2017/07/30
展覧会レポート昭和のドラマ昔の土曜ワイド劇場懐かし邦画

2017年07月30日

        

「火の坂道・乳母車はいつも5分前に通る」 (1983年)

category - 土曜ワイド劇場
2017/ 07/ 30
                 
「火の坂道・乳母車はいつも5分前に通る」の原作と
ドラマのラブシーン撮影時のエピソードは下記に移設しました。


「火の坂道」 (1983年)  小林久三 『火の坂道』




●「火の坂道・乳母車はいつも5分前に通る
妻と別れて、あの女と・・・・」  1983年7月30日
原作: 小林久三  『火の坂道』  火の鈴 (1980年) (角川文庫) 収録
脚本: 猪又憲吾
音楽: 福井崚
監督: 須川栄三
制作: 松竹
出演: 近藤正臣、岡江久美子、中村れい子、仲谷昇、
横山道代、塩屋智章、菅野忠彦、浜田寅彦ほか





真下勝一(近藤正臣)は、弁護士を目指していたが
司法試験に落ち続けて今では二流不動産会社に勤めていた。



これまでまだ早いと、妻の千江子(岡江久美子)を何度も堕胎させ
もう子供を産むことは出来ない体になってしまい
弁護士の勉強もあきらめた勝一に千江子も失望していて口論が絶えず
坂下の陰気なジメジメとしたアパートでの夫婦生活は破綻していた。





そんな勝一は毎朝の通勤時に密かな楽しみがあった。
それは坂下のボロアパートを出て急な勾配の坂道を
駅へ向かって上って行く途中ですれ違う
美也子(中村れい子)を眺めることだった。



「火の坂道・乳母車はいつも5分前に通る



彼女は雨の日以外、いつも乳母車を押して坂道を下ってくる。
勝一の憧れの高台に住んでいるであろうこの若くて美しい女の存在が気になっていた。





そんなある日、美也子が初めて勝一に会釈をした。



美也子のことを知りたくなった勝一は高台へ行き美也子の住まいを突き止め
彼女の夫が著名な弁護士の東田総平(仲谷昇)だと知った。





看護婦として働いている千江子の方にも、ロマンスがあった。
勤務先の医師・山田基晴(菅野忠彦)は妻と別居中で離婚を考えている。
山田はロサンゼルスの友人から内科医として招かれているといい
千江子にプロポーズした上で、旅行に誘ってきた。
しみったれた勝一との結婚生活に疲れ果て
エリート医師からの誘いに千江子の心は揺れ動く。




会釈をされてウキウキしている勝一は、雨が降った翌日の朝に坂道ですれ違う時、
美也子から初めて声を掛けられた。
その様子を駅まで買い物に行った帰りの千江子に見られてしまう。




美也子が散歩から帰えると書斎で東田が何者かに刺殺され
やってきた家政婦が通報し警察が来ていた。



宝石類と三十万円が盗まれており、犯行時刻頃家から飛び出す若い男が目撃されたことから
警察は犯人が美也子が出かけたあと開いていた窓から侵入したものとみていた。




事件後、勝一がいつものように坂道へ上ると乳母車を引いた美也子の隣に
志賀刑事(浜田寅彦)たちがいた。



「火の坂道・乳母車はいつも5分前に通る



美也子が赤ん坊を散歩させた後に東田が殺されたことから
勝一が彼女に九時五分前にこの坂道で会ったことを確かめに来たのだ。
毎朝決まった時刻にここを通るため、勝一は美也子のアリバイを証言した。



その後、勝一は東田の妹の寛子(横山道代)から喫茶店に呼び出され
美也子と勝一がグルになって偽の証言をしたと難癖をつけてきた。
美也子はもともと赤坂の三流バーのホステスで東田をたぶらかして後妻におさまり
財産目当てで東田を殺したのだという。




「火の坂道・乳母車はいつも5分前に通る


勝一がそれを否定し当日その時刻に確かに美也子に会ったというと
寛子は自分が財産を相続したらその中から分け前をやると勝一と取引しようとした。





勝一はすぐに美也子の家へ行くと、寛子から言われたことを話し
司法試験を受けようとしたときの知識を活かし
美也子に寛子に財産を渡す必要がないとアドバイスし、
寛子にもあきらめるよう仲裁に入ってやった。


そんな勝一に美也子は感謝の意を込めて料理を振舞った。



「火の坂道・乳母車はいつも5分前に通る


ひそかに恋していた美也子の料理を食べながら、
勝一はますます美也子に気持ちが傾いていった。








帰宅すると、千江子は勝一に旅行へ行きたいと話した。
美也子に気持ちが傾斜している勝一は、何の疑いもなく何日でも行ってきたらいいと
山田と一線を越えることに戸惑いを感じていた千江子を送り出した。


「火の坂道・乳母車はいつも5分前に通る



自分に親身になって行動してくれる勝一に美也子も心なしか優しく
二人の距離は縮まったかに見えた。


「火の坂道・乳母車はいつも5分前に通る



次に坂道で会ったときには、自然と会話もするようになった・・・。





一方、千江子は山田と伊豆のホテルで一夜を過ごした翌朝、
別居中の妻ミサエが山田を訪ねてきてやり直したいと言ってきているのを
千江子は見てしまった。




「火の坂道・乳母車はいつも5分前に通る


妻が旅行に行きひとりきりになった勝一は、美也子に会いたいと電話するが
彼女は都合が悪いと断ってきた。




そんな時、勝一は志賀から呼び出しを受け、美也子の息子の
勉が東田との間に出来た子供ではないことを知らされた。


「火の坂道・乳母車はいつも5分前に通る




志賀たちは美也子を疑っているようだが、あの朝は確かに美也子に会っており
彼女のアリバイは疑いようもない。
志賀は、美也子に共犯がいたなら東田殺しも不可能ではないと勝一に言う。



