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展覧会レポート昭和のドラマ昔の土曜ワイド劇場懐かし邦画

昭和のテレビドラマ

        

傑作推理劇場 「死ぬより辛い」 夏樹静子 (1981年)、「ラスト・チャンス」 草野唯雄 (1982年)

category - 昭和のテレビドラマ
2020/ 02/ 03
                 
ようやく生まれた我が子を過失によって死亡させてしまい人生に絶望した主婦。
夫に告白する勇気もなく心中を試みるが…


●傑作推理劇場 「死ぬより辛い」 
放送日: 1981年8月21日
原作: 夏樹静子
脚本: 池田悦子
音楽: 菊池俊輔
監督: 佐藤肇
制作: テレビ朝日、東映
出演: 秋野暢子、河原崎建三、松尾嘉代、
三谷昇、河原裕昌、平野稔ほか



傑作推理劇場 「死ぬより辛い」 夏樹静子





団地に住む君子(秋野暢子)は貧しいながらも工場に勤務する夫・浩一(河原崎建三)との間に
待望の赤ん坊を授かり幸せな日々を過ごしていた。

そんなある日、君子は自分の過失から生まれたばかりの娘を窒息死させてしまう。
自責の念からその場で赤い紐で首吊り自殺をしようとするが失敗したまま途方に暮れる。


傑作推理劇場 「死ぬより辛い」 夏樹静子


やがて、浩一が娘への高価な人形を手土産に帰宅した。

何度も娘を死なせてしまった事実を告白しようとする君子だが
結局は言えないまま今度は無理心中を計画。


薬を使って浩一を眠らせるとガス栓を捻り死を決意した。


傑作推理劇場 「死ぬより辛い」 夏樹静子





そんな時、椅子に無造作に掛けてあった浩一の上着が目に付く。
君子は死ぬ前にそれを畳もうとしたとき、手紙が落ちてきた。



それは、浩一の同僚の鳥飼(河原裕昌)に宛てた娘・ひろ子からの手紙だった。
鳥飼は上司と口論になり工場をクビになっていた。
幼い子供がいる鳥飼は家族にこのことを打ち明けられず
長期出張という口実で秘かに関西へ勤め先を探しに出かけている。


相談に乗っていた浩一は鳥飼の家族からの連絡は全て会社にしてもらい
関西にいる鳥飼に転送する役目を引き受けていた。


傑作推理劇場 「死ぬより辛い」 夏樹静子


手紙にはひろ子が父の帰宅を待ちわびる内容がしたためられている。
幼き日に自分も同じ経験をしていた君子は他人事とは思えず
死ぬ前に手紙を届けようと出かけていく。


君子は手紙に書かれている住所を頼りに鳥飼の家を探すが
そこは「ありき」という表札がかかっていた。


君子が戸惑い屋敷の前でウロウロしていると
差出人のひろ子が来て手紙を持っていることを気づかれてしまった。
そこへ、ひろ子の母がやってきた。


ありき夫人の話から、ひろ子の実父は海外赴任中に暴漢に殺され
多額の補償金を得ていて、父を亡くしたひろ子は母の愛人を
父と呼んでいるとわかった。

傑作推理劇場 「死ぬより辛い」 夏樹静子



夫人はアルバイトで家の門を取り付けに来た鳥飼と肉体関係を持ち
深刻な顔をする君子を相手にこれまでのことを面白そうに話して聞かせる。


家族のために関西に職探しに行った真面目な鳥飼が安易に不倫するとは
君子には信じられなかった。


夫人は毎日同じことの繰り返しで仕事が終わると巣箱のような家へ帰り
家計のやり繰りで疲れる妻がいる日常を送る鳥飼には息抜きが必要だと言い放った。


ところが、君子は夫人が鳥飼との不倫関係を明かすうちに意外なことに気が付いた。


鳥飼はおたふくかぜの影響から精子減少症だったが最近娘が出来たというのだ。
それは、鳥飼ではなく浩一の特徴と一致する。



傑作推理劇場 「死ぬより辛い」 夏樹静子


さらに、鳥飼は今日も屋敷にやってきて小遣いをやったら娘に高価な人形を
買っていくと話していたという。
屋敷には浩一が工場に忘れていったという作業着が残されていた。


夫人は最後に、これまでの不倫の話はみんな鳥飼の親友の話だと言った。
浩一は君子を裏切って娘が生まれる前から夫人と浮気していたのだ。


君子は計画を変更し、酔いつぶれた浩一が寝がえりをうった時に
娘を過って死なせてしまったと偽装することにした。


傑作推理劇場 「死ぬより辛い」 夏樹静子



娘をかわいがっていた浩一にとって「死ぬより辛い」出来事だろう。



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タイトルの「死ぬより辛い」ってヒロインが娘を死なせてしまったからつけられたのかと思っていましたが
それだけではなかったんですね。
自分が味わった「死ぬより辛い」出来事を、浮気した夫の復讐のために利用というエグ味のある作品。



やはり純粋にいい夫が似合わない河原崎建三は妻を裏切る男だったのか。


傑作推理劇場 「死ぬより辛い」 夏樹静子


貧しい妻子ある工場勤務の男を手玉に取る松尾嘉代の存在感。
松尾嘉代と河原崎建三のかけ合わせがエグイ。


傑作推理劇場 「死ぬより辛い」 夏樹静子


冒頭、愛娘を自分の落ち度で死なせてしまった妻を演じた秋野暢子だが、
彼女が死んだ娘を何度も抱き上げるところで人形とモロわかりのシーンが
度々出てくるのがウケる。


傑作推理劇場 「死ぬより辛い」 夏樹静子



死んだ赤ん坊をなんとか生き返らせようとミルクを飲ませたり
死んだと知って絶望し取り乱す秋野暢子の必死さと
無機質な人形のミスマッチな組み合わせ!



秋野暢子の狼狽っぷりがすごいだけに、相手が人形ってのが興ざめというかなんというか。
狙った演出に見えるくらい、人形っていうのがバレバレなんですよね。


しかし、全体的に異様に暗いドラマでおどろおどろしくてスタッフを見てみたら
脚本が池田悦子、監督が佐藤肇で音楽が菊池俊輔よ!
さすがにドロドロした感じにはなるはなぁ。


また河原さぶが河原裕昌という名前で出演していてまだ若々しい。
酒屋の主人役で三谷昇がちょっとだけ出ている。


傑作推理劇場 「死ぬより辛い」 夏樹静子


全体的に出演者は少なく暗いドラマなのに結構楽しめました。





●傑作推理劇場 「ラスト・チャンス」
放送日: 1982年1月28日
原作: 草野唯雄
脚本: 松田寛夫
音楽: 菅野光亮
監督: 小澤啓一
制作: テレビ朝日、東映
出演: 原田芳雄、大谷直子、尾藤イサオ、森本レオ、
山田吾一、佐伯徹、小林千枝ほか



しがないルポライターの山下浩一(原田芳雄)はボロアパートで
妻のミドリ(大谷直子)と二人暮らし。
二十年間書き続けているが経済的には豊かとはいえない日々を送り続けていた。


