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展覧会レポート昭和のドラマ昔の土曜ワイド劇場懐かし邦画

昭和の日本映画

        

「黒の切り札」 (1964年) ラピュタ阿佐ヶ谷 大映の”黒シリーズ”第10作

category - 昭和の日本映画
2018/ 07/ 03
                 
先日、ラピュタ阿佐ヶ谷で1960年初期に大映で制作された
『黒シリーズ』 の10作品目 「黒の切り札」 を見てきました。

6月も最終日の午前、とても暑い日だった。




ラピュタ阿佐ヶ谷



ラピュタではこの日まで、映画監督・岡本喜八の特集も行われていました。
最終日の12時50分の回は、「殺人狂時代」(1967年)の上映後に
主演の仲代達矢を迎えてのトークショーが行われるとあって
「殺人狂時代」のみ早々と完売になっていました。



ラピュタ阿佐ヶ谷


どうやら遠くから「殺人狂時代」を見に映画館を訪れたお客さんもいたようですが、
9:30位の時点ですでに完売とあってチケット購入できず無念そうでした・・・。
ちょっと気の毒だが、仲代達矢が来場するとあっては早い段階でチケットが完売するというのは
ある程度予想ができるところなので仕方がないですね。





さて、『黒シリーズ』ですが、私はラピュタのチラシを見て初めてその存在を知りました。


11作品作られたようで、ラインナップを見ると
主演は田宮二郎と宇津井健の二人がほとんどを占めています。


今回見た「黒の切り札」は、その田宮と宇津井二人が競演しています。



黒の切り札


根来(田宮二郎)は将来弁護士か検事になろうと大学で法律を学んでいた。
大学では大崎稔(宇津井健)という友人がいて、
根来はサックス、大崎はピアノでバンドを組んでいた。
二人は、知子(藤由紀子)という一人の女性をめぐってライバル同士でもあった。


知子は根来に心が傾いていて、音楽と学業でも根来は大崎を上回っていた。
長身でハンサムな根来は順調に人生を歩んでいたかに見えたが、
深沢義則(内田朝雄)という男が根来一家のもとに現れてから歯車が狂いだす。



根来の母は深沢と不倫関係に陥ったのちに自殺、
父は深沢に財産を奪われた上に廃人同様になり脳病院に入院中となってしまう。


法を学んでいた根来は、それをもって深沢に戦いを挑んでいくが、
力のある弁護士を雇った深沢に対し太刀打ちできないまま敗れ去る。
この時、法律が完全でないことを痛いほど知った根来は、
大学を辞め愛する知子の前から姿を消すと個人で深沢に復讐をしようと誓う。


根来は深沢の息がかかった難波多組に親分を殺されたやくざ者の多田(待田京介)、
多額の借金を背負い父が焼身自殺してしまった林(山下洵一郎)という
深沢の周辺にいるものに強い恨みをもつ二人を仲間に迎えた。


根来自身は難波多組がやっているナイトクラブ「シルクロード」にサックス奏者として潜入し、
多田と林に難波多(北城寿太郎)を襲わせ自分がそれを助けるという茶番劇を演じて、
難波多の信頼を勝ち取っていく。


根来たちは極東信用金庫を襲い不正の証拠となる隠し帳簿を盗みだし、
それを大崎に送り付けるが理事長の宇部(村上不二夫)は、
難波多の機転により早々に香港に脱出してしまう。


ところが宇部は入院している息子の容態が危ないという知らせを受け秘密裏に帰国する。
だがそれはバレてしまい宇部は空港で捕らえられるのだが、
取り調べ中に息子の命があとわずかというニセ電話により、
大崎が帯同し宇部を病院に送り届けたところで難波多たちに射殺されてしまった。



この間、大崎は内偵もかねてシルクロードを知子と訪れていた。
根来が知子らの前から姿を消してから、知子は大崎と婚約していたのだ。
久しぶりに知子と再会した根来だが、今の自分は父の復讐を果たすことが最大の使命。
あの頃の関係には戻れない。
大崎はこの時の根来との会話から、根来が事件にかかわっていることを察知した。



大学時代、根来は大崎にも知子にも何も告げずに去って行った。
しかし、今回の事件を調べていくと、根来がなぜ学校を辞めざるを得なかったのか、
その辛い事情を知ることになった。



根来たちは、深沢に電話をかけると葬送行進曲を流し続けて
身に危険が迫っているという脅迫を繰り返した。



難波多たちは小山(小山内淳)という小役人にダンサーのミミイ(十和田翠)を抱かせ
賄賂を使っていた。
店内でその様子を見ていた根来はミミイとベッドを共にし詳細を聞き出す。
そして、多田と林の三人で小山を拉致すると、これまでの全てを告白させて
テープに録音した。


