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展覧会レポート昭和のドラマ昔の土曜ワイド劇場懐かし邦画

昭和の日本映画

        

「赤頭巾ちゃん気をつけて」 (1970年) @神保町シアター 庄司薫のベストセラーの映画化

category - 昭和の日本映画
2018/ 06/ 15
                 
神保町シアターで「赤頭巾ちゃん気をつけて」(1970年/東宝)という映画を見てきました。



神保町シアター


6月9日(土)から7月6日(金)までの27日間
「七〇年代の憂鬱-退廃と情熱の映画史」というテーマで
70年代の作品が17作品上映予定となっています。



赤頭巾ちゃん気をつけて

私が見に行ったのは初日の6月9日、この日の2回目の上映作品でした。
本来は見に行く予定ではなかったのですが、
主演が岡田裕介ということで見てみることに。




赤頭巾ちゃん気をつけて



この人の存在を初めて知ったのが、1970年に東京12チャンネルでやっていた
「江戸川乱歩シリーズ明智小五郎」での小林芳雄役でした。
これが何年か前に東映チャンネルで放送されたんですね。


岡田裕介



”明智小五郎”というと土曜ワイドの天知茂のイメージが強くて、
初めは拒否反応があったんですが、見てみるとまた美女シリーズとは違った面白さがあり
すっかりハマってしまいました。


「江戸川乱歩シリーズ明智小五郎」は「美女シリーズ」が始まる前に放送されていたんですね。




東映チャンネルで江戸川乱歩シリーズを見た時は、
岡田裕介はこの時代に役者をやっていた脇役の人で、
あまり芽が出ずに役者を引退したんだろうなと思っていました。


ところが、元東映社長の岡田茂氏の息子で、わりとすぐにプロデューサーになり、
その後は東映の社長を経て、現在は東映グループの会長になっていることを知って
すごく興味を持ちました。




細身の体に、ものすごい濃い顔と独特の声が印象的。
石坂浩二に顔が似ている。



役者デビュー後、すぐにこの「赤頭巾ちゃん気をつけて」で主演をつとめました。

今回初めて知ったのですが、庄司薫という人のベストセラー
「赤頭巾ちゃん気をつけて」の映画化だそうです。





赤頭巾ちゃん気をつけて (新潮文庫)


岡田裕介演じる主人公・庄司薫は原作者と同姓同名。
日比谷高校の三年生で、彼の語りで物語は進行していきます。


1969年2月9日、大学紛争で東大入試が中止となった薫くんは、
怪我で足の親指を負傷したり、愛犬ドンが死んでしまったり、
かねてから思いを寄せている同級生のガールフレンド由美(森和代)から
電話で「舌噛んで死んじゃいたい」と言われ、しばらくは絶交状態が予想され、
さんざんな一日になりそうだった。


病院では足の爪を剥されてしまい、しばらくの間は足を引きずる生活になりそうだ。
街に出れば知り合いのおばさん(山岡久乃)から、大学へは行かないと決意したのに
大学へ行くことを前提におしゃべりをされる始末。


だが、薫くんは、それを否定することもしなかった。
いつもそうだ。
由美の家に電話をかけるとだいたい彼女の母(文野朋子)の
他愛もないおしゃべりに付き合ってしまう。



足の爪を治療に行った病院で、女医がかがんで患部を見たときに、
ちらりと乳房が見えた。
薫くんは、全裸の彼女と抱き合う妄想に駆られるが、
治療室で彼女を襲うこともなく帰ってきた。



一日に二度は女を強姦したい欲求に襲われるが、
未だに童貞の薫くんは女を抱くチャンスがあってもそれをモノに出来ない。


同世代の男女が裸で抱き合うパーティーに参加しても、
その様子を部屋の隅で眺めるだけだ。
そして、そばにあったピアノを演奏して、同じようにその輪に加われない、
女の子たちと歌を歌うことしかできない。


幼馴染の由美とも、子どもの頃キスをしたり膨らんできた胸を見ただけで、
その後は手を握ることもない恋人とも友人とも言えない関係を続けている。


傷んだ足をかばいながら引きずるように街を歩いていた薫くんは、
幼い少女とぶつかってその場にうずくまってしまう。
少女は近くの喫茶店で母親が友人と話し込んでいて、
その合間に本を買いに来たのだと話す。


薫くんは彼女の手を引いてさっき出てきたばかりの書店へ行くと、
その子のために一番いいと思う「赤ずきんちゃん」の本を選んでやった。


ひとりになった薫くんは、由美とデートする。


薫くんは大学へ行くのを辞めたと言うと、
並んで歩く由美の手をそっととり、と二人は手をつないで歩いていった。






赤頭巾ちゃん気をつけて [DVD]



