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展覧会レポート昭和のドラマ昔の土曜ワイド劇場懐かし邦画

昭和の日本映画

        

「怪談せむし男」 (1965年 東映)  西村晃の怪演が光る佐藤肇監督作品

category - 昭和の日本映画
2019/ 07/ 15
                 
なんともグロテスクなタイトルにそそられて見てしまいました。
「せむし男」だけでもホラーっぽい印象を与えるのにさらに「怪談」がついている。


ストーリーはさほど重要ではないので、画像を楽しむような気楽さで読んでもらえれば。
といってもモノクロなのでおどろおどろしさはうまく伝わらないと思いますが。



■ 「怪談せむし男」  
制作年: 1965年
脚本: 高岩肇
音楽: 菊池俊輔
監督: 佐藤肇
制作: 東映
出演: 西村晃、楠侑子、江原真二郎、加藤武、弓恵子、加藤和夫、
葉山葉子、春川ますみ、鈴木光枝、桑原幸子、玉川伊佐男ほか





宗方芳江(楠侑子)は悪夢にうなされていた。
目覚めると電話の音が鳴り響いており電話に出た手伝いから、
輝愛精神病院に入院している夫の信一が死亡したと知らされる。


芳江が見ていた夢はまさに信一が死ぬところだった。


病院へ行くと信一の父で精神科医の圭介(加藤武)と
助手の山下隆(江原真二郎)、看護婦の和子(葉山葉子)がいた。


怪談せむし男




山下は脳をやられている信一が死ぬ間際に何かを言い残そうとしていたという。
圭介は信一の脳の状態からそんなことはあり得ないと一笑に付す。
棺を開けると信一はカッと眼を見開き、花を強く噛みしめている。



怪談せむし男



芳江がそれを取ろうとしてもとることは出来なかった。
圭介は死後硬直が起きているだけだと深くは捕らえない。
この時芳江は、信一は何か大切なことを自分に伝えたがっているのではないかと感じた。





遺体はそのまま火葬され、芳江は火葬場で弁護士の磯部(加藤和夫)から
信一が購入していた山荘の権利証と鍵を渡された。



怪談せむし男



かつて会社経営をしていた信一だが会社は人手に渡り借金だけになり
唯一残された資産がこの別荘だった。
芳江は信一が発狂した場所である、別荘へ行ってみることにした。



霧が立ち込める中、妖気を秘めた別荘を見た芳江は不吉なものを感じる。
扉を開けようとすると招き入れるように自然と開き、中に足を踏み入れると
入ったが最後二度と生きては出さないと言わんばかりに扉は自動的に閉まった。



恐怖で表情を歪ませた芳江の前に、番人である不気味なせむしが姿を現す。


怪談せむし男



信一は事件が起こったとき、ここで女の死骸を抱いていたのだという。
おそらくそれは信一の愛人・三沢ユミコの死体だろう。


家の中にカラスが入り込み芳江を襲ってきた。
せむしはカラスを殺すと林に棄てに行く。
そこには大量のカラスの死骸があった。



別荘に帰ると圭介、山下と和子がやってきた。
圭介は広大な敷地に建つ屋敷に目を向け、芳江と結婚して
療養所を建てる野望があることを明かす。


怪談せむし男



その夜、芳江は絨毯から血が浮き上がり嫌がる女を信一が痛めつけている映像が
壁に映し出されるのを見た。
怯えた芳江が部屋から飛び出すとホールで竜巻のような
強烈な突風を受けて気味の悪い彫刻の前で失神した。
介抱した圭介は、一連の妙な現象は全てせむしの仕業だと決めつける。



怪談せむし男




芳江の案内で圭介たちがカラスの死骸が埋められている林を見に行ったところ
外人を埋葬したと思われる3つの墓を発見。
別荘へ戻ってみると和子が「ジュディ」と呼ぶ男の声を聞き
地下室にある怪しい祭壇にはカラスの死骸が白い花を咥えていた。


芳江にはそれが棺の中の信一の姿と重なった。


これまで芳江が体験してきた恐怖の出来事を神経が敏感になっているだけと
思っていた圭介たちだが、山下が芳江の言い分を信じるようになってきた。





怪談せむし男



圭介たちは食事中のせむしを捕まえて何の魂胆があってこんなことをするのか問い詰めるが
せむしは黙ったまま答えない。
山下が首に掛けていた十字架のペンダントを例の女のものではないかと調べようとすると
せむしは小男とは思えない強い力で激しく抵抗する。



怪談せむし男



たまらず和子が「暴力はやめて!」と仲裁に入ったためせむしは食堂から引き揚げていった。




山下が棺の中で信一が花を咥えて離さなかったのは
「ここへ来るなという警告だったのではないか」と話していると
「お客様が来ました」とせむしが告げに来た。


怪談せむし男



玄関には磯部が信一の愛人だった横田あけみ(春川ますみ)と一緒にいた。
山下の恋人・秋子(弓恵子)のスポーツカーに同乗して来たらしい。


磯部が仲に入ってキッパリと別れていたもののあけみは
受け取っていなかった手切金の残金二百万円を請求しに訪れたのだ。
圭介は財政状況を説明しそんな金はないと要求を突っぱねる。



信一は発病前に遺言を残していて、別荘の権利は圭介と芳江に譲られた。
磯部はあけみの手切金は法的に無効だといい、あとは圭介と芳江次第だという。
土壇場での磯部の裏切りをあけみは激しくなじる。


怪談せむし男



一方、山下は別荘を気味悪がって外にいた秋子のところへ行った。
彼女は父親が山下との結婚を許可しただけでなく
ゆくゆくは病院を任せてもいいと言っていたことを伝える。
圭介の弱みを握っている山下は彼を失脚させ院長の座を手に入れようと野心を燃やした。