そんなある夜、山下の家に間違い電話が掛かってきた。


それは先日、東部銀行を襲い七千三百万円を強奪した犯人(尾藤イサオ)が、
支配人の杉山正夫宅と間違えたものだった。


犯人は四千万円しか奪っていないため、残りの金は支店長が着服したと考え
杉山を強請ってきた。


傑作推理劇場 「ラスト・チャンス」 草野唯雄



事情を把握した山下は杉山になりすまして特ダネを掴もうと思いつく。
山下は杉山の電話番号を調べると犯人がしてきたと同じ方法で脅し
公表しないかわりに二千万円を頂く約束を取り付けた。



事件を担当している馴染みの刑事(山田吾一)から犯人が杉山の顔を知らないと確かめると
杉山になりすまして犯人との取引に応じようと計画。
友人のカメラマン・タケダ(森本レオ)にその現場を撮影させるが使い物にはならなかった。


傑作推理劇場 「ラスト・チャンス」 草野唯雄



山下は特ダネで金を得るよりも、犯人から四千万を奪い貧乏暮らしから脱却しようと計画を変更。
銀行から盗んだ金を確かめてから取引に応じるというと犯人は山下ではなく
ミドリにさせるように要求してきた。


四千万円に取りつかれた山下はミドリに全てを話し嫌がるミドリを説得すると
犯人に渡す金を入れるはずのカバンに薬を仕込んだ。


傑作推理劇場 「ラスト・チャンス」 草野唯雄



約束の夜、山下とミドリは車で待ち合わせの場所に到着。
ミドリが犯人の車へ行き、東部銀行から奪った金が手つかずであるのを確認すると
例のカバンを犯人に渡す。


てっきり金が入っていると思い込んでいる犯人がカバンを開くと
薬が車内にまき散らされ犯人はその場で意識を失ってしまった。
山下は意識が朦朧とする犯人のそばに置かれている四千万円を奪うと
犯人は「殺してやる…」と憎々しげに呟くしか出来なかった。



帰宅した山下はこれまで手にしたことがない四千万円を目の前にして浮かれた。
すると、一時は危険なことに手を染めようとする山下を止めたミドリが
金を着服した杉山から予定通りに二千万円奪おうと提案してきた。



傑作推理劇場 「ラスト・チャンス」 草野唯雄



真面目だけが取り柄の面白みがないミドリの変貌ぶりに山下は驚くが
杉山宅へ電話すると新宿の喫茶店で二千万円を受け取る約束をする。


ところが、山下が喫茶店に着くと刑事が張り込んでいる。
山下は何も知らないふりをして刑事に近づき事の次第を聞いた。


なんと、七千三百万円奪われたという報道は銀行側と警察が仕組んだ罠だった。
犯人は四千万しか盗んでおらず、報道を見て何らかのアクションを取ると読んでいたのだった。



傑作推理劇場 「ラスト・チャンス」 草野唯雄



山下は危なくその罠にかかるところだったが命拾いして喫茶店を出ていく。



この日、電話番号から犯人が山下の住居を調べるのを恐れていた山下とミドリは
ミドリが探してきた郊外のアパートに引っ越しする予定だった。
山下は金の件で杉山と会う予定だったことから、ミドリが一人で引っ越しを済ませる約束になっている。


山下は急いでミドリの待つ新居へ向かったが、知らされた部屋に住んでいたのは別人だった。
他の部屋でも引っ越しが行われた気配はないという。


山下が引っ越し前のアパートに戻るともぬけの殻だった。
荷物はもちろんのこと四千万円もミドリによって運び込まれていた。
がらんどうの部屋に残されていた電話が鳴った。


かけてきたのはミドリだった。


傑作推理劇場 「ラスト・チャンス」 草野唯雄



これまで日の当たらない道を歩いてきた山下にとって
今回の計画は大金を手に入れるラスト・チャンスだった。
それは、ミドリにとっても同じだったのだ。


ミドリとともに四千万円も山下の前から消えた。


そこへ、ついに山下の居場所を突き止めた犯人が踏み込んできた。


最後の大きな賭けに敗れた山下は「四千万円取られちゃった」と
自虐的に呟くしか出来ない。


傑作推理劇場 「ラスト・チャンス」 草野唯雄



犯人は用意していた銃を取り出すと、山下の体を撃ち抜いた…。



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こちらも真面目な妻に大谷直子というところからもラストの裏切りは予想できた。
私はてっきりうだつが上がらないクセに適当に浮気もする夫に嫌気がさした妻が
尾藤イサオと共謀したのかと勘繰ったがハズレました。



傑作推理劇場 「ラスト・チャンス」 草野唯雄




女の陰には常に男がいるというわけでもないんですね。

それでも夫は妻と一緒に逃げようとしたのに、妻は現金だけもって
夫を棄てたところはわかりやすくていい。



原田芳雄の気だるさみたいなものが今回の役にピッタリと合っていた。

傑作推理劇場 「ラスト・チャンス」 草野唯雄



しがないライターでありながら、野心がなくなったわけではなく、
人生諦めたようでいながらも生々しさも感じられるというか。



しかし、一時間ドラマは見る時間も書く手間も負担が少なくていいですね。


二時間サスペンスでみられることがある、これいらないんじゃないかっていう
余計な演出がなく無駄がない分テンポがあって見やすい。




            
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傑作推理劇場 「異人館の遺言書」 和久峻三、「暗い穴の底で」 菊村到 (1981年) 

category - 昭和のテレビドラマ
2020/ 01/ 13
                 
毎月楽しみにしている東映チャンネルの「傑作推理劇場」
今回の二作品も、タイトルからそそられるものがあり期待して待っていました。


●傑作推理劇場 「異人館の遺言書」 
放送日: 1981年8月21日
原作: 和久峻三
脚本: 高橋稔
音楽: 渡辺茂樹
監督: 小野田嘉幹
制作: テレビ朝日、東映
出演: フランキー堺、春川ますみ、岡田真澄、
竹井みどり、西沢利明、船戸順ほか



神戸の売れっ子弁護士・鵜飼淳一郎(フランキー堺)のもとに
野島治子(春川ますみ)という買い物帰りの粗末な身なりをした女が依頼に現れる。
一度は断ったが鵜飼の新刊本まで購入している中年女を邪険に扱うわけにもいかず
人の良い鵜飼は治子の依頼を引き受けることにした。


傑作推理劇場 「異人館の遺言書」 和久峻三



治子はロシア人・マリノフスキーの屋敷でお手伝いを25年間務めていたが
最近になってマリノフスキーが死亡。
彼は生前、一億円にもおよぶ全財産を治子に残すという遺言書を書いていたらしい。


「一億円の財産」と耳にした鵜飼は思わず生唾を飲み込む。


治子の案内で鵜飼がマリノフスキーの屋敷に行くと
執事のフェルナンデス(岡田真澄)がいた。
彼は亡父と親子二代にわたってマリノフスキーの財産を管理しており
遺産は一億円ではなく二十億円という莫大なものになっている。


