2017/11/17
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2017/10/08
展覧会レポート昭和のドラマ昔の土曜ワイド劇場懐かし邦画

美術・展覧会レポート

        

「北斎とジャポニスム」@国立西洋美術館は平日が混雑なくおすすめ

category - 美術・展覧会レポート
2017/ 11/ 17
                 
東京都美術館で「ゴッホ展」を見た後は、近くの国立西洋美術館で
「北斎とジャポニスム~HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」も見てきました。




北斎とジャポニスム


訪れたのはお昼ご飯を食べてからだったので、平日の13時頃だったでしょうか。




開館前にはまぁまぁの列が出来ていて、
もしかしたら平日とはいえ午後は混んでいるかもと思い入場。


入場規制はなく、会場内も空いていました。




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今回のテーマ 『ジャポニスム』 とは
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19世紀後半に日本文化から着想を得て、
西洋では美術、建築、文学や音楽の分野で
新しい創造活動が行われました。


日本趣味のこれらの活動を「ジャポニスム」と呼んでいます。


今回はその中でも江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎をメインに
北斎が西洋美術に与えた影響を検証していきます。





葛飾北斎 富嶽三十六景


≪富嶽三十六景 神奈川沖浪裏≫ 葛飾北斎 1830年~33年頃


波の先端部分が特徴的。
私はこの部分がどうしても海藻に見えてしまいます。


昔の人というと短命というイメージがあるのですが
北斎は90歳近くまで生きているとか。


しかも70歳を超えてもなお繊細な描写を用いて浮世絵を描き続けているという
その勢力ぶりにも驚かされます。


これを書いたときは既に老人という年齢に差し掛かりながらも
波の持つ荒々しさ、力強さと、細かいところも丁寧に仕上げる
見事な仕事ぶりが素晴らしい。


この絵からは作者がそのような年齢であることが感じられません。

また波のリズムの表現の仕方から
自然の持つ驚異の力というものがうかがえます。




さて、今回駅などで見かける宣伝用のポスターや看板は
ドガの踊り子の絵の近くに、北斎の絵が並べられていて
美術関係に興味がない人でも目をひいたのではないかと思います。




エドガー・ドガ 踊り子たち、ピンクと緑

≪踊り子たち、ピンクと緑≫ エドガー・ドガ  1894年


ドガというと踊り子たちを描いた絵や彫刻が有名ですね。
これまでドガの絵を北斎の浮世絵と重ね合わせてみたことはなかったのですが
比べてみると背中の筋肉の描き方などなるほどと思わされました。








葛飾北斎 北斎漫画



≪北斎漫画(十一編)≫ 葛飾北斎 


印象派の画家たちが、日本美術の影響を受けているとは知っていましたが
今回改めてそのつながりを深く知ることが出来ました。


二枚を比較すると同じ人物がでも知らなければ全くの別物なのに
一度知ってしまうと見る目が明らかに変わってきます。




メアリー・カサット 青い肘掛け椅子に座る少女


≪青い肘掛け椅子に座る少女≫    メアリー・カサット  1889年


葛飾北斎 北斎漫画

≪北斎漫画(初編)≫ 葛飾北斎 1814年


これまた意外性のある組み合わせ。

しかし同時にふたつを見てみると、北斎の絵を
西洋人から見るとこういう風に表現するのかという驚きで
右脳が刺激されっぱなしでした。



上のふたつは人物画ですが、それ以外にも動物や静物、
風景がなど様々な視点から北斎が西洋画家たちに与えた影響を
探ることが出来ました。



絵画の方は他にモネ、セザンヌ、ゴッホをはじめ、おもしろいところでは
ルドンなんかも展示されています。



ここにもロートレックの作品がありました。
これまでロートレックと日本美術を結び付けたことはなかったので
午前中にみたゴッホ展と合わせ新しい知識がまたひとつ増えました。



