で緒形拳主演の「復讐するは我にあり」と



20161203_5.jpg

後には同監督で桃井かおりと泉谷しげるの
「ええじゃないか」がやっていたようです。

桃井かおりといえば、萩原健一と出ていた
「青春の蹉跌」も同館で12/17から始まるようです。

初日の会は上映後に長谷川和彦監督の
トークショーも行われる予定だそうですよ。


20161203_6.jpg

今回はカメラマンの特集でしたが
名画座もいろんな切り口で企画を考えているので面白いですね。




                         
                                  
        

男たちの下半身の欲求を満たす仕事 野坂昭如処女作の映画 『エロ事師たち』

category - ライフスタイル
2016/ 11/ 27
                 
昨日は神保町シアターで『「エロ事師たち」より 人類学入門』
という1966年の白黒映画を見てきました。


野坂昭如 エロ事師


神保町シアターは「がめつい奴」以来、約1年ぶりかな。

今村昌平




これは「今村昌平を支えた職人魂生誕100年
キャメラマン・姫田眞左久の仕事」という特集の中の一作品。

姫田眞左久


監督は今村昌平、主演は小沢昭一で坂本スミ子、佐川啓子、田中春男と
若かりし日の近藤正臣が共演している。
エキストラなどをやっていたものの、近藤正臣はこの映画が
デビュー作品ということでオープニングのクレジットにも(新人)と記されていた。


小沢昭一というともっと後の姿しかしらないし
バイプレイヤーというイメージしかなかったのだが
珍しい主演作である。


また後に日活ロマンポルノで知られる田中登監督の名前もありました。

原作は野坂昭如の『エロ事師たち』という長編小説。
これは野坂昭如の処女作だということだ。

小説の舞台はどうやら東京オリンピックあたりだったようで
昭和の大阪の底辺で生活する登場人物たちの人間臭が
スクリーンを超えてダイレクトに伝わってきた。


関西弁で映画も作られていた。
エロに関西弁、バカバカしさ、嫌らしさも愛嬌がある感じで伝わってくる。


小説の方も高い評価を受けていたようだが
映画も1966年に公開され『キネマ旬報』主演男優賞などを受賞している。


スブやんの愛称を持つ緒方(小沢昭一)は、エロフィルムやエロ写真を作って売ったり、
女を欲しがる男に女の調達をしたり、アパートの住人の性行為を盗聴して
テープにして売ったりと、男たちの欲望を満たすことを生業としていた。


スブやんには伴的(田中春男)という相棒と、若い男がひとりいて
3人でこれらの非合法なこれらの商売をしている。

スブやんは理髪店の二階に下宿していて、理髪店を営む未亡人で
スブやんより3歳年上の松田春(坂本スミ子)と内縁関係になる。

春には幸一(近藤正臣)という浪人生の息子と
恵子(佐川啓子)という中学生の娘がいる。

床屋を営む子持ちの未亡人というとなんだかしっかり者の
母ちゃんと思えるが春は違っていて、どこか男にだらしなく
まだ自分の性欲を抑えきれなくて持て余しており
男にすがって生きていく弱い女なのだ。


年頃の息子と娘がいるが、亭主が亡くなって1年頃に
金の工面をスブやんにしてやるところ
ふとしたはずみでスブやんと関係を持ってしまうのである。


スブやんより年長のお春は半ばスブやんを誘うように
最初の関係を持つ。
こんな環境で育ってきた幸一と恵子もしたたかで
エロにまみれている。


冒頭スブやんと春がセックスをおっぱじめようとしたところ
階段から誰かが下りてくる気配を感じて慌てて寝巻を整える春。


降りてきたのは幸一で、ちっちゃい子供でもないのに
母の寝床に潜り込み甘えるのだ。
幸一は後にも悪事がバレそうになったとき
腹が痛いと仮病を使い、春にお腹をさすってもらう。
実の母と息子でありながらも近親相姦をイメージさせるような場面が出てくる。

幸一はなにかあると春に甘えるような声色を使い
自分の欲求を通そうとするしたたかさがある。


中学生の娘恵子も複雑な家庭環境の影響から
グレており不良中学生と夜遊びをしている。
幼いころスブやんに「お母ちゃんをいじめてたろ?」と叫び
道路に飛び出し車にはねられて足にけがをおってしまう。
おそらく”いじめていた”というのは、スブやんと春の
夜の営みを目撃してしまったのだと思う。


スブやんはこの傷をみるたび事故の事を思い出し
恵子に対して負い目を感じてしまう。


非合法な商売を細々と行うスブやんは
ある時警察に踏み込まれ家族の前で逮捕されてしまう。
エロ事師で生計を立てていたことがバレてしまうのだ。


スブやんは寺の住職(菅井一郎)の息子だが
これがクソ坊主で女房なきあと後妻(園佳也子)を迎える。
そして、度々スブやんに金をせびる。
どうやらエロっぽい後妻はその後若いスブやんと肉体関係を結んだようだ。
スブやんはこれがトラウマになっている。


この「エロ事師」としての仕事も面白い。

冒頭、屋外でエロフィルムの撮影を行うのだが
女優は素人で商売女、それとやらせようとする男は
オヤジで無理やり学生服と制帽を着せるのだ。
違和感ありあり。


お次は恵子のセーラー服を拝借し若い女に着せ
中年・・・、いや初老の男に犯させようとする。
しかし、若い女は知恵遅れで全く演技もどきすらできず
初老の男が棒キャンディーを与えた時だけ反応し
ガリガリキャンディーをかみ砕いて食べる。