傑作推理劇場 「異人館の遺言書」 和久峻三



鵜飼はマリノフスキーの部屋を調べたが遺言書はどこからも見つからない。


治子の話ではマリノフスキーの死因は心臓まひでフェルナンデスが発見した。
しかも、亡くなる前夜にフェルナンデスに使い込みの疑惑を持ち
マリノフスキーに釈明しているのを立ち聞きしたという。



鵜飼は使い込みがバレそうになったフェルナンデスが
もともと心臓が弱いマリノフスキーを病死に見せかけて殺したのではないかと疑い始めた。

そこで、マリノフスキーの遺体を解剖したが薬物は検出されない。


傑作推理劇場 「異人館の遺言書」 和久峻三



心証を害したフェルナンデスは誣告罪で治子を告訴し泥仕合になってきた。


鵜飼は絵を描くのが趣味だったマリノフスキーの絵のモデル・頭山香織(竹井みどり)に会い
マリノフスキーの死後、フェルナンデスが庭で紙を燃やしていたという情報を得た。


傑作推理劇場 「異人館の遺言書」 和久峻三




香織から入手したその燃え残りを証拠に鵜飼は法廷でフェルナンデスを追い詰める。
そして、とうとう全財産を治子に残すという遺言書を燃やしたことを認めた。


鵜飼の活躍により、治子は二十億円にも及ぶ財産を相続する。
相続税を払い一億円を寄付してもかなりの額が治子の手元に残った。


ある日、伊丹空港で本のサイン会を開いていた鵜飼は
きれいに着飾って別人のようになった治子とフェルナンデスに遭遇する。


傑作推理劇場 「異人館の遺言書」 和久峻三


裁判では敵同士だったカップルの出現に鵜飼は唖然とした。



治子はマリノフスキーの遺書には全財産を日本に寄付すると書かれていたと打ち明けると
これから世界一周のハネムーンに出発するのだと言い立ち去って行った。
二人は芝居をし見事全財産を手に入れたというわけだった。



傑作推理劇場 「異人館の遺言書」 和久峻三


鵜飼は初めから治子が計算づくで自分に近づいてきたことを悟った時
鵜飼のベストセラー本を手にした香織がサインをしてくれと現れた。
彼女の指には高価なダイヤの指輪がまばゆい輝きを放っていた。


香織も二人の協力者だとわかった鵜飼はみすぼらしい身なりで登場した治子に
まんまと一杯食わされた悔しさを通り越して自虐的な笑いがこみ上げてきた。



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法廷のシーンで、原作者で弁護士でもある和久峻三氏が裁判長として出演している。

傑作推理劇場 「異人館の遺言書」 和久峻三


意外とセリフも多く堅い演技ながらもフランキー堺らと絡んでいた。


同氏の原作「赤かぶ検事シリーズ」では夫婦役だった
フランキー堺と春川ますみが弁護士と依頼人として登場。
赤かぶでは本物の夫婦みたいで絶妙なキャスティングでしたね。

夫婦は似てくるといいますが、この二人見た目のふくよかさもあり
似合いの夫婦でした。
それゆえ、今回パートナーが岡田真澄というのは似合わない組み合わせ。


空港で春川ますみが岡田真澄を「ダーリン」なんて呼んでいたのですが
「はぁ?」って感じでした。


また今回その春川ますみに一杯食わされてしまうフランキー堺の役どころも笑える。

最後にどんでん返しがあるのだろうなと予測しながら見ていましたが
それでも楽しめるドラマでした。




●傑作推理劇場 「暗い穴の底で」  
放送日: 1981年8月12日
原作: 菊村到
脚本: 長坂秀佳
音楽: 菊池俊輔
監督: 天野利彦
制作: テレビ朝日、東映
出演: 近藤正臣、山口果林、赤座美代子、谷村昌彦、井上昭文、
天田俊明、根岸明美、内田稔、高原駿雄ほか



エリートコースを歩む会社員・宇佐美(近藤正臣)は子供の頃から
極度の閉所恐怖症に悩まされていてエレベーターに乗るのすらままならない。


傑作推理劇場 「暗い穴の底で」 菊村到




長い距離でも階段を使用する宇佐美はバイタリティ溢れる男と勘違いされているが
いつまでもごまかしきれるものではない。


そんな宇佐美は愛人関係にある神経内科の女医(山口果林)のクリニックで
診療を受け始めた折、患者が心を開いてくれないと克服出来ないと言われる。


宇佐美はこれまで誰にも言えなかった二十年前のある出来事を語りだした。


傑作推理劇場 「暗い穴の底で」 菊村到


小学校六年生だった宇佐美は夏休みに川口に住む叔母夫婦の家へ遊びに行っていた。
近くには八歳とは思えない色気を持つ松永マリ子という女の子がいて
古井戸の中で二人きりになった宇佐美は思わず尿意をもよおしたと口実をつけて
井戸の中から出てしまった。


そこで車の中で黒川(天田俊明)が女を抱いているのを目撃する。
どぎまぎした宇佐美は思わずマリ子の自宅へと飛び込んでいくと
マリ子の母(根岸明美)が津山(井上昭文)を連れ込み情事にふけっていた。


傑作推理劇場 「暗い穴の底で」 菊村到


物音を立てたために宇佐美がのぞき見していたのが母と津山にバレてしまう。


慌てた宇佐美はマリ子のことも忘れてそのまま叔母の家へ帰ったため
結果的にマリ子を古井戸に置き去りにしてしまった。
翌日、マリ子のことを思い出した宇佐美が古井戸へ行くと
既に土が盛られて埋められていた。


マリ子の母の情事を目撃したバツの悪さから
彼女の家に生存を確かめに行くことも出来ない。
先月、行ったときにはもうマリ子の自宅は空き地になっていた。
宇佐美はマリ子を井戸に置き去りにしてしまったというトラウマから
極度の閉所恐怖症を煩うようになったのだ。




翌朝、宇佐美は例の古井戸から白骨死体が見つかったという新聞記事を読んだ。


傑作推理劇場 「暗い穴の底で」 菊村到



恐れていたことが現実となったと怯える宇佐美を
死体がマリ子かどうか確かめに行こうと女医が連れ出す。


宇佐美はそこでマリ子(赤座美代子)と再会した。


マリ子は井戸のそばにいた黒川に助けを求めて救出されたのだという。
そのあと家へ帰ったマリ子は母の情事の現場に乗り込んできた
父(谷村昌彦)と津山の刃傷沙汰を目撃した。

父はそれっきり家を出て、マリ子の母は津山と再婚した。


傑作推理劇場 「暗い穴の底で」 菊村到


宇佐美はホッとしたのも束の間、白骨死体の存在が気になった。



津山がマリ子の父を殺して井戸に埋めたという疑惑が出てくる。
ところが、マリ子の父は別の女性と所帯を持っていて元気に暮らしていた。
この時、宇佐美は父からマリ子が黒川と結婚していることを知らされ驚く。