またロダンの彫刻やエミール・ガレの作品も多数あり、
絵だけにとどまっておりませんでした。



北斎の作品はたくさん展示されていますが
私が好きなのは「百物語」の
『さらやしき』と『こはだ小平二』でしたね。



こういう怪奇ものって子供の時を思い出させてくれます。




北斎とジャポニスム

こちらは撮影スペース。

ドガの絵の横に立って同じポーズをしてパチリと撮ります。



「北斎とジャポニスム」はなかなかのボリュームがある展覧会で
本当に空いている時に行って良かったなと思っています。



印象派の作品を見る時に、新たに加わった視点で
鑑賞をすることができそうです。





常設展は企画展のチケットを持っているなら無料で入れます。
私もたまに企画展を見た後に、常設展へも行くことがありますが
今回はこのあと予定があるために見送りました。


国立西洋美術館







常設展では2017年10月21日~2018年1月28日まで小企画展として
「≪地獄の門≫への道-ロダン素描画集」をやっています。


国立西洋美術館 ロダン

予定がなければ間違いなく行ってたので残念。






            
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「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」混雑なくゆったり鑑賞@東京都美術館

category - 美術・展覧会レポート
2017/ 11/ 11
                 
先日は東京都美術館へ「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」を見に行ってきました。





ゴッホ展 巡りゆく日本の夢




日本で人気のゴッホ。




東京都美術館で行われるゴッホ絡みの展覧会は
混んでいるというイメージがあるし
実際東京会場は混んでいるという噂もあったので
平日の開館をめざしていってきました。




ゴッホ展 巡りゆく日本の夢



オープンを待つ列はそれなりに人が並んでいました。





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日本初!ファン・ゴッホ美術館との共同プロジェクト
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今回の企画展は日本の展覧会が終了したのちに
オランダのファン・ゴッホ美術館でも開催が予定されているそうです。


