早熟で早逝フランス・ロマン主義の画家シャセリオー展@国立西洋美術館

先日、上野にある国立西洋美術館へ
「シャセリオー展」を見に行ってきました。

シャセリオー展

前日までの曇りから一転、晴れて気持ちの良い一日となりました。
上野公園は通らなかったのですが晴天だっただけにちょっと残念。
次回以降花見が出来そうなタイミングで訪れたら
公園をブラブラするのもいいかもしれない。

国立西洋美術館 ロダン

前庭にあるロダンの彫刻「弓をひくヘラクレス」
美術館の中へ入らなくてもロダンの作品を
いくつか見ることができます。


シャセリオー展自画像

チケット売り場前の看板は本人の自画像。


シャセリオー展

中へ入り地下の展示室へ向かいます。


国立西洋美術館

1階から庭を眺めたところ。
まだ午前中とあって日陰は寒く感じたものの
日差しはとても穏やかで気持ちが良い。


国立西洋美術館シャセリオー展

≪カバリュス嬢の肖像≫ テオドール・シャセリオー 1848年

今回のチラシにも使用されていた
「カバリュス嬢の肖像」です。
淡い色彩の背景に華やかな髪飾りとブーケが
まだ若いカバリュス嬢の美しさをより引き立てています。

芯がしっかりしてそうなこの女性は
当時一番美しい女性のひとりとして知られていたそうです。



シャセリオー自画像

≪自画像≫ テオドール・シャセリオー 1835年

こちらが若き日のシャセリオーです。

実はこの展覧会でシャセリオーを初めて知りました。
これまでも彼の作品は目にする機会があったのかもしれませんが
シャセリオーという画家をきちんと認識したのは
去年この展覧会が開催されるということを知ったときだったのです。


彼の師や影響を受けた画家たち、それらの作品も知っていたのに
シャセリオーその人については全く知らなかった。


なんせ今回が日本で初めて本格的に紹介されるというもの。
日本ではなかなかスポットが当たらなかった画家のようで
美術好きでも私と同じような方も沢山いらっしゃるでしょうね。


そこで、自分がシャセリオーの知識を深める意味もこめて
彼の経歴を簡単にご紹介いたします。



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19世紀フランス・ロマン主義の画家シャセリオー
*******************************************


テオドール・シャセリオー(1819~1856年)は
カリブ海に浮かぶイスパニョーラ島のサマナで
フランス人の父とクレオールの地主の娘である母との間に生まれます。


その1、2年後にはパリへ移り、絵に目覚めるのです。
大変早熟な画家だったようで11歳という若さでドミニク・アングルの弟子となります。
アングルからも「この子は絵画界のナポレオンになる」と太鼓判を押されたほど。


ドラクロワなどのロマン主義に対抗して、古典主義を継承していたアングルの元で
学んでいたシャセリオーですが、アングルがフランス・アカデミー院長を
務めるためパリを離れるとシャセリオーはロマン主義の潮流の中で
次第にロマン主義へと傾向していきます。


そして、わずか16歳でサロンに最初の絵の出品をしました。
この時は4点が入選し、その才能を高く評価されます。

20歳のシャセリオーは、ローマに旅行した際にアングルと再会するが
シャセリオーがロマン主義に目覚めていった事を面白く思うはずもなく師弟関係は解消されたのです。

その翌年には、サン・メリ教会の礼拝堂の壁画注文を受け2年後に公開されています。


順調に人生を歩んでいるかに見えたシャセリオーですが
25歳の時に父・ブノワがプエルトリコで自殺するという
大変ショッキングな出来事が起こってしまうのです。
若いシャセリオーがどのような苦悩を抱えていたか
想像に難くないですね。



翌年シャセリオーはにアルジェリアを訪れています。
彼がなぜこの地を選んだのか、父の死の影響が
どのように彼の心に影をおとしていたのか
そのあたり個人的に関係がありそうでもっと深く知りたいところです。


アルジェリアを旅したことで、現地の人々や風物を描きエキゾチックな作品にも取り組み始めます。


20代後半には、現在オルセー美術館がある場所に建てられていた
フランス会計検査院の大階段の装飾画も手掛けるのですが
3年後に起きた火災によって大きな損害を受けてしまうことになり
復原されたわずかな断片がルーブル美術館に残されているだけとなっています。