マリ子と会った宇佐美は体で誘惑しようとするマリ子の要求を断ると
黒川に会わせてほしいといい彼女の自宅に行った。


宇佐美は二十年前のあの日、妻を殺した黒川が死体を井戸に棄てるために
来ていたことを見破った。


傑作推理劇場 「暗い穴の底で」 菊村到



その時、偶然宇佐美が現れたために黒川は妻の死体を抱き寄せ
カーセックスにみせかけて宇佐美を睨みつけて追いやる。


その後、井戸の中にいたマリ子を助け上げ夜になってから妻の死体を遺棄し
土を持って埋めてしまったのだ。


宇佐美の推理を聞いたマリ子は頭部を殴りつけて宇佐美を気絶させると
黒川と二人で車のトランクに押し込み走り出した。
意識を取り戻した宇佐美は暗くて狭いトランクの中で苦しみ
気が付いた時には包帯でぐるぐる巻きの状態で病院のベッドの上にいた。


傑作推理劇場 「暗い穴の底で」 菊村到


傍らには刑事(高原駿雄)と女医がいる。


宇佐美は酔っぱらいの運転する車が黒川の車にぶつかったために
殺されずに済んだことを知らされた。


マリ子は閉所恐怖症の宇佐美が意識を取り戻しトランクの中で苦しむのを計算の上で
その恐怖を味わわせた後で殺そうと企んでいたというのだ。
彼女の二十年間に渡る怨念のすさまじさを感じゾッとした。




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劇中、重度の閉所恐怖症に悩まされる主人公の心理を伝える映像がいい。


狭い空間のエレベーターの中で感じる息苦しさと不安を様々な角度からあぶりだしている。


そのエレベーターが下がっていくとき、主人公はエレベーターの中ではなく
いつの間にか「かご」の上に乗っている。


傑作推理劇場 「暗い穴の底で」 菊村到


それはまるで井戸の中にいるようだ。
二十年前に暗い古井戸に置き去りにしてしまった少女の恐怖と絶望を味わわされることになる。


菊池俊輔の音楽も主人公の精神面の不安定さをうまく表現いて
映像と音楽で画面が歪むような不安を覚える。


「暗い穴の底で」というタイトルもいいですよね。


さて、来月は「死ぬより辛い」をやりますね。
これって確かテレ朝チャンネルで不定期にやっている「EXまにあっくす」でもリクエストがあったような。


これまた面白そうで期待して待とうと思います。



                         
                                  
        

傑作推理劇場 「百円硬貨」 松本清張、「雪の蛍」 森村誠一 (1981年)

category - 昭和のテレビドラマ
2019/ 12/ 09
                 
今月もまた「傑作推理劇場」から二作品が放送されましたが
原作が松本清張、森村誠一とあっていずれも楽しめました。




●傑作推理劇場 「百円硬貨」  
放送日: 1981年8月10日
原作: 松本清張  『百円硬貨』  隠花の飾り (新潮文庫) 収録
脚本: 橋本綾
音楽: 菊池俊輔
監督: 野田幸男
制作: テレビ朝日、東映
出演: いしだあゆみ、川地民雄、上村香子、
成田次穂、相馬剛三ほか




松本清張 百円硬貨



雨が降る東京駅、大川伴子(いしだあゆみ)は
公衆電話から長距離電話を掛けていた。


彼女は電話の相手に

「大阪経由で翌朝そっちに到着する。
何もかも捨てたから、もうあなたしか頼るものがない。
知らない土地でひとりで待つのは嫌なの。」

と泣きながら訴えていた。
その様子から深刻な状況に身を置いているのが容易にわかる。



伴子は電話を切ると列車に乗り込み女の一人旅とは思えない大きな二つのトランクを
荷台に置くと山陰の田舎町に着く十三時間後に思いを馳せた。




松本清張 百円硬貨





四年前、二十八歳だった伴子は明和相互銀行江東支店の出納係で
勤続十年となり毎日家と職場を往復する変わり映えしない人生に嫌気がさしていた。


そんなある日、バスに乗ろうと走りながら財布を開けた伴子はうっかり百円玉を落としてしまう。
しかし、バスに乗りそびれない方に意識が向いて転がった百円玉を拾い上げることが出来なかった。
バスに乗り込んだ伴子は、置き去りにされた百円玉の存在が妙に気になって仕方なかった…。


自分を変えようと免許を取り以前から気になっていた赤い車を購入することを決意。
店へ駆け込むとそこにはセールスマンの細川龍二(川地民夫)がいた。
それがキッカケとなり伴子は細川と親しくなり、肉体関係を結ぶまでにさほど時間はかからなかった。
細川は伴子より四つ上の三十二歳ですでに妻子がある。




松本清張 百円硬貨




その二年後、二人の関係がバレて伴子は細川の妻(上村香子)と二人きりで会った。
細川の浮気は初めてではなく、いつも最後は妻のもとに戻ってきたという。
伴子はいくら金を渡せば別れてくれるのかと言われた上に、
泥棒猫呼ばわりされ自尊心を傷つけられた。



妻は娘が結婚するまでは離婚に応じるつもりはない。




それから二年、伴子は三十二歳になっていた。
妻から突然呼び出された伴子は、
三千万円の慰謝料を条件に離婚すると伝えられた。



松本清張 百円硬貨





細川は妻の実家は裕福で金が目当てではないといい、
二人が三千万円もの大金を用意するとは出来ないと知りながら
嫌がらせをしているだけだという。
しかし、このチャンスを逃したくない伴子は金は自分が作ると宣言してしまった。



ある土曜日、半ドンで行員たちは次々と退社し伴子一人となった。
合鍵で金庫を開けた伴子は三千万円をトランクに詰めると東京駅へ向かう。
公衆電話から愛する細川に電話した後に列車に乗り込んだ-。




翌朝、予定通りに国鉄の山金駅に着いた伴子は細川の迎えを待つ。
しかし、二十分待っても細川は迎えに来ない。
伴子は電話を掛けようとボックスに入るが小銭がないことに気がつく。




松本清張 百円硬貨




一万円札を両替するために切符を買おうとするが釣銭の用意がないという。
今日は日曜日であたりの店が全て休みと知った伴子は
見渡す限り山ばかりの田舎の駅で不安に襲われ泣きそうになった。


この時、「主人は浮気してもいつも私の元に帰って来た」という
妻の顔が脳裏に浮かび裏切られたのではないかという恐怖心が襲ってくる。
すでに、約束の時間から一時間以上が経過していた…。



精神に異常をきたした伴子はある行動をとると電話ボックスに向かう。



すると、ようやく細川が到着した。
ホッとした伴子が駆け寄ろうとしたところ、窓口で切符を買おうとしていた女が
「泥棒!」と追いかけてくる。


松本清張 百円硬貨




お金を崩すことだけに神経がいっていた伴子は彼女が切符代として出した金から
無意識に百円を盗んでいたのだ。
三千万円もの大金を手にしていながら、たった百円のために
伴子が掴もうとした幸せはするりと手から落ちていった。


