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展覧会レポート昭和のドラマ昔の土曜ワイド劇場懐かし邦画

昭和の日本映画

        

「白い悪魔」 (1958年) @シネマヴェーラ渋谷 

category - 昭和の日本映画
2018/ 05/ 25
                 
シネマヴェーラ渋谷で森雅之が出演している「白い悪魔」と「挽歌」という映画を見てきました。



シネマヴェーラ渋谷



”キネマ洋装店”コラボ企画『美しい女優・美しい衣装』ということで
5月19日(土)から6月15日(金)まで1950~60年代の作品が上映されています。
私が行ったのは初日の5月19日でした。



シネマヴェーラ渋谷は二本立て入れ替えなしですが、
この日は特別上映『街頭』が11時からあり
こちらは入れ替え制で1本立てとなっていました。



私は通常上映の12:45~「白い悪魔」、14:35~「挽歌」の二つだけを見た。
ふたつとも森雅之が出ていて、どちらも原田康子原作の映画化だった。




「白い悪魔」(1958年/日活)は、
森雅之演じる牟田口克介がかつて思いを寄せていた女性の
娘・白戸朝子(野添ひとみ)を養女に迎えたことから話が始まる。


牟田口とその女性は相思相愛でありながらも牟田口が煮え切らないことから
別の男性と結婚し朝子が生まれた。
ところが夫婦は娘を残して死んでしまい朝子は祖父の白戸宗太郎(清水将夫)と
牧場で暮らしていた。


牟田口が久しぶりに友人・木谷(大森義雄)と宗太郎たちのところを訪れたあとまもなく宗太郎は
朝子を育てて欲しいという遺書を残して病死してしまうというもの。


洋装店を経営している牟田口の暮らし向きはよく
朝子は質素な牧場生活から華美な装飾を施す牟田口邸で
お嬢様のような暮らしへと環境が一変した。


牧場でのびやかに育てられた朝子はすぐに牟田口になつき、
血のつながらない親子関係は良好に見えた。


朝子は牟田口家に亡き母の肖像画が飾られていることから、
かつて牟田口が母に思いを寄せていたことがわかる。



一緒に暮らしているうちに二人の間には父と娘ではなく
異性としてへの思いが芽生え始める。
中でも若い朝子の牟田口への態度はあからさまで、
牟田口だけでなく周囲のものも父としてではなく、
男として牟田口を慕っているというのがわかるものだった。


独身の牟田口だが父と娘の関係が脅かされる悩みを木谷に相談する。
木谷は牟田口に親子の関係を続けたいならば
牟田口が結婚するしかないという。
そして、牟田口の洋装店に勤める小沢邦子(渡辺美佐子)との仲を取り持った。


クリスマスの日、朝子は二人で過ごそうと部屋の飾りつけをし
料理を作って牟田口の帰りを待っていた。
だが、帰ってきた牟田口は邦子と結婚することを決めたと言い、
これから邦子と木谷が家に来るという。




いつかこういう日が訪れると思いながらも、失意の朝子は家を飛び出すと、
かねてから自分に思いを寄せていた岡本(小林旭)たちと踊り明かし、
自分も岡本と結婚することを決めてしまう。


牟田口と朝子は互いに異性として惚れ合っているのがわかりながらも、
それぞれが愛のない結婚を決断した。
本当にこれで良かったのか?悩む牟田口は初めて惚れた相手と
結婚をする決断を下す。
岡本と旅行に旅立つために船へ乗った朝子に思いを伝えにいく牟田口。



客で溢れる船に乗り込むとひとりでいた朝子をついに見つけ出しプロポーズをする。
朝子は声を出して泣きながらそれを受け入れ、牟田口は朝子を抱きかかえて帰って行く。
戻ってきた岡本はそれを見てあっけにとられる。




森雅之の養女になってからの野添ひとみがすごく魅力的だ。
大きな瞳で華奢な肉体を包むワンピースが素敵。
白黒映画なんだけど、抜群のスタイルでの着こなしっぷりが充分に伝わってくるのだ。


彼女が養父への恋愛感情を隠すこともなくぶつけてくる姿も実に健気でいて大胆。
洋装の勉強のために朝子がひとりで東京へ勉強しにいくことになり
一時同居生活が解消されるのだが、仕事で東京を訪れた牟田口と会うシーンがある。