難波多は身柄を釈放された小山からこの報告を受け、犯人は三人組だったと聞き出した。
三人のうち多田、林は見当がつくが、残る主犯格がわからず深沢は
見えない大物の存在に怯える。
難波多は小山から事の次第を聞き出すと、自分たちに危機が迫る前に小山を殺害し口封じをしてしまった。



またしてもあと一歩のところで、父の仇・深沢を破滅させることが出来ない。



根来はこうなったら最後の手段、直接ぶつかるしかないと思い深沢に電話をかけると、
殺された小山の告白テープを聞かせ、自分が根来夫婦の息子であると正体を明かした。
ついに深沢はあの時の息子が両親の復讐のために仕組んだことだと知った。



根来は多田と林に深沢を張らしていたが深沢の行方がわからなくなってしまった。
多田の連絡で根来は深沢が別荘にいるしかないとあたりをつけて、
三人でそこへ乗り込むことにした。



出発前、根来は知子を連れて、精神を侵された父が入院している脳病院へ連れていった。
廃人となった根来の父の姿を見た知子は、根来のいいよいうのない憎しみを理解しつつも、
法律で悪人を裁くべきだと根来にいうが、法の網を潜り抜ける深沢には自分が直接手を下すしかない。
心配する知子の気持ちを感じながらも、根来は方針を変えるつもりはなかった。





シルクロードではミミイの他に別の女(万理昌代)ともデキていた根来は、
難波多たちの姿が消えたという知らせを受け、深沢の別荘に集まっていると予測を立てた。



根来たちが別荘へ到着すると、案の定深沢と難波多の姿があった。
部屋に乗り込んだ三人は、いよいよ復讐を完成させようとするが、
それは根来たちの動きを察知した難波多たちの罠だった。



根来たちはロープで縛られ身動きが取れないようにされ、ダイナマイトを仕掛けた部屋に置き去りにされる。
だが、間一髪三人は部屋から脱出しロープウェイに乗り難波多たちを追いかける。
その途中、深沢を乗せた車を発見、根来たちは持っていたダイナマイトに火をつけて
車めがけて上から落としまくる。


とうとう深沢を乗せた車は炎上し、谷底へ転落。
ついに深沢の息の根を止めることに成功した。



すると、向かいからこちらにロープウェイがやってくる。
それは三人を始末しようと難波多が沢山のダイナマイト積んだ凶器だった。
何も知らない根来たちが深沢を始末したことを喜んでいるとふいにロープウェイの動きが止まった。
近くにはダイナマイト入りのロープウェイが停車している。



根来たちが異変を感じたときには時すでに遅し。
難波多は、向かいのロープウェイにダイナマイトが積んであるというと、
導火線に火をつけてしまう。



空の上で身動きが取れなくなった根来たちは必死にそれから逃れようと試みるがなすすべがない。



その頃、大崎は深沢の別荘へ向かう前に根来が送っていた小山のテープなど
深沢たちの悪事を暴く証拠の品を郵送で受け取っていた。
そして、深沢の別荘へ向かおうと大崎はヘリに乗り込んで空中での捜査をしていた。


大崎は上空から、下にあるロープウェイで必死に助けを求める根来、多田、林の存在を確認。
すぐにロープを下ろすと、三人はロープをよじ登ってヘリに到着。
爆発まであと少しのところで、無事に保護された。



こうして逮捕された根来は、かつて学んだ法律によって裁かれて罪を償うことになる。



JALのスチュワーデスをしている知子は現在香港に行っており、
気持ちの整理を完全につけ大崎と結婚する運びになるようだ。






映画 黒の切り札



『黒シリーズ』で主役をはっていた二大スタア、田宮二郎と宇津井健のシリーズ初共演作品だが、
”ダブル主演”というよりは田宮主演作という印象が強い。


また、二人が劇中争うスチュワーデス・知子を演じているのは、
後に田宮二郎と結婚することになる藤由紀子。
やはり善人役の宇津井健よりも過去に暗い影があり復讐に燃える
田宮二郎とのツーショットの方がサマになっていました。



今回は刑事役で中条静夫も出演していて、宇津井&中条の組み合わせが
「ザ・ガードマン」っぽい。



監督は石原裕次郎主演「嵐を呼ぶ男」の井上梅次。
私にとっては土曜ワイド劇場の”美女シリーズ”の印象が強い監督さん。


最後のロープウェイでの脱出劇なんか、美女シリーズの
「黄金仮面」を思い出してしまった。


美女シリーズと言えば、「魅せられた美女」くらいでしか見たことがなかった
待田京介が角刈りやくざで、やたら二重が強調されていて
美女シリーズで見た時の容姿と全然違っていたのにビックリ。
若い時は結構武闘派っぽい見た目をしていたんですね。



