2017/04/29
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風刺が効いたシュールな映画「億万長者」

category - 昭和の日本映画
2017/ 04/ 29
                 
先日、「女性に関する十二章」について書きましたが
同じ、市川崑監督の「億万長者」も見てみました。
公開は「女性に関する十二章」と同じく1954年です。

億万長者


「億万長者」という題名から主人公がどう成り上がっていくのか、
どんな夢が見られそうなのか期待しながら見たんですが
かなり風刺の効いたブラック・ユーモア映画だったということからも
タイトルは皮肉的な感じでつけられたようで予想とは真逆の内容でした。



当初は「億万長者」というタイトルに興味を覚え
もとはこちらだけが見たかったのですが、
放送スケジュールを確認している最中
その前に「女性に関する十二章」も放送されることを知り
放送日程から「女性に関する十二章」⇒「億万長者」という流れで2作品を見ました。


2作品とも今回初めてその存在を知ったというもので
あらかじめの知識などはなく軽い気持ちで見てみました。



木村功

税務署員・館香六(木村功)は小心者で要領も悪く出世街道から外れている。
葬儀屋の2階に下宿して一人でつつましやかに暮らしている。
唯一の趣味はパチンコ屋に行く事。
しかも、自分はやらずに人がやるのを眺めているだけというもの。

未納の税金を取立てに行く仕事もやるのだが、押しが弱いのでうまくいかない。



飛行機が墜落して死んでしまった東太賀吉(多々良純)の通夜に取立てに行けば
妻山子(北林谷栄)に借金の利子を払うだけで手一杯で払えないと断られ
贋十二夫婦(信欣三・高橋豊子)の家へ行けば、失業中の身で
長男の門太(岡田英次)は養成所へ通っている身だし
その下はみんな小さな子供ばかりで牛乳配達や
妻が内職しても収入はしれていて取り立てに失敗している。



贋の家の2階には鏡すて(久我美子)という下宿人がいるが
1年半も下宿代をもらっていないという。
館はすてが原爆を作っていると聞き
思わずボロ家を飛び出すと走って逃げてしまう。

館は通りすがりの少年に
「ここは東京からどれくらい離れているかわかるか?」
と、問うと少年は
「沼津市は東京から123.5キロ離れている」と言う。
なんと沼津まで走ってきてしまった・笑(んなわけあるか!)

原爆と聞いて沼津まで走り逃げた館は安心して
その場で新聞紙にくるんであった自分が作った弁当を広げようとする。
直後、雨が降り「放射能の雨かもしれない」と慌てその場を去る。


ある層にとっては、一部の税務署員を接待したりすることで
利益を得る場合がある。
税務署の署長伝三平太(加藤嘉)などは適当に汚職もやって