刑事たちと別れると勝一は美也子の行動に疑いを持ち出した。


雨の日以外、美也子は欠かさず勉を散歩させるために坂道を下っていたが
千江子が勤めている病院に夜、病気の勉を連れてやってきたという。
しかし、その翌日も美也子は乳母車を引いていた。




しかも、毎朝すれ違うだけの美也子が、事件の少し前に突然勝一に会釈をし、
事件当日の朝には勝一に声を掛けてきた。



それに、乳母車の幌の色は白だが、時折青に変わっていることがあった。
勝一は、散歩というのは名目で、美也子が誰かに幌の色を使って
サインを送っていたのではないかと考えた。


勝一が病院へ行き看護婦の平野(陳里佳)に確かめると
美也子が勉を引き取りに来たのは翌日の昼頃だといい
この日は美也子が空の乳母車を引いて散歩させていることがわかった。



「火の坂道・乳母車はいつも5分前に通る



おそらく美也子はアリバイつくりのために勝一を利用したのだろう。
だから雨の日以外は毎日欠かさず散歩する必要があった。
事件があった日声を掛けたのは、それを確実に印象づけるためだ。




勝一が刑事にアリバイを証言した後、美也子の態度は急に冷たくなった。
美也子は事件後も、以前と変わらずいつもの時刻に乳母車を引いて坂道を下ってくる。


ある日、勝一は乳母車の幌の色が青色の日に彼女の後をつけていった。
すると、栄一(塩屋智章)という若い男と赤ん坊を連れたままホテルへ入って行った。
栄一こそが勉の父親だった。



「火の坂道・乳母車はいつも5分前に通る



勝一は彼女がホテルから家に戻ったところを待ち伏せてこれまでの推理を話した。


美也子と栄一はクラブ時代からの付き合いで、ふたりは東田の財産目当てに
今回の犯行を行った。
美也子は東田の目を盗んで栄一と会うための連絡方法を乳母車の幌の色をサインにした。
青ならOK、白ならダメ、それを毎朝アパートの部屋から栄一が双眼鏡で確認していた。


事件当日、美也子はいつも通りの時間に乳母車を引いて坂道を上り
勝一に声を掛けてアリバイを作った。
栄一は開いていた窓から書斎に侵入し東田を殺害すると
宝石や金を奪い物取りの犯行に見せかけた。



勝一は勉が高熱を出して病院へ行った翌日は、空の乳母車を引いていたことも
美也子に話した。



美也子は勝一が何もかもわかって隠し通せないと察した。
元ホステスで男の扱いには慣れている美也子は、それに動じることなく
カーテンを引き、服を脱ぎ捨てると勝一を肉体を使って篭絡しようとしてきた。


莫大な財産を手に入れるだろう美貌の未亡人の誘惑を勝一は断ることは出来なかった。
美也子は栄一は道具にすぎないと思っているようで、勝一に一緒に逃げようと誘ってきた。


「火の坂道・乳母車はいつも5分前に通る






彼女と一緒に逃げることを決意した勝一は、旅行から帰ってきた千江子がいる
アパートへ帰るなり急いで荷物をまとめ家を出ていくといい飛び出していった。




一旦は山田の誘いに乗った千江子だったが、結局は裏切られ勝一のもとへ戻ってきていた。
彼女は荷物を持って出ていった勝一のあとをつけていくと、誰かと待ち合わせしているようで
しきりに周囲を見回している。


そこへ美也子と栄一が乗った車がスピードを上げて勝一をひき殺そうと走ってきた。
千江子は勝一の危険に気が付きとっさに彼のところへ行き救い出す。
しかし、美也子たちは真相を知った勝一を始末しようと執拗に追い回してくる。


勝一と千江子は近くの電話ボックスに駆け込むと、急いで110番し志賀にこのことを伝えた。
電話を掛け終わると勝一たちは急いでボックスを飛び出し、
美也子たちの車が無人のボックスめがけて突っ込んできた。

「火の坂道・乳母車はいつも5分前に通る


勝一に逃げられたことで、美也子たちは勉を連れて逃げるために家へ戻った。


そこへ、警察の車がやってきて二人は逮捕される。



勝一と千江子は互いの過ちを許し合い、やり直すことになった。





「火の坂道・乳母車はいつも5分前に通る

あのジメジメとした陰気なアパートから引っ越すこととなり
ようやく二人に笑顔が戻った。









東田の殺害方法は、ドラマでは刺殺と原作と違っていましたね。
確かに原作のトリックはちょっと微妙だなと感じたので、わかりやすくて良かったと思います。



終盤にきて、美也子が肉体を使って勝一の口を塞ごうとしたり、
千江子が山田の誘いに乗りホテルで一夜を過ごしたりと
畳みかけるようなラブシーンが続きましたね。





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「火の坂道」 (1983年)  小林久三 『火の坂道』



            
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