二人がくちづけを交わしているところを遠くから山下に思いを寄せる和子が見ていた。
いつの間にか背後にはせむしがいて傷心の和子を見守る。
和子はせむしの案内で井戸へ行くと中から男の声が聞こえた。
「この声が聞こえる限り別荘から出ることは出来ない」と言い残しせむしは消えた。



秋子を伴って別荘に戻った山下は、圭介が中国で生体解剖をしてた事実をあげ
病院を辞め医学界から去るよう脅してきた。
山下は診療に心霊の要素も取り入れようとしていたが
そんなものは信じようとしない圭介とはウマが合わなかった。


怪談せむし男



圭介が科学者としてそれを証明して見ろと山下に詰め寄っていると
目の前のテーブルが動き、奥の部屋から突然男の叫び声が聞こえてきた。
山下がその正体を暴こうと戸を開けようとするがロックされていてびくともしない。


するとシャンデリアが揺れ照明が消えると、目の前に幽霊が現れた。
これには幽霊を信じない圭介もその存在を認めざるを得ない。
幽霊が消えると明かりがつき、廊下から磯部の悲鳴が聞こえてくる。


怪談せむし男



行ってみるとあけみの死体があった。
磯部は怪奇現象に怖くなったあけみと一緒に別荘を出ようとしたが扉が開かない。
すると芳江の時と同じような竜巻があけみに襲い掛かり殺したというのだ。


その後、磯部も殺されてしまう。



秋子はせむしと二人きりになると、知っていることを教えて欲しいと頼むが
話してもどうにもならないことだと聞き出すことは出来なかった。


怪談せむし男



そんな中、玄関で物音がしたため芳江たちが行ってみると
偶然そばを通りかかり屋敷に不穏なものを感じた霊媒師(鈴木光枝)が立っていた。


せむしをひとめ見た霊媒師は
「オマエにはカラスが憑いている。悪魔の遣いだ!!」と正体を暴いた。



怪談せむし男



ひるんだせむしはスルスルとその場から逃げていき、
山下はこの屋敷に憑いている悪霊の正体を教えて欲しいと霊媒師に頼んだ。


さっそく降霊が行われる。


霊媒師は呪文を唱えると床に倒れこみ、起き上がったときには信一の霊が憑依していた。



怪談せむし男



山下が信一と一緒にこの屋敷に来て死亡したユミコの事を尋ねた。


信一はユミコにガソリンを塗り一晩掛けてゆっくりと焼き殺したことを話し始めた。
悪びれる様子もなく愉しみながら話す信一に山下はその時はもう
信一は狂っていたのではないかと問いかけた。
そうでなければ、若い女をむごたらしく殺すことは出来ないはずだ。



怪談せむし男


ところが、信一はそれを真っ向から否定する。



さらに芳江もユミコも二人とも愛していたといい芳江に抱き着いてきた。
入院中に芳江を抱いていた時に、それを圭介がのぞき見していたことを暴くと
圭介には気をつけろと芳江に忠告する。



怪談せむし男



山下が「この屋敷には何か憑りついているのか?」と質問した時
霊媒師は倒れ何か伝えようとするが言葉に出来ないまま喘いでいた。
すると、突然せむしが悲鳴をあげて部屋から出て行き一同はあとを追った。



発狂したせむしの雄たけびがおさまった時、せむしの顔は見知らぬ男に変わっていた。
男はこの屋敷の前の持ち主・富永男爵(西村=二役)だと正体を明かすと
ここに足を踏み入れたものは一人残らず殺すと宣言しその理由を語り始めた。



怪談せむし男




終戦間近、富永は若い白痴(桑原幸子)を手に入れ何もかも捨てて女にのめり込んでいた。
ある日、屋敷に軍人が侵入し富永を地下室に閉じ込めると
目の前で白痴を犯し用が済むと白痴を殺して引き揚げていった。


富永は閉じ込められたまま死んでしまう。


軍人は帰る途中、富永の呪いにより車で林の大木に突っ込み死んでしまう。
せむしは富永の弟で、地下室で死んでいる富永の死体を発見した時
「この呪いを一生背負っていけ」と地獄からの兄の声を聞いた。



信一もおそらく富永の呪いが憑りついてしまったのだろう。
せむしに閉じ込められた圭介たちは必死に脱出を試みて
部屋を出ると地下室にある富永のミイラを発見した。


玄関で物音がしたため行ってみると、
降霊が終わった霊媒師が恐怖におののき屋敷から逃げ出したが
木が降りかかってきて全身血まみれの状態で戻ってきてその場で死亡した。



怪談せむし男



続いて磯部が彫刻のところで富永の悪霊が憑依したせむしに殺される。




せむしの宣言通り屋敷の中で次々と訪れた人が殺されていく。
山下は秋子をひとり部屋に残して屋根裏から脱出できないか探ることにしたが
せむしはいとも簡単に山下と秋子を殺してしまう。



圭介はベッドで重なり合う二人の死体を発見し屋敷から逃げようとした。


怪談せむし男



ところが体当たりしても玄関の扉はびくともしない。
もう外へ出られないと悟った圭介は、芳江に愛人を持つ発狂した亭主に
病室で抱かれていた淫蕩な女だといいながら襲い掛かってきた。



抵抗する芳江は、抱かれながらそばにあったナイフで圭介を刺し殺した。


怪談せむし男



その芳江もせむしから圭介を刺したナイフで殺されてしまう。



次々と殺戮が行われついに残ったのは和子ひとりとなった。
彼女は祭壇のそばで気を失って倒れていた。


起き上がったが意識が朦朧としている様子で正気ではない。



怪談せむし男


このままでは自分に優しく接してくれていた彼女まで死んでしまうと思った
せむしは「帰れ」といい逃がしてやろうとするが、
和子は燭台を持ったままゆっくりと林の中へ歩いていく。