二人は遊び歩いた後にホテルの同じ部屋に泊まるのだが、歌を歌いながら
天真爛漫そうに洋服を脱いでバスを使う。
その姿をうっかり鏡越しに見てしまった牟田口はもだえ苦しむ。


そして、ホテルのボーイに協力させ仕事で突然出かけなくてはならなくなったと
一芝居打ってその夜、朝子と同じ部屋で休むことから逃げた。


牟田口を養父としてでなくひとりの男として愛してしまった朝子が、
その思いを隠すどころかどんどん大胆にさらけ出していく。
それがまっすぐなだけに、なんとか成就させてやりたいと思った。
最後はハッピーエンドで良い映画でした。


共演は岡田眞澄、稲垣美穂子、草薙幸二郎、下元勉、松下達夫ら。
岡田眞澄、稲垣美穂子、草薙幸二郎はどこに出ていたかわかりませんでした。
下元勉、松下達夫はかろうじてわかった感じ。
さすがに皆さん若い。








シネマヴェーラ渋谷

館内に展示されている映画ポスター。


渡哲也、松原智恵子出演の「燃える大陸」と、
川口浩主演の「セクシー・サイン 好き好き好き」も
今回のコラボで上映予定されている作品です。




シネマヴェーラ渋谷



ひとつの記事に「挽歌」も書こうと思ったのだが長くなってきたので別エントリーで。



                         
                                  
        

「ボロ家の春秋」 (1958年) @神保町シアター

category - 昭和の日本映画
2018/ 05/ 14
                 
神保町シアターで『ボロ家の春秋』 (1958年/松竹)を見てきました。



タイトルと映画チラシが凄まじく、「いったいどんな映画なんだろう?」と
興味を持ち足を運ぶ気になったんです。



ボロ家の春秋


梅崎春生の直木賞受賞作「ボロ家の春秋」の映画化だそうです。





ボロ家の春秋 (講談社文芸文庫)



梅崎春生という作家の存在もそんな映画があることも
今回はじめて知りました。



出演しているのは中井貴恵と中井貴一のお父さん佐田啓二です。
以前他の記事でもちらっと書いたと思いますが、
中井貴一は目がキツくて苦手な顔だけど
佐田啓二はかなりの二枚目で見とれてしまいます。




そんな佐田啓二の相手役が有馬稲子。
自分の中では”地味なおばさん”という印象しかないんですが、
若い頃の彼女はチャキチャキした現代美人。


今回はブラウスと長めのスカートを一張羅として着てました。


どちらも地味な色とシンプルなデザインなんですが
不思議なことにブラウスの胸元が大きめに開いていて
それを大きな安全ピン(風?)のもので止めていて
嫌でも谷間に目が行くようにしむけているあざとさがなんとも言えない。
かなりグラマーなのか、やたらと胸が強調されています。



さて、映画のあらすじはというと・・・



しがないバイオリン弾きの五味(佐田啓二)は電車の中で
スリの被害にあった不破(多々良純)を助けた。



不破はその礼に五味を飲みに連れていくが、
酔っぱらって自分の話しを一方的にしただけで、
最後は酔いつぶれたふりをして勘定は五味に払わせる。


五味はそんな不破を自宅まで送るが
その車代も負担させられるというお人よしぶり。


タヌキじじい不破は飲み代車代を支払わせたことを
悪いと思う素振りもみせず帰りたがる五味を強引に
自分のボロ家に泊まらせた。



不破は一間しかない自分の家に入ると、
中には子供たちと古女房(三好栄子)がいた。
家を持っているとはいえ貧乏所帯に客が来たことで
カミさんの機嫌はすこぶる悪い。




五味が家を探していることを知った不破は
権利金四万円でこの家の一室を貸すことにした。
金が入ってくるとわかったカミさんは五味に対する態度を一変させるというわかりやすさ。



五味は恋人のナミちゃん(有馬稲子)からヴァイオリンをカタにして
四万円を借りる。
五味に金を貸したナミちゃんは学校の事務の仕事をしているが、
給料の遅延が発生していて金に余裕がある身ではない。




権利金を手にした五味はさっそくボロ家に引っ越す。
そこにはすでに間借り人の団長(日守新一)と妻がいた。
五味から金を手に入れた不破は選挙絡みの事情から
地方に出張に行くと理由をつけて家族を残してボロ家から出ていった。