実は若い女は初老の男の娘だった。
頭が弱い娘を犯すというよりは、父としてはかわいがっているつもりなのだそうだ。
全く狂っている。

この初老の男が殿山泰司なのだからいかがわしさ
嫌らしさがハンパない。


そして、年配の身なりのしっかりした男(中村鴈治郎)から
一度でいいから処女を抱きたいと懇願され
女をあっせんしている女将(ミヤコ蝶々)のところへいく。

どこの男の子ともしれない赤ん坊を生んだばかりの
女にセーラー服を着せ、ニセの診断書を差し出し
処女に仕立て上げて男に提供する。

女将を演じるミヤコ蝶々のテンポのいい演技が愉快だ。


ある夜、スブやんは同窓会の席に恵子を同伴していく。
若い女房をもらったと勘違いされるスブやんだが
帰り道恵子とキスをしてしまう。
何事もなかったように帰宅するスブやんと恵子。


春は一度スブやんの子供を宿しているが
すでに大きな二人の子供がいることや
世間体を気にして堕胎していた。
ややこが欲しかったなというスブやん。


この後春は病気で入院してしまう。
そして、その間にグレて不良仲間と遊び歩く恵子を
しかりつけているうちにとうとうスブやんは
恵子とやってしまうのだ。

行為が終わったあと帰宅した幸一。
スブやんの衣服の乱れとガラスの向こうの恵子の様子から
すぐに何が起きたのかを理解した。

それは、入院先の春も同じだ。
離れていても内縁の夫の正体はわかっている春。
見舞いに訪れた恵子の様子から出来事を察知し
春の言葉に恵子は全てを打ち明ける。

直後スブやんが面会に来た。
会いたくない恵子はカーテンの後ろに隠れる。
春はスブやんに恵子はスブやんが好きなようだ
自分と別れて恵子が大人になったら結婚して欲しいという。
既にスブやんには、250万相当の土地と家を渡すと伝えていた。

恵子と結婚して幸一の面倒を見て欲しいと言う春。
スブやんは春を愛してると取り合わなかったが。


他の女にやるくらいならスブやんを恵子の夫にしようという
春なりの思いがあったのかと思ったが
春は内心嫉妬していた。

それは、恵子の写真でわかる。
春は恵子の写真の両目に針を何本も突き刺していた。
春の中の女の情が伺われる演出だ。


春が不在となった理髪店。
スブやんのエロ事師仲間の若い男が
以前撮影所でカツラを整える仕事をやっていたから
そこで床屋をやるという。

理髪師免許もない若い男が春の代わりに床屋をやり始めた。

エロ仕事をするためにも金が欲しいスブやん。
しかし、金が欲しいのは幸一も同じで
以前から受験のためと偽って本当は女と一緒に暮らすため
春にたびたび独立資金をせがんでいた。

ある日幸一はスブやんがいない間に家の物を
片っ端から持ち去ってしまう。
春の元も訪れスブやん頼まれたと嘘を言い預金通帳も持っていった。

なんだかドタバタした展開の中、春の病状も重くなっていく。

春は度々幻想を見て卑猥な歌を大声で歌うようになり
医者(北村和夫)から苦情を言われる。

恵子もこの頃悪事を働きとうとう警察のごやっかいになってしまう。
この時の警部が西村晃で、警察に訪れた恵子の担任が菅井きんだった。
出番は少ないのだがふたりの演技がみせてくれる。


そうこうしているうち春の病状はどんどん悪化していき
ついに病院でスブやんのいる前で卑猥な歌を大声で歌い
病院の策から飛び出さんばかりに暴れる春。
寝巻の前を大きくはだけながら通りに向かって狂いまくる春。


結局春は入院中再びスブやんの子を宿したことがわかったものの
死んでしまった。

スブやんはエロ事師に必要な機材などを相方だった伴的に
持ち去られてしまう。

あれほどエロかったスブやんもだんだん性欲が枯れカラカラになっていく。
その後乱交パーティーを主催するものの儲けが少ない。
自身のカラカラも治らない。
そして、悟った。
ダッチワイフを作ろうと。


時は流れ、幸一は独立し恵子も美容院を営むようになっていた。
スブやんは家の前のドブ川に浮かぶ汚らしい小船の中で
エロ事師仲間の若い男とダッチワイフ作りに励んでいた。

ダッチワイフは春がモデルのようだ。
幸一がある男(内田朝雄)を連れてきた。
男はダッチワイフを買いたいといい100万渡したが
スブやんはそれを撥ね退けた。

ドブ川に浮かぶ万札と内田朝雄。


ある夜、スブやんの汚い小船は止めてあった縄がほどけ
海をゆらゆらと流れていく。

大きな船が横切る側でただ流れに身を任せて
流れていくスブやんの小船。

エロ家業に身を置き、内縁の妻の娘を犯したりしたものの
スブやんが本当に愛したのは春だけだったのかもしれない。


この映画で春を演じた坂本スミ子。
もっと年を食った坂本スミ子しか知らなかったので
ショートカットの細身のおばさんというイメージだったのだが
この映画ではロングヘアを結い(性行為をするときは乱れていたが)
中年女特有の緩やかな体型をしていて
クレジットがなかったら坂本スミ子だとはわからなかった。