ゴッホは日本の浮世絵などに高い関心を寄せ、
日本美術から影響を受けた作品が見られます。


日本に憧れアルルに理想郷を求めて移り住み
しばらくゴーギャンと暮らしたことは有名ですね。


そんなゴッホが影響を受けたと思われる日本絵画とともに
作品が展示されていました。



ゴッホが晩年交流を持った医師のガシェのもとに残された
「芳名帳」から日本とゴッホの関係も探り出されていました。






ゴッホ展 巡りゆく日本の夢

構成は5章から成り、地下に1,2、1階に3,5そして2階が4と
変則的な配置となっていました。




私が行った日は、地下の1 『パリ 浮世絵との出逢い』 が混んでいました。


やはり人気なのだなぁと思っていたら、2から先は空いていて
約1時間ほどで全てを見終えることが出来ました。


10月24日からスタートしてまだ2週間ほど。
会期はじめのうちなら平日の午前中は混雑がなく、ゆっくりと鑑賞することが出来ます。


近くの国立西洋美術館では「北斎とジャポニスム」が行われていますが
開館を待つ列はこちらの方が長かったかもという印象があります。




会場に入って目をひくのは、やはりチラシにもなっていたゴッホの「花魁」です。





フィンセント・ファン・ゴッホ 花魁

《花魁 (渓斎英泉による)》 
フィンセント・ファン・ゴッホ  1887年



ゴッホ独特の黄色を背景に赤と緑が印象に残る着物を着た
女性が見返り美人風に鑑賞者の方に顔を見せています。

足元の岩にいるカエルまで黄色という面白い色使い。
平坦な図式に線ではっきりと縁取るあたりも強い印象を残しました。




これは渓斉英泉の『雲龍打掛の花魁』がもとになったようですね。


渓斉英泉『雲龍打掛の花魁』


《雲龍打掛の花魁》 渓斎英泉  1820~30年代


『雲龍打掛の花魁』は2種類あり、それぞれ会期前半と後半で
1点ずつ展示がされています。



私が行った日は広重の江戸百景がありました。


歌川広重 名所江戸百景 亀戸梅屋敷


《名所江戸百景 亀戸梅屋敷》  歌川広重 1857年



『亀戸梅屋敷』の展示期間は10月24日から11月26日までです。





フィンセント・ファン・ゴッホ  カフェ・ル・タンブランのアゴスティーナ・セガトーリ

《カフェ・ル・タンブランのアゴスティーナ・セガトーリ》
フィンセント・ファン・ゴッホ  1887年


カフェの女を描いた絵。
彼女の店でゴッホは浮世絵展を開いています。


近くにはゴッホとも交流があったトゥールーズ・ロートレックの
『ディヴァン・ジャポネ』が展示されています。


ロートレックは現在、東京駅の近くにある三菱一号館美術館で
「パリ グラフィック ロートレックとアートになった版画・ポスター展」が
開催されており、こちらも行きたい展覧会のひとつです。





フィンセント・ファン・ゴッホ タラスコンの乗合馬車




《タラスコンの乗合馬車》  フィンセント・ファン・ゴッホ  1888年


赤と緑の鮮やかなコントラストが美しい馬車の絵。
そばにある建物の扉も緑、壁が濃い黄色で
しっかりとした配色が記憶に残る作品でした。





『タラスコンの乗合馬車』とともに日本初公開となったのがコチラ。





フィンセント・ファン・ゴッホ 夹竹桃と本のある静物


《夾竹桃と本のある静物》  フィンセント・ファン・ゴッホ  1888年



今回は花魁とこの初公開2作品が特に印象に残りました。



フィンセント・ファン・ゴッホ 寝室

《寝室》  フィンセント・ファン・ゴッホ  1888年


アルルの寝室を描いたもの。
先細っていくような構図が興味深かったです。
見ていると自分がすっとその中へ入っていくような感じがします。



先述したロートレックの作品に加えてジュール・ シェレの
『ルイ・デュムーラン展』のポスターもありました。


今回のテーマからするとやや意外な気もしました。




日本を憧憬のまなざしで見ていたゴッホが実際にどういうところに影響を受けたのか
それらの作品と並べて展示されており、印象派の特徴的な筆致の中に
浮世絵を真似ようとしている形跡がみられたのが面白かったです。



それと遠い日本を自分の求める理想の地として、
曲解されていたような気配も感じられました。


ゴッホが感じた日本、それをどう表現していったのかがわかる展覧会となっています。









                         
                                  
        

「運慶」@東京国立博物館平成館は平日でも大混雑!

category - 美術・展覧会レポート
2017/ 10/ 28
                 
「怖い絵展」を見た後に、東京国立博物館の平成館で行われている
「運慶展」にも行ってきました。


運慶展


食事をした後だったので13時頃だったでしょうか。


「怖い絵展」が混雑が予想されるために、それを避ける意味で午前中に行き
比較的空いているのではないかと予想した「運慶」を午後にまわしたのですが、
見事にあては外れました。


”史上最大規模の運慶展”ということで、見立てが甘かったようです。





運慶展


平成館に到着すると、まず目に飛び込んできたのが
こちらの入場規制のお知らせ。


しかし、運がいいことに目にした直後
”20分”から”10分”待ちに変更になりました。


見終わって出てくる人の話し声が聞こえ
「さっきよりも列が短くなったね」ということで
混雑はしていましたがいいタイミングで行ったようです。



中へ入ると想像以上の混雑具合となっていました。
さっき見た「怖い絵展」よりもこっちの方が混んでいる。




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親子三代が仏師 運慶
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運慶は平安時代末期から、鎌倉時代にかけて活躍した仏師です。