その後、ナミちゃんの学校で教師をしている野呂旅人(三井弘次)が
不破からこの家を買う約束をしたといい引っ越してきた。
五味と野呂がこの家の権利を巡って対立するなか、
今度は中華料理屋をやっている中国人チン(益田キートン)がやってきて、
権利の話しがどんどんややこしくなっていく・・・。



不破はチンから金を借りて返していなかったのだ。




チンが経営している料理店へ招かれ酔っぱらった五味と野呂は、
チンから怪しい書類を差し出され拇印を押すように言われた。
ナミちゃんはいぶかる二人の手を取ると強引に拇印を押させた。
それにより五味と野呂はチンに部屋代の二千円を支払わざるを得なくなってしまう。


ボロ家を巡りすったもんだの騒ぎが展開される中、
今度はナミちゃんの校長の2号(小山明子)がボロ家に乗り込んできた。




こうして今にも壊れそうなおんぼろ邸宅を巡り
家主である不破のカミさん、五味らが騒動を繰り広げる。



話が進んでいくにつれあやしさ全開の不破の詐欺師っぷりが浮き彫りになってくる。
五味とナミちゃん、チンの子分(桂小金治)はそれぞれ地方にいる不破を追いかけていくのだが、
不破は別の詐欺容疑でその場で警察に逮捕されてしまう。



結局、騒動の元となったボロ家だがすでに家も土地も都に権利が移っていた。
都の職員は老朽化を理由にこの家を取り壊すと言い、五味ら間借り人だけでなく、
家主だと思っていた不破のカミさんにも立ち退きを要求してきた。


五味たちはボロ家が都の持ち物だとは知らず、
ペテン師不破にいいように振り回されていただけだった。



この大騒動の最中、五味の恋人だったナミちゃんは野呂に乗り換えていた。
しかし、最後に来て野呂は校長の元2号と結婚することを決意し
ボロ家から引っ越していった。


残されたナミちゃんは、五味と別れて今度は貧乏じゃない男を捕まえようとするが、
それまではまだ五味と一緒にいるといいヨリを戻す。





はじめは電車の中でスリの被害にあう間抜けな中年男かと思われた多々良純だが、
ところがどっこい見事な詐欺師っぷりで周囲の人間を混乱に陥れる。


そんな多々良純に引っかかり、恋人有馬稲子からキスの度に
金を要求される情けない男を佐田啓二が演じている。
しかも、有馬の学校にいた三井弘次から虫下し入りのチョコレートをもらい、
食事中に腹を下して肛門を気遣いながらトイレへ行くという無様さ。


佐田啓二というと二枚目俳優の正統派というイメージしかなかったので、
こういう役柄は意外で新鮮に感じた。



また、以前書いた「カルメン純情す」にも出演していた三好栄子が
今回はおんぼろ屋敷のカミさんを演じているのだが、
貧乏暮らしで所帯やつれしていてボロ屋敷に溶け込んでいる。


勝手に広間でヴァイオリン教室を開いた五味に文句を言った時、
ブラウスを脱ぎ去って下着を見せるという誰得???な展開もあった。





ボロ家の春秋 神保町シアター


私が見に行った日は、かなり激しい雨が降っていた日でした。



4月からの暑さが嘘のようで肌寒さが戻ってきていた。
正直行こうかどうしようかな?と迷いながらも行って良かった。



ただこの日の映画は12時からの上映だったので
お昼は10:30から開いているサイゼリヤになってしまったことがチト残念。
やはり11時以降から営業を始めるお店がおおいですからね。




本当は新たに見つけた店でランチしたかったのだが
開店までまだ時間があり入ることが出来なかった。
こちらは今後機会があったときに入ってみようと考えている。





                         
                                  
        

「淑女は何を忘れたか」 (1937年)  映画監督小津安二郎「をんな」たちのいる情景@神保町シアター

category - 昭和の日本映画
2018/ 05/ 03
                 
『淑女は何を忘れたか』 (1937年=昭和12年/松竹)という古い映画を
神保町シアターで見てきました。


この映画を見るのは二回目なのですが、
初めて見た場所も神保町シアターでした。



神保町シアター 映画監督小津安二郎「をんな」たちのいる情景




前回見に行ったのが2014年のクリスマスの夕方。
あの時は、桑野通子と桑野みゆき親娘の特集でした。


神保町シアター 


壁に貼られたこれまでのチラシの数々。
下の左端が初回に見に行った時のものです。



その時に書いたブログ記事⇒■「淑女は何を忘れたか」 (2014年版)