また内田朝雄が田宮二郎一家を破滅に追い込む大悪人という
らしい役柄で出演している。
法を網をかいくぐり悪事を働きながらものうのうと生き続けるというふてぶてしさ。


何より若かりし田宮二郎のハンサムさがたまらない。
ナイトクラブでサックスを吹く姿もしびれるし、
親の敵に復讐するために女を利用する冷酷さもまた良い。


それでいながら、学生時代の意中の人、知子に対しては
複雑な心境ながら検事という立派な職業をもった友人と
幸せになってくれることを願う純粋さは安易に女に体を使って
情報を得る男とは相反するピュアさを感じさせてくれる。



            
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「赤頭巾ちゃん気をつけて」 (1970年) @神保町シアター 庄司薫のベストセラーの映画化

category - 昭和の日本映画
2018/ 06/ 15
                 
神保町シアターで「赤頭巾ちゃん気をつけて」(1970年/東宝)という映画を見てきました。



神保町シアター


6月9日(土)から7月6日(金)までの27日間
「七〇年代の憂鬱-退廃と情熱の映画史」というテーマで
70年代の作品が17作品上映予定となっています。



赤頭巾ちゃん気をつけて

私が見に行ったのは初日の6月9日、この日の2回目の上映作品でした。
本来は見に行く予定ではなかったのですが、
主演が岡田裕介ということで見てみることに。




赤頭巾ちゃん気をつけて



この人の存在を初めて知ったのが、1970年に東京12チャンネルでやっていた
「江戸川乱歩シリーズ明智小五郎」での小林芳雄役でした。
これが何年か前に東映チャンネルで放送されたんですね。


岡田裕介



”明智小五郎”というと土曜ワイドの天知茂のイメージが強くて、
初めは拒否反応があったんですが、見てみるとまた美女シリーズとは違った面白さがあり
すっかりハマってしまいました。


「江戸川乱歩シリーズ明智小五郎」は「美女シリーズ」が始まる前に放送されていたんですね。




東映チャンネルで江戸川乱歩シリーズを見た時は、
岡田裕介はこの時代に役者をやっていた脇役の人で、
あまり芽が出ずに役者を引退したんだろうなと思っていました。


ところが、元東映社長の岡田茂氏の息子で、わりとすぐにプロデューサーになり、
その後は東映の社長を経て、現在は東映グループの会長になっていることを知って
すごく興味を持ちました。




細身の体に、ものすごい濃い顔と独特の声が印象的。
石坂浩二に顔が似ている。



役者デビュー後、すぐにこの「赤頭巾ちゃん気をつけて」で主演をつとめました。

今回初めて知ったのですが、庄司薫という人のベストセラー
「赤頭巾ちゃん気をつけて」の映画化だそうです。





赤頭巾ちゃん気をつけて (新潮文庫)


岡田裕介演じる主人公・庄司薫は原作者と同姓同名。
日比谷高校の三年生で、彼の語りで物語は進行していきます。


1969年2月9日、大学紛争で東大入試が中止となった薫くんは、
怪我で足の親指を負傷したり、愛犬ドンが死んでしまったり、
かねてから思いを寄せている同級生のガールフレンド由美(森和代)から
電話で「舌噛んで死んじゃいたい」と言われ、しばらくは絶交状態が予想され、
さんざんな一日になりそうだった。


病院では足の爪を剥されてしまい、しばらくの間は足を引きずる生活になりそうだ。
街に出れば知り合いのおばさん(山岡久乃)から、大学へは行かないと決意したのに
大学へ行くことを前提におしゃべりをされる始末。


だが、薫くんは、それを否定することもしなかった。
いつもそうだ。
由美の家に電話をかけるとだいたい彼女の母(文野朋子)の
他愛もないおしゃべりに付き合ってしまう。



足の爪を治療に行った病院で、女医がかがんで患部を見たときに、
ちらりと乳房が見えた。
薫くんは、全裸の彼女と抱き合う妄想に駆られるが、
治療室で彼女を襲うこともなく帰ってきた。



一日に二度は女を強姦したい欲求に襲われるが、
未だに童貞の薫くんは女を抱くチャンスがあってもそれをモノに出来ない。


同世代の男女が裸で抱き合うパーティーに参加しても、
その様子を部屋の隅で眺めるだけだ。
そして、そばにあったピアノを演奏して、同じようにその輪に加われない、
女の子たちと歌を歌うことしかできない。