まるで生きているかのような写実性が特徴で
仏像の目玉には水晶が使われていることもあり
こちらが見られていると思ってしまうくらいリアルに作られています。


父の康慶、運慶の息子たちも仏師であり、
親子三代に渡る作品が展示されています。



◆第1章 運慶を生んだ系譜ー康慶から運慶へ



まず初めにどデカく展示されていたのは、
奈良・円成寺にある運慶のデビュー作
「大日如来坐像」です。




大日如来坐像 運慶


≪大日如来坐像≫ (国宝)   運慶  平安時代 


全方向から鑑賞できるように展示されていて
その足の柔らかさはまるで生きている人間のもののようでした。


天才仏師・運慶誕生。
のちの運慶の活躍を予感させるような
重量感のある作品に仕上がっていました。






運慶 仏頭


≪仏頭≫ (重要文化財)   運慶  鎌倉時代 


焼き討ちされてしまった奈良・興福寺の復興活動をしていた運慶。
その興福寺におさめられた「仏頭」は、現在頭部しか残っていませんが
頭の部分だけで高さがおよそ1メートルほどと大きく
仏像が大作であったことを想像させませす。


これは運慶がリーダーとなって制作されたという記録が残っています。



◆第2章 運慶の彫刻ーその独創性



一番上の看板の写真では運慶作の3点が写っていますが
その中のひとつ「毘沙門天立像」がありました。





毘沙門天立像

≪毘沙門天立像≫ (国宝)   運慶  鎌倉時代 


凛々しい顔つきと、はち切れんばかりの緊張感あふれる肉体を持ち、
左足に重心を置いて、腰のあたりの動きをつけていることで
自然なポーズとなっています。


また腰と腕の間にスペースを作り出すことで
ダイナミックな印象が持たれます。



看板の中のもうひとつの作品「無著菩薩立像」も目をひいた。




無著菩薩立像 運慶

≪無著菩薩立像≫  (国宝)   運慶  鎌倉時代




今にも歩きだしそうな菩薩像。
その顔は、本当に老人にいそうな顔立ちで、程よく枯れた表情がすごくいい。
多くの経験を積んできた悟りのようなものが現されている。










世親菩薩立像

≪世親菩薩立像≫  (国宝)   運慶  鎌倉時代

こちらは「無著菩薩立像」と対になっているもの。



制多伽童子 運慶

≪制多伽童子≫ 八大童子立像 (国宝)   運慶  鎌倉時代

私が見たかった作品のひとつ、制多伽童子もありました。



八大童子立像は現在残っているのは6体だけ。
その中でも、制多伽童子は際立って印象に残る。


3年前に六本木のサントリー美術館でも見た作品ですが
いつみても本当にいいですね。



制多伽童子 運慶


目は大きめで、目頭の切れ込み、目尻の切りあがりの中にある
力強い瞳から逞しさと賢さが感じられる。


逆に鼻と口元は控えめで小さく、ハリのある頬と
丸みを帯びた輪郭が幼さを現しています。


この像から発せられる若々しさとみずみずしさは
先ほどの無著菩薩立像の表情と比べてみるとわかりやすい。




無著菩薩立像 運慶


加齢によるものか、目は小さく、顔のハリは失せていている。



運慶は目玉に水晶を用いていて、
二つと同じ目は作らないと言われていますが
それがよくわかります。

まぶたに工夫が凝らされていて
左右が対象でない人間そのものの特徴を出すことで
生きている人間のリアルさが表現されています。




矜羯羅童子 運慶

≪矜羯羅童子≫ 八大童子立像 (国宝)   運慶  鎌倉時代


顔にかかる前髪やサイドの髪に特徴があるなと思った。
童子の中でも親しみやすさが感じられるやわらかい表情がいい。




恵光童子 運慶

≪恵光童子≫ 八大童子立像 (国宝)   運慶  鎌倉時代

瞳は赤く、右手に三鈷杵、左手に月輪を握っている。




烏倶婆誐童子童子 運慶

≪烏倶婆誐童子≫ 八大童子立像 (国宝)   運慶  鎌倉時代

こちらは表情が険しいだけでなく、逆立った髪の毛からも激しさが感じられる。
今にも動き出しそうだ。



運慶は全く異なった作風のカラフルな仏像も制作しています。



聖観音菩薩立像 運慶

≪聖観音菩薩立像≫  (重要文化財)   運慶  鎌倉時代



聖観音菩薩立像は、源頼朝の死後にそのいとこの依頼で作られました。