そして、今回のテーマはこちら。


神保町シアター 映画監督小津安二郎「をんな」たちのいる情景

作品の監督と脚本(ゼームス・槙名義)をつとめた
小津安二郎の特集ですね。


今回はサイレント映画も2本あり、そのうちのひとつで
岡田嘉子と江川宇礼雄、田中絹代が出ている
「東京の女」も見たかったのですが残念ながら行けず・・・。


サイレント映画は全てピアノの生伴奏付きとなっています。
前に海外のサイレント映画をピアノ生伴奏で見たときにとても良かったこと、
岡田嘉子と江川宇礼雄が共演していることにも惹かれていたので、
またどこかで上映されるようならば今度こそは絶対に行こうと思っています。



それでは「淑女は何を忘れたか」のあらすじです。
前回書いたものをベースに手を加えてみました。





神保町シアター 淑女は何を忘れたか





大学教授のドクトル(斎藤達雄)は、妻(栗島すみ子)の尻に敷かれており
頭が上がらない生活をしている。


そこへ大阪から姪の節子(桑野通子)が泊りに来た。


節子はまさに関西の現代っ子で、思った事をそのまま言うし
お酒もタバコもやり車も乗りこなす。




土曜日の昼いつも通りにゴルフへ行かなかったドクトルを
妻は強引へゴルフへ行かせ自分は友人(吉川満子)たちと芝居見物へ行く。



この日、どうしてもゴルフへ行く気が起きなかったドクトルは
ゴルフへ行くふりをして、助手の岡田(佐野周二)の家へ行くと
事情を説明しゴルフ道具を預ける。


そして、馴染みのショットバーへ向かった。
一緒にゴルフへ行く予定の友人・牛込の重役(坂本武)に
現地から妻宛の葉書を投函してほしいと依頼し葉書を渡す。



そこへ節子が現れてなぜ自分がここにいるとわかったのか
ドクトルはビックリする。
節子はそんなドクトルに芸者遊びがしたいとせがんだ。





芸者に囲まれ酒も入った節子は
すっかり上機嫌で倒れる程に飲んでしまう。
節子に家に帰るように言うが彼女はまだ遊ぶ気で帰らない。
ゴルフへ行ったことになっているドクトルは自分が送っていくことも出来ず、
岡田を呼び出してタクシーで節子を自宅へ送り届けるように頼んだ。




深夜1時頃、タクシーで帰宅した節子を出迎えたお手伝いは
タクシーに岡田も同乗していたことを知り妻にそれを告げる。




当然嫁入り前の若い娘が酒を呑んで深夜男に送られて帰宅したことを
彼女が快く思うはずがない。


酔って帰ってきた節子に説教しようとするが、全く聞く耳をもたない。
岡田が節子を酔わせて深夜帰宅させたと勘違いした妻は、
岡田にも厳しい態度を取り始めた。



翌日はざんざん降りの大雨。


ゴルフへ行ったふりをして岡田の家へ泊まったドクトルだが
友人に依頼した妻あての葉書には
晴れていてゴルフ日和だと書いてしまったのだ。



友人は内容から雨が降っていたら
投函しないなどという気がきいた男ではないため
岡田からそばの七輪で焼いたばかりの
目刺しをもらって食事をしながらも
妻にゴルフ場へ行ってない事がばれるとヒヤヒヤしている。


しかも、その友人の妻(飯田蝶子)は、妻の友人でもあった。
おかしなことがあればすぐにバレてしまう。



ゴルフへ行っていたフリをする小宮が帰宅すると
妻は節子が酒を飲んで深夜に帰宅した事を告げ
ドクトルは妻の前で形ばかりの説教を節子にする。


そして、妻がいなくなった隙にドクトルは節子に
明日辺りゴルフ場から投函した妻宛の葉書が届くはずだから
彼女の手に渡る前にとってほしいとお願いする。



しかし、翌日節子より素早く葉書を取り上げた妻は
一緒にゴルフへ行った牛込の重役が
現地が大雨で風邪をひいてしまったことを友人から聞かされた。


ドクトルは葉書に晴れていると書いていたが、
これによりドクトルがゴルフへは出かけてないことを見破ってしまう。


帰宅した妻はドクトルを責め立てるが
節子が機転を利かし、妻を部屋から出ていかせると
その隙にふたりで家から逃げ出してしまう。


節子からドクトルの妻に対する態度の弱さを
非難され、帰宅したドクトルは妻の頬を叩いてしまう。




その後しゅんとしている妻に、節子が状況を説明し
自分の行動について謝罪する。
ゴルフへ行くはずだった日、節子はドクトルと一緒に居て
ドクトルは岡田の家へ泊ったことも話した。