正気を失った和子を必死で止めようとしたせむしだが
彼女は笑みを浮かべながら火に焼かれて死んでいった。


怪談せむし男




せむしの目に初めて涙が浮かぶ。


こうして全員生きて帰ることは出来ないまま、せむしだけがトボトボと屋敷に帰って行った。





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なんとも凄まじい映画だった。


白黒だし古い映画なので、今であれば当然カラーで色彩の豊かさ
映像技術の進歩から映像面で恐ろしさを演出できる分
この時代の映画は劣るはずなのだが
それを超える俳優陣の役作りや演技力が実に素晴らしい。



逆にモノクロだからこそひしひしと伝わってくる怖さというのもあったが。


怪談せむし男



満月を雲が覆い隠していき、霧で囲まれた山荘はまるで幽霊屋敷のような
気味の悪さを感じさせる。


怪談せむし男



特にせむし男を演じた西村晃の狂気が迫力を持って伝わってくる。

不気味なだけでなくどこか自分の呪われた運命を悲観するような哀しい表情も持ち合わせ
キョーレツなキャラクターになっていた。


怪談せむし男



ところが、兄の富永男爵が顔を出すと悪意に満ちた殺人鬼へと豹変し凄みをきかせる。
インパクト大です。



冒頭のカラスの死骸を持つ場面はおぞましい。

怪談せむし男


子供の頃に見ていたらトラウマで夜眠れなくなりそうな恐ろしさだ。


西村晃の怪優っぷりもすごかったが、霊媒師を演じた鈴木光枝にも驚かされた。


地味で大人しいおばあちゃんの印象が一変した。



屋敷に漂う妖気を感じて思わず足が向いてしまったということだが
来た時にはただの男っぽい霊媒師だったのに

怪談せむし男



発狂した男を降霊させると狂った表情に変わりコワイ。


怪談せむし男


まさか原泉を上回るようなイカレっぷりを披露してくれるとは。
ヨダレが垂れてきそうなほどの常軌を逸した表情。


言葉では表現しきれない位の怪演でした。

二人の存在感がデカく、これを見れただけでも見た甲斐がある。



さらに終盤、弓恵子って意外とグラマーなんだと思っていると
せむしが部屋に隠れていた彼女を襲い服を引きちぎるとベッドに押し倒す。


怪談せむし男


さすがにこの時代なのでブラジャーまでで胸はさらしてはいませんが
下着から胸がはみ出さんばかりに抵抗し、結局はせむしに首を絞められて殺されてしまうという
エロの要素も盛り込まれていました。



江原真二郎は屋根裏で服を着たまま絞殺されたのに
なぜか加藤武が発見した時には二人は半裸のような状態で
ベッドで死んでいたというエロティック(?)な演出がされていた。



終盤、訪問客が次々と殺されてしまうがせむしをかばった
心根の優しい看護婦の和子だけはもしかしたら助かるかもと考えていた。
せむしが彼女とは徐々に心を通わせていったことで
仏心を出して助けてやろうとするが結局は焼け死んでしまうという救いのなさ。




さて、この映画で宗方圭介役を加藤武がやっているのですが
東映チャンネルのホームページでは北村和夫になっていました。


いくら古い映画で私がおっちょこちょいなところがあるとはいえ、
さすがに顔が似てもいない加藤武と北村和夫を見間違えるわけがなく
あらためて映画を見てみると

怪談せむし男


ホラね


加藤武の名前はあるけど、北村和夫の名前はない。
もしかして圭介役、はじめは北村和夫がやる予定だったんですかね?



東映チャンネルでは真一となっていたがどうやら信一っぽい。
(まぁどちらでもいいが)


こちら、どうやらDVD化されていないようで
こんな激レアな作品が観れ東映チャンネルには感謝です。


時間がないのでなかなか記事を書けませんが
東映チャンネル、日本映画専門チャンネルは古い映画やドラマを放送してくれるので
自分にとっては貴重なチャンネルです。


少し時間に余裕が出てきたら、このあたりの映画やドラマの記事も書いていきたいです。






            
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「黒の切り札」 (1964年) ラピュタ阿佐ヶ谷 大映の”黒シリーズ”第10作

category - 昭和の日本映画
2018/ 07/ 03
                 
先日、ラピュタ阿佐ヶ谷で1960年初期に大映で制作された
『黒シリーズ』 の10作品目 「黒の切り札」 を見てきました。

6月も最終日の午前、とても暑い日だった。




ラピュタ阿佐ヶ谷



ラピュタではこの日まで、映画監督・岡本喜八の特集も行われていました。
最終日の12時50分の回は、「殺人狂時代」(1967年)の上映後に
主演の仲代達矢を迎えてのトークショーが行われるとあって
「殺人狂時代」のみ早々と完売になっていました。



ラピュタ阿佐ヶ谷


どうやら遠くから「殺人狂時代」を見に映画館を訪れたお客さんもいたようですが、
9:30位の時点ですでに完売とあってチケット購入できず無念そうでした・・・。
ちょっと気の毒だが、仲代達矢が来場するとあっては早い段階でチケットが完売するというのは
ある程度予想ができるところなので仕方がないですね。





さて、『黒シリーズ』ですが、私はラピュタのチラシを見て初めてその存在を知りました。


11作品作られたようで、ラインナップを見ると
主演は田宮二郎と宇津井健の二人がほとんどを占めています。


今回見た「黒の切り札」は、その田宮と宇津井二人が競演しています。



黒の切り札


根来(田宮二郎)は将来弁護士か検事になろうと大学で法律を学んでいた。
大学では大崎稔(宇津井健)という友人がいて、
根来はサックス、大崎はピアノでバンドを組んでいた。
二人は、知子(藤由紀子)という一人の女性をめぐってライバル同士でもあった。