この時、バス乗り場で財布から転げ落ちていった百円玉が脳裏に浮かんだ。



「あの時から、私の運命はこうなると決まっていたのだ…。」





隠花の飾り (新潮文庫)



冒頭から何度も映る百円玉。

主人公が公衆電話に投入する百円、バス乗り場で手からこぼれ落ち通りを転がって行く百円、
切符を買う時の百円。


なかでも発車するバスに乗り遅れまいと小走りしながら財布を取り出し
小銭を取り出そうとして百円玉を落としてしまう場面。


百円玉は勢いよく転がって行き、あっという間に喫茶店の前に立てかけてある看板までいくと
ようやっと障害物にあたることによって動きを止める。
主人公は勤続十年のベテラン行員で、つつましやかな一人暮らしを営みながらも
自動車免許を取得する金も自動車を買う金も持っている。


だが、この時バスに乗ることを選択し、百円を見捨てたという意識をしっかり持っていた。
それが、人生を賭けた最後の場面で大金を手にしながらも百円玉を手に入れたいばかりに
人の金を盗んでしまうことから全てがご破算になってしまうというオチ。


松本清張 百円硬貨



土壇場で100円に泣かされ彼女のプランが崩れることを暗示している表現がお見事!


また神経の細そうな主人公が山に囲まれた小さな駅で男の迎えを待つが時計の針が進むだけで男は現れない。
妻が放った「いつも最後に夫は自分のもとへ帰って来た」という言葉が脳裏によみがえり
裏切られたのではないかという不安に駆られるシーン。


松本清張 百円硬貨



その不安をあおるように周辺の山や畑、呑気に伸びをする駐在、罵倒する妻の姿などが
次々にフラッシュバックしてくる。
この主人公が味わった不安と孤独と絶望感を視聴者も同じように味わうことになるという演出がいい。




「百円硬貨」というタイトルがどんな意味を持ってつけられたのが気になっていた私にとって
繊細な伏線と描き方によっていろいろと考えさせられるドラマで興味深かったです。






●傑作推理劇場 「雪の蛍」  
放送日: 1981年8月11日
原作: 森村誠一  雪の蛍 (広済堂文庫)
脚本: 服部桂
音楽: 真鍋理一郎
監督: 浦山桐郎
制作: テレビ朝日、東映
出演: 大空眞弓、二宮さよ子、河原崎長一郎、
鹿沼えり、浜村純、小鹿番。三戸部スエ、高木均ほか




森村誠一 雪の蛍





泉田栄子(大空眞弓)の夫・耀造(河原崎長一郎)は
山形で「北瓢亭」という大きな郷土料理店を経営している。



社長夫人の栄子は不自由のない暮らしをしているものの
子どもが産めない体であることが悩みだった。
それに加えて数年前より栄子を悩ましているのは
耀造に女がいるのではという疑いだった。



森村誠一 雪の蛍




いつの頃からか、耀造は服に雪蛍を付けたまま帰宅するようになった。
雪蛍が生息する仙台に女がいるとわかったときから
栄子の心の奥には激しい憎悪が生まれた。



その耀造が仙台出張から戻ってきた。
栄子は何も気づかないふりをしてかいがいしく耀造の身の回りの世話をする。
仙台の支店は本店を凌ぐほどの成績を上げているらしい。


森村誠一 雪の蛍




その矢先、入浴中の耀造が意識を失って倒れているのが発見。
一時、意識を取り戻した耀造は栄子に最後の力を振り絞って「えいこ」と呟いた。
夫が愛しているのは自分だと確かめられた栄子は
「もうあの女の事はいいのよ。」とこれまでのことを全て水に流し
耀造の自分に対する愛情の深さに涙が止まらなかった。





森村誠一 雪の蛍




ほどなく、耀造はそのまま息を引き取った…。



栄子は耀造の跡を継ぎ社長となったことを従業員一同の前で発表。
そして、仙台にいる耀造の愛人の家へ向かった。



この時、栄子は愛人の名前が根岸英子(鹿沼えり)だと知り
耀造が死ぬ間際に残した「えいこ」が自分ではなく
英子を指していたのではないかと考え愕然とした。


栄子は手切れ金として二千万円を渡そうとするが英子は拒否する。
耀造はお腹の子を自分の子どもと認める認知書を書き
英子が耀造の財産の半分を相続するつもりであること知った。


ホステス上がりで下品だが若さだけはあり
妊娠する能力があった映子に対して怒りが込み上げてきた。




森村誠一 雪の蛍




栄子は出前を頼むために階下へ降りようとする英子を衝動的に殴りつけてしまう。
その衝動で足を踏み外した英子は階段を転げ落ちてしまった。



予期せぬ出来事に動揺した栄子はまだうっすら意識のある英子の口を押えて殺してしまう。
栄子は自分の指紋を拭き取り、耀造のサインがある認知書を盗みだした。


やがて、栄子のもとに二人の刑事が訪ねてきた。


妊娠した英子が死に、相手の男が耀造であるかもしれないと確かめに来たのだ。
どうやら刑事は英子の死を事故と見ているらしいとわかり
栄子はそつなく刑事に応対し何事もないまま月日が流れた。



森村誠一 雪の蛍




ところが、栄子がホッとしたのも束の間、店の経理を見ていた
中山計理事務所の所員・島村(二宮さよ子)が栄子が
英子を事故死に見せかけて殺したのを知り脅してきた。



驚いたことに、島村は英子よりも前から耀造と愛人関係にあり
五年間の間に二度も中絶していたことを告白する。
栄子はその間、何食わぬ顔で泉田邸へ出入りをしていた島村の
厚かましさに憎しみが湧いてきた。



島村は英子が妊娠したことを知り、自分との扱いの違いに
耀造に怒りをぶつけていた。
そして、耀造の死後に三度目の妊娠がわかり
英子を殺すつもりであの日、仙台へ行っていたのだという。



森村誠一 雪の蛍



そこで、栄子の姿を目撃し状況から栄子が英子を殺したとわかったらしい。
島村が栄子の犯行を警察に言わない代わりに自分にお腹の子が
耀造の子どもだと認めさせようとしていると察した。



子どもの産めない栄子がそれを認めるという事は
妻の座を降りるという事を意味している。

栄子は「どんな状況になっても絶対に認めない!」と言い島村を殺そうと首を絞めた。



島村は「人殺し!」と叫び、それを聞いた庭師(浜村純)が
庭からゴルフボールを投げてガラスを割った。
その音に驚いた栄子はようやく島村の首から手を離し脱力するしかなかった。




森村誠一 雪の蛍





冷静になった栄子はお腹の子は耀造の子どもと認めないと突き放すと
警察に本当の事を言ってもいいと電話機を島村の前に置く。
ダイヤルを回した島村は受話器の向こうの声の主に
栄子の犯行を告発することが出来ないまま受話器を切った。








それからしばらくして、相変わらず大繁盛する「北瓢亭」で
栄子は馴染みの客たちの席を飛び回っていた。
島村はなんと耀造の子どもを身ごもったまま「北瓢亭」で働いていた。
栄子は穏やかな表情で島村のお腹を気遣っているではないか。



そんなある日、英子が死んだ時に来た二人の刑事が店を訪れた。
老年の刑事は、あれから新しい動きが出てきたことを栄子に告げる。
その容疑者とは島村だった。


それを聞いた栄子は微妙な表情を見せる…。



森村誠一 雪の蛍





島村を尾行した刑事たちは彼女が産婦人科に入って行くのを確認した。
その頃、栄子は耀造の遺影の前で結婚指輪を外す。




雪の蛍 (広済堂文庫)




運よく事故死で済みそうだった愛人の死を
あろうことか自分の犯行と知っているもう一人の愛人に
警察が容疑をかけ始めてきた。



さて、その後の展開はどうだったのでしょう?