大学へ行くことを辞めた薫くんの二日間ほどを描いた映画。



主人公・岡田裕介さんの相手役・由美を演じたのは森和代。
ショートカットにほぼノーメイクのような透明感のあるみずみずしい容貌を持っている。

なんと、森本レオの奥さんになった方だとか。
若くして結婚引退したようで、今回初めてその存在を知った女優さんでした。




足を怪我した薫くんの家へ遊びに来る友人・小林には富川澈夫(すみお)。
この人は「太陽にほえろ!」にゲスト出演しているので初めて知った。
無理に思える長髪っぽい横分けが印象に残り気になっていた俳優さんだ。
「俺たちの旅」でも見かけたが、屈折した青年を演じているイメージがある。


今回も優等生の薫くんとは違い、小難しい哲学をお手伝いが薫くんの部屋に持ってきた、
和菓子をパクつきながら延々と述べるシーンが面白かった。


薫くんのベッドに寝っ転がると、和菓子が乗った盆を腹に置き、
最後は涙を流しながら熱い思いを切々と語る。



私が富川さんを最後に見たのは、90年代に放送された
土曜ワイド劇場の牟田刑事官シリーズでの刑事役だったが、
もうすでにお亡くなりになっていたんですね。


薫くんの母親は風見章子、すぐ上の兄に中尾彬。
中尾彬が若くて清潔感があった。





「赤頭巾ちゃん気をつけて」は音楽もとても良かった。
歌っているのは佐良直美で、映画にとてもマッチしている。


音楽と言うと、ピンキーとキラーズの「恋の季節」が演奏されていたり、
薫くんが立ち寄った飲食店のテレビで
いしだあゆみが「ブルー・ライト・ヨコハマ」を熱唱しているシーンが流れていた。


薫くんが電車に乗ったときに、なにかワケがあって涙を流していた乗客を
結城美栄子が演じていた。



今回の神保町シアターのテーマ「退廃」が感じられましたが、
それでいてどこかその中に甘い雰囲気もある。
音楽も耳に残る心地が良い映画でした。




岡田裕介さんも、薫くんのイメージにピッタリです。
彼の無機質な語りだが、それでいて時折見える感情の起伏のようなものがあり
独特のリズムを持っていた。








映画館内の壁に貼られていたブロマイド。


神保町シアター


ちゃんと岡田裕介さんのものもありました。



さて、神保町シアターでは7月7日から料金体系が変更になるようです。


赤頭巾ちゃん気をつけて


これまで一般は1200円でしたが、これが1300円となり、
平日3回目の上映のマチネ割引、水曜日のレディースデーが廃止。
代わりに水曜日はファン感謝デーとなり男性でも1000円で見れるようです。


毎月1日の映画サービスデー1000円と、ポイントカードは継続するとか。


男性にとっては水曜日が感謝デーになったことで
いつでも1000円で見れるようになるのは嬉しいのではないでしょうか。



料金改定といえばシネマヴェーラ渋谷でも7/21から変更があるようです。


これまで1500円の二本立てでしたが、一本立て入れ替え制で一般が1200円となります。








            
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「挽歌」 (1957年) @シネマヴェーラ渋谷 

category - 昭和の日本映画
2018/ 05/ 28
                 
シネマヴェーラ渋谷の”キネマ洋装店”コラボ企画『美しい女優・美しい衣装』へ
行ったときの続きです。

二本立て上映で前回は「白い悪魔」 (1958年)を書きました。



今回は二本目の「挽歌」 (1957年/歌舞伎座)です。
こちらも原田康子原作で北海道が舞台となっている。



挽歌 


兵藤怜子(久我美子)は子どもの頃の病気がもとで左肘が痛み、
かたわな身の上からかどこか屈折した思いを抱えている。


怜子の母は亡くなり父(斎藤達雄)はそんな娘を不憫に思い
縁談をすすめるが彼女はそれを受け入れない。
一家の身の回りの世話はばあや(浦辺粂子)がやっている。


その怜子はある日、幼い娘を連れて犬を散歩中の設計技師・柏木(森雅之)と出会った。
犬が怜子の手を噛んで怪我を負わせたことから柏木は連絡先を怜子に渡す。
後日、柏木の家を訪れる怜子だが柏木は不在中で姪が応対した。
その時に怜子は柏木の妻・あき子(高峰三枝子)の姿を見る。




劇団みみずく座に所属する怜子は劇団の仲間で
彼女に好意をもつ久田幹夫(石浜朗)と馴染みの飲食店ダフネにいた。
その時に偶然あき子が不倫相手の古瀬達巳(渡辺文雄)と会うところを目撃してしまう。




