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殺人者と天才画家二つの顔もつ男 カラヴァッジョ展 - 2016.09.14 Wed

今更ながらですがカラヴァッジョ展について書いてみたいと思います。

日伊国交樹立150周年記念として2016年3月1日~6月12日まで
国立西洋美術館で開催され、私が行ったのは3月26日でした。

20160326caravaggio.jpg

3月には3つほど美術展を楽しんだのですが
なかなかブログを書く時間が取りづらい時期で
それぞれ思い入れがあり堪能したにもかかわらず
書くことを見送ってしまいました。


20160326.jpg


カラヴァッジョの現存する作品は約60点程と言われており
移動困難な作品も多数あります。
本展は約10点程が展示されており、日本で過去最多かつ
世界でも有数の規模となる美術展でした。


同じく現存する作品数が30数点程と言われるフェルメールが
1点でもあればほぼ「フェルメール展」として展覧会が成り立つことを
考えれば今回の10点程という数字がいかに多いものか
わかっていただけると思います。



20160326_2.jpg

チラシには「ルネサンスを超えた男。」と書かれている。
カラヴァッジョはバロック絵画の幕開けともいわれ
ルネサンスの後、バッロク絵画において
その形成に大きく貢献した偉大な画家である。



私がカラヴァッジョに魅力を感じるのは
彼の天才的画家としての卓越した技術力だけでなく
その狂気に満ちた波瀾万丈な生き方にもあるのだ。


カラヴァッジョは本名ミケランジェロ・メリージといい
1571年9月28日にミラノで生まれている。

6歳の時にミラノでペストが流行して父フェルモ・メリージが
亡くなったことで母と三人の弟妹とともに両親の故郷である
カラヴァッジョに引っ越すこととなる。


一家の大黒柱を失いミラノという都会から
田舎暮らしをせざるを得ない環境に身を置いたカラヴァッジョ。


1584年カラヴァッジョはわずか13歳で田舎を飛び出し
ミラノに出てシモーネ・ペテルツァーノのもとで4年間の間
画家で生計を立てるために絵の修行をするのである。


そして暴行事件を起こしたと言われている1892年に
ミラノを出てローマへと向かう。

母ルチアの死亡した時期も諸説あり修業期間を終えた年から
ローマに向かうまでの彼の動向は正確にはわかっていないようだ。


ローマ時代にはフランチェスコ・デル・モンテ枢機卿に見いだされ
モンテ邸に住むことになる。
そして、邸内に集っていた少年たちをモデルに一連の少年画を
書くことになった。

1593果物籠を持つ少年

≪果物籠を持つ少年≫  ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ  
1593~94年 ボルゲーゼ美術館

1597年頃に書かれたカラヴァッジョ唯一の現存する静物画
と言われている「果物籠」はまるで写真かと思われるような位
その写実性がみごとなのですが、「果物籠を持つ少年」の果物も
ブドウのみずみずしさや、繊細に描かれた籠の目のひとつひとつも
実に素晴らしかったことを覚えています。

籠を抱えた少年の官能的な表情が印象に残る。


1594トカゲに噛まれる少年

≪トカゲに噛まれる少年≫  ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ  
1596~97年頃 ロベルト・ロンギ美術史財団


カラヴァッジョの魅力のひとつに独自の感情表現があるのだが
わたしがおもいつかない表現で表しており
その中でも顕著なのが「トカゲに噛まれる少年」の
驚きと怖れをを含んだ表情なのだ。

一瞬の出来事を鮮やかに切り取り
劇的に捉えて描き出している。


1597バッカス

≪バッカス≫  ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ 
1597~1598年頃  ウフィツィ美術館

ローマ神話の”ワインの神”バッカスが
酒の入ったグラスを差し出しているところ。


幼さが残る表情に逞しい肩や腕とのギャップがすごい。
そして、手は再び下膨れ気味の顔と同一の描き方になり
顔と手、手以外の上半身では別人のように思えアンバランスだ。
しかも、胸の薄さもまた気になる。