幼馴染の由美とも、子どもの頃キスをしたり膨らんできた胸を見ただけで、
その後は手を握ることもない恋人とも友人とも言えない関係を続けている。


傷んだ足をかばいながら引きずるように街を歩いていた薫くんは、
幼い少女とぶつかってその場にうずくまってしまう。
少女は近くの喫茶店で母親が友人と話し込んでいて、
その合間に本を買いに来たのだと話す。


薫くんは彼女の手を引いてさっき出てきたばかりの書店へ行くと、
その子のために一番いいと思う「赤ずきんちゃん」の本を選んでやった。


ひとりになった薫くんは、由美とデートする。


薫くんは大学へ行くのを辞めたと言うと、
並んで歩く由美の手をそっととり、と二人は手をつないで歩いていった。






赤頭巾ちゃん気をつけて [DVD]



大学へ行くことを辞めた薫くんの二日間ほどを描いた映画。



主人公・岡田裕介さんの相手役・由美を演じたのは森和代。
ショートカットにほぼノーメイクのような透明感のあるみずみずしい容貌を持っている。

なんと、森本レオの奥さんになった方だとか。
若くして結婚引退したようで、今回初めてその存在を知った女優さんでした。




足を怪我した薫くんの家へ遊びに来る友人・小林には富川澈夫(すみお)。
この人は「太陽にほえろ!」にゲスト出演しているので初めて知った。
無理に思える長髪っぽい横分けが印象に残り気になっていた俳優さんだ。
「俺たちの旅」でも見かけたが、屈折した青年を演じているイメージがある。


今回も優等生の薫くんとは違い、小難しい哲学をお手伝いが薫くんの部屋に持ってきた、
和菓子をパクつきながら延々と述べるシーンが面白かった。


薫くんのベッドに寝っ転がると、和菓子が乗った盆を腹に置き、
最後は涙を流しながら熱い思いを切々と語る。



私が富川さんを最後に見たのは、90年代に放送された
土曜ワイド劇場の牟田刑事官シリーズでの刑事役だったが、
もうすでにお亡くなりになっていたんですね。


薫くんの母親は風見章子、すぐ上の兄に中尾彬。
中尾彬が若くて清潔感があった。





「赤頭巾ちゃん気をつけて」は音楽もとても良かった。
歌っているのは佐良直美で、映画にとてもマッチしている。


音楽と言うと、ピンキーとキラーズの「恋の季節」が演奏されていたり、
薫くんが立ち寄った飲食店のテレビで
いしだあゆみが「ブルー・ライト・ヨコハマ」を熱唱しているシーンが流れていた。


薫くんが電車に乗ったときに、なにかワケがあって涙を流していた乗客を
結城美栄子が演じていた。



今回の神保町シアターのテーマ「退廃」が感じられましたが、
それでいてどこかその中に甘い雰囲気もある。
音楽も耳に残る心地が良い映画でした。




岡田裕介さんも、薫くんのイメージにピッタリです。
彼の無機質な語りだが、それでいて時折見える感情の起伏のようなものがあり
独特のリズムを持っていた。








映画館内の壁に貼られていたブロマイド。


神保町シアター


ちゃんと岡田裕介さんのものもありました。



さて、神保町シアターでは7月7日から料金体系が変更になるようです。


赤頭巾ちゃん気をつけて


これまで一般は1200円でしたが、これが1300円となり、
平日3回目の上映のマチネ割引、水曜日のレディースデーが廃止。
代わりに水曜日はファン感謝デーとなり男性でも1000円で見れるようです。


毎月1日の映画サービスデー1000円と、ポイントカードは継続するとか。


男性にとっては水曜日が感謝デーになったことで
いつでも1000円で見れるようになるのは嬉しいのではないでしょうか。



料金改定といえばシネマヴェーラ渋谷でも7/21から変更があるようです。


これまで1500円の二本立てでしたが、一本立て入れ替え制で一般が1200円となります。








                         
                                  
        

「挽歌」 (1957年) @シネマヴェーラ渋谷 

category - 昭和の日本映画
2018/ 05/ 28
                 
シネマヴェーラ渋谷の”キネマ洋装店”コラボ企画『美しい女優・美しい衣装』へ
行ったときの続きです。

二本立て上映で前回は「白い悪魔」 (1958年)を書きました。



今回は二本目の「挽歌」 (1957年/歌舞伎座)です。
こちらも原田康子原作で北海道が舞台となっている。



挽歌 


兵藤怜子(久我美子)は子どもの頃の病気がもとで左肘が痛み、
かたわな身の上からかどこか屈折した思いを抱えている。


怜子の母は亡くなり父(斎藤達雄)はそんな娘を不憫に思い
縁談をすすめるが彼女はそれを受け入れない。
一家の身の回りの世話はばあや(浦辺粂子)がやっている。


その怜子はある日、幼い娘を連れて犬を散歩中の設計技師・柏木(森雅之)と出会った。
犬が怜子の手を噛んで怪我を負わせたことから柏木は連絡先を怜子に渡す。
後日、柏木の家を訪れる怜子だが柏木は不在中で姪が応対した。
その時に怜子は柏木の妻・あき子(高峰三枝子)の姿を見る。