あき子は達巳と過ちを犯したもののすぐに改心し、達巳と別れようとするが
達巳のあき子への思いは強く別れ話は進まない。
柏木も妻の不貞を知りながらも娘がいることから表だって責めてこない。



自分が体が不自由なことにコンプレックスを抱えていた怜子は、
満たされない結婚生活を送っている柏木に自分と似たようなものを感じた。


やがて、怜子は柏木と一夜をともにする。



怜子の屈折した思いは理解できないもので、
柏木が知らない間にあき子に近づくと、
幹夫の絵のモデルになってほしいと頼み
柏木の不在中に幹夫とともに家へ出入りするようになった。



柏木を愛しながらも、あき子も慕い始める怜子。
複雑な胸中に苦悩する怜子だが、
柏木はあき子と離婚しようと考えていることを告げる。


だが、怜子は喜ぶのではなく、罪の意識からか
今のままでいいのと夫婦の離婚を回避させようとする。
まだあき子は二人の関係に気づいていない。


しかし、あき子が怜子の家へやって来たとき
ばあやが柏木から怜子のところへ何度も電話をかけてきていることを漏らし、
ついに二人の関係があき子にバレてしまう。


自分の不倫関係がもとで夫婦関係が破たんしたと思っているあき子は、
怜子のことを責めないまま帰って行った。
その後を追った怜子は涙ながらにあき子のことも
好きだという気持ちに偽りがないことを訴える。



達巳の人生を狂わし、柏木と怜子を不幸に陥れたと考えたあき子は
自殺を遂げることで全てを清算した。


柏木は怜子と一緒になることを望むが、
怜子は柏木への愛情とあき子への罪悪感に悩んだ末、
柏木のもとから去る決断を下す。



「白い悪魔」とは正反対にやりきれない結末の「挽歌」。



中年期の上品で物静かな女性という印象だった久我美子が、
不倫の恋に苦悩する若い女性を演じているのが意外だった。
今回は不具者ということもあり、どこか捨て鉢な感じで、
不倫相手への感情も激情的な演出がされていた。



愛人関係にある男の妻の不倫現場を目撃したからか、
わざわざ妻に近づいていったにもかかわらず、
その妻を憎みながらも好意を抱いていくという相反する感情を持つ。


そのくせ、男との関係もすっぱり切るのではなく、
逢瀬を続けながらもその妻への歪んだ感情に苦悩する。
結局夫婦関係を壊したかったのかなんなのか・・・。



しかもさんざんかたわといいながらも
妻が自殺してから家主が不在中に忍び込んだ
柏木邸のキッチンで料理を作る時に
普通に左手が使えていたのが笑えた。



1958年の作品ということで石浜朗が若くてびっくり。
おじさんの時しか知らなかったのでその好青年っぷりな
見た目は新鮮でした。



また渡辺文雄は面影はあるもののクレジットがなければ
彼だとは気づかなかったかも。


今回は「美しい女優と美しい衣装」がテーマだが、
ヒロインの久我美子はパンツ姿でちょっと男勝りな感じ。
それだけに女としての感情を森雅之にぶつける時のギャップが感じられた。


反対に貞淑で上品な風貌の高峰三枝子のエレガントさは
貫禄が伝わってきた。



さて、今回もまたまた気になる映画チラシがいくつも見つかった。



芹明香パラダイス 新文芸座

池袋の新文芸座で5月24日~5月31日まで行われる「芹明香パラダイス」



日活や東映のエロ作品が多数上映されるようだが、
最終日の5月31日は日本初の本番作品「愛のコリーダ」と、
神代辰巳監督の「青春の蹉跌」をやる。


このうち「青春の蹉跌」は見たことがあるが、
芹明香という女優が出ていたのには全く気が付かなかった。




小津4K 巨匠が見つめた7つの家族


監督小津安二郎の作品は結構見ているので行くことはないと思うが、
今回は4Kデジタルの修復版が上映されるらしい。
それが、新宿ピカデリーと角川シネマ新宿でやるというのが意外だった。



七〇年代の憂鬱 神保町シアター

こちらはすでに劇場ホームページで知っていたのだが、
神保町シアターの「七〇年代の憂鬱-退廃と情熱の映画史」


以前なんかの記事でちょろっと書いた「青春の殺人者」だが、
水谷豊が親を殺すときの描写や、母親役の市原悦子との
近親相姦っぽい関係が気味悪く狂気を感じ怖くなったのを覚えている。