この人の演技を初めてちゃんと意識してみましたが
この役は当時の坂本スミ子にとってハマリ役でしたね。
夫に先立たれた男に弱い子持ちの女を見事に演じていました。

またスブやんの相方だった伴的をやった田中春男の卑猥さもいいかんじ。


そして、カメラのアングルも面白かった。


春は夫を亡くした日にフナが生まれたのだが
そのフナを夫の生まれ変わりだと信じている。
スブやんが春にエロい事をしようとすると
フナが水槽で暴れるのだ。

そのフナがいる水槽越しに描かれる場面が
なんだか幻想的だったし
柵越しに撮影されるシーンや
床屋でスブやんの髭を春が剃るシーンは
天井から撮影されていた。


またエロ事師の仕事や日常を描いているのだが
終盤の乱交場面はじめ
スブやんと春のベッドシーンでもバストは出てなかったのに
春が亡くなる前に病院で錯乱状態に陥ったときには
前がはだけて胸が丸見えになっている。


エロ事師は面白かったので昨日寝る前にネットで調べてみたら
こんなサイトを発見した。

http://www.cinemanest.com/imamura/flabo1/zinruigaku_1.html

「今村昌平ワールド」という名前で、当時のスタッフが
エロ事師の全てを語っている。



野坂昭如の原作でもスブやんは実在のモデルがあったようで
映画化するにあたりそのモデルを尾行しているのだ。

映画の中でスブやんは内縁の妻春の娘恵子と肉体関係を結ぶのだが
実の親子ではないとはいえ、籍は入っていなくても義理の父と娘。
ましてや恵子は中学生だ。

これについても本当にあったことかどうか検証されている。


今は個人情報保護法なんてものがあるが
当時はプライバシー保護なんてされていない時代。

勝手に他人の戸籍謄本を取ったり、尾行したりして
他人のプライベートにズケズケと侵入している。

当人にとってはたまらないだろうが、不謹慎にも
面白くて一気に読んでしまった。


なるほど、撮影中いろんな困難もあり
最後坂本スミ子がオッパイをさらしたのも
この辺の事情があったのかな?


野坂昭如の原作をもとにしながらも
映画版だけのストーリーも加えられているみたいで
そこも含めとても楽しめた映画です。


それに加えて脇役の面々もまぶしかった。
エロ事師の仕事の場面のちょっとしたところで
ウルトラマンシリーズでおなじみの小林昭二も出ていたり
先に書いたミヤコ蝶々、西村晃をはじめ結構豪華なのだ。


若いころの近藤正臣もカッコよかったし。
この人若いころは色気を感じさせてくれる俳優さんでしたね。

そして、随所に大写しで登場するフナ。

2時間8分という長丁場でしたが退屈することなく見ることが出来ました。


                         
                                  
        

11月3日はビデオの日TSUTAYA新作旧作DVDが100円「カルメン純情す」を借りて見た

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2016/ 11/ 04
                 
私は知らなかったのだが11月3日は「ビデオの日」だということで
TSUTAYAの無料券を使ってDVDを借りようとしたところ
ビデオの日のためDVDが新作旧作1本100円ということで
無料券と100円で2本借りてくることになりました。

カルメン_0

私はいつもカードを更新するごとに
1年間毎月旧作が無料で借りれる券をもらうので
毎月無料で旧作を1本ずつ借りています。

洋画も邦画もCSやBSで見ているので
特に見たいDVDはないのですが
わざわざ無料券を使ってDVDを毎月コンスタントに
借りるという精神的な余裕が好きで
10月終わりに借りて11月頭に借りて返し
今度は12月終わりに借りて1月頭にかりて返すというような
サイクルで毎年使用し続けています・笑


今回は映画を見に行ったついでにTSUTAYAに寄り
昔のテレビドラマと邦画を借りて見ました。

映画は「カルメン純情す」という1952年のモノクロ映画です。


もうひとつ「カルメン故郷に帰る」という映画があって
連作なのだとわかった。

「カルメン純情す」は白黒だが、「故郷に帰るは」カラー映画。

てっきり純情すが1本目かと思って借りたのだが
「カルメン故郷に帰る」が1本目なんですって。

後で知ったのだが「カルメン故郷に帰る」は
日本初のカラー映画だったそうだ。

主演は高峰秀子で監督・脚本は木下惠介。

高峰秀子というと清楚なイメージがあったのだが
この映画ではストリッパー役を演じている。

と、いってももちろんヌードはなし。
下着姿はバンバン出てくるが。

ブラジャーではなく昔にありがちなスリップ姿だけどね。


カルメン_1

ストリッパーのカルメン(高峰秀子)はふとしたキッカケで
遊び人の芸術家須藤一(若原雅夫)と出会い恋をしてしまう。

須藤には政治家の娘佐竹千鳥(淡島千景)という婚約者がおり
身分の違いだけでなく叶わぬ恋なのだ。

須藤も千鳥もともに女遊び男遊びが激しくお互いにそれを公認で
打算的な婚約なのである。

ストリッパー・カルメンの悲恋の物語というより喜劇映画でした。


カルメン_2

カメラを傾けて撮影しているシーンが多々ありなんだか不思議な光景。

カルメン_3

カルメンが恋する遊び人の芸術家の婚約者の母親役の佐竹熊子を演じる三好栄子。

初めて知った女優さんである。
夫に先立たれ男遊びの激しい娘を持つ政治家だ。
髭をはやしているのだが、これの意味はなんだったのだろう?