劇団みみずく座に所属する怜子は劇団の仲間で
彼女に好意をもつ久田幹夫(石浜朗)と馴染みの飲食店ダフネにいた。
その時に偶然あき子が不倫相手の古瀬達巳(渡辺文雄)と会うところを目撃してしまう。




あき子は達巳と過ちを犯したもののすぐに改心し、達巳と別れようとするが
達巳のあき子への思いは強く別れ話は進まない。
柏木も妻の不貞を知りながらも娘がいることから表だって責めてこない。



自分が体が不自由なことにコンプレックスを抱えていた怜子は、
満たされない結婚生活を送っている柏木に自分と似たようなものを感じた。


やがて、怜子は柏木と一夜をともにする。



怜子の屈折した思いは理解できないもので、
柏木が知らない間にあき子に近づくと、
幹夫の絵のモデルになってほしいと頼み
柏木の不在中に幹夫とともに家へ出入りするようになった。



柏木を愛しながらも、あき子も慕い始める怜子。
複雑な胸中に苦悩する怜子だが、
柏木はあき子と離婚しようと考えていることを告げる。


だが、怜子は喜ぶのではなく、罪の意識からか
今のままでいいのと夫婦の離婚を回避させようとする。
まだあき子は二人の関係に気づいていない。


しかし、あき子が怜子の家へやって来たとき
ばあやが柏木から怜子のところへ何度も電話をかけてきていることを漏らし、
ついに二人の関係があき子にバレてしまう。


自分の不倫関係がもとで夫婦関係が破たんしたと思っているあき子は、
怜子のことを責めないまま帰って行った。
その後を追った怜子は涙ながらにあき子のことも
好きだという気持ちに偽りがないことを訴える。



達巳の人生を狂わし、柏木と怜子を不幸に陥れたと考えたあき子は
自殺を遂げることで全てを清算した。


柏木は怜子と一緒になることを望むが、
怜子は柏木への愛情とあき子への罪悪感に悩んだ末、
柏木のもとから去る決断を下す。



「白い悪魔」とは正反対にやりきれない結末の「挽歌」。



中年期の上品で物静かな女性という印象だった久我美子が、
不倫の恋に苦悩する若い女性を演じているのが意外だった。
今回は不具者ということもあり、どこか捨て鉢な感じで、
不倫相手への感情も激情的な演出がされていた。



愛人関係にある男の妻の不倫現場を目撃したからか、
わざわざ妻に近づいていったにもかかわらず、
その妻を憎みながらも好意を抱いていくという相反する感情を持つ。


そのくせ、男との関係もすっぱり切るのではなく、
逢瀬を続けながらもその妻への歪んだ感情に苦悩する。
結局夫婦関係を壊したかったのかなんなのか・・・。



しかもさんざんかたわといいながらも
妻が自殺してから家主が不在中に忍び込んだ
柏木邸のキッチンで料理を作る時に
普通に左手が使えていたのが笑えた。



1958年の作品ということで石浜朗が若くてびっくり。
おじさんの時しか知らなかったのでその好青年っぷりな
見た目は新鮮でした。



また渡辺文雄は面影はあるもののクレジットがなければ
彼だとは気づかなかったかも。


今回は「美しい女優と美しい衣装」がテーマだが、
ヒロインの久我美子はパンツ姿でちょっと男勝りな感じ。
それだけに女としての感情を森雅之にぶつける時のギャップが感じられた。


反対に貞淑で上品な風貌の高峰三枝子のエレガントさは
貫禄が伝わってきた。



さて、今回もまたまた気になる映画チラシがいくつも見つかった。



芹明香パラダイス 新文芸座

池袋の新文芸座で5月24日~5月31日まで行われる「芹明香パラダイス」



日活や東映のエロ作品が多数上映されるようだが、
最終日の5月31日は日本初の本番作品「愛のコリーダ」と、
神代辰巳監督の「青春の蹉跌」をやる。


このうち「青春の蹉跌」は見たことがあるが、
芹明香という女優が出ていたのには全く気が付かなかった。




小津4K 巨匠が見つめた7つの家族


監督小津安二郎の作品は結構見ているので行くことはないと思うが、
今回は4Kデジタルの修復版が上映されるらしい。
それが、新宿ピカデリーと角川シネマ新宿でやるというのが意外だった。