これを劇場でやるのね。
私は一度見たら沢山だったので行かないが、
今の水谷豊しか知らない世代は一度見てみるといい。


またここでは沢田研二の「太陽を盗んだ男」も上映予定。

それ以外で目を惹かれたのは、東京12チャンネルでやっていた
「江戸川乱歩シリーズ」で明智の助手・小林を演じていた
岡田裕介が主演の「赤頭巾ちゃん気をつけて」だ。


彼は江戸川乱歩シリーズでしか見たことがなかったけど、
映画の主演をやっていたこともあるんですねぇ。




古いドラマや映画を見始めるといろんな俳優さんの存在を知るので楽しいです。


実際、古い映画といっても若い世代の方も結構見に来ていますからね。
若い女性がひとりで見に来ているのはいつも感心させられます。



久しぶりに映画を二本見て、渋谷駅の方へ歩いていく途中
すぐそばにあるBunkamuraを通りかかりました。



ル・シネマ ダリダ


この日(5月19日)からはBunkamuraにあるル・シネマでは、
映画「ダリダ」の上映がスタートしていた。
こちらも見たいなと気になっている作品のひとつです。


                         
                                  
        

「白い悪魔」 (1958年) @シネマヴェーラ渋谷 

category - 昭和の日本映画
2018/ 05/ 25
                 
シネマヴェーラ渋谷で森雅之が出演している「白い悪魔」と「挽歌」という映画を見てきました。



シネマヴェーラ渋谷



”キネマ洋装店”コラボ企画『美しい女優・美しい衣装』ということで
5月19日(土)から6月15日(金)まで1950~60年代の作品が上映されています。
私が行ったのは初日の5月19日でした。



シネマヴェーラ渋谷は二本立て入れ替えなしですが、
この日は特別上映『街頭』が11時からあり
こちらは入れ替え制で1本立てとなっていました。



私は通常上映の12:45~「白い悪魔」、14:35~「挽歌」の二つだけを見た。
ふたつとも森雅之が出ていて、どちらも原田康子原作の映画化だった。




「白い悪魔」(1958年/日活)は、
森雅之演じる牟田口克介がかつて思いを寄せていた女性の
娘・白戸朝子(野添ひとみ)を養女に迎えたことから話が始まる。


牟田口とその女性は相思相愛でありながらも牟田口が煮え切らないことから
別の男性と結婚し朝子が生まれた。
ところが夫婦は娘を残して死んでしまい朝子は祖父の白戸宗太郎(清水将夫)と
牧場で暮らしていた。


牟田口が久しぶりに友人・木谷(大森義雄)と宗太郎たちのところを訪れたあとまもなく宗太郎は
朝子を育てて欲しいという遺書を残して病死してしまうというもの。


洋装店を経営している牟田口の暮らし向きはよく
朝子は質素な牧場生活から華美な装飾を施す牟田口邸で
お嬢様のような暮らしへと環境が一変した。


牧場でのびやかに育てられた朝子はすぐに牟田口になつき、
血のつながらない親子関係は良好に見えた。


朝子は牟田口家に亡き母の肖像画が飾られていることから、
かつて牟田口が母に思いを寄せていたことがわかる。



一緒に暮らしているうちに二人の間には父と娘ではなく
異性としてへの思いが芽生え始める。
中でも若い朝子の牟田口への態度はあからさまで、
牟田口だけでなく周囲のものも父としてではなく、
男として牟田口を慕っているというのがわかるものだった。


独身の牟田口だが父と娘の関係が脅かされる悩みを木谷に相談する。
木谷は牟田口に親子の関係を続けたいならば
牟田口が結婚するしかないという。
そして、牟田口の洋装店に勤める小沢邦子(渡辺美佐子)との仲を取り持った。


クリスマスの日、朝子は二人で過ごそうと部屋の飾りつけをし
料理を作って牟田口の帰りを待っていた。
だが、帰ってきた牟田口は邦子と結婚することを決めたと言い、
これから邦子と木谷が家に来るという。




いつかこういう日が訪れると思いながらも、失意の朝子は家を飛び出すと、
かねてから自分に思いを寄せていた岡本(小林旭)たちと踊り明かし、
自分も岡本と結婚することを決めてしまう。


牟田口と朝子は互いに異性として惚れ合っているのがわかりながらも、
それぞれが愛のない結婚を決断した。
本当にこれで良かったのか?悩む牟田口は初めて惚れた相手と
結婚をする決断を下す。
岡本と旅行に旅立つために船へ乗った朝子に思いを伝えにいく牟田口。



客で溢れる船に乗り込むとひとりでいた朝子をついに見つけ出しプロポーズをする。
朝子は声を出して泣きながらそれを受け入れ、牟田口は朝子を抱きかかえて帰って行く。
戻ってきた岡本はそれを見てあっけにとられる。