節子はそうして誤解の溶けたおばがおじに謝りに行く事を望んだわけだが
それより先にドクトルは妻へ手を挙げたことを詫びてしまう。


妻も自分の行動を詫びるが、はじめに彼女からドクトルへ詫びさせたかった節子は
おじにその事を言うと「せっちゃんにはまだわからないんだろうな」と
その考えを否定された。




おじは節子に、子供を叱る時怒るよりも褒めた方がいいことを例に出し
妻にはなをもたせる逆手のパターンについて説明した。


若く未婚の節子にはわからなかった夫婦だからこそのやりとり。
夫の上手い妻の操縦法だ。


節子はそういう手があったのかと感心する。




いよいよ節子が大阪へ帰る日。



妻はいつもの友人ふたり(飯田、吉川)と一緒に居て
夫から平手打ちされたことを心なしか嬉しそうに報告していた。


これまで妻がキャンキャン言っても表立っては抗わなかった夫が
初めて見せた男としての毅然とした態度。
妻は近くにあった派手なネクタイを取ると
うちの夫にどうかと友人らに意見を聞く。



一方、節子は岡田とお茶を飲んでいた。
これまでのことを話しドクトルから聞かされた逆手について触れ、
これからするであろう結婚生活についてあれこれと話した。



岡田は次はいつ東京に来るのか節子に尋ねた。
次に会った時はふたりの関係に変化が訪れるのだろうか?



嵐が過ぎ去ったように節子がいなくなったドクトルの家では
夫婦の関係が以前よりもグッと和らいで近くなったようだ。
夜が遅くなっても妻はまだ休む気にはならないようだ。
そして、ドクトルにコーヒーをすすめた。



妻は部屋を出ていくとお手伝いに今日はもういいといい、
自らふたりのコーヒーを用意して盆で運んできた。



夜も更け夫婦二人きりの時間、部屋の明かりがどんどん消されていく――。








あの頃映画 松竹DVDコレクション 「淑女は何を忘れたか」




こちらの作品はDVD化もされています。

しかし、私は映画館で見るあの雰囲気がたまらなく好きなので、
上映スケジュールを見て再び映画館へ足を運んでしまいました。



栗島すみ子のキンキンと夫や姪に説教する麹町の夫人が、
夫に一発頬にバチンとくらわされたことにより
女として夫を見るという態度の変化が面白い。


また妻に何を言われてものらりくらりとしていて
やられっぱなしに見えたドクトル斎藤達雄もいい。
顔立ちは整ってインテリそうなんだが
線が細くて男男しておらずどこか頼りなさげ。


そんなドクトルが姪の前で妻にガツンとやる。
これまで節子は叔母に何かと説教されていて、
自分だけでなく夫も自分のいいなりにさせようとしていたのを見て
叔母に対してモヤモヤした感情を抱いていた。
ドクトルの”ガツン”はそんな彼女の留飲を一度は下げる。


一方妻には彼女が詫びてくる前にドクトルは優しい声で謝ってしまうという。
ガツンの後だけにその優しい態度もこれまでとは一味も二味も違って見える。



この映画なんといっても一番魅力的なのは大阪の姪を演じた桑野道子。
栗島すみ子、吉川満子、飯田蝶子が和装なのに対して、
独身の若い娘・桑野道子は洋装。


スラリとした肢体に品の良い洋服を着ていて
モダンな雰囲気とセンスの良さが光っていてとても魅力的!