七〇年代の憂鬱 神保町シアター

こちらはすでに劇場ホームページで知っていたのだが、
神保町シアターの「七〇年代の憂鬱-退廃と情熱の映画史」


以前なんかの記事でちょろっと書いた「青春の殺人者」だが、
水谷豊が親を殺すときの描写や、母親役の市原悦子との
近親相姦っぽい関係が気味悪く狂気を感じ怖くなったのを覚えている。


これを劇場でやるのね。
私は一度見たら沢山だったので行かないが、
今の水谷豊しか知らない世代は一度見てみるといい。


またここでは沢田研二の「太陽を盗んだ男」も上映予定。

それ以外で目を惹かれたのは、東京12チャンネルでやっていた
「江戸川乱歩シリーズ」で明智の助手・小林を演じていた
岡田裕介が主演の「赤頭巾ちゃん気をつけて」だ。


彼は江戸川乱歩シリーズでしか見たことがなかったけど、
映画の主演をやっていたこともあるんですねぇ。




古いドラマや映画を見始めるといろんな俳優さんの存在を知るので楽しいです。


実際、古い映画といっても若い世代の方も結構見に来ていますからね。
若い女性がひとりで見に来ているのはいつも感心させられます。



久しぶりに映画を二本見て、渋谷駅の方へ歩いていく途中
すぐそばにあるBunkamuraを通りかかりました。



ル・シネマ ダリダ


この日(5月19日)からはBunkamuraにあるル・シネマでは、
映画「ダリダ」の上映がスタートしていた。
こちらも見たいなと気になっている作品のひとつです。


                         
                                  
        

「白い悪魔」 (1958年) @シネマヴェーラ渋谷 

category - 昭和の日本映画
2018/ 05/ 25
                 
シネマヴェーラ渋谷で森雅之が出演している「白い悪魔」と「挽歌」という映画を見てきました。



シネマヴェーラ渋谷



”キネマ洋装店”コラボ企画『美しい女優・美しい衣装』ということで
5月19日(土)から6月15日(金)まで1950~60年代の作品が上映されています。
私が行ったのは初日の5月19日でした。



シネマヴェーラ渋谷は二本立て入れ替えなしですが、
この日は特別上映『街頭』が11時からあり
こちらは入れ替え制で1本立てとなっていました。



私は通常上映の12:45~「白い悪魔」、14:35~「挽歌」の二つだけを見た。
ふたつとも森雅之が出ていて、どちらも原田康子原作の映画化だった。




「白い悪魔」(1958年/日活)は、
森雅之演じる牟田口克介がかつて思いを寄せていた女性の
娘・白戸朝子(野添ひとみ)を養女に迎えたことから話が始まる。


牟田口とその女性は相思相愛でありながらも牟田口が煮え切らないことから
別の男性と結婚し朝子が生まれた。
ところが夫婦は娘を残して死んでしまい朝子は祖父の白戸宗太郎(清水将夫)と
牧場で暮らしていた。


牟田口が久しぶりに友人・木谷(大森義雄)と宗太郎たちのところを訪れたあとまもなく宗太郎は
朝子を育てて欲しいという遺書を残して病死してしまうというもの。


洋装店を経営している牟田口の暮らし向きはよく
朝子は質素な牧場生活から華美な装飾を施す牟田口邸で
お嬢様のような暮らしへと環境が一変した。


牧場でのびやかに育てられた朝子はすぐに牟田口になつき、
血のつながらない親子関係は良好に見えた。


朝子は牟田口家に亡き母の肖像画が飾られていることから、
かつて牟田口が母に思いを寄せていたことがわかる。



一緒に暮らしているうちに二人の間には父と娘ではなく
異性としてへの思いが芽生え始める。
中でも若い朝子の牟田口への態度はあからさまで、
牟田口だけでなく周囲のものも父としてではなく、
男として牟田口を慕っているというのがわかるものだった。


独身の牟田口だが父と娘の関係が脅かされる悩みを木谷に相談する。
木谷は牟田口に親子の関係を続けたいならば
牟田口が結婚するしかないという。
そして、牟田口の洋装店に勤める小沢邦子(渡辺美佐子)との仲を取り持った。


クリスマスの日、朝子は二人で過ごそうと部屋の飾りつけをし
料理を作って牟田口の帰りを待っていた。
だが、帰ってきた牟田口は邦子と結婚することを決めたと言い、
これから邦子と木谷が家に来るという。