森雅之の養女になってからの野添ひとみがすごく魅力的だ。
大きな瞳で華奢な肉体を包むワンピースが素敵。
白黒映画なんだけど、抜群のスタイルでの着こなしっぷりが充分に伝わってくるのだ。


彼女が養父への恋愛感情を隠すこともなくぶつけてくる姿も実に健気でいて大胆。
洋装の勉強のために朝子がひとりで東京へ勉強しにいくことになり
一時同居生活が解消されるのだが、仕事で東京を訪れた牟田口と会うシーンがある。



二人は遊び歩いた後にホテルの同じ部屋に泊まるのだが、歌を歌いながら
天真爛漫そうに洋服を脱いでバスを使う。
その姿をうっかり鏡越しに見てしまった牟田口はもだえ苦しむ。


そして、ホテルのボーイに協力させ仕事で突然出かけなくてはならなくなったと
一芝居打ってその夜、朝子と同じ部屋で休むことから逃げた。


牟田口を養父としてでなくひとりの男として愛してしまった朝子が、
その思いを隠すどころかどんどん大胆にさらけ出していく。
それがまっすぐなだけに、なんとか成就させてやりたいと思った。
最後はハッピーエンドで良い映画でした。


共演は岡田眞澄、稲垣美穂子、草薙幸二郎、下元勉、松下達夫ら。
岡田眞澄、稲垣美穂子、草薙幸二郎はどこに出ていたかわかりませんでした。
下元勉、松下達夫はかろうじてわかった感じ。
さすがに皆さん若い。








シネマヴェーラ渋谷

館内に展示されている映画ポスター。


渡哲也、松原智恵子出演の「燃える大陸」と、
川口浩主演の「セクシー・サイン 好き好き好き」も
今回のコラボで上映予定されている作品です。




シネマヴェーラ渋谷



ひとつの記事に「挽歌」も書こうと思ったのだが長くなってきたので別エントリーで。



                         
                                  
        

「ボロ家の春秋」 (1958年) @神保町シアター

category - 昭和の日本映画
2018/ 05/ 14
                 
神保町シアターで『ボロ家の春秋』 (1958年/松竹)を見てきました。



タイトルと映画チラシが凄まじく、「いったいどんな映画なんだろう?」と
興味を持ち足を運ぶ気になったんです。



ボロ家の春秋


梅崎春生の直木賞受賞作「ボロ家の春秋」の映画化だそうです。





ボロ家の春秋 (講談社文芸文庫)



梅崎春生という作家の存在もそんな映画があることも
今回はじめて知りました。



出演しているのは中井貴恵と中井貴一のお父さん佐田啓二です。
以前他の記事でもちらっと書いたと思いますが、
中井貴一は目がキツくて苦手な顔だけど
佐田啓二はかなりの二枚目で見とれてしまいます。




そんな佐田啓二の相手役が有馬稲子。
自分の中では”地味なおばさん”という印象しかないんですが、
若い頃の彼女はチャキチャキした現代美人。


今回はブラウスと長めのスカートを一張羅として着てました。


どちらも地味な色とシンプルなデザインなんですが
不思議なことにブラウスの胸元が大きめに開いていて
それを大きな安全ピン(風?)のもので止めていて
嫌でも谷間に目が行くようにしむけているあざとさがなんとも言えない。
かなりグラマーなのか、やたらと胸が強調されています。



さて、映画のあらすじはというと・・・



しがないバイオリン弾きの五味(佐田啓二)は電車の中で
スリの被害にあった不破(多々良純)を助けた。



不破はその礼に五味を飲みに連れていくが、
酔っぱらって自分の話しを一方的にしただけで、
最後は酔いつぶれたふりをして勘定は五味に払わせる。


五味はそんな不破を自宅まで送るが
その車代も負担させられるというお人よしぶり。


タヌキじじい不破は飲み代車代を支払わせたことを
悪いと思う素振りもみせず帰りたがる五味を強引に
自分のボロ家に泊まらせた。



不破は一間しかない自分の家に入ると、
中には子供たちと古女房(三好栄子)がいた。
家を持っているとはいえ貧乏所帯に客が来たことで
カミさんの機嫌はすこぶる悪い。




五味が家を探していることを知った不破は
権利金四万円でこの家の一室を貸すことにした。
金が入ってくるとわかったカミさんは五味に対する態度を一変させるというわかりやすさ。



五味は恋人のナミちゃん(有馬稲子)からヴァイオリンをカタにして
四万円を借りる。
五味に金を貸したナミちゃんは学校の事務の仕事をしているが、
給料の遅延が発生していて金に余裕がある身ではない。