知子は根来に心が傾いていて、音楽と学業でも根来は大崎を上回っていた。
長身でハンサムな根来は順調に人生を歩んでいたかに見えたが、
深沢義則(内田朝雄)という男が根来一家のもとに現れてから歯車が狂いだす。



根来の母は深沢と不倫関係に陥ったのちに自殺、
父は深沢に財産を奪われた上に廃人同様になり脳病院に入院中となってしまう。


法を学んでいた根来は、それをもって深沢に戦いを挑んでいくが、
力のある弁護士を雇った深沢に対し太刀打ちできないまま敗れ去る。
この時、法律が完全でないことを痛いほど知った根来は、
大学を辞め愛する知子の前から姿を消すと個人で深沢に復讐をしようと誓う。


根来は深沢の息がかかった難波多組に親分を殺されたやくざ者の多田(待田京介)、
多額の借金を背負い父が焼身自殺してしまった林(山下洵一郎)という
深沢の周辺にいるものに強い恨みをもつ二人を仲間に迎えた。


根来自身は難波多組がやっているナイトクラブ「シルクロード」にサックス奏者として潜入し、
多田と林に難波多(北城寿太郎)を襲わせ自分がそれを助けるという茶番劇を演じて、
難波多の信頼を勝ち取っていく。


根来たちは極東信用金庫を襲い不正の証拠となる隠し帳簿を盗みだし、
それを大崎に送り付けるが理事長の宇部(村上不二夫)は、
難波多の機転により早々に香港に脱出してしまう。


ところが宇部は入院している息子の容態が危ないという知らせを受け秘密裏に帰国する。
だがそれはバレてしまい宇部は空港で捕らえられるのだが、
取り調べ中に息子の命があとわずかというニセ電話により、
大崎が帯同し宇部を病院に送り届けたところで難波多たちに射殺されてしまった。



この間、大崎は内偵もかねてシルクロードを知子と訪れていた。
根来が知子らの前から姿を消してから、知子は大崎と婚約していたのだ。
久しぶりに知子と再会した根来だが、今の自分は父の復讐を果たすことが最大の使命。
あの頃の関係には戻れない。
大崎はこの時の根来との会話から、根来が事件にかかわっていることを察知した。



大学時代、根来は大崎にも知子にも何も告げずに去って行った。
しかし、今回の事件を調べていくと、根来がなぜ学校を辞めざるを得なかったのか、
その辛い事情を知ることになった。



根来たちは、深沢に電話をかけると葬送行進曲を流し続けて
身に危険が迫っているという脅迫を繰り返した。



難波多たちは小山(小山内淳)という小役人にダンサーのミミイ(十和田翠)を抱かせ
賄賂を使っていた。
店内でその様子を見ていた根来はミミイとベッドを共にし詳細を聞き出す。
そして、多田と林の三人で小山を拉致すると、これまでの全てを告白させて
テープに録音した。


難波多は身柄を釈放された小山からこの報告を受け、犯人は三人組だったと聞き出した。
三人のうち多田、林は見当がつくが、残る主犯格がわからず深沢は
見えない大物の存在に怯える。
難波多は小山から事の次第を聞き出すと、自分たちに危機が迫る前に小山を殺害し口封じをしてしまった。



またしてもあと一歩のところで、父の仇・深沢を破滅させることが出来ない。



根来はこうなったら最後の手段、直接ぶつかるしかないと思い深沢に電話をかけると、
殺された小山の告白テープを聞かせ、自分が根来夫婦の息子であると正体を明かした。
ついに深沢はあの時の息子が両親の復讐のために仕組んだことだと知った。



根来は多田と林に深沢を張らしていたが深沢の行方がわからなくなってしまった。
多田の連絡で根来は深沢が別荘にいるしかないとあたりをつけて、
三人でそこへ乗り込むことにした。



出発前、根来は知子を連れて、精神を侵された父が入院している脳病院へ連れていった。
廃人となった根来の父の姿を見た知子は、根来のいいよいうのない憎しみを理解しつつも、
法律で悪人を裁くべきだと根来にいうが、法の網を潜り抜ける深沢には自分が直接手を下すしかない。
心配する知子の気持ちを感じながらも、根来は方針を変えるつもりはなかった。





シルクロードではミミイの他に別の女(万理昌代)ともデキていた根来は、
難波多たちの姿が消えたという知らせを受け、深沢の別荘に集まっていると予測を立てた。



根来たちが別荘へ到着すると、案の定深沢と難波多の姿があった。
部屋に乗り込んだ三人は、いよいよ復讐を完成させようとするが、
それは根来たちの動きを察知した難波多たちの罠だった。



根来たちはロープで縛られ身動きが取れないようにされ、ダイナマイトを仕掛けた部屋に置き去りにされる。
だが、間一髪三人は部屋から脱出しロープウェイに乗り難波多たちを追いかける。
その途中、深沢を乗せた車を発見、根来たちは持っていたダイナマイトに火をつけて
車めがけて上から落としまくる。


とうとう深沢を乗せた車は炎上し、谷底へ転落。
ついに深沢の息の根を止めることに成功した。



すると、向かいからこちらにロープウェイがやってくる。
それは三人を始末しようと難波多が沢山のダイナマイト積んだ凶器だった。
何も知らない根来たちが深沢を始末したことを喜んでいるとふいにロープウェイの動きが止まった。
近くにはダイナマイト入りのロープウェイが停車している。