変なまゆげ、髪型とヒゲ、そしてノーブラのタレパイが激しく印象に残る。

それに出っ歯のすきっぱぶりがスゴイ。


カルメン_4

遊び人で金遣いの荒い芸術家須藤の父を演じる斎藤達雄。
数年前に見た「淑女は何を忘れたか」で知った俳優さん。


他に須藤が遊びで孕ませてしまい子どもを産ませてしまった女に
石原裕次郎の奥さんである北原三枝(石原まき子)が出ていた。


喜劇映画なのでカルメンと芸術家の恋をメインに
周囲を巻き込んでのドタバタしたもの。

そして、カルメンは惚れただけで
恋した男と結ばれることはなかった。


12月は何を借りようか?と思っていたが
せっかくのご縁なので「カルメン故郷に帰る」を借りるとするかな。

                         
                                  
        

原節子の格調高き美しさ 木下恵介の「お嬢さん乾杯」

category - ライフスタイル
2016/ 09/ 11
                 
ようやっとDVDを借りることが出来、木下恵介監督の
「お嬢さん乾杯」を見ました。


お嬢さん乾杯13

原節子が元華族の令嬢を好演。



お嬢さん乾杯1

「お嬢さん乾杯」1949年(昭和24年)松竹映画
脚本:新藤兼人、音楽:木下忠司
オープニングと劇中に流れるテーマ曲がとてもいい。


お嬢さん乾杯2

石津圭三は34歳で自動車修理工場を経営している。
圭三は人はいいが金儲けもうまい青年だ。
圭三には弟の五郎(佐田啓二)がいて、修理工場を手伝ってくれている。


お嬢さん乾杯3

五郎にはダンサーあがりの恋人がいて結婚をしたがっているが
圭三は二人の仲を認めていない。


まだ独身の圭三のもとにある日縁談が舞い込んだ。

相手はかなり年下の元華族の令嬢で
見せられた写真は女学生時代のもので
もともと結婚に興味がなかった圭三は乗り気になれなかったが
一応会うことにした。

お嬢さん乾杯10

馴染みのバーで見合い相手の池田泰子(原節子)を
一目見た圭三はその美しさに一目ぼれしてしまう。

泰子も圭三との結婚を承諾してくれたが・・・



お嬢さん乾杯4

後日、泰子の家へあいさつに行くと
泰子の母や姉夫婦、祖母などが次々と紹介される。
商売がうまくいって今でこそ金を持っている圭三だが
もとは田舎の貧乏人で身分の差に少々恐縮している。


圭三に「工場が儲かってるんだろね」と意味ありげにいってみたり
祖母も「うちも昔は自動車があったんだけどね」と暗い表情でつぶやいたりと
なんだか雲行きが怪しい。


終始笑顔を見せることもない祖母が泰子に「ピアノを弾いておあげ」というが
ピアノの影も形もない。
いくら広いサロンと言えどピアノがおいてある様子は一切ないのだ。


泰子とふたりにしてあげようと引き上げる池田家の面々。


お嬢さん乾杯5

泰子と二人っきりになると室内のだだっ広さだけが強調され
室内のさびれた様子が浮き彫りとなる。

部屋の装飾はごくごく最小限でソファのひじ掛けの布は破れていて
ドアノブが取れたまんま、シャンデリアも欠けがあり豪華さは一切ない。


泰子は池田家の実情を圭三に打ち明ける。
家は没落しており、父親は詐欺事件に巻き込まれ服役中。
売れるものは売り尽くし、既に屋敷も抵当に入っている状態だったのだ。

そして、泰子にはかつて恋仲だった男もいた。
その人の死をもってその恋は終わったのだった。

圭三は既に泰子を愛しており、泰子が金のためではなく結婚してくれるなら
それでもいいと思っていた。
圭三は金儲けは上手かったのでこうした経済事情は負担にはならない。





まずは3か月交際期間を設けようということになった。




お嬢さん乾杯6

圭三と泰子はバレエ鑑賞に出かけた。
見ている圭三は何故か泣いている。

お嬢さん乾杯7

泣いたことを照れながら話す圭三に
圭三の人柄を感じたのか泰子も思わず笑ってしまう。


お嬢さん乾杯8

拳闘好きな圭三について拳闘初観戦する泰子。


お嬢さん乾杯9

試合が進むにつれ泰子も思わず応援に力が入ってしまう。


お嬢さん乾杯11

泰子の誕生日が来ると圭三は大きな贈り物を邸内に運び込んだ。
それはピアノだった。
さっそくピアノを弾く泰子。


お嬢さん乾杯12

そして、友人たちも演奏と歌を披露するのだがここでまた透け乳首なのだ。
歌っている女性のワンピース越しの透け乳首。
まだブラジャーが高級品だったのだろうか?


お嬢さん乾杯14

小菅にある東京拘置所へ圭三の送迎で父(永田靖)に面会しに行く泰子。
父は泰子が本当に幸せになれるならと、金のためではなく
泰子が本当に心配になれるかどうかを気遣っている。



圭三は交際期間を楽しみながらも身に降りかかった不幸からか
情熱を持って接してくれない泰子に思いをぶつけた。

泰子は愛しておりますというのだが・・

泰子はかつての恋人を失ったことで心に穴が開いていた。
家の事情もあって圭三の望む今の圭三との愛に
純粋に浸れなかっただけなのだ。


圭三は泰子に正式に圭三の婚約者として紹介して良いか
問い泰子がこれを受け入れ泰子を自宅まで送り届ける。

自宅前で別れ際、泰子も思い切って圭三の手に
手袋越しに不器用な接吻をした。

慣れない行為に自宅に走り去る泰子は入り口で
思わずけつまづいて転んでしまった。


いよいよ正式に発表する日、圭三が早くに泰子を迎えに行くと
泰子は不在で家人が招き入れてくれた。


おめでたい日なのだが、相変わらず泰子の婆さんは
笑顔もなくいちいち暗いことばかりを言い水を差す。


だんだん不安になってきた圭三はある決心をする。

急いで工場へ帰ると五郎に合い五郎に車をプレゼントして
二人の結婚を認めると言った。
飛び上がって喜ぶ五郎は車で恋人に会いに行く。


一方、帰宅した泰子は圭三からの手紙を受け取った。
それは、別れの手紙だったのだ。
圭三は泰子の抵当に入っている家の始末もつけてくれていた。


圭三を失ってみると泰子は圭三の存在がいかに自分にとって大きいものか
それを無くしたことの重大さに気づく。



馴染みのバーではマダム(村瀬幸子)が祝いの
テーブルデコレーションをしてくれていた。
訪れた圭三はマダムに結婚をやめたことを報告し
自分は郷里にしばらく旅行へ行くと告げる。