シャセリオーは当時美人で有名な女優のアリス・オジーとの恋愛もあり
彼のミューズ的な存在ともなっています。

アリスはシャセリオーと交際する前に
「私のように美しい女性と付き合うにはあなたはあまりにも醜すぎる」と
言ったというエピソードがあります。
アリス自身はこの発言を否定してますが。

シャセリオーの肖像画は16歳ころのものなので
アリスと出会った頃のシャセリオーの風貌がどのようなものか
知る由もありませんが、この発言が本当なら
アリスがどうしてシャセリオーと付き合う気になったのか
女心の変化も興味があるところです。


この美しく抜群のプロポーションを持つアリスをモデルとした絵では
「泉のほとりで眠るニンフ」という作品があります。
第2章の「ロマン主義へ-文学と演劇」で展示されています。


乾いた樹木と葉が見える暗めの森の前の草むらに
自ら身につけていた着衣でしょうか
淡いサーモンピンクの布の上にアリスがモデルのニンフが横たわり
その裸体を惜しげもなく晒しています。

まろやかな乳房を持つ抜群のプロポーション。
その美貌に自信をもっている表情の若い女性は
両腕を頭の上に組み、まぶたを落とし
全開になったわきの下に腋毛をはやしています。

光はその肢体と手前の彩のある草を照らし
深い森を背景にニンフを穏やかに浮かび上がらせている。

ニンフといいながらも腋毛があるということで
同時代の女性のヌードであることがわかります。


恋多き女アリスとの恋愛関係は数年で終止符を打つことになります。

この頃のシャセリオーは、レジオン・ドヌール勲章シュヴァリエを授与されている。


以降、サン・ロック教会の壁画を手掛けたり
パリの万国博覧会に出品したりと
芸術活動を進めていくのですが
もともと体が弱かったのでしょうか
わずか37歳という若さでこの世を去ることになります。




シャセリオーから影響を受けた画家として
ギュスターヴ・モローを挙げていました。

これまで常設展で何度も目にしていたモローの
「牢獄のサロメ」がシャセリオーの連作「オセロ」の中の
『もし私があなたより先に死んだら…』の影響を受けている
ということで展示されていました。

比べてみると「なるほど・・・」という感じで
見慣れていた「牢獄のサロメ」を
新たな視点で楽しむことが出来た。


連作についてはシャセリオーの「オセロ」の他に
ドラクロワの「ハムレット」も展示されていました。




アポロンとダフネ

≪アポロンとダフネ≫ テオドール・シャセリオー 1845年

ギリシア神話の「アポロンとダフネ」
ダフネに恋したアポロンはダフネを追いかけるが
それから逃れたいダフネは神に自分の姿を変えてくれるよう祈る。

神がその願いを聞き入れたとき
ダフネは足元から月桂樹の木となっていくのである。


この絵はまさにその瞬間
ダフネの足が月桂樹と変わっていき
表情までも失われていく。
アポロンはダフネに縋りついて
その変化を嘆いています。


気絶したマゼッパを見つけるコサックの娘

≪気絶したマゼッパを見つけるコサックの娘≫ テオドール・シャセリオー 1851年


アルジェリアを実際に訪れた頃の作品もあった中
こちらは帰国後だいぶ経ってから書かれた作品。

娘の顔立ちと衣装、背景にその影響がみてとれます。
実際シャセリオーは異国の衣装や装飾品などにも
深く興味をもっていたようです。


異国文化に触れたという繋がりで面白かったのは
印象派のオーギュスト・ルノワールの
「ロバに乗ったアラブ人たち」がありました。
この頃、我々が抱く印象派の技法に疑問を抱き始めていたということで
そういうルノアールの心境の変化とともに見るとさらに面白くなります。


またヨーロッパ人が異国文化に触れて刺激を受けるという点では
19世紀のイギリスで誕生したラファエル前派を
代表する画家のひとりであったウィリアム・ホルマン・ハントが
異国を旅した時に描いた絵を見た時と同じ印象を受けました。


そのほか前述した会計検査院の装飾壁画の断片も
終盤に公開されています。


去年までは知ることもなかった画家シャセリオーですが
見に行く価値がありそうだという話になり
行って良かったと思います。

もともとロマン主義自体はあまり興味がなかったので
これを機にもっと深く知っていくのもいいですね。


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