聖観音菩薩立像 運慶


陶器のようで艶やかな白い肌と、衣の柔らかさが素晴らしい。


自然でゆるやかな曲線は、まるで本物の布をまとっているようだ。



運慶は仏像の体内にいろんなものを残している。
中には巻物のようなものなど、少ないものから体内をぎっしり埋め尽くすくらい
大量なものまで詰めたうえで仏像を完成させているのだ。


これには運慶のどういうメッセージがあったのだろうか。





展覧会を見終えて出口を出ると、ソファや通路にも人があふれていて
私が入場した時よりも、大混雑となっていました。


会場でも人の熱気によるものか、見ているうちにだんだん暑くなってきた。


時間的なものもあるかもしれないが、午前中に行った「怖い絵展」も混んでいたが
「運慶」の方が大混雑という印象を持った。




どちらも平日開館と同時くらいに行くのがいいのではないでしょうか。






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上野公園を通り、道路を渡ると東京国立博物館の群れがある。
平成館は奥の方にあり駅から遠いと言うイメージ。


その平成館へ向かう途中「にっぽん文楽」が行われていました。




上野公園

午前中は雨が降っていましたが、午後からはあがり始めていた。
小屋は天井部分がなく、お客さんはレインコートを着て鑑賞してた。



上野公園 文楽

これは私が行った10月17日が最終日でした。
興味があったので外からちょっとのぞいてみた。



時間があれば入ってみたいところだったが
運慶展へ行くためそのまま通り過ぎた。



表慶館

平成館手前左手にある表慶館。
こちらはフランスの展覧会があるようで外国人客も結構来ていました。



快慶展


運慶と同じく鎌倉時代の仏師「快慶」展は、春に奈良で展覧会が開かれていたようです。




                         
                                  
        

平日朝イチでも混雑!「怖い絵展」@上野の森美術館

category - 美術・展覧会レポート
2017/ 10/ 21
                 
上野の森美術館で行われている「怖い絵展」に行ってきました。
土日では混雑が予想されるため、少しでもそれが抑えられそうな
平日のオープンを目指していくことにした。




怖い絵展


このところずっと雨続きで、この日も雨が降り続いていました。
私が到着したのは9:40頃でしたが、悪天候の中でもすでに列が出来ており
開館してもすぐに入れずに第2便でようやく美術館に入ることが出来ました。





怖い絵展




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中野京子のベストセラー「怖い絵」が展覧会に!
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ドイツ文学者・中野京子の西洋絵画の裏に秘められた
恐ろしい一面を紹介する「怖い絵」は大ヒットとなり
ベストセラーを記録し、シリーズ化されています。



興味深い切り口でわかりやすく書かれているので
美術に詳しくな人でも親しみやすい内容となっています。
敷居が高いと思われがちな絵画ですが
テーマとなっている裏にある背景を知ることで
グンと身近に感じることが出来ます。


色彩やタッチといった専門的な部分よりも
この絵は一体何を表しているのかというのを
興味をひきやすい”恐怖”にフォーカスして
時代背景やエピソードの知識を読者に与え
ストーリー化することで絵画を読み解きやすくしています。


「怖い絵」が出版されてから10周年ということで
特別監修に著者を迎えて”恐怖”をテーマに
約80点ほどが展示されています。




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「怖い絵展」 概要
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会期: 2017年10月7日(土)~12月17日(日)

会場: 上野の森美術館
(JR上野駅 公園口より3分)

