2017/02/08
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28歳で夭逝した芸術家の異常性愛に見るエロス 映画「エゴン・シーレ 死と乙女」

category - 映画(洋画)
2017/ 02/ 08
                 
先日久しぶりに渋谷のBunkamuraにあるル・シネマで映画を見てきました。

見たのは1月28日から公開したばかりの「エゴン・シーレ 死と乙女」です。


映画エゴン・シーレ死と乙女


エゴン・シーレは20世紀初頭に活躍したオーストリアの画家。


ノア・サーベトラ

主人公のエゴン・シーレを演じるのは長編映画は
これがデビューというノア・サーベトラ。
エゴン・シーレよりもはるかにイケメン!


フェレリエ・ペヒナー

シーレのミューズ的存在ヴァリを演じるのはフェレリエ・ペヒナー。
決して美人ではないが個性的な顔立ちと雰囲気で
記憶に残る風貌をしている。


彫りの深いくっきりハッキリフェイスではないのだが
明るいヘアが何故か顔立ちを引き立たせていて
翳りのある瞳が魅力的なのだ。

完璧な美人顔よりもどこかバランスを欠いたようにみえる
不安定な顔の方が人の心を奪ったりするもの。


ストーリーはシーレが妻エディットとともに
当時流行していたスペイン風邪に罹り
瀕死の状態にいるところから始まる。


死に向かって病状が進んでいくシーレに
彼が美術アカデミーを退学してからの
過去の映像が重なり合ってお話は進んでいく。

時系列に進行するのではなく
過去と現在が同時進行する形式だ。

若くして消えゆく命を描きながら
その男のこれまでの人生をかぶせていく。


エゴン・シーレは15歳の時に父を梅毒で失い
その時の映像がトラウマとなっていて
時折彼の脳裏に現れては彼を苦しめている。


その後は叔父がシーレと妹ゲルティを金銭面でサポートしている。
ウィーン美術アカデミーへ進学したものの保守的な
アカデミーに嫌気がさし退学をしてしまった。

シーレは仲間たちと芸術集団を結成し
実の妹であるゲルティのヌードを描いていた。


そんな折、仲間たちと訪れた場末の酒場で
褐色の肌をもつモアと出会う。
モアはシーレのヌードモデルを務めるようになるが
ゲルティはそれを快く思わない。


シーレとゲルティは明らかな性行為の場面はなかったものの
兄妹の近親相姦を匂わせる演出がされている。

他の女性と親しくなるシーレに心中おだやかではなく
シーレの芸術仲間アントンと一夜を過ごしてしまうのだ。


大胆な作品で注目を集めつつあったシーレは敬愛する画家の
グスタフ・クリムトからヴァリというモデルを紹介される。


ヴァリはおそらくクリムトの愛人だったと思われるが
クリムトにとっては17歳という若すぎたヴァリはシーレに譲られ
やがて彼のミューズとなり彼女をモデルとした名画が製作される。