権利金を手にした五味はさっそくボロ家に引っ越す。
そこにはすでに間借り人の団長(日守新一)と妻がいた。
五味から金を手に入れた不破は選挙絡みの事情から
地方に出張に行くと理由をつけて家族を残してボロ家から出ていった。



その後、ナミちゃんの学校で教師をしている野呂旅人(三井弘次)が
不破からこの家を買う約束をしたといい引っ越してきた。
五味と野呂がこの家の権利を巡って対立するなか、
今度は中華料理屋をやっている中国人チン(益田キートン)がやってきて、
権利の話しがどんどんややこしくなっていく・・・。



不破はチンから金を借りて返していなかったのだ。




チンが経営している料理店へ招かれ酔っぱらった五味と野呂は、
チンから怪しい書類を差し出され拇印を押すように言われた。
ナミちゃんはいぶかる二人の手を取ると強引に拇印を押させた。
それにより五味と野呂はチンに部屋代の二千円を支払わざるを得なくなってしまう。


ボロ家を巡りすったもんだの騒ぎが展開される中、
今度はナミちゃんの校長の2号(小山明子)がボロ家に乗り込んできた。




こうして今にも壊れそうなおんぼろ邸宅を巡り
家主である不破のカミさん、五味らが騒動を繰り広げる。



話が進んでいくにつれあやしさ全開の不破の詐欺師っぷりが浮き彫りになってくる。
五味とナミちゃん、チンの子分(桂小金治)はそれぞれ地方にいる不破を追いかけていくのだが、
不破は別の詐欺容疑でその場で警察に逮捕されてしまう。



結局、騒動の元となったボロ家だがすでに家も土地も都に権利が移っていた。
都の職員は老朽化を理由にこの家を取り壊すと言い、五味ら間借り人だけでなく、
家主だと思っていた不破のカミさんにも立ち退きを要求してきた。


五味たちはボロ家が都の持ち物だとは知らず、
ペテン師不破にいいように振り回されていただけだった。



この大騒動の最中、五味の恋人だったナミちゃんは野呂に乗り換えていた。
しかし、最後に来て野呂は校長の元2号と結婚することを決意し
ボロ家から引っ越していった。


残されたナミちゃんは、五味と別れて今度は貧乏じゃない男を捕まえようとするが、
それまではまだ五味と一緒にいるといいヨリを戻す。





はじめは電車の中でスリの被害にあう間抜けな中年男かと思われた多々良純だが、
ところがどっこい見事な詐欺師っぷりで周囲の人間を混乱に陥れる。


そんな多々良純に引っかかり、恋人有馬稲子からキスの度に
金を要求される情けない男を佐田啓二が演じている。
しかも、有馬の学校にいた三井弘次から虫下し入りのチョコレートをもらい、
食事中に腹を下して肛門を気遣いながらトイレへ行くという無様さ。


佐田啓二というと二枚目俳優の正統派というイメージしかなかったので、
こういう役柄は意外で新鮮に感じた。



また、以前書いた「カルメン純情す」にも出演していた三好栄子が
今回はおんぼろ屋敷のカミさんを演じているのだが、
貧乏暮らしで所帯やつれしていてボロ屋敷に溶け込んでいる。


勝手に広間でヴァイオリン教室を開いた五味に文句を言った時、
ブラウスを脱ぎ去って下着を見せるという誰得???な展開もあった。





ボロ家の春秋 神保町シアター


私が見に行った日は、かなり激しい雨が降っていた日でした。



4月からの暑さが嘘のようで肌寒さが戻ってきていた。
正直行こうかどうしようかな?と迷いながらも行って良かった。



ただこの日の映画は12時からの上映だったので
お昼は10:30から開いているサイゼリヤになってしまったことがチト残念。
やはり11時以降から営業を始めるお店がおおいですからね。




本当は新たに見つけた店でランチしたかったのだが
開店までまだ時間があり入ることが出来なかった。
こちらは今後機会があったときに入ってみようと考えている。





                         
                                  
        

「淑女は何を忘れたか」 (1937年)  映画監督小津安二郎「をんな」たちのいる情景@神保町シアター

category - 昭和の日本映画
2018/ 05/ 03
                 
『淑女は何を忘れたか』 (1937年=昭和12年/松竹)という古い映画を
神保町シアターで見てきました。


この映画を見るのは二回目なのですが、
初めて見た場所も神保町シアターでした。



神保町シアター 映画監督小津安二郎「をんな」たちのいる情景




前回見に行ったのが2014年のクリスマスの夕方。
あの時は、桑野通子と桑野みゆき親娘の特集でした。


神保町シアター 


壁に貼られたこれまでのチラシの数々。
下の左端が初回に見に行った時のものです。



その時に書いたブログ記事⇒■「淑女は何を忘れたか」 (2014年版)