根来たちが異変を感じたときには時すでに遅し。
難波多は、向かいのロープウェイにダイナマイトが積んであるというと、
導火線に火をつけてしまう。



空の上で身動きが取れなくなった根来たちは必死にそれから逃れようと試みるがなすすべがない。



その頃、大崎は深沢の別荘へ向かう前に根来が送っていた小山のテープなど
深沢たちの悪事を暴く証拠の品を郵送で受け取っていた。
そして、深沢の別荘へ向かおうと大崎はヘリに乗り込んで空中での捜査をしていた。


大崎は上空から、下にあるロープウェイで必死に助けを求める根来、多田、林の存在を確認。
すぐにロープを下ろすと、三人はロープをよじ登ってヘリに到着。
爆発まであと少しのところで、無事に保護された。



こうして逮捕された根来は、かつて学んだ法律によって裁かれて罪を償うことになる。



JALのスチュワーデスをしている知子は現在香港に行っており、
気持ちの整理を完全につけ大崎と結婚する運びになるようだ。






映画 黒の切り札



『黒シリーズ』で主役をはっていた二大スタア、田宮二郎と宇津井健のシリーズ初共演作品だが、
”ダブル主演”というよりは田宮主演作という印象が強い。


また、二人が劇中争うスチュワーデス・知子を演じているのは、
後に田宮二郎と結婚することになる藤由紀子。
やはり善人役の宇津井健よりも過去に暗い影があり復讐に燃える
田宮二郎とのツーショットの方がサマになっていました。



今回は刑事役で中条静夫も出演していて、宇津井&中条の組み合わせが
「ザ・ガードマン」っぽい。



監督は石原裕次郎主演「嵐を呼ぶ男」の井上梅次。
私にとっては土曜ワイド劇場の”美女シリーズ”の印象が強い監督さん。


最後のロープウェイでの脱出劇なんか、美女シリーズの
「黄金仮面」を思い出してしまった。


美女シリーズと言えば、「魅せられた美女」くらいでしか見たことがなかった
待田京介が角刈りやくざで、やたら二重が強調されていて
美女シリーズで見た時の容姿と全然違っていたのにビックリ。
若い時は結構武闘派っぽい見た目をしていたんですね。



また内田朝雄が田宮二郎一家を破滅に追い込む大悪人という
らしい役柄で出演している。
法を網をかいくぐり悪事を働きながらものうのうと生き続けるというふてぶてしさ。


何より若かりし田宮二郎のハンサムさがたまらない。
ナイトクラブでサックスを吹く姿もしびれるし、
親の敵に復讐するために女を利用する冷酷さもまた良い。


それでいながら、学生時代の意中の人、知子に対しては
複雑な心境ながら検事という立派な職業をもった友人と
幸せになってくれることを願う純粋さは安易に女に体を使って
情報を得る男とは相反するピュアさを感じさせてくれる。



                         
                                  
        

「赤頭巾ちゃん気をつけて」 (1970年) @神保町シアター 庄司薫のベストセラーの映画化

category - 昭和の日本映画
2018/ 06/ 15
                 
神保町シアターで「赤頭巾ちゃん気をつけて」(1970年/東宝)という映画を見てきました。



神保町シアター


6月9日(土)から7月6日(金)までの27日間
「七〇年代の憂鬱-退廃と情熱の映画史」というテーマで
70年代の作品が17作品上映予定となっています。



赤頭巾ちゃん気をつけて

私が見に行ったのは初日の6月9日、この日の2回目の上映作品でした。
本来は見に行く予定ではなかったのですが、
主演が岡田裕介ということで見てみることに。




赤頭巾ちゃん気をつけて



この人の存在を初めて知ったのが、1970年に東京12チャンネルでやっていた
「江戸川乱歩シリーズ明智小五郎」での小林芳雄役でした。
これが何年か前に東映チャンネルで放送されたんですね。


岡田裕介



”明智小五郎”というと土曜ワイドの天知茂のイメージが強くて、
初めは拒否反応があったんですが、見てみるとまた美女シリーズとは違った面白さがあり
すっかりハマってしまいました。


「江戸川乱歩シリーズ明智小五郎」は「美女シリーズ」が始まる前に放送されていたんですね。




東映チャンネルで江戸川乱歩シリーズを見た時は、
岡田裕介はこの時代に役者をやっていた脇役の人で、
あまり芽が出ずに役者を引退したんだろうなと思っていました。


ところが、元東映社長の岡田茂氏の息子で、わりとすぐにプロデューサーになり、
その後は東映の社長を経て、現在は東映グループの会長になっていることを知って
すごく興味を持ちました。




細身の体に、ものすごい濃い顔と独特の声が印象的。
石坂浩二に顔が似ている。



役者デビュー後、すぐにこの「赤頭巾ちゃん気をつけて」で主演をつとめました。

今回初めて知ったのですが、庄司薫という人のベストセラー
「赤頭巾ちゃん気をつけて」の映画化だそうです。





赤頭巾ちゃん気をつけて (新潮文庫)


岡田裕介演じる主人公・庄司薫は原作者と同姓同名。
日比谷高校の三年生で、彼の語りで物語は進行していきます。


1969年2月9日、大学紛争で東大入試が中止となった薫くんは、
怪我で足の親指を負傷したり、愛犬ドンが死んでしまったり、
かねてから思いを寄せている同級生のガールフレンド由美(森和代)から
電話で「舌噛んで死んじゃいたい」と言われ、しばらくは絶交状態が予想され、
さんざんな一日になりそうだった。


病院では足の爪を剥されてしまい、しばらくの間は足を引きずる生活になりそうだ。
街に出れば知り合いのおばさん(山岡久乃)から、大学へは行かないと決意したのに
大学へ行くことを前提におしゃべりをされる始末。


だが、薫くんは、それを否定することもしなかった。
いつもそうだ。
由美の家に電話をかけるとだいたい彼女の母(文野朋子)の
他愛もないおしゃべりに付き合ってしまう。