マダムと飲む圭三は、そこに姿のない泰子に
「お嬢さん乾杯」といい3時の電車に乗るからと店を後にする。


圭三が去った後五郎と恋人、泰子がバーへやってきた。
マダムから事の次第を聞いた泰子は
3時までまだ時間があると急いで会いに行こうとする。

五郎たちも車で泰子と一緒に圭三の元へ向かうところで話は終わる。


不幸な身の上の令嬢とはいえ、もうちょっと明るい原節子が見たかった。
最後も圭三と会うところまでやってほしかった。
ハッピーエンドなのは良かったが。


でも佐野周二のユーモラスな演技はすごく楽しめた。


お嬢さん乾杯15

弟五郎の交際に反対して意見がぶつかり合った時には
五郎を殴り鼻血まで出させちゃったりして
活動的な佐野周二の芝居は初めて見たかも。


佐野周二の息子が関口宏なら
佐田啓二は中井貴恵と中井貴一のお父さん。
二人とも子供が活躍しているんですよね。


私、中井貴一の顔は苦手なんだが
父親の佐田啓二はハンサムで結構好きだ。
親子は顔が似てるところもあるんだけど目が違うんだな。

中井貴一はきつくてやだけど
佐田啓二はすんごく素敵な目を持っている。


そして、原節子がきれいだった。
単に顔の造作が美しいだけでなく
とても気品があるんですよね。


全体的には面白くて、何度でも見たい映画でした。

                         
                                  
        

加藤泰のすごさを実感 みな殺しの霊歌

category - ライフスタイル
2016/ 09/ 08
                 
TSUTAYAで加藤泰監督の「みな殺しの霊歌」(1968年松竹)を借りました。

みな殺しの霊歌1

本当は先日までやっていた近代フィルムセンターで見たかったのですが
都合がつかなかったんですね。

TSUTAYAへ行くと「みな殺しの霊歌」は4本ありうち2本が既に貸し出し中。
これは近代フィルムセンターやWOWOWでの特集のおかげなのか
いつもこうなのかわかりませんがすごい人気ですね。



みな殺しの霊歌2

映画は白黒で主役佐藤允がかなり渋い。


高級クラブのマダム安田孝子(應蘭芳)が暴力を受けたうえ犯され自室で殺害された。

部屋には孝子が犯人に書かされたとみられる
メモの跡があった。
警察が鉛筆で文字を浮かび上がらせると、4人の女性の氏名と住所が
浮かび上がってきた。

殺された孝子とこの4人は友人同士で孝子の葬儀に4人は姿を現した。


同マンションではその前にも近所のクリーニング屋の若い店員が
屋上から飛び降り自殺をしていた。


そして、メモに名前があった夫と娘がいる主婦橋本圭子(中原早苗)も
レイプされた上に殺害されてしまうのだ。


圭子の葬儀に出た3人は孝子と圭子の死に関連があり
手口が同じことからも自分たちも狙われるかもしれないと気づき始める。

5人にはある共通の秘密があったのだ。


怖くなった麻雀店の支配人の王操(沢淑子)は
残る2人を自分の店に来ないかと誘い電車に乗る。


車中で自分に感心のありそうな男と遭遇し
誘惑をされるような形でついていってしまうが
王操も同じ方法で殺されてしまう。


残るは二人。


警察も5人の女たちが次々と同様の手口で殺されるので
2人の警備にあたろうとしてたところ
デザイナーの毛利美佐(菅井きん)が行方不明となり
むごたらしい死体となって発見されてしまった。


これまで5人の秘密を隠し通していた主婦富永京子(河村有紀)だったが
ただ1人の生き残りとなりとうとう秘密を警察に打ち明ける。


それは、5人が最初の被害者孝子の部屋でブルーフィルムをみており
そこにクリーニング屋の若い店員が御用聞きに訪れ
ピンク映画で欲情していた女たちは店員を強引に部屋に引き入れ
レイプして弄んでいたのだ。


店員はショックから自殺を遂げた。


この店員にはただただ同郷だけという
工事現場で働く川島正(佐藤允)という
かなり年上の知り合いの男がいた。


実は川島はある女を殺した殺人犯で逃亡しており
工事現場に逃げ込み時効を待つ身だった。


飛び降り自殺当日に店員にあった川島は
店員の身の上に起こった事情を知ってしまう。


じっと時効を待つすさんだ生活を送っていた川島にとって
同郷のクリーニング屋の店員とのわずかな触れ合いは
何事にも代えがたいものだった。
川島の心に復讐の炎が燃え上がる。