そして、今回のテーマはこちら。


神保町シアター 映画監督小津安二郎「をんな」たちのいる情景

作品の監督と脚本(ゼームス・槙名義)をつとめた
小津安二郎の特集ですね。


今回はサイレント映画も2本あり、そのうちのひとつで
岡田嘉子と江川宇礼雄、田中絹代が出ている
「東京の女」も見たかったのですが残念ながら行けず・・・。


サイレント映画は全てピアノの生伴奏付きとなっています。
前に海外のサイレント映画をピアノ生伴奏で見たときにとても良かったこと、
岡田嘉子と江川宇礼雄が共演していることにも惹かれていたので、
またどこかで上映されるようならば今度こそは絶対に行こうと思っています。



それでは「淑女は何を忘れたか」のあらすじです。
前回書いたものをベースに手を加えてみました。





神保町シアター 淑女は何を忘れたか





大学教授のドクトル(斎藤達雄)は、妻(栗島すみ子)の尻に敷かれており
頭が上がらない生活をしている。


そこへ大阪から姪の節子(桑野通子)が泊りに来た。


節子はまさに関西の現代っ子で、思った事をそのまま言うし
お酒もタバコもやり車も乗りこなす。




土曜日の昼いつも通りにゴルフへ行かなかったドクトルを
妻は強引へゴルフへ行かせ自分は友人(吉川満子)たちと芝居見物へ行く。



この日、どうしてもゴルフへ行く気が起きなかったドクトルは
ゴルフへ行くふりをして、助手の岡田(佐野周二)の家へ行くと
事情を説明しゴルフ道具を預ける。


そして、馴染みのショットバーへ向かった。
一緒にゴルフへ行く予定の友人・牛込の重役(坂本武)に
現地から妻宛の葉書を投函してほしいと依頼し葉書を渡す。



そこへ節子が現れてなぜ自分がここにいるとわかったのか
ドクトルはビックリする。
節子はそんなドクトルに芸者遊びがしたいとせがんだ。





芸者に囲まれ酒も入った節子は
すっかり上機嫌で倒れる程に飲んでしまう。
節子に家に帰るように言うが彼女はまだ遊ぶ気で帰らない。
ゴルフへ行ったことになっているドクトルは自分が送っていくことも出来ず、
岡田を呼び出してタクシーで節子を自宅へ送り届けるように頼んだ。




深夜1時頃、タクシーで帰宅した節子を出迎えたお手伝いは
タクシーに岡田も同乗していたことを知り妻にそれを告げる。




当然嫁入り前の若い娘が酒を呑んで深夜男に送られて帰宅したことを
彼女が快く思うはずがない。


酔って帰ってきた節子に説教しようとするが、全く聞く耳をもたない。
岡田が節子を酔わせて深夜帰宅させたと勘違いした妻は、
岡田にも厳しい態度を取り始めた。



翌日はざんざん降りの大雨。


ゴルフへ行ったふりをして岡田の家へ泊まったドクトルだが
友人に依頼した妻あての葉書には
晴れていてゴルフ日和だと書いてしまったのだ。



友人は内容から雨が降っていたら
投函しないなどという気がきいた男ではないため
岡田からそばの七輪で焼いたばかりの
目刺しをもらって食事をしながらも
妻にゴルフ場へ行ってない事がばれるとヒヤヒヤしている。


しかも、その友人の妻(飯田蝶子)は、妻の友人でもあった。
おかしなことがあればすぐにバレてしまう。



ゴルフへ行っていたフリをする小宮が帰宅すると
妻は節子が酒を飲んで深夜に帰宅した事を告げ
ドクトルは妻の前で形ばかりの説教を節子にする。


そして、妻がいなくなった隙にドクトルは節子に
明日辺りゴルフ場から投函した妻宛の葉書が届くはずだから
彼女の手に渡る前にとってほしいとお願いする。



しかし、翌日節子より素早く葉書を取り上げた妻は
一緒にゴルフへ行った牛込の重役が
現地が大雨で風邪をひいてしまったことを友人から聞かされた。


ドクトルは葉書に晴れていると書いていたが、
これによりドクトルがゴルフへは出かけてないことを見破ってしまう。


帰宅した妻はドクトルを責め立てるが
節子が機転を利かし、妻を部屋から出ていかせると
その隙にふたりで家から逃げ出してしまう。


節子からドクトルの妻に対する態度の弱さを
非難され、帰宅したドクトルは妻の頬を叩いてしまう。




その後しゅんとしている妻に、節子が状況を説明し
自分の行動について謝罪する。
ゴルフへ行くはずだった日、節子はドクトルと一緒に居て
ドクトルは岡田の家へ泊ったことも話した。