足の爪を治療に行った病院で、女医がかがんで患部を見たときに、
ちらりと乳房が見えた。
薫くんは、全裸の彼女と抱き合う妄想に駆られるが、
治療室で彼女を襲うこともなく帰ってきた。



一日に二度は女を強姦したい欲求に襲われるが、
未だに童貞の薫くんは女を抱くチャンスがあってもそれをモノに出来ない。


同世代の男女が裸で抱き合うパーティーに参加しても、
その様子を部屋の隅で眺めるだけだ。
そして、そばにあったピアノを演奏して、同じようにその輪に加われない、
女の子たちと歌を歌うことしかできない。


幼馴染の由美とも、子どもの頃キスをしたり膨らんできた胸を見ただけで、
その後は手を握ることもない恋人とも友人とも言えない関係を続けている。


傷んだ足をかばいながら引きずるように街を歩いていた薫くんは、
幼い少女とぶつかってその場にうずくまってしまう。
少女は近くの喫茶店で母親が友人と話し込んでいて、
その合間に本を買いに来たのだと話す。


薫くんは彼女の手を引いてさっき出てきたばかりの書店へ行くと、
その子のために一番いいと思う「赤ずきんちゃん」の本を選んでやった。


ひとりになった薫くんは、由美とデートする。


薫くんは大学へ行くのを辞めたと言うと、
並んで歩く由美の手をそっととり、と二人は手をつないで歩いていった。






赤頭巾ちゃん気をつけて [DVD]



大学へ行くことを辞めた薫くんの二日間ほどを描いた映画。



主人公・岡田裕介さんの相手役・由美を演じたのは森和代。
ショートカットにほぼノーメイクのような透明感のあるみずみずしい容貌を持っている。

なんと、森本レオの奥さんになった方だとか。
若くして結婚引退したようで、今回初めてその存在を知った女優さんでした。




足を怪我した薫くんの家へ遊びに来る友人・小林には富川澈夫(すみお)。
この人は「太陽にほえろ!」にゲスト出演しているので初めて知った。
無理に思える長髪っぽい横分けが印象に残り気になっていた俳優さんだ。
「俺たちの旅」でも見かけたが、屈折した青年を演じているイメージがある。


今回も優等生の薫くんとは違い、小難しい哲学をお手伝いが薫くんの部屋に持ってきた、
和菓子をパクつきながら延々と述べるシーンが面白かった。


薫くんのベッドに寝っ転がると、和菓子が乗った盆を腹に置き、
最後は涙を流しながら熱い思いを切々と語る。



私が富川さんを最後に見たのは、90年代に放送された
土曜ワイド劇場の牟田刑事官シリーズでの刑事役だったが、
もうすでにお亡くなりになっていたんですね。


薫くんの母親は風見章子、すぐ上の兄に中尾彬。
中尾彬が若くて清潔感があった。





「赤頭巾ちゃん気をつけて」は音楽もとても良かった。
歌っているのは佐良直美で、映画にとてもマッチしている。


音楽と言うと、ピンキーとキラーズの「恋の季節」が演奏されていたり、
薫くんが立ち寄った飲食店のテレビで
いしだあゆみが「ブルー・ライト・ヨコハマ」を熱唱しているシーンが流れていた。


薫くんが電車に乗ったときに、なにかワケがあって涙を流していた乗客を
結城美栄子が演じていた。



今回の神保町シアターのテーマ「退廃」が感じられましたが、
それでいてどこかその中に甘い雰囲気もある。
音楽も耳に残る心地が良い映画でした。




岡田裕介さんも、薫くんのイメージにピッタリです。
彼の無機質な語りだが、それでいて時折見える感情の起伏のようなものがあり
独特のリズムを持っていた。








映画館内の壁に貼られていたブロマイド。


神保町シアター


ちゃんと岡田裕介さんのものもありました。



さて、神保町シアターでは7月7日から料金体系が変更になるようです。


赤頭巾ちゃん気をつけて


これまで一般は1200円でしたが、これが1300円となり、
平日3回目の上映のマチネ割引、水曜日のレディースデーが廃止。
代わりに水曜日はファン感謝デーとなり男性でも1000円で見れるようです。


毎月1日の映画サービスデー1000円と、ポイントカードは継続するとか。


男性にとっては水曜日が感謝デーになったことで
いつでも1000円で見れるようになるのは嬉しいのではないでしょうか。



料金改定といえばシネマヴェーラ渋谷でも7/21から変更があるようです。


これまで1500円の二本立てでしたが、一本立て入れ替え制で一般が1200円となります。








                         
                                  
        

「挽歌」 (1957年) @シネマヴェーラ渋谷 

category - 昭和の日本映画
2018/ 05/ 28
                 
シネマヴェーラ渋谷の”キネマ洋装店”コラボ企画『美しい女優・美しい衣装』へ
行ったときの続きです。

二本立て上映で前回は「白い悪魔」 (1958年)を書きました。



今回は二本目の「挽歌」 (1957年/歌舞伎座)です。
こちらも原田康子原作で北海道が舞台となっている。



挽歌 


兵藤怜子(久我美子)は子どもの頃の病気がもとで左肘が痛み、
かたわな身の上からかどこか屈折した思いを抱えている。


怜子の母は亡くなり父(斎藤達雄)はそんな娘を不憫に思い
縁談をすすめるが彼女はそれを受け入れない。
一家の身の回りの世話はばあや(浦辺粂子)がやっている。


その怜子はある日、幼い娘を連れて犬を散歩中の設計技師・柏木(森雅之)と出会った。
犬が怜子の手を噛んで怪我を負わせたことから柏木は連絡先を怜子に渡す。
後日、柏木の家を訪れる怜子だが柏木は不在中で姪が応対した。
その時に怜子は柏木の妻・あき子(高峰三枝子)の姿を見る。