彼女が叔父の窮地を救い出し二人で家を抜け出して
通りを話ながら歩く場面、桑野道子と斎藤達雄のツーショットが
洗練されていて都会的ですごく絵になってました。



身のこなしもとても粋で洒落ているんですよね。



佐野周二も若くて目に力があると感じました。
最後のせっちゃんとの関係も、次来た時にはどうなるんだろう?
とあれこれ想像させてくれ続編が見たくなりました。



佐野周二はドクトル先生・斎藤達雄との下宿先でのやりとりが面白かった。
窓の外でザーザー振り続ける雨に頭を悩ませる斎藤達雄と、
淡々と七輪でめざしを焼いてはさらに振り分ける佐野周二。



おんな二人の勢いの良さに比べると、おとこ二人はそれを受け止めるように
ゆったりとしていて・・・
その対比がとても良かった。



今回は2度目とあって前よりも多く印象に残ったことがあった。


音声にノイズが結構入っていた。
麹町にあるドクトルの家はかなりモダンな作りで広いなど。




小津作品は眠くなるものも少なくはないが、こちらは都会的でリズム感があり
コメディ的要素もあることから、あっという間に終わりが来た感じ。



またどこかで上映するなら、三回目も見に行きそうだ。




                         
                                  
        

映画「日本一の色男」 (1963年 東宝) 理想が現実になる潜在意識を使った成功物語

category - 昭和の日本映画
2018/ 01/ 04
                 
この映画の事は、前にもちょろっと書いたことがありますが・・・。


何年か前に、偶然ツタヤでレンタルをしてから
その後日本映画専門チャンネルにて放送され
以来、数えきれない位見続けている
植木等主演の「日本一の色男」という映画。


日本一の色男 植木等


主人公は光等(植木等)というやたらにポジティブで調子がいい
なぜか女たちから異常にモテる男。




光等は女子学園の卒業式で、ほたるのひかりを演奏していたところ
ハメを外しすぎて学校をクビになってしまう。
この頃から、女子学生たちには圧倒的な人気を誇っていて
嬉しそうに学校を去る光等を「行かないで~!」と、学生たちが追いかけてくる。

日本一の色男




無職となった光等は偶然通りかかったローズ化粧品の入り口の長い列に目をつけた。




日本一の色男


女子営業部員の面接が行われることを知ると、得意の弁舌を使って
面接に来た女性たちにローズ化粧品を大量に売りつけて
その実績を持ってローズ化粧品のセールスマンとなってしまう。


ここから光等のローズ化粧品での輝かしい活躍がスタート。


会社のナンバー1セールスレディ、金山丸子(団令子)が
落とせなかったおこぼれの中の一人、権田原(ハナ肇)夫人で
男勝りの政治家・権田原コチ(京塚昌子)から売り上げを得る。


日本一の色男

売り上げ一位の丸子の車に強引に乗り込むと
図々しくおこぼれをくれとおねだり。
成功するか否かで今日の晩飯を賭ける。


日本一の色男

権田原コチ宅に乗り込み見事五万円の売り上げ獲得に成功する。



その後は、敵対する化粧品会社チェリー堂のPRに起用されていて
権田原の愛人で新橋の芸者・雪桜(草笛光子)も口説き落とし
ローズ化粧品に寝返らせただけでなく、雪桜は男性としての
光等に入れあげてしまう。


日本一の色男



光等の圧倒的な営業成績は社内の評価だけにとどまらず
記者(犬塚弘)が取材に来るほど。



その後は、会社社長・高取(由利徹)の愛人たち
クラブママ・春子(白川由美)、ナオミ(浜美枝)も虜にしてしまっただけでなく
高取本人にもうまく取り入って、新しく出来るビルに一大チャームスクールを
作ることを了承させた。


日本一の色男

春子の店へも乗り込み、ホステスたちにローズ化粧品を売り
ここでも大きな売り上げをゲット。



日本一の色男

高取社長の若い愛人・ナオミのハートも盗み
高取も口説き落としてしまう。




チェリー堂しか使っていなかった日暮道江(淡路恵子)までもを
チャームスクールに引き込み、そこでローズ化粧品を使わせようという
計画を立て有言実行し見事契約を勝ち取る。



そうなのだ、高取社長でもわかるとおり光等は女性だけでなく
家賃を滞納しているにもかかわらずボロアパートの管理人(桜井センリ)からも
家賃の取り立てを逃れてしまうのである。


大金を稼ぐ光等がなぜ家賃を滞納するのか?