いつかこういう日が訪れると思いながらも、失意の朝子は家を飛び出すと、
かねてから自分に思いを寄せていた岡本(小林旭)たちと踊り明かし、
自分も岡本と結婚することを決めてしまう。


牟田口と朝子は互いに異性として惚れ合っているのがわかりながらも、
それぞれが愛のない結婚を決断した。
本当にこれで良かったのか?悩む牟田口は初めて惚れた相手と
結婚をする決断を下す。
岡本と旅行に旅立つために船へ乗った朝子に思いを伝えにいく牟田口。



客で溢れる船に乗り込むとひとりでいた朝子をついに見つけ出しプロポーズをする。
朝子は声を出して泣きながらそれを受け入れ、牟田口は朝子を抱きかかえて帰って行く。
戻ってきた岡本はそれを見てあっけにとられる。




森雅之の養女になってからの野添ひとみがすごく魅力的だ。
大きな瞳で華奢な肉体を包むワンピースが素敵。
白黒映画なんだけど、抜群のスタイルでの着こなしっぷりが充分に伝わってくるのだ。


彼女が養父への恋愛感情を隠すこともなくぶつけてくる姿も実に健気でいて大胆。
洋装の勉強のために朝子がひとりで東京へ勉強しにいくことになり
一時同居生活が解消されるのだが、仕事で東京を訪れた牟田口と会うシーンがある。



二人は遊び歩いた後にホテルの同じ部屋に泊まるのだが、歌を歌いながら
天真爛漫そうに洋服を脱いでバスを使う。
その姿をうっかり鏡越しに見てしまった牟田口はもだえ苦しむ。


そして、ホテルのボーイに協力させ仕事で突然出かけなくてはならなくなったと
一芝居打ってその夜、朝子と同じ部屋で休むことから逃げた。


牟田口を養父としてでなくひとりの男として愛してしまった朝子が、
その思いを隠すどころかどんどん大胆にさらけ出していく。
それがまっすぐなだけに、なんとか成就させてやりたいと思った。
最後はハッピーエンドで良い映画でした。


共演は岡田眞澄、稲垣美穂子、草薙幸二郎、下元勉、松下達夫ら。
岡田眞澄、稲垣美穂子、草薙幸二郎はどこに出ていたかわかりませんでした。
下元勉、松下達夫はかろうじてわかった感じ。
さすがに皆さん若い。








シネマヴェーラ渋谷

館内に展示されている映画ポスター。


渡哲也、松原智恵子出演の「燃える大陸」と、
川口浩主演の「セクシー・サイン 好き好き好き」も
今回のコラボで上映予定されている作品です。




シネマヴェーラ渋谷



ひとつの記事に「挽歌」も書こうと思ったのだが長くなってきたので別エントリーで。



                         
                                  
        

「ボロ家の春秋」 (1958年) @神保町シアター

category - 昭和の日本映画
2018/ 05/ 14
                 
神保町シアターで『ボロ家の春秋』 (1958年/松竹)を見てきました。



タイトルと映画チラシが凄まじく、「いったいどんな映画なんだろう?」と
興味を持ち足を運ぶ気になったんです。



ボロ家の春秋


梅崎春生の直木賞受賞作「ボロ家の春秋」の映画化だそうです。





ボロ家の春秋 (講談社文芸文庫)



梅崎春生という作家の存在もそんな映画があることも
今回はじめて知りました。



出演しているのは中井貴恵と中井貴一のお父さん佐田啓二です。
以前他の記事でもちらっと書いたと思いますが、
中井貴一は目がキツくて苦手な顔だけど
佐田啓二はかなりの二枚目で見とれてしまいます。




そんな佐田啓二の相手役が有馬稲子。
自分の中では”地味なおばさん”という印象しかないんですが、
若い頃の彼女はチャキチャキした現代美人。


今回はブラウスと長めのスカートを一張羅として着てました。


どちらも地味な色とシンプルなデザインなんですが
不思議なことにブラウスの胸元が大きめに開いていて
それを大きな安全ピン(風?)のもので止めていて
嫌でも谷間に目が行くようにしむけているあざとさがなんとも言えない。
かなりグラマーなのか、やたらと胸が強調されています。



さて、映画のあらすじはというと・・・



しがないバイオリン弾きの五味(佐田啓二)は電車の中で
スリの被害にあった不破(多々良純)を助けた。



不破はその礼に五味を飲みに連れていくが、
酔っぱらって自分の話しを一方的にしただけで、
最後は酔いつぶれたふりをして勘定は五味に払わせる。


五味はそんな不破を自宅まで送るが
その車代も負担させられるというお人よしぶり。


タヌキじじい不破は飲み代車代を支払わせたことを
悪いと思う素振りもみせず帰りたがる五味を強引に
自分のボロ家に泊まらせた。



不破は一間しかない自分の家に入ると、
中には子供たちと古女房(三好栄子)がいた。
家を持っているとはいえ貧乏所帯に客が来たことで
カミさんの機嫌はすこぶる悪い。




五味が家を探していることを知った不破は
権利金四万円でこの家の一室を貸すことにした。
金が入ってくるとわかったカミさんは五味に対する態度を一変させるというわかりやすさ。