シーレとヴァリは同棲を始めるが、ある日14歳の家出娘を
家へ迎え入れてしまう。
この少女の裸体画も描いてしまうシーレ。

その後少女がシーレと過ごしたことを警察に訴えたことで
シーレは逮捕され自宅から沢山のヌード画が没収された。


結局医者が少女の処女膜が失われていないことを確認したため
シーレは無罪となるが少女のヌード画は目の前で焼かれることなった。


シーレとヴァリが住んでいた家の向かいには
アデーレとエディット姉妹が住んでいた。
シーレに姉妹ともに思いを寄せていた。

まずは姉のアデーレと親しくなるシーレ。
おそらくアデーレとはその後特別な関係になったのだろう。


奔放に生きていて縛られることは嫌いそうなシーレだが
結婚は考えていた。
第一次世界大戦が勃発しており、兵役に服した場合
妻は現地へ連れていく事ができる。


結婚を考えた場合妻としてふさわしいのは
ヴァリではなくきちんとした家の出の娘だ。


ヴァリ自身も結婚なんてしたくないと強がる。
そして、誰の物にもならないとシーレに言う。

ある日姉妹の家へ招待されたシーレはアデーレではなく妹のエディットに
アデーレが同席してたにもかかわらずプロポーズを匂わせる発言をする。

自分を裏切る発言にショックを受けるアデーレ。


あれほど結婚は考えていないと言った
ヴァリもシーレがエディットと結婚すると知ったときは
ショックを隠せなかった。


シーレはエディットとの結婚は形だけだといい
ヴァリとも関係を続けようとした。


耐えきれなくなったヴァリはシーレの元を去り
従軍看護婦となったものの戦地で病死してしまう。
実際はどうかわからないが、映画では最後まで
シーレを忘れることが出来なかったヴァリ。


シーレはその後展覧会で作品を発表して脚光を浴び始める。

しかし、妻のエディットが戦後流行していたスペイン風邪に罹り
シーレの子を宿したまま命を落としてしまうのだ。

同時にシーレ本人もスペイン風邪で瀕死の状態が続く。
薬を調達するためにシーレの妹のゲルティは
アデーレたちに宝石をねだる。
アデーレは自分を裏切ったシーレに憎しみがある。

ゲルティはその後若くしてアントンの子を宿し
彼と結婚し出産もしていた。


ゲルティの懇願にアデーレ家はついに宝石を渡す。
早速薬を持ち帰ってくるゲルティだったが
シーレの元へ着いたときには既にシーレは
ベッドの中で冷たくなっていた。


芸術家というものは色を好むもので
複数の女性との関係を同時進行
あるいは仲間の妻を公然と寝取るなんていうのは
他の画家でもあるのだが
シーレの場合、妹ゲルティとの関係がひっかかる。

近親相姦が実際にはあったのかなかったのか
本当のところはわかりませんが
少年時に父が梅毒で死んだことなど
環境が彼の心に暗い影を落とし
それが彼の人間形成に於いて大きな影響を
与えたのであろうことは推察できる。

父親が亡くなるまでどういう家庭環境で育ってきたのか
この辺りが深く知りたいところです。





死と乙女

「死と乙女」1915年

シーレがヴァリをモデルとして描いた最後の作品。
タイトルは「男と乙女」だったのだが
ヴァリの死によって「死と乙女」に改められた。


エゴン・シーレ死と乙女

今回の映画の記事がズラリ。
映画館で見るお馴染みの光景。


映画と絵画

今回は芸術家の生涯ということで劇中登場した
彼の絵も紹介されていました。


映画 アイヒマンを追え!

こちらは2/10までで終わってしまうそうだが
「アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男」
という映画もやっていました。

面白そうで興味はあったので
またどこかでやることがあれば
見に行ってみたい。

アイヒマンを追え!

1960年、世界を震撼させたナチス戦犯アドルフ・アイヒマンを拘束。
この歴史的捕獲作戦を実現へと導いた影のヒーローがいた。
その男の名はフリッツ・バウアー検事長。
歴史上きわめて重要なこの人物は、いかにして消息不明のアイヒマンを発見し、
追い詰めていったのか?



アドルフ・アイヒマンとはナチス政権下で6000万人ものユダヤ人を強制収容所へ
移送させ、ユダヤ人問題のホロコーストの中心的役割を担った人物だそうだ。



パリ・オペラ座夢を継ぐ者たち

夏から公開になるという「パリ・オペラ座を継ぐ者たち」も気になりました。





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コメント

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No title
こんにちは、
私も映画『エゴン・シーレ 死と乙女』を見てきましたので、画像と詳しい鑑賞レポートを読ませていただき、映画エゴン・シーレ 死と乙女』の感動が甦ってきました。私はエゴン・シーレの作品は数多く見て魅了されましたが、シーレがなぜこのような絵画を描けたのか分りませんでしたが、この映画をみて、エゴン・シーレの絵画の本質と魅力がかなり分かってきたような気がしました。

私も『エゴン・シーレ 死と乙女』を観て、この映画から感じた天才エゴン・シーレとその芸術について整理してみました。読んでいただけると嬉しいです。ご意見・ご感想などコメントをいただけると感謝いたします。