彼のケチぶりには実は深いわけがあった。



光等には愛する恋人がいるのだが、結婚前に頭の中におできができるという
病気にかかりアメリカで治療中だったのだ。
それを工面するために光等はボロアパートに住みながら
彼女が無事に帰国するのを待ち続けていたのだ。



その間、金は大いに溜まり、多くの女たちのハートも盗んでしまった。
等は丸子たちを集めると、自分には婚約者がいると告白して
追いかけてくる彼女たちから逃げるようにして空港へ恋人を迎えに行く。


日本一の色男



現れた恋人は執刀医のアメリカ人医師と一緒で
二人はアメリカで結婚式を挙げ、日本へは新婚旅行で来たというのだ。



早い話モテ男光等は婚約者からフラれてしまった。
内心は涙の等だが、調子よく二人を祝福しアパートへ帰る。


本命が姿を消しチャンスと見た、丸子たちは等を追いかける。




最後こそ本命に振られるというせつないオチがついたが
光等は自分の心の中の映写機のフィルムに成功を入れ
それを外部の現実に映し出しているように見えた。



自分の理想が本当で、現実は後からついてくる。
無意識レベルで自分を信じて強気で行動を続ける主人公は
映画の上での作られた人物とはいえとても参考になる部分が多い。



普通に娯楽映画(喜劇)としても楽しめるが
私はこんな視点を持って観ていたので
実際にこういう事ってあるよなぁと思いながら
参考にして楽しんでいます。



特に何かを真剣に見るつもりはないのだが、音が欲しいときなど
まっさきにわが家のテレビ上映する作品の候補にあがるのが
「日本一の色男」だ。



ただ、流しておくだけでも豊かで前向きな気持ちになれるので
大好きな映画のひとつである。



また女性陣も魅力的。


セールスNo.1のチャキチャキ娘・団令子、

大人の色気雪桜お姉さま・草笛光子

オードリー・ヘプバーンを思い出させる
コケティッシュな魅力の・浜美枝


デラックス美人なクラブママ・白川由美

知的美人・淡路恵子


それに加えて、子供の時は見分けがつかなかった
植木等と由利徹のやり取りも面白かった。




                         
                                  
        

「女が階段を上る時」 (1960年 東宝) 高峰秀子の夜の銀座を舞台にしたスタイリッシュな映画

category - 昭和の日本映画
2017/ 06/ 27
                 
「女が階段を上る時」という1960年の東宝映画を見ました。
主演は高峰秀子で衣装も彼女が担当しています。



女が階段を上る時


ちょうどこれを見る前にBSフジで仲代達矢のドキュメンタリーをやっていて
菊島隆三や先輩女優高峰秀子や原節子の話題もあって
共演している映画を見たいなと思っていたところでした。


脚本は菊島隆三、監督は成瀬巳喜男で音楽は黛敏郎でした。
この音楽がまた銀座の女を描く映画にピッタリでした。

オープニングの映像もこれまた味があってシャレた雰囲気だった。


女が階段を上る時・・・
毎回上る時は嫌な気持ちになるが、上ったあとは今日の風が吹く。





矢代圭子は夫を亡くして、今は銀座で雇われママをしている。
圭子は身持ちがかたくて、そういうママ目当てで来ている客もいる。
オーナーから売り上げのことでうるさくいわれても
圭子は性格的に、今晩店に来てという営業の電話も掛けるのが嫌な性格だった。
オーナーは常連客だった美濃部(小沢栄太郎)の足が遠のいているのが原因だと言う。
美濃部は店から独立していった女が始めた新しい店へ、足しげく通っているらしい。


女が階段を上る時


マネージャーの小松からももっと営業活動に力を入れるように言われるが
圭子は自分の気持ちを変えることはしたくない。





店のみゆきが松井(藤木悠)と結婚することになり
みんなでお店に集まってお祝いした。

団令子

純子(団令子)は結婚よりも銀座で生きていく事を決めているようだ。


愛する人に連れられ銀座を去っていくみゆき。





圭子ももともとは幸せな奥さんだった。
銀座の雇われママは性に合ってないように思える。
今でも死んだ夫の話しはよくしている。
まだ圭子の中では、夫を超える存在は現れていない。