川島はこの復讐のために5人の女たちを次々に
殺していっていたのだ。


これらの殺害の最中、立ち寄った食堂で
春子(倍賞千恵子)という若い女と出会う。

川島は春子もまたやむにやまれる事情から
実の兄を殺害しており執行猶予中の身であることを
食堂の主人(明石潮)から打ち明けられる。



春子も川島が逃亡中の殺人犯の島であることがわかり
川島に自首をすすめる。
春子は川島が自首するなら出てくるまで待つ意思が
あることを告げるが。


同じころ警察も4人の女の殺害が川島によるものだと掴み
京子の身辺保護にあたるが、京子は自宅を抜け出し
飲んで踊った後、何故か孝子のマンションへ向かう。


孝子の部屋にいると川島がそこを訪れたのだ。


川島に店員を犯した当日の様子を告白する京子。
川島は乱暴したうえ京子も殺してしまう。


全ての復讐をやり遂げた川島は警察の包囲の中
マンションの屋上から飛び降りて全てを清算する。

雨の中春子は川島(島)の破れた手配写真を
つなぎ合わせようとする。


----完-----


加藤泰の映画はこの夏劇場で2本見たばかりなのですが
今回自宅で見たこの映画で加藤泰のすごさを実感しました。

何がすごいって映画ド素人でテクニックなんかを重視してなく
単なる娯楽作品として鑑賞するつもりだったのが
加藤泰のカメラ使いなどの技法にのっけから打ちのめされてしまった。


最初のシーンは第1の被害者孝子の顔鼻から下のドアップ。
そして恐怖におびえる目を含め顔全体のアップ。

正体がわからない見知らぬ男に衣服をはがされ
いきなりすさまじい暴力を受け激しく痛めつけられたあとに
足を強引に開かされ凌辱される。

その後死を迎える女の断末魔が部屋に響く。


この女の恐怖が独特のカットと撮影の仕方から
これでもかというくらい見る側に伝わってくるのだ。
白黒映画でありながらも陰影に富んだ表現が非常に素晴らしい。


すさまじい暴力で受ける体の痛みと
激しく凌辱される心の痛みと
殺されるものにしかわからない恐怖。



劇場のドでかいスクリーンならまだしも、はるかに小さい
我が家のテレビ画面を通してもこの凄さは衰えない。


加藤泰の作品は名画座でもコンスタントに上映されているようだが
なぜここまでの評価をされるのかが今作でわかった。



みな殺しの霊歌3

川島が心を通わせる食堂の店員春子に
喫茶店で手相を見てもらうところ。
倍賞千恵子が若い。


みな殺しの霊歌4

ただ顔見知りの同郷というだけで名前も知らなかったのに
あそこまでの復讐劇を演じたのが解せなかったが
凄味をみせた佐藤允。


みな殺しの霊歌5

1968(昭和43)年頃の新宿。
かなりのローアングルで撮っています。


みな殺しの霊歌6

新宿の小田急百貨店のあたり。
三和銀行があったんですね。


みな殺しの霊歌7

クリーニング屋の店員が訪れる直前の
5人の女がエロフィルムを見ているところ。
この中に菅井きんがいるっていうのがなんとも。


みな殺しの霊歌8

その菅井きんは、今回デザイナー役です。



みな殺しの霊歌9

警察が京子に見せた菅井きんの死体写真。
應蘭芳は衣服をはがされ胸もはだけてヌードになっていて
中原早苗たちもベッドシーンがあるのだが
菅井きんはこのようなシーンはなく
写真をもって殺されたことだけが知らされる。


私は物語が進むにつれ佐藤允と菅井きんの
絡み合いも出るのかと淡い期待をしていたが
残念ながらなしでした。


この写真からだけでも激しく痛めつけられたことはわかりますが。


いやぁ、今回は予想以上に面白かった。
佐藤允がなぜあそこまで5人に激しい憎悪を抱き
惨殺を続けたのかこれが全く共感できませんでしたが。


これはやっぱり劇場で見たかったなと思いましたね。



                         
                                  
        

原節子の乳首と枯れ果てた老人の存在感 小津安二郎の「麦秋」

category - ライフスタイル
2016/ 09/ 04
                 
只今、神保町シアターでは原節子の1周忌として
『伝説の女優・原節子』と題し特集をやっています。

http://www.shogakukan.co.jp/jinbocho-theater/program/hara.html


この中で木下惠介監督の「お嬢さん乾杯」を見たかったんですが
都合がつかずいく事が出来ませんでした。

ツタヤでDVDを借りようと思ったら貸し出し中。

原節子と佐野周二の組み合わせがみたかったので
小津安二郎監督の「麦秋」(1951年)を借りてきました。


麦秋1

「麦秋」は”紀子三部作”の2作目。
小津作品で原節子は「紀子」という役名で
「晩春」(1949年)、「麦秋」(1951年)そして「東京物語」(1953年)という
3本の映画に出ている。