ラストまでのストーリーは視聴者に委ねられ
結末まで描かれないままドラマは幕を閉じた。



意味深なのはラストの部分だけではなく
その前の自分が殺人犯だと愛人が知っていても
頑として子供を夫の子どもと認めることを拒否し
電話機を目の前に置いて愛人が110番通報するのも容認していた妻。


結局、愛人はダイヤルを回したものの妻を警察に突き出さなかった。


森村誠一 雪の蛍




その愛人が、妻が経営する店に入り込んでいる。
直後にどんな取引で終わったのかも謎だ。


最後に妻は遺影の前で指輪を外すので
愛人の子供を認めて妻の座を降りたということなのだろう。


河原崎長一郎が鹿沼えりの乳房を弄ぶシーンに
昭和のドラマのおおらかさを感じましたね。






                         
                                  
        

傑作推理劇場 「専属殺人事件」 和久峻三、「消えた男」 土屋隆夫 『加えて、消した』 (1980年)

category - 昭和のテレビドラマ
2019/ 11/ 04
                 
傑作推理劇場の「専属殺人事件」と「消えた男」が放送されました。




●傑作推理劇場 「専属殺人事件」  
放送日: 1980年7月24日
原作: 和久峻三  『専属殺人事件』  日本傑作推理12選 (2) (光文社文庫) 収録
脚本: 本田英郎
音楽: 桑原研郎
監督: 千野皓司
制作: テレビ朝日、東映
出演: 辰巳柳太郎、浅茅陽子、横内正、片桐夕子、
浜村純、菅井きん、風見章子、伊沢一郎ほか



若い女弁護士(浅茅陽子)は舅を殺したサトミ(片桐夕子)の弁護を
老齢の弁護士・菅井良介(辰巳柳太郎)と引き受けることになった。



傑作推理劇場 「専属殺人事件」




京都に住むサトミは夫のマサオが金沢へ単身赴任中で
生まれたばかりの娘と舅のヨシタロウ(浜村純)、
姑(菅井きん)の四人で留守宅を守っていた。


毎月マサオから十万円の仕送りがあるが
ギャンブル好きのヨシタロウが独り占めしていた。
姑もパチンコ通いしていてアテにはならず
サトミが飲み屋で働いて一家の生計を立てていた。


公判が始まると検事(横内正)は身内を殺したとして
単純殺人よりも刑が重い専属殺人で事件を扱おうとする。
家計を支えるために働きに出ているサトミに対して
姑はなぜか敵意をむき出しにして激しく憎んでいた。




傑作推理劇場 「専属殺人事件」




菅井らはサトミが職場にも金の無心をしにくるヨシタロウを
殺さざるを得なかったという事件の背景を明るみにするために
証拠集めに奔走していた。




そんなある日、ヨシタロウと同年代の菅原は殺人の原因は
金ではなく性的なものではないかと疑いはじめる。



サトミの家は二間続きの粗末なもので、部屋を仕切る襖には
覗き穴が開いていた。
菅原は姑からヨシタロウが未だに勢力旺盛なことを聞き出し
ヨシタロウがサトミを犯したと確信する。


サトミは暴行されたという恥を世間に知られるのを恐れて
それを否定し続けた。
サトミと同じ年頃の女弁護士は彼女の胸の内を思うと
暴くことへのためらいが生じるが罪を軽くするためには
心を鬼にしなくてはいけないと覚悟する。


傑作推理劇場 「専属殺人事件」



菅原から子供のためにもと説得されて
サトミはヨシタロウが赤ん坊にナイフを突きつけて脅してきたため
体を提供したことを告白した。


この関係はこれまでも度々あったもので孫を人質にして
肉体関係を迫るヨシタロウの異常性が明らかとなる。



こうして菅原たちはサトミの執行猶予を勝ち取ることが出来た。






日本傑作推理12選 (2) (光文社文庫)



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●傑作推理劇場 「消えた男」  
放送日: 1980年7月29日
原作: 土屋隆夫  『加えて、消した』  「日本傑作推理12選」 エラリー・クイーン編」収録
脚本: 服部桂
音楽: 東京BGM
監督: 堀川弘通
制作: テレビ朝日、東映
出演: 緒形拳、秋吉久美子、中条静夫、高林由紀子、
北村総一朗、沢かをり、ほか



傑作推理劇場 「消えた男」


東京の大学に勤めている秋津俊輔(緒形拳)が
出張先の京都から帰宅してみると妻の美佐江(高林由紀子)が
見知らぬ男と心中していた。
美佐江は死んでいるが、まだ男は息があった…。


しばらくして、秋津から通報を受け刑事(中条静夫)と
美佐江の妹・佳代(秋吉久美子)が駆けつけた。


秋津は帰宅した時まだ美佐江の体は温かかったと言い
自殺したとすぐには信じられず30分程してから中野医院に電話をしたと証言。
「結局こうするよりほかに方法はありませんでした…」という
美佐江が残した遺書も発見される。



傑作推理劇場 「消えた男」


刑事は中野医院に連絡があった時間と秋津の証言に時間差があるのを
尋ねると秋津はしどろもどろになりながらも辻褄をあわせようとする。


美佐江は十年目にやっと出来た子供を流産してしまい秋津から責められていたこと
病院から睡眠薬を貰っていたことが決め手となり刑事も自殺とみて手を引いた。
しかし、佳代は美佐江の遺書を見て不信感を持ちはじめる。


その後、佳代は秋津の身の回りの世話をするようになるが
死ぬ前の日に美佐江に電話をしたときに誰かが風呂場を使っている気配を感じ
美佐江の恋人だった的場仁一(北村総一朗)が来ていたと直感。
それとなく秋津に探りを入れ始めてきた。


その頃、美佐江の男関係を洗っていた刑事も的場の存在を知り
行方不明になっていることから美佐江の死と繋がりがあるのではないかと捜査をしていた。


傑作推理劇場 「消えた男」




刑事から的場のことを尋ねられた秋津は帰宅すると佳代に
自分に近づいてきた本当の狙いを問い詰める。



佳代は遺書の「佳代さん」という呼び方に違和感を感じていた。
美佐江は手紙でさえも佳代の事を「佳代ちゃん」と呼んでいる。
遺書には「仁一さん」と書かれていて男の存在を消すために
「佳代さん」と細工したのだと考えた。