五味は恋人のナミちゃん(有馬稲子)からヴァイオリンをカタにして
四万円を借りる。
五味に金を貸したナミちゃんは学校の事務の仕事をしているが、
給料の遅延が発生していて金に余裕がある身ではない。




権利金を手にした五味はさっそくボロ家に引っ越す。
そこにはすでに間借り人の団長(日守新一)と妻がいた。
五味から金を手に入れた不破は選挙絡みの事情から
地方に出張に行くと理由をつけて家族を残してボロ家から出ていった。



その後、ナミちゃんの学校で教師をしている野呂旅人(三井弘次)が
不破からこの家を買う約束をしたといい引っ越してきた。
五味と野呂がこの家の権利を巡って対立するなか、
今度は中華料理屋をやっている中国人チン(益田キートン)がやってきて、
権利の話しがどんどんややこしくなっていく・・・。



不破はチンから金を借りて返していなかったのだ。




チンが経営している料理店へ招かれ酔っぱらった五味と野呂は、
チンから怪しい書類を差し出され拇印を押すように言われた。
ナミちゃんはいぶかる二人の手を取ると強引に拇印を押させた。
それにより五味と野呂はチンに部屋代の二千円を支払わざるを得なくなってしまう。


ボロ家を巡りすったもんだの騒ぎが展開される中、
今度はナミちゃんの校長の2号(小山明子)がボロ家に乗り込んできた。




こうして今にも壊れそうなおんぼろ邸宅を巡り
家主である不破のカミさん、五味らが騒動を繰り広げる。



話が進んでいくにつれあやしさ全開の不破の詐欺師っぷりが浮き彫りになってくる。
五味とナミちゃん、チンの子分(桂小金治)はそれぞれ地方にいる不破を追いかけていくのだが、
不破は別の詐欺容疑でその場で警察に逮捕されてしまう。



結局、騒動の元となったボロ家だがすでに家も土地も都に権利が移っていた。
都の職員は老朽化を理由にこの家を取り壊すと言い、五味ら間借り人だけでなく、
家主だと思っていた不破のカミさんにも立ち退きを要求してきた。


五味たちはボロ家が都の持ち物だとは知らず、
ペテン師不破にいいように振り回されていただけだった。



この大騒動の最中、五味の恋人だったナミちゃんは野呂に乗り換えていた。
しかし、最後に来て野呂は校長の元2号と結婚することを決意し
ボロ家から引っ越していった。


残されたナミちゃんは、五味と別れて今度は貧乏じゃない男を捕まえようとするが、
それまではまだ五味と一緒にいるといいヨリを戻す。





はじめは電車の中でスリの被害にあう間抜けな中年男かと思われた多々良純だが、
ところがどっこい見事な詐欺師っぷりで周囲の人間を混乱に陥れる。


そんな多々良純に引っかかり、恋人有馬稲子からキスの度に
金を要求される情けない男を佐田啓二が演じている。
しかも、有馬の学校にいた三井弘次から虫下し入りのチョコレートをもらい、
食事中に腹を下して肛門を気遣いながらトイレへ行くという無様さ。


佐田啓二というと二枚目俳優の正統派というイメージしかなかったので、
こういう役柄は意外で新鮮に感じた。



また、以前書いた「カルメン純情す」にも出演していた三好栄子が
今回はおんぼろ屋敷のカミさんを演じているのだが、
貧乏暮らしで所帯やつれしていてボロ屋敷に溶け込んでいる。


勝手に広間でヴァイオリン教室を開いた五味に文句を言った時、
ブラウスを脱ぎ去って下着を見せるという誰得???な展開もあった。





ボロ家の春秋 神保町シアター


私が見に行った日は、かなり激しい雨が降っていた日でした。



4月からの暑さが嘘のようで肌寒さが戻ってきていた。
正直行こうかどうしようかな?と迷いながらも行って良かった。



ただこの日の映画は12時からの上映だったので
お昼は10:30から開いているサイゼリヤになってしまったことがチト残念。
やはり11時以降から営業を始めるお店がおおいですからね。




本当は新たに見つけた店でランチしたかったのだが
開店までまだ時間があり入ることが出来なかった。
こちらは今後機会があったときに入ってみようと考えている。