役名が同じでも同一人物ではない。


昭和26年の北鎌倉を舞台に物語は始まる。


間宮紀子(原節子)は、植物学者の父周吉(菅井一郎)と母の志げ(東山千栄子)、
医者の兄康一(笠智衆)と妻史子(三宅邦子)とその子供2人の7人で暮らしている。


一家の関心は28歳になる紀子がまだ嫁にも行かず働いていること。

会社の上司佐竹(佐野周二)からも行き遅れをからかわれたりしている。

紀子には同じく独身の親友アヤ(淡島千景)がいて、他の既婚の女友達との
会話でも既婚対独身で意見がぶつかるのだがこれを余裕でかわしていく。


大和(奈良県)から周吉の兄茂吉(高堂國典)が上京してきて
独身の紀子を気遣いながらも周吉に引退して大和へこいと勧める。

そんな中、佐竹から紀子の結婚相手に知人をどうかと縁談が持ち込まれる。

康一の同僚の医師・矢部謙吉(二本柳寛)が秋田の病院へ行くことになった。
謙吉は間宮家の次男で戦死した省二の友人でもあったのだ。



謙吉は妻が亡くなり幼い子を抱え母のたみ(杉村春子)と暮らしているが
たみは秋田へ行くことは気が進まない。


しかし、謙吉に子供がいることもあり謙吉に遅れて
秋田へ行くことになっている。


たみは謙吉の再婚相手を探していた。
たみも謙吉も紀子の縁談が進んでいることは知っていた。


謙吉がいよいよ秋田へ発つ前日、紀子が矢部家を訪れた。
謙吉は不在でたみが紀子を迎えるのだが、話の最中ふとたみが
「本当はあなたのような人に息子の嫁になってほしかったの」と
本音をもらす。


紀子は「あたしでよかったら・・・」と快諾。


全く何の期待もせず行ったたみの一言が紀子の運命を変えてしまうのだ。


安心からかたみは「あんぱん食べない?」と紀子に勧めるが
これを断り矢部家を去る紀子は帰り道謙吉とバッタリ遭遇する。


帰宅した謙吉はたみから紀子が謙吉との結婚を決心してくれたと聞かされる。




一方、間宮家では佐竹から持ち込まれた縁談の相手は40代であり志げはそのことが
不憫でならなかったのだが、康一は紀子の年齢では贅沢は言えないと撥ね退けていた。


帰宅した紀子は謙吉と結婚することを決めたと康一たちに打ち明ける。


紀子の決心は固く、紀子と謙吉との結婚を機に
周吉と志げは茂吉のいる大和へ行くことになり
間宮家はバラバラになってしまう。


最後に写真屋を呼んで間宮家の集合写真が撮影された。



「麦秋」   


麦の収穫が出来る初夏のある日
大和では周吉と志げがくつろいでいた。


目の前に広がる麦畑を眺めていると
嫁入りの行列があらわれた。


嫁に行った紀子に思いを馳せる志げたち。


紀子たち夫婦も年をとりやがては今の周吉夫婦のような
時を迎えることだろう。



小津安二郎作品ではストーリーはただただ淡々と展開される。
人によっては眠たくなるような映画。


そして小津作品にありがちな少々行き遅れている娘の結婚がテーマ。
それを軸に一家の心情や環境の変化などが展開されていく。


終戦から6年後ということもあり戦死した次男の想い出を夫婦が語る
シーンも中盤に登場する。



麦秋2

”永遠の処女”といわれた原節子は結構バタ臭い顔をしています。

しかしながら、おっとりとした口調で、未だに独身であることをからかわれたり
女友達で独身vs既婚という立場の違いから生まれる意見の食い違いにも
終始笑顔を浮かべていなしているのだ。



麦秋3

今回は笠智衆は医師で紀子の兄として登場。

原節子の兄というには無理がある笠智衆だが
さすがに若い。

私としては映画「男はつらいよ」の”御前様”のイメージだが
黒髪でこんな感じだったんですね。



麦秋4

佐野周二、次は原節子との共演お嬢さん乾杯で見てみたい。




そしてこの映画の中で気になったことや印象に残った俳優。

麦秋5


高級品だったケーキを切り分ける原節子だが
セーターの下はノーブラで乳首が透けて見えているのである。


年代は違うが70年代のテレビドラマなどを見ていると
ブラウスが薄くて、当時のしっかりした作りの白いブラジャーが
透っけ透けなことがよくある。


しかも下着もファッションの一部というわけではないのにである。

女優もスケスケブラウスを「今日の衣装です」と渡された時に
何を感じたのだろうか?


これは見るたんびに私の中に疑問を残したままで
毎回答えがみつからないテーマなんだな。

”永遠の処女”と言われながらも透け乳首を
不特定多数にさらすという矛盾。




・・・そして、今作の極めつけはコチラ↓




麦秋6

紀子の叔父の茂吉を演じた俳優。
北鎌倉に住んでいる弟一家の元にやってきて
鎌倉の大仏の前で姪の紀子とひとときを過ごしている。


耳が遠くて弟の孫たちからは”つんぼ”だと思われてしまう。

歯がないのか横の角度から見ると唇が中に入り込み
あごのしゃくれが強調されていて全くの老人そのもの。



これが誰かと気になり調べてみると高堂國典という俳優で
この映画が公開された時はまだ64歳位なのである!


今の64歳と比較するとメチャクチャ老けすぎていて
当時も老け役俳優として活躍していたようだ。


麦秋7

高堂國典は最初北鎌倉の弟の家に滞在している時と
最後弟がヤマトにきてからちょっとだけ映っているのだが
高堂國典が演じた茂吉がいるところだけ
やたらに時間がゆっくりと過ぎていく感じがした。