開館時間: 10時~17時

好評につき土曜日9時~20時、日曜日9時から18時に延長。


料金: 一般 1600円、大学生・高校生 1200円、中・小学生 600円




私はよく上野駅(不忍口?)を出たところすぐにある信号を渡り
正面にあるサクラテラスの階段を上って行ってます。
着くとすぐに上野の森美術館なので。

JRから近くとても行きやすい美術館です。



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さて、展覧会の方ですが、今回チラシや看板で使用された
「レディ・ジェーン・グレイの処刑」に加えて
英国のヴィクトリアン絵画好きな私好みの作品もあることから、
とても楽しみにしていました。




私が見たいヴィクトリアン系というと、
有名なラファエル前派を中心に
その周辺の作品という紹介のされ方が多く
長年見たくても見れない作品が多々あります。


ですので、ひとつでも見れるというのは
私にとって貴重な機会となっています。
また同じ作品を何回見ても嬉しいものです。





目玉の「レディ・ジェーン・グレイの処刑」は
ロンドンのナショナル・ギャラリーからの貸し出しですが
以前にも書きましたが、ロンドン・ナショナル・ギャラリー展を
どこかでやってほしいなぁと思い続けています。



見たい作品、盛沢山ですし、あんまり日本への貸し出しもされてないイメージがあるので。




ジェイン・グレイの処刑


≪レディ・ジェーン・グレイの処刑≫   ポール・ドラローシュ  1833年


 
エドワード6世の死後、義父の政治的野望によって、
英国最初の女王の座についたジェーン・グレイだが
わずか9日間でその座を追われてしまう。

ジェーンはロンドン塔で幽閉された後に
1554年夫とともに16歳という若さで斬首された。



その処刑の様子を描いた作品だが、実際の風景とは異なり
ジェーンは身の潔白を証明するような白い衣装を着て
指には真新しい結婚指輪がはめられている。


目隠しされたジェーンの手の置きどころを求めるような動きが痛々しい。
台の下には大量の血を吸うためのわらが敷かれていて
処刑人は斧を手にしてその様子をみており
しくじったときのために首を切り落とすためのナイフを腰に巻き
確実に首を切り落とす準備がされている。




年若い女が首を切り落とされて生涯を終えるという残酷さが
随所に表現されていて、これから起こる出来事を嫌でも想像させられてしまうのだ。
左わきには処刑を前にして絶望する侍女たちがいる。



英国の女王ジェーンの悲劇を描いたドラローシュはフランス人で、
フランス、斬首というと王妃マリー・アントワネットが連想されますね。




オデュッセウスに杯を差し出すキルケー

≪オデュッセウスに杯を差し出すキルケー≫  ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス 1891年