この絵の持つ不自然さは何故だろうと思ったんですが
私にとってはこの違和感がそう思わせたんですね。


カラヴァッジョは非常に自我が強い男なのだろう。
自分以外の画家はほとんど評価してないし
またこれとは別にバッカスに扮した自画像も書いている。

お世辞にも美男と言えないカラヴァッジョだが
いろんな作品に自画像を描きまくっているのが興味深い。

中にはかっ斬られた生首が自分の顔だったりして
バッカスに扮した自画像でも病的な表情に
ぞっとするものがある。


抑えきれない暴力性を持ち数々の事件を起こした
カラヴァッジョは生首に自身の顔を用いることで
自らを絵画の中で罰していたのだろうか。


1597メデューサ

≪メデューサ≫  ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ
1597~1598年頃 個人蔵

見るものを石に変えてしまうギリシャ神話のメデューサ。
鏡のように磨かれた盾をもったペルセウスは
メデューサの首をはね盾に閉じ込めた。

噴き出す鮮血が生々しい。


カラヴァッジョで斬首というと有名な
「ホロフェルネスの首を斬るユディット」を是非見てみたい!



ミラノ時代の事件はその正確性が疑われるものだが
ローマ時代ではいくつかの事件で警察のご厄介になっており
絵画の他にカラヴァッジョが起こした事件に関する
裁判等の記録の品々も展示されていました。


刀剣の不法所持や熱いアーティチョークが盛られた皿を
給仕に投げつけた「食堂でのアーティチョーク事件」など
類稀なる才能を持ちつつも常に心に深い闇を抱えていた
カラヴァッジョの気性の激しい一面が伺われた。



1597女占い師

≪女占い師≫  ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ
1597年  カピトリーノ絵画館

若い男の手相を見るふりをして指輪を抜き取る女。
こういうインチキをしてだますというテーマは
よく西洋画の題材としてよく取り上げられる。

モデルは違うが似たようなカラヴァッジョの作品は
ルーブル美術館にも収蔵されている。

ルーブルよりこちらは背景が暗い。


1599ナルキッソス

≪ナルキッソス≫  ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ
1599年頃 バルベリーニ宮国立古典美術館

有名なギリシア神話に登場する青年。
ナルキッソスは水面に映った自分の姿に惚れてしまい
水に落ちて溺れ死んでしまう。

自分の美しさにみとれ文字通り溺れ死んだ
美青年ナルキッソス。



1602洗礼者聖ヨハネ

≪洗礼者聖ヨハネ≫  ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ
1602年 コルシーニ宮国立古典美術館


カラヴァッジョが最も多く描いた聖人といわれるヨハネ。
暗い背景に白い素肌と赤い衣のコントラストが美しい。



1605エッケホモ

≪エッケ・ホモ≫  ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ
1605年頃 ストラーダ・ヌオーヴァ美術館