もともと小津映画は淡々と物語が展開されていくのだが
茂吉が登場する部分はさらに時間の経過がゆるくなるのだ。

これは茂吉が隠居老人で暇を持て余しているが故のことだけではないように
私には感じられた。


麦秋8

最初観た時どうみても80~90代くらいにしか見えず
60代と知ったときには驚きだった。




最後に・・・


紀子の親友アヤ役で出た淡島千景も良かった。
最後紀子の結婚が決まり、アヤとの会話がすごく印象に残った。


アヤは紀子が東京で優雅な奥様でいる紀子の未来を想像していたのだが
秋田で子連れの男と新婚生活を送ることに対し案じていて


アヤが佐竹からの相手ではなく、旧知の仲である謙吉と
何の前触れもなく結婚を決めたことに対して


「あんた決めちゃったの?前から好きだったのね」

「違うのよ」

「いや、好きだったのよ」

「違うの」



紀子の結婚相手は遠くの誰か(佐竹が紹介してくれた見知らぬ男)ではなく
兄の友人でずっと前から身近にいすぎて男性としても意識してこなかった人。

でもその人の母からあんたのような人に息子の嫁に来てほしかったと告白され
自分が結婚すべき相手が誰であるかに気づいてしまったのである。


決して条件の良い相手ではなくて、冴えない男だ。

謙吉との結婚を決めた紀子は、帰宅して一人で台所で食事をするのだが
ひとりさめざめと泣くんですよね。。。
そこもすごく印象に残りました。


さて、小津安二郎作品は今年TSUTAYAで「お茶漬けの味」(1952年)と
「秋刀魚の味」(1962年)を借りてみたけど「お茶漬けの味」はなかなか面白かった。

「お茶漬けの味」は小津の「淑女は何を忘れたか」(1937年)に設定が似ていた。

佐分利信と木暮実千代が夫婦で、節子は津島恵子が演じていた。
あの佐分利信が上流階級出身の妻木暮実千代に頭が上がらない
弱気な夫をやっていた。

そして、姪はまたまた節子という名前。

紀子、節子は良く出てきますね~。



「秋刀魚の味」は少々行き遅れ気味な娘(岩下志麻)の結婚を通して
妻に先立たれた父(笠智衆)の孤独を描いたもの。

小津監督の遺作でもありました。


個人的に何がこれまでの中で一番面白かったかというと
劇場で見たことも影響しているのか
「淑女は何を忘れたか」ですが
この中では一番有名ではないですね。
確かDVD化もされていなかったような・・・


でも桑野通子のハイカラな存在感が光っており
テンポがあってすっごい良かった。
もう一度見たいな。



                         
                                  
        

企画展 角川映画の40年

category - ライフスタイル
2016/ 08/ 19
                 
「男の顔は履歴書」を見たついでにフィルムセンター内にある
展示室にも行ってみました。


同日にフィルムセンターで映画を見ていた場合は
半券を提示することで100円で入場できる。

常設展だけでなく展覧会もみることが出来ます。



14710473260.jpeg

今回やっていた展覧会は

「角川映画の40年」 でした。



角川映画


角川映画と言えば第1作目は大ヒットした「犬神家の一族」


まず、企画展の前に常設展から見て回ることにした。

フィルムセンターが所蔵している映写機等の機材をはじめ
スチール写真やポスター、映像、台本や雑誌などが展示されており
日本映画の歩みを見ることが出来ます。


写真や映像をみていくうち1920年代頃のものだったでしょうか
外国人のような端正な顔立ちの役者さんを2人見つけました。
今の時代でも通用する美男子だった。


その他古い映画でも見た事がある作品の資料は
やはり興味深く見れますね。





常設展に続くような形で企画展へ。


角川映画1作目の「犬神家の一族」の前に角川が協力した
中尾彬が金田一耕助を演じた「本陣殺人事件」のポスターもあった。

「犬神家の一族」ではポスターの他、上の画像にある湖上から出た足の複製や
金田一耕助のトランクやおかま帽、三種の神器や写真などがありました。


空前の大ヒットとなった「犬神家の一族」の後に公開された
「人間の証明」では黒人のジョニー・ヘイワード役を募集するチラシや
一般公募したシナリオ募集のチラシもありました。


脚本は結局松山善三が書いたのですが
当時の勢いに乗り思い切った試みをしていた
制作サイドの様子を実際の資料を見ることにより感じることができました。


他にも「人間の証明」撮影終了後のインテリアや衣装のオークションを
池袋の西武デパートで開催するときのチラシや台本もありました。




「野性の証明」や「白昼の死角」「蘇える金狼」「スローなブギにしてくれ」
「復活の日」「ねらわれた学園」「汚れた英雄」などの資料が
狭いスペースにてんこ盛りに飾られていました。


「野性の証明」は映画館で見なかったせいもあるのか
映画版独自のあの非現実的な設定が違和感感じちゃって
楽しめなかったけど、テレビ版は5年前位前に見てて
そっちの方が面白かった。
ただ最後だけが解せなっかたけど。




映画版に比べるとテレビ版は設定も配役も地味目だけど
味があってストーリーも良かった。

原作にない登場人物も出てきたけど馴染んでたし
その小川真由美の他にも天知茂まで出てきて
小池朝雄との2ショットでは
土ワイの美女シリーズ「天国と地獄の美女」を思い出しちゃった。


まあ映画版は高倉健と薬師丸ひろ子だからそれだけで華があるわ。
映画版は金かかってる感じがプンプンでした。


そういや映画もテレビドラマもテーマ曲は同じだったな。


さて、展覧会の最後は「人間の証明」「セーラー服と機関銃」「幻魔大戦」
「時をかける少女」の予告編が上映されるコーナーで終わり。


やはり興味深くみれたのは70~80年代の資料だった。


犬神家の一族がもう少し幅をきかせているかと思ったのに
意外とあっさりしていました。



20160812.jpg


近代フィルムの映画をみる層とは異なり
展示室へ訪れる客層は若い人ばかりでした。

その日に見た映画とは年代が違うので納得ですね。



角川映画も40年ということで角川シネマ新宿でも
9/2まで角川映画が一挙上映されています。

http://www.kadokawa-cinema.jp/shinjuku/