アイアイエー島の女王キルケーは、男を動物に変えてしまう魔女だった。
やって来たオデュッセウスにキルケーは薬が入った飲み物を差し出す。

彼女の足元には、すでに動物に変えられた男が転がっている。



ヴィクトリアン絵画でもウォーターハウスは好きなので、こちらもお目当ての作品のひとつでした。





また、これも好きな画家のひとりホガースの作品が見れたのもよかったです。


ホガース ジン横丁


≪ジン横丁≫ (ビール街とジン横丁)  ウィリアム・ホガース  1750~51年


ホガースというと連作のイメージが強いが、
これ以外にも「娼婦一代記」が展示されていました。






オデュッセウスとセイレーン


≪オデュッセウスとセイレーン≫   ハーバート・ジェイムズ・ドレイパー 1909年



またまたオデュッセウスの受難を描いたもの。


オデュッセウスの乗った船が海の魔女セイレーンがいる海域に来た。
水中にいるときは下半身が魚だが、
陸に上がってくるとなまめかしい人間の姿に変わる。









飽食のセイレーン


≪飽食のセイレーン≫   ギュスターヴ=アドルフ・モッサ  1905年


こちらのセイレーンは、下半身が魚ではなく鳥として表現されている。
鳥の足は巨大化して、羽はまるで毛皮のコートのようだ。



モッサは他にマンイーターを描いた「彼女」も展示されていました。




ポール・セザンヌ 殺人


≪殺人≫   ポール・セザンヌ  1867年


私がイメージするセザンヌの作品とは異なる
殺人の現場を描いたもの。


ターゲットを押さえつけ、今まさにその息の根を止めようとする
その瞬間をとらえたもので、これまで生きていた人間が
動かない物体と化す様が妙に生々しい。





切り裂きジャックの寝室


≪切り裂きジャックの寝室≫   ウォルター・リチャード・シッカート  1906~07年


切り裂きジャックその人ではないかとうわさされるシッカート。


寝室にジャックの姿はないが、売春婦たちを次々にバラバラにしていった
男の狂気がこの部屋に宿っているような気がして不気味さが伝わってくる。





今回見たかった作品が見れて嬉しかったのだが
あまり日の当たらないヴィクトリアン絵画の中には
まだまだ恐ろしい作品がある。



女性が働くことを良しとしなかったこの時代
様々な事情で働かざるを得なかった女たちの末路を想像させ
悲しい人生の裏に見え隠れする怖さを表現した作品が見てみたいですね。



「怖い絵展」では他に印象に残ったのは、ムンク、ルドン、シムズでした。


特にルドンの「仮面は弔いの鐘を鳴らす」が強烈でした。


仮面は弔いの鐘を鳴らす

≪仮面は弔いの鐘を鳴らす≫ (エドガー・ポーに)  オディロン・ルドン  1882年




日本の美術館にある絵も結構ありましたね。
すでに他の展覧会で展示されていた作品でも
”怖い絵”という切り口で見てみるとまた違った見方が出来たりします。



西洋絵画って結構怖いものが多いですよね。
殺人とか命を脅かされるものだけでなく、例えば麻酔がない時代、
そのまま抜歯や手術をしている場面を描いたものは
ジェーンの処刑同様、絵から当事者の痛みを想像すると
恐ろしいものがあります。










怖い絵展

こちらは撮影スペース。
鏡になっていて、映った自分がこの酒を飲むと
獣に変えられてしまうかも!?



私はグッズ売り場で、この絵が表紙になったノートを購入しました。


図録にもひかれましたが、美術関係だけでもかなりの資料が家にあるので
今回もかさばる図録はパスしました。





北斎とジャポニスム看板

近くの国立西洋美術館では、21日土曜日から「北斎とジャポニスム」が始まります。



                         
                                  
        

「東郷青児展-抒情と美のひみつ-」@損保ジャパン日本興亜美術館

category - 美術・展覧会レポート
2017/ 10/ 08
                 
新宿にある損保ジャパン日本興亜美術館へ
「生誕120年 東郷青児展 抒情と美のひみつ」を見に行ってきました。



東郷青児展





東郷青児(本名鉄春)は1897年(明治30年)に鹿児島に生まれ
まもなく東京へ引っ越します。
確か母親の姓が東郷で父親の姓は違っていたようだったので
どういう家庭環境で育ったんでしょうか。
(この辺記憶が曖昧なので正確さは保証できません。)