その通り、遺書は複数枚あり的場との関係が綴られ
流産した子供の父親も的場であることを告白していた。
そして最後のページに「結局こうするよりほかに方法がありませんでした…」と
締めくくられていたのだ。


秋津はあの夜、息があった的場を殺して死体を庭に埋めていた。


傑作推理劇場 「消えた男」



しかし、佳代はそれを暴くつもりはない。
なぜなら、秋津を愛していたからだ。


佳代が口を噤んでいる限り秋津の犯行は明るみにならないはずだったが
野良犬が埋められていた場所を掘り返し的場の靴を加えていった。
捜査を続ける刑事のそばをその犬が通り過ぎようとする…。






日本傑作推理12選 (1977年) (カッパ・ブックス)




先月放送の2作に比べるとインパクトが弱いものの
短編小説を1時間の枠でドラマ化というのは2時間枠に比べて
回りくどさが省けるのでいいですね。


専属殺人事件はドラマの概要欄を見て嫁が舅を殺した動機が分かってしまい
面白みにやや欠けるところがありましたが辰巳柳太郎のおとぼけ老刑事がいい味を出している。


事件現場となった自宅も今では見なくなった昭和のボロ屋で雰囲気がある。


もうひとつの「消えた男」は原作のタイトルが「加えて、消した」ですが
タイトルって大事ですね。
「消えた男」と変えただけで見る前から期待度があがる。



「加えて、消した」とは”仁一”に線を何本か書き足し”佳代”にすることで
遺書の文章はそのままなのに内容はがらりと変わってしまう。
つまり数本の線を加えて、自殺の真相を消してしまったという意味。



原作ではドラマと違って秋津が帰宅した時は美佐江が一人で死んでいて
男の存在はなくただの自殺として始まっている。
美佐江にかつて仁一という恋人がいたことを知っていた佳代が
遺書の不自然さに疑惑を持ち心中事件であると暴くというもので
こちらの見せ方の方がよかったかなと言う印象を持った。



さて、来月は「百円硬貨」と「雪の蛍」が放送予定となっている。
東映制作以外でもまた見たい作品が多いのでどこかでやってくれないかなぁ。


確か、テレ朝チャンネルの「EXまにあっくす」で
「死ぬより辛い」がリクエストにあがっていたような記憶があるがどうなったんだろ?
是非、放送してほしい。





                         
                                  
        

傑作推理劇場 「殺意」 (1980年) 官能的な音楽に衝撃的なラストが秀逸

category - 昭和のテレビドラマ
2019/ 10/ 10
                 
CS各局が似たようなサスペンスを垂れ流す中で
東映チャンネルはいつも期待に応えてくれるラインナップで私を魅了する。


今月はかつてテレビ朝日で放送された「傑作推理劇場」から2作品が登場。
(傑作推理劇場やエラリー・クイーンについては『魔少年』の記事に追記)



今回は高木彬光の「殺意」



不器用だけど真面目な妻を持つ画家はようやく売れ始め
大きな一軒家に住みアトリエを構えるまでになった。
そんな矢先、妻から幼なじみで男好きする妖艶な女を
絵のモデルとして紹介される。


女の誘惑にふと魔が差してのめり込んでしまったことから
殺人事件へと発展…。


音楽を担当した菅野光亮のけだるさと甘さを感じる官能的メロディーは
エロティックで心地よく話しの筋に合っている。
それでいて、どこかせつなくて哀しい。


一度耳にしたら忘れられない印象的な曲調で
番組宣伝でバックに流れた時から一発で気に入ってしまった。


ということで雑感含め長いコメントは文末で。



●傑作推理劇場 「殺意」  
放送日: 1980年7月23日
原作: 高木彬光  殺意 (角川文庫 緑 338-54)
脚本: 播磨幸児
音楽: 菅野光亮
監督: 野田幸男
制作: テレビ朝日、東映
出演: 坂口良子、佐分利信、河原崎建三、宮井えりな、
三宅邦子、細川俊夫、相馬剛三ほか



傑作推理劇場 「殺意」




画家の今野(河原崎建三)の妻・純子(坂口良子)が
友人の加藤慶子(宮井えりな)を殺したと自首してきた。



傑作推理劇場 「殺意」




純子の紹介で慶子は今野のモデルをつとめるようになり
いつしか二人は男女の関係になっていった。
それに気づいた純子が別れて欲しいと部屋を訪ねたところ
ひどい言葉を浴びせられ思わずカッとなって刺し殺してしまったと供述。



凶器は裁縫用の目打ちだったが殺した時の状況もよく覚えてない位に
錯乱している精神状態にあった。


今野は向かいに住む老年の弁護士・沼田(佐分利信)に
弁護を依頼し問われるままにこれまでの経緯を語った。



傑作推理劇場 「殺意」




慶子は離婚したばかりで暇を持て余しており今野のアトリエでモデルをしているうちに
その肉体を惜しげもなく今野にぶつけてきた。
持て余していたのは暇な時間だけではなく肉体もだったのだろう。


芸術家の今野にとって平凡な純子とは違い、投げやりで気だるい雰囲気を持つ慶子は
非日常そのもので創作意欲を掻き立てられ妖しい世界にすっかり魅せられてしまった。



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しかし、情事の現場を純子に見られてしまい以後は慶子の部屋で
純子の目を盗んで関係を続けるようになった。
火遊びをやめるよう忠告した純子はその後も関係が継続していることを知って悩んでいた。


今野は全て自分が蒔いた種で責任は自分にあると深く悔いている。
今野夫婦の土地は二十年前自分の子どもを宿した妹を兄が殺したという
訳アリ物件だった。
それを承知で沼田から安く売ってもらったが、今野はその祟りではないかと
怯えている様子だ。



純子が刑期を終えても今野が彼女をこれまで通り受け入れると確かめたうえで
沼田は弁護を引き受けることにした。



傑作推理劇場 「殺意」



それから沼田は純子の周辺を自分の足で調べて回った。
血に染まった服を着たまま裸足で路上を彷徨う純子を保護した
発出所の警官も純子に同情していた。



沼田はこれまでのことから純子の犯行は誤殺であること
初犯で自首をして罪を深く悔いていることなどから執行猶予を勝ち取るつもりだと
今野に報告する。


公判で沼田は純子に犯行に至るまでの経緯を明らかにさせた。



純子は幼なじみの慶子との友情を取り戻すことで今野と別れてくれるだろうと信じて
カトレアの花を手土産に彼女の部屋を訪ねた。
ところが、慶子は今野が全てにソツがない純子を面白くない女だと言っていたといい
二人の恋愛に第三者の純子が口を挟むなと強気に出てきた。