劇団みみずく座に所属する怜子は劇団の仲間で
彼女に好意をもつ久田幹夫(石浜朗)と馴染みの飲食店ダフネにいた。
その時に偶然あき子が不倫相手の古瀬達巳(渡辺文雄)と会うところを目撃してしまう。




あき子は達巳と過ちを犯したもののすぐに改心し、達巳と別れようとするが
達巳のあき子への思いは強く別れ話は進まない。
柏木も妻の不貞を知りながらも娘がいることから表だって責めてこない。



自分が体が不自由なことにコンプレックスを抱えていた怜子は、
満たされない結婚生活を送っている柏木に自分と似たようなものを感じた。


やがて、怜子は柏木と一夜をともにする。



怜子の屈折した思いは理解できないもので、
柏木が知らない間にあき子に近づくと、
幹夫の絵のモデルになってほしいと頼み
柏木の不在中に幹夫とともに家へ出入りするようになった。



柏木を愛しながらも、あき子も慕い始める怜子。
複雑な胸中に苦悩する怜子だが、
柏木はあき子と離婚しようと考えていることを告げる。


だが、怜子は喜ぶのではなく、罪の意識からか
今のままでいいのと夫婦の離婚を回避させようとする。
まだあき子は二人の関係に気づいていない。


しかし、あき子が怜子の家へやって来たとき
ばあやが柏木から怜子のところへ何度も電話をかけてきていることを漏らし、
ついに二人の関係があき子にバレてしまう。


自分の不倫関係がもとで夫婦関係が破たんしたと思っているあき子は、
怜子のことを責めないまま帰って行った。
その後を追った怜子は涙ながらにあき子のことも
好きだという気持ちに偽りがないことを訴える。



達巳の人生を狂わし、柏木と怜子を不幸に陥れたと考えたあき子は
自殺を遂げることで全てを清算した。


柏木は怜子と一緒になることを望むが、
怜子は柏木への愛情とあき子への罪悪感に悩んだ末、
柏木のもとから去る決断を下す。



「白い悪魔」とは正反対にやりきれない結末の「挽歌」。



中年期の上品で物静かな女性という印象だった久我美子が、
不倫の恋に苦悩する若い女性を演じているのが意外だった。
今回は不具者ということもあり、どこか捨て鉢な感じで、
不倫相手への感情も激情的な演出がされていた。



愛人関係にある男の妻の不倫現場を目撃したからか、
わざわざ妻に近づいていったにもかかわらず、
その妻を憎みながらも好意を抱いていくという相反する感情を持つ。


そのくせ、男との関係もすっぱり切るのではなく、
逢瀬を続けながらもその妻への歪んだ感情に苦悩する。
結局夫婦関係を壊したかったのかなんなのか・・・。



しかもさんざんかたわといいながらも
妻が自殺してから家主が不在中に忍び込んだ
柏木邸のキッチンで料理を作る時に
普通に左手が使えていたのが笑えた。



1958年の作品ということで石浜朗が若くてびっくり。
おじさんの時しか知らなかったのでその好青年っぷりな
見た目は新鮮でした。



また渡辺文雄は面影はあるもののクレジットがなければ
彼だとは気づかなかったかも。


今回は「美しい女優と美しい衣装」がテーマだが、
ヒロインの久我美子はパンツ姿でちょっと男勝りな感じ。
それだけに女としての感情を森雅之にぶつける時のギャップが感じられた。


反対に貞淑で上品な風貌の高峰三枝子のエレガントさは
貫禄が伝わってきた。



さて、今回もまたまた気になる映画チラシがいくつも見つかった。



芹明香パラダイス 新文芸座

池袋の新文芸座で5月24日~5月31日まで行われる「芹明香パラダイス」



日活や東映のエロ作品が多数上映されるようだが、
最終日の5月31日は日本初の本番作品「愛のコリーダ」と、
神代辰巳監督の「青春の蹉跌」をやる。


このうち「青春の蹉跌」は見たことがあるが、
芹明香という女優が出ていたのには全く気が付かなかった。




小津4K 巨匠が見つめた7つの家族


監督小津安二郎の作品は結構見ているので行くことはないと思うが、
今回は4Kデジタルの修復版が上映されるらしい。
それが、新宿ピカデリーと角川シネマ新宿でやるというのが意外だった。



七〇年代の憂鬱 神保町シアター

こちらはすでに劇場ホームページで知っていたのだが、
神保町シアターの「七〇年代の憂鬱-退廃と情熱の映画史」


以前なんかの記事でちょろっと書いた「青春の殺人者」だが、
水谷豊が親を殺すときの描写や、母親役の市原悦子との
近親相姦っぽい関係が気味悪く狂気を感じ怖くなったのを覚えている。


これを劇場でやるのね。
私は一度見たら沢山だったので行かないが、
今の水谷豊しか知らない世代は一度見てみるといい。


またここでは沢田研二の「太陽を盗んだ男」も上映予定。

それ以外で目を惹かれたのは、東京12チャンネルでやっていた
「江戸川乱歩シリーズ」で明智の助手・小林を演じていた
岡田裕介が主演の「赤頭巾ちゃん気をつけて」だ。


彼は江戸川乱歩シリーズでしか見たことがなかったけど、
映画の主演をやっていたこともあるんですねぇ。




古いドラマや映画を見始めるといろんな俳優さんの存在を知るので楽しいです。


実際、古い映画といっても若い世代の方も結構見に来ていますからね。
若い女性がひとりで見に来ているのはいつも感心させられます。



久しぶりに映画を二本見て、渋谷駅の方へ歩いていく途中
すぐそばにあるBunkamuraを通りかかりました。



ル・シネマ ダリダ


この日(5月19日)からはBunkamuraにあるル・シネマでは、
映画「ダリダ」の上映がスタートしていた。
こちらも見たいなと気になっている作品のひとつです。


                         
                                  