節子はそうして誤解の溶けたおばがおじに謝りに行く事を望んだわけだが
それより先にドクトルは妻へ手を挙げたことを詫びてしまう。


妻も自分の行動を詫びるが、はじめに彼女からドクトルへ詫びさせたかった節子は
おじにその事を言うと「せっちゃんにはまだわからないんだろうな」と
その考えを否定された。




おじは節子に、子供を叱る時怒るよりも褒めた方がいいことを例に出し
妻にはなをもたせる逆手のパターンについて説明した。


若く未婚の節子にはわからなかった夫婦だからこそのやりとり。
夫の上手い妻の操縦法だ。


節子はそういう手があったのかと感心する。




いよいよ節子が大阪へ帰る日。



妻はいつもの友人ふたり(飯田、吉川)と一緒に居て
夫から平手打ちされたことを心なしか嬉しそうに報告していた。


これまで妻がキャンキャン言っても表立っては抗わなかった夫が
初めて見せた男としての毅然とした態度。
妻は近くにあった派手なネクタイを取ると
うちの夫にどうかと友人らに意見を聞く。



一方、節子は岡田とお茶を飲んでいた。
これまでのことを話しドクトルから聞かされた逆手について触れ、
これからするであろう結婚生活についてあれこれと話した。



岡田は次はいつ東京に来るのか節子に尋ねた。
次に会った時はふたりの関係に変化が訪れるのだろうか?



嵐が過ぎ去ったように節子がいなくなったドクトルの家では
夫婦の関係が以前よりもグッと和らいで近くなったようだ。
夜が遅くなっても妻はまだ休む気にはならないようだ。
そして、ドクトルにコーヒーをすすめた。



妻は部屋を出ていくとお手伝いに今日はもういいといい、
自らふたりのコーヒーを用意して盆で運んできた。



夜も更け夫婦二人きりの時間、部屋の明かりがどんどん消されていく――。








あの頃映画 松竹DVDコレクション 「淑女は何を忘れたか」




こちらの作品はDVD化もされています。

しかし、私は映画館で見るあの雰囲気がたまらなく好きなので、
上映スケジュールを見て再び映画館へ足を運んでしまいました。



栗島すみ子のキンキンと夫や姪に説教する麹町の夫人が、
夫に一発頬にバチンとくらわされたことにより
女として夫を見るという態度の変化が面白い。


また妻に何を言われてものらりくらりとしていて
やられっぱなしに見えたドクトル斎藤達雄もいい。
顔立ちは整ってインテリそうなんだが
線が細くて男男しておらずどこか頼りなさげ。


そんなドクトルが姪の前で妻にガツンとやる。
これまで節子は叔母に何かと説教されていて、
自分だけでなく夫も自分のいいなりにさせようとしていたのを見て
叔母に対してモヤモヤした感情を抱いていた。
ドクトルの”ガツン”はそんな彼女の留飲を一度は下げる。


一方妻には彼女が詫びてくる前にドクトルは優しい声で謝ってしまうという。
ガツンの後だけにその優しい態度もこれまでとは一味も二味も違って見える。



この映画なんといっても一番魅力的なのは大阪の姪を演じた桑野道子。
栗島すみ子、吉川満子、飯田蝶子が和装なのに対して、
独身の若い娘・桑野道子は洋装。


スラリとした肢体に品の良い洋服を着ていて
モダンな雰囲気とセンスの良さが光っていてとても魅力的!


彼女が叔父の窮地を救い出し二人で家を抜け出して
通りを話ながら歩く場面、桑野道子と斎藤達雄のツーショットが
洗練されていて都会的ですごく絵になってました。



身のこなしもとても粋で洒落ているんですよね。



佐野周二も若くて目に力があると感じました。
最後のせっちゃんとの関係も、次来た時にはどうなるんだろう?
とあれこれ想像させてくれ続編が見たくなりました。



佐野周二はドクトル先生・斎藤達雄との下宿先でのやりとりが面白かった。
窓の外でザーザー振り続ける雨に頭を悩ませる斎藤達雄と、
淡々と七輪でめざしを焼いてはさらに振り分ける佐野周二。



おんな二人の勢いの良さに比べると、おとこ二人はそれを受け止めるように
ゆったりとしていて・・・
その対比がとても良かった。



今回は2度目とあって前よりも多く印象に残ったことがあった。


音声にノイズが結構入っていた。
麹町にあるドクトルの家はかなりモダンな作りで広いなど。




小津作品は眠くなるものも少なくはないが、こちらは都会的でリズム感があり
コメディ的要素もあることから、あっという間に終わりが来た感じ。



またどこかで上映するなら、三回目も見に行きそうだ。