傑作推理劇場 「殺意」



さらに今野が家庭的ではない慶子に自分の服の繕いまでさせているという。
女としての侮辱を受け生理日で精神的に不安定な状態だった純子は
とっさにテーブルに置いてあった裁縫箱から目打ちを取り発作的に刺してしまった。



沼田の予告通り、純子は執行猶予の判決を受けた。



傑作推理劇場 「殺意」




沼田の妻(三宅邦子)は沼田が純子を無罪同然にしたことで
近所でも良い噂が流れていると嬉しそうに話す。





判決から一か月、今野は負い目を感じる純子を気遣って優しく接している。


ある日、今野が慶子をモデルにして描いた絵を見ると
心臓がある左の乳房に無数の刺し傷があるのを発見し凍りついた。



傑作推理劇場 「殺意」



その様子を洗濯物を取り込んだ純子がひっそりと見ていた。
今野は絵を処分しようかと思っていると言いその場を取り繕った。


一度わいた疑念は今野の中で次第に肥大していった。


その晩、今野はそっとベッドを抜け出すとアトリエへ行き再び絵を確かめる。
暗闇に光る無数の穴は純子の激しい憎しみそのものだった。
今野が純子の裁縫箱を調べると目打ちがなくなっている。


その時、今野の異変に感づいた純子がアトリエへ姿を現した。



傑作推理劇場 「殺意」



純子は自分の目打ちは先が折れたので捨てたというが
慶子は目打ちを持つほど裁縫が得意ではなく裁縫箱にも目打ちはなかった。
初めから慶子を殺すつもりで自分の目打ちを持ち出し
それで慶子を殺したと自分の推理をぶちまけた。


完全犯罪を企ててもそれは無理な話だ。
だったら執行猶予を取ろうと考えを変え、
友人に夫を寝取られたかわいそうな妻を演じて世間の同情を集め
わざわざ生理日を選んで発作的な犯行に見せかけたのだと暴く。


今野の激しい責めに純子はついに殺意があったことを認めた。



傑作推理劇場 「殺意」



子どもの時から慶子は人の一番大切なものを奪ってきた。
ようやっと掴んだ夫婦生活をも壊そうとする彼女が憎かった。


今野は純子が初めから殺意があったのかなかったのか今ではどうでもいい事で
どちらにしても人を殺した純子に恐ろしさを感じ別れる決心をしたと本音を打ち明ける。


純子は今野を失いたくないというと、覚悟を決めナイフを取り出した…。


傑作推理劇場 「殺意」




翌朝、沼田は今野の訪問を受けた。


今野は純子が殺意をもって慶子を殺したと白状したと告げた。
だから、自分も沼田もみんな純子に騙されていたのだと興奮がおさまらない。


そして、自分もカッとなって純子を殺してしまったと告白すると
純子と同じく誤殺であり自分の弁護を引き受けて欲しいと土下座して頼んだ。


沼田が凶器の目打ちについて質問すると、あれは純子が殺すつもりで
自分の目打ちを持ち出したと答えた。


それを聞いた沼田は「なぜ、嘘をつく」と今野を一喝する。


沼田は裁判中は明らかにされなかったが警察は凶器の目打ちは
殺される数日前に慶子が購入したと調べあげていたと言い返した。



傑作推理劇場 「殺意」



さらに沼田は今野が人を殺めた純子から離れたがっていたことも見抜いていた。
そのために執行猶予を狙った誤殺を考えたが初めから殺意がある謀殺で
せいぜい狙えるのは情状酌量で罪は軽くないが
それでも良ければ弁護を引き受けると言い渡した。


目論見が大きく外れ気がおかしくなった今野は
純子の死体のそばで狂ったように叫び続けた。


沼田は廊下に出ると受話器を取り上げて警察へ通報するためダイヤルを回した。





殺意 (角川文庫 緑 338-54)



ラストがキョーレツ!!
身勝手な夫を演じた河原崎建三がどん底に突き落とされるのが見もの。



はじめこそ、自分の浮気のせいで妻が悩み衝動的に友人を殺してしまい
自責の念から妻の刑を軽くしようとしたり執行猶予になった妻を受け入れる
優しい夫を演じていたが、やがて殺人を犯した妻と同居していることに耐えられなくなってくる。


そんな時、計画的な犯行とわかりそれに便乗するかのように別れを宣言。
ナイフを持ち出した妻を殺害するのだが、自分の場合は誤殺が認められず
実刑を喰らう可能性が高いと知り叫び狂う。


この人にイイ人は似合わない。
悪党なんだけど小悪党で最後にやられちゃうというのがピッタリな人。
佐分利信が河原崎建三を平手打ちするのもウケる。



気まぐれといたずらな気持ちから友人の夫を誘惑する宮井えりなとともに
ナイスなキャスティングです。


また妻が以前から殺意を持っていたと知るシーン。
それに気づいた夫を雷雨に打たれながら妻がジーっと見る場面は
すごく怖かった。
その妻がかわいらしく可憐な坂口良子だっただけになおさら。


傑作推理劇場 「殺意」



疑惑を抱いた夫に責め立てられついに殺意を認めるところもコワイ。
ヌードの絵の心臓部分に開いた無数の穴がキラリと光る演出も見事。


傑作推理劇場 「殺意」



さて、冒頭に書いた東映チャンネルについてですが
時間の関係上、土曜ワイドメインで書いてますが
これまで放送された火曜サスペンス劇場の作品も見ていました。
(もちろんそれ以外の1時間枠のやつも)


これまでのラインナップを振り返って、東映チャンネルは他局と違い
80年代の古めのサスペンスにある一定層のコアなファンがついているってことを
バッチリ把握している感じが伺えます。


毎度、「そうきたかーっ!」と唸らされる作品がリストアップされてますよね。


ちょっと前は、チャンネル銀河や日本映画専門チャンネルも他でやらない
単発ものもやってくれたんだけど気がついたらいつの間にか無難な線に落ち着いている。


かなーり前はファミリー劇場、ホームドラマチャンネル、AXNになるまえのミステリーチャンネルが
頑張ってくれましたが最近はサッパリ。


まだAXNミステリーは見たかったのをやってくれるのでちょいとマシかな。



こうしたブログを書いていると結構そのあたりのドラマのファンが多いんだなと実感させられる。
だいたい人気記事は決まっていますが、それ以外のものもコンスタントにアクセスがあり
「あぁ、私と同じようにこういうのが好きな人っているんだわ~。」と嬉しくなります。


おそらくこのブログを読んでいただいてる方々は私と同じく
単発ものや海外作家の作品が見たいって人多いんでしょうね。


AXNミステリーなんて海外のサスペンスを沢山放送しているんだから
土ワイや火サス、ザ・サスペンスなんかでやった海外作家のものを
放送してくれれば他との差別化も図れるのに。


もう終わっちゃったみたいだけど早川書房のオリジナル番組も放送してたようだし
コネクションは他に比べて強いはずなので頑張って欲しいところ。



東映チャンネルのこの枠来月も傑作推理劇場から2作品放送される。
昔、再放送で見たことがあるやつだが内容をすっかり忘れているので今から楽しみです。