        

「白い悪魔」 (1958年) @シネマヴェーラ渋谷 

category - 昭和の日本映画
2018/ 05/ 25
                 
シネマヴェーラ渋谷で森雅之が出演している「白い悪魔」と「挽歌」という映画を見てきました。



シネマヴェーラ渋谷



”キネマ洋装店”コラボ企画『美しい女優・美しい衣装』ということで
5月19日(土)から6月15日(金)まで1950~60年代の作品が上映されています。
私が行ったのは初日の5月19日でした。



シネマヴェーラ渋谷は二本立て入れ替えなしですが、
この日は特別上映『街頭』が11時からあり
こちらは入れ替え制で1本立てとなっていました。



私は通常上映の12:45~「白い悪魔」、14:35~「挽歌」の二つだけを見た。
ふたつとも森雅之が出ていて、どちらも原田康子原作の映画化だった。




「白い悪魔」(1958年/日活)は、
森雅之演じる牟田口克介がかつて思いを寄せていた女性の
娘・白戸朝子(野添ひとみ)を養女に迎えたことから話が始まる。


牟田口とその女性は相思相愛でありながらも牟田口が煮え切らないことから
別の男性と結婚し朝子が生まれた。
ところが夫婦は娘を残して死んでしまい朝子は祖父の白戸宗太郎(清水将夫)と
牧場で暮らしていた。


牟田口が久しぶりに友人・木谷(大森義雄)と宗太郎たちのところを訪れたあとまもなく宗太郎は
朝子を育てて欲しいという遺書を残して病死してしまうというもの。


洋装店を経営している牟田口の暮らし向きはよく
朝子は質素な牧場生活から華美な装飾を施す牟田口邸で
お嬢様のような暮らしへと環境が一変した。


牧場でのびやかに育てられた朝子はすぐに牟田口になつき、
血のつながらない親子関係は良好に見えた。


朝子は牟田口家に亡き母の肖像画が飾られていることから、
かつて牟田口が母に思いを寄せていたことがわかる。



一緒に暮らしているうちに二人の間には父と娘ではなく
異性としてへの思いが芽生え始める。
中でも若い朝子の牟田口への態度はあからさまで、
牟田口だけでなく周囲のものも父としてではなく、
男として牟田口を慕っているというのがわかるものだった。


独身の牟田口だが父と娘の関係が脅かされる悩みを木谷に相談する。
木谷は牟田口に親子の関係を続けたいならば
牟田口が結婚するしかないという。
そして、牟田口の洋装店に勤める小沢邦子(渡辺美佐子)との仲を取り持った。


クリスマスの日、朝子は二人で過ごそうと部屋の飾りつけをし
料理を作って牟田口の帰りを待っていた。
だが、帰ってきた牟田口は邦子と結婚することを決めたと言い、
これから邦子と木谷が家に来るという。




いつかこういう日が訪れると思いながらも、失意の朝子は家を飛び出すと、
かねてから自分に思いを寄せていた岡本(小林旭)たちと踊り明かし、
自分も岡本と結婚することを決めてしまう。


牟田口と朝子は互いに異性として惚れ合っているのがわかりながらも、
それぞれが愛のない結婚を決断した。
本当にこれで良かったのか?悩む牟田口は初めて惚れた相手と
結婚をする決断を下す。
岡本と旅行に旅立つために船へ乗った朝子に思いを伝えにいく牟田口。



客で溢れる船に乗り込むとひとりでいた朝子をついに見つけ出しプロポーズをする。
朝子は声を出して泣きながらそれを受け入れ、牟田口は朝子を抱きかかえて帰って行く。
戻ってきた岡本はそれを見てあっけにとられる。




森雅之の養女になってからの野添ひとみがすごく魅力的だ。
大きな瞳で華奢な肉体を包むワンピースが素敵。
白黒映画なんだけど、抜群のスタイルでの着こなしっぷりが充分に伝わってくるのだ。


彼女が養父への恋愛感情を隠すこともなくぶつけてくる姿も実に健気でいて大胆。
洋装の勉強のために朝子がひとりで東京へ勉強しにいくことになり
一時同居生活が解消されるのだが、仕事で東京を訪れた牟田口と会うシーンがある。



二人は遊び歩いた後にホテルの同じ部屋に泊まるのだが、歌を歌いながら
天真爛漫そうに洋服を脱いでバスを使う。
その姿をうっかり鏡越しに見てしまった牟田口はもだえ苦しむ。


そして、ホテルのボーイに協力させ仕事で突然出かけなくてはならなくなったと
一芝居打ってその夜、朝子と同じ部屋で休むことから逃げた。


牟田口を養父としてでなくひとりの男として愛してしまった朝子が、
その思いを隠すどころかどんどん大胆にさらけ出していく。
それがまっすぐなだけに、なんとか成就させてやりたいと思った。
最後はハッピーエンドで良い映画でした。


共演は岡田眞澄、稲垣美穂子、草薙幸二郎、下元勉、松下達夫ら。
岡田眞澄、稲垣美穂子、草薙幸二郎はどこに出ていたかわかりませんでした。
下元勉、松下達夫はかろうじてわかった感じ。
さすがに皆さん若い。








シネマヴェーラ渋谷

館内に展示されている映画ポスター。


渡哲也、松原智恵子出演の「燃える大陸」と、
川口浩主演の「セクシー・サイン 好き好き好き」も
今回のコラボで上映予定されている作品です。




シネマヴェーラ渋谷



ひとつの記事に「挽歌」も書こうと思ったのだが長くなってきたので別エントリーで。