久しぶりに美濃部がやってきた。


女が階段を上る時 高峰秀子

圭子の元で働いていたユリ(淡路恵子)の店が繁盛してるとのことなので
美濃部に連れていってもらった。



小沢栄太郎

いつみてもおじさんな小沢栄太郎。
もっと若い時はどんなだったんだろう。




淡路恵子

一見、経営がうまくいってるようにみえたユリだったが、実はそうではなくて
最後の方では、自殺未遂で借金取りから逃れるつもりが、そのまま死んでしまった。



女が階段を上る時

ユリの母親役の(沢村貞子)。
ユリの葬儀の日まで無情にも借金の取り立てが来て
母親が泣きながら撃退しようとするが。


女が階段を上る時

女ひとり悩みも多い。
怪しい女占い師(千石規子)に占ってもらうこともある。


女が階段を上る時

圭子はひとり暮らしをしているが、実家には母(賀原夏子)と
兄と障害をかかえた兄の子どもがいる。

兄は経済力がなく、妻にも逃げられて
自分の弁護士費用なんかを圭子に工面させている。

店の経営で頭を悩ますだけでなく、こうやって
実家の面倒までみなければならずキツイ立場に置かれていた。


女が階段を上る時

圭子の母親役の賀原夏子。
この人もいつみても誰かのおかあさんとかおばあさん役。
娘時代はどんなだったのか。

女が階段を上る時

いつみてもおばさんといえば、菅井きんも出演していました。


女が階段を上る時

闇屋をやっている役では多々良純も。


女が階段を上る時

圭子の店の客郷田(中村鴈治郎)は圭子の面倒も見ようとするが。
中村玉緒の父、中村鴈治郎も出ているが
娘の玉緒に顔がソックリ。


銀座のママに徹せられず、客あしらいもうまくない圭子。
店には自分を慕ってくれ厳しいことも言ってくれる同士のような
小松もいるが経営の事やら何やらで頭がいっぱい。
そこへもってきて実家には母と兄と甥が自分の仕送りを待っている。


普通の主婦だった圭子は、だんだん疲労がたまって
実家で療養をしてしまう。


そんな時に、客の関根(加東大介)は実家まで見舞いに来たり
圭子に銀座のママは合ってないから結婚をした方がいいと
親身にアドバイスをしてくれる。

圭子の家へ兄がやって来た。
息子の手術費用について圭子に工面を頼みに来たのだ。
圭子は泣きたくなってきた。
でも、自分が用意するしかないのだ。



女が階段を上る時


そこへ関根が訪問してきた。
ついに関根は圭子にプロポーズをする。
心身共に疲れていた圭子は関根に泣いて縋りついた。
工場を経営している関根は見た目こそいい男ではないが
その真面目な思いが伝わってくるようだった。



ところが、関根には妻がいた。
圭子は女房に会うがその貧しい身なりから経済状態も伺われる。
女房は圭子に関根は外見とは違い女たらしでいつもうまいことをいい
見栄っ張りなのだと教えてくれた。



女が階段を上る時

関根に裏切られて傷ついた圭子は
銀行支店長をしている客の藤崎(森雅之)と飲んでいて
荒れた精神状態からベロンベロンに酔ってしまう。


正体がなくなった高峰秀子はかわいらしい。




圭子を自宅に送り届けた藤崎は、圭子に迫り
あれほど身持ちが堅かった圭子だったが
藤崎と1夜をともにしてしまった。


しかし、それもつかの間。
藤崎は転勤が決まり別れのあいさつに来ただけだったのだ。


仲代達矢

小松は店に純子がいたときに割り切った関係を持っていたが
実はずーっと圭子のことが好きだった。



圭子がとうとう藤崎と肉体関係を持ってしまって怒りが湧いてきた。


小松は圭子が亡夫のことを話せるのはなんとも思わなくても
今存在している妻子持ちの藤崎との関係は許せなかった。



そして、これまで言葉にはしてなかった自分が圭子を好きなのだということを
はっきりと伝えて、圭子にプロポーズした。

だが、圭子は身内同士でうまくやっていけるわけがないと
小松のプロポーズを断ってしまう。

傷心の小松は圭子の店を辞め
純子の店へ自分を雇ってくれないかと訪ねていった。



女が階段を上る時

あれほど、この階段を上るのを嫌がっていた圭子だったが
これまでと変わることなくいつもの通り階段を上って
銀座での1日が始まるのである。



1960年頃の銀座

この頃の銀座の風景。
昔の映画やドラマを見ると、高い建物が少なくて
歩道も整備されていなくて東京都は思えない姿に驚きます。







ちょうどいいタイミングで見れて面白かった。

最後プロポーズを拒否して、銀座の女を選ぶラストには
うーんそれでいいのって感じでしたが。


さて、この後どうなったんでしょうね~。