そういう家庭環境の影響なのか、芸術家の性分なのか・・・



二科展に初出品した『パラソルさせる女』で二科賞を受賞した後は
永野明代(はるよ)と結婚すると、その後フランスへ渡って
美術学校へ入り、子供も生まれます。


ですが、32歳の時に愛人の盈子と心中未遂事件を起こしたり
34歳の時には作家の宇野千代と同棲生活を送ったりと
恋多き男だったようです。


宇野千代自体も恋多き女だったので
恋愛体質バッチリの二人が出会い恋に落ちたのは
自然な流れだったのでしょうね。


二人が住んでいた住居の写真もあり
「白いアトリエ」も見ることが出来ました。



東郷は最初の妻明代と離婚をし、宇野千代とも別れると
心中未遂の相手盈子と再婚をします。


確かに横顔のスナップ写真を見ると男っぷりが良さそうな
雰囲気があらわれているので納得です。




パラソルさせる女

≪パラソルさせる女≫ 東郷青児 1916年


こちらが二科展受賞作で、若い頃は配色も暗めで
幾何学的、立体的な絵という印象を持ちました。



はじめの頃はこんな作風で年を重ねてくると
ロマンがあるモダンで可憐な女性像を描くように変化します。
私は前に東郷青児の絵を見たときに、この変化にとても興味を抱きました。



望郷

≪望郷≫ 東郷青児 1959年


ちょっとボケてますが(笑)淡いタッチのモノトーンで
女性の肉体を緩やかな曲線で表現し、物憂げで女らしい瞳は
わかりやすいかわいらしさと親しみやすさを感じさせてくれます。



若い日の思い出

≪若い日の思い出≫ 東郷青児 1968年



画像ではわかりにくいのですが、女性が着ている服の光沢が素敵で
暗い背景に衣服と、女性のなめらかで、艶やかで、白い肌の質感が映え
とても気に入った作品のひとつ。


丸みを帯びた太ももと、それに合わせるように
動きをつけた女性のポーズが良かったです。




裸婦

≪裸婦≫ 東郷青児 1952年


こちらはタイルを使ったモザイクタイル絵。
やはりウエストは絞りつつ、腰から下は丸みをもたせ
ボリューム感を出しています。





このほかは18歳で初個展を開いたときの出品作や
最初の妻明代を書いた「明代像」や
ピカソや後に丸物百貨店の壁画を一緒に手掛けることになった
藤田嗣治にも見せた自信作「サルタンバンク」などが
初めの章に展示されています。



油彩画が多い中、「つまくれ」という水彩画が非常に繊細で美しく目に留まりました。



モダンなイメージのある東郷の作品は、
損保ジャパン日本興亜の前身会社が二科展出品作品を
毎年のように買い上げていて顧客に配るためのカレンダーにも使用されていました。


東京火災の保険パンフレットで使用された「黒い手袋」も見ることができます。
この頃になると、もう優雅な女性像が多かったですね。


一番上の画像にある看板やチラシで使われている
「バイオレット」という作品もおしゃれで素敵です。
女性の瞳は大きめですがはっきりとは描かれてなく
それだけに唇の赤さがパッと目に着く。
髪の毛はシルバーで、手袋の色と合わせているのもポイント。


こちらは気品高い大人の女性というイメージ。



多くの女性と恋愛を重ねてきた画家だけあって
女性が一目みて憧れる絵を沢山描いており
「さすが!女の好みがわかっている」と思いました。



男性目線も感じますが、自然と女性目線でも
女性像を描いている、そんなことを作品を見て感じた。





私が展覧会を見に行ったのは10月1日の日曜日で、
この日は”お客様感謝デー”のため無料で入ることができました。
ありがたいですね。



東郷青児展


約1年ほど前に、ここで「カリエール展」を見て
その時からこの日が無料であることを知っており
「来年は絶対行くゾ!」と心に決めていたんですね。





東郷青児展

当日はエレベーター前にも列ができていて
一基待ってから乗ることが出来ました。


それは無料ということだけではなく、どうやら前日にテレビ番組
「美の巨人たち」でも紹介されたようで、その影響も大きいのかなと思った。




新宿駅西口には柱や壁にこのような広告が多数見られました。




東郷青児展

まず入ったところすぐに撮影可能エリアがあります。







東郷青児展

来年の春にはこの美術館でターナー展をやるということで
こちらも見に行こうかと候補のひとつに入れました。




東郷青児展

美術館があるフロアから新宿を一望したところ。
この日は穏やかなお天気だったので、見晴らしもよく良い一日を過ごせました。