これから磔刑を受けようとしているイエス・キリストに対し
集まった群衆に「エッケ・ホモ(この人を見よ)」とピラトは言った。



そして、カラヴァッジョは1606年5月29日ローマで
対立していたグループと複数人での喧嘩で相手の一人
ラヌッチョ・トマッソーニを剣で殺してしまうのだ。


手配中の殺人犯となってしまったカラヴァッジョ。

カラヴァッジョはラヌッチョの愛人であった娼婦フェリデ・メランドローニを
モデルに「アレクサンドリアの聖カタリナ」やフェリデの肖像画も書いている。


ついに殺人にまで手を染めてしまったカラヴァッジョは
ローマ郊外を経て、ローマの司法権が及ばないナポリへと
逃げ込み逃亡の旅が始まるのである。




1606エマオの晩餐

≪エマオの晩餐≫   ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ
1606年 ブレラ絵画館


祝福をしたのちパンを切り裂いた。
弟子がこの男が復活後のイエスだと気づくとイエスは姿を消してしまう。



逃亡中のカラヴァッジョが逃走資金を得るために
描かれたという名作「エマオの晩餐」であり
コロンナ家の山荘で潜伏中に制作されたと言われている。


カラヴァッジョの特徴である闇の中に光を効果的に使い
ドラマティックにその情景を表現している。
これ以降の作品には特徴的な表現方法だ。

カラヴァッジョはキアロスクーロという明暗法を使っており
作品を劇的に見せるだけでなくストーリー性も富んだものにしている。


「エマオの晩餐」はローマ時代にも書いているのだが
そちらはもっと光を多く取り込んでおり
イエスの顔もどこか田舎臭さが漂う庶民的なもので
今回のイエスの方が顔の輪郭が引き締まった分
威厳を感じるため復活後のイエスに相応しい面持なのだ。

また背景も今回は闇の中に人物が描かれており
厳かさが演出されているので重厚な作品となっている。



1606法悦のマグダラのマリア

≪法悦のマグダラのマリア≫  ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ
1606年 個人蔵

世界初公開と言われる「法悦のマグダラのマリア」で
オリジナルは行方不明と言われていたのが
個人が所有するコレクションの中に
このオリジナルが見つかったということで世界初公開となった。


もちろん今回の「カラヴァッジョ展」の目玉作品!


何故か日本で初公開という、ものすっごく貴重なものを
見ることが出来た!!!


オリジナルとわかったときは所有してた本人も
言葉では表せない位驚いたことだろう。



さて、カラヴァッジョはナポリで1年ほど過ごした後
マルタ島へ行くのだが、そこでも名作を描き騎士団に入団する。


しかし、この栄光も束の間でそこでも襲撃事件を起こし逮捕され
牢獄へ入ることとなるのだが、なんと脱獄に成功し
シチリア島へと逃げ込むこととなり再び逃亡の日々を過ごすことになる。


追手から逃れるために移動を重ねナポリへ戻ったカラヴァッジョは
1609年10月24日復讐の手から逃れられず居酒屋の前で襲撃され
瀕死の重傷を負うのだ。


カラヴァッジョは逃避行をしながらも名作を描き続けていたのだから
本当にすごいというかなんというか。


傷も癒えてきたのか1610年夏頃、自作数点と全財産を持った
カラヴァッジョは北へ向かう船に乗り込んだ。
ローマの有力者たちが奔走してくれたおかげで近いうちに
恩赦が見込めることになりそうで再びローマを目指していたところだった。


しかし、山賊と間違えられたカラヴァッジョは逮捕されてしまう。
数日後に釈放されたものの逮捕劇の騒動により
持っていた絵を失ってしまった。


このあたりは情報が錯綜しているのであいまいだが
熱病に冒されてしまい38歳という短い生涯を終える。


その直後に恩赦がだされたが、目指したローマの地を
再び踏むことはできなかった。


数奇な運命を歩みながらもバロック期に活躍し
多くの画家たちに影響を与えたカラヴァッジョ。
カラヴァッジョの画法を模倣したり継承した
同時代、次世代たちは”カラヴァジェスキ”と呼ばれ
その中のひとりラ・トゥールの「煙草を吸う男」も
今回展示されていました。


今回の展覧会とは全く関係ない話だが、カラヴァッジョ唯一の壁画
「ユピテル・ネプトゥルヌス・プルート」はフレスコではなく
壁に直接油彩で書いているのだが
そこに書かれている男性器が結構生生しい。

壁画全体からするとその存在は小さなものなのに
尿道口の線が非常にリアルなのだ。
陰毛も描かれており、天井画なので見上げた時に
大きさの大小に係らずその存在は嫌でも
目に入ってくることだろう。



さて、盛りだくさんだったカラヴァッジョ展だが
今年は私的に美術展豊作の年で
本当に行きたいものが多くて
嬉しい悲鳴を上げる1年となりそうです。


これから芸術の秋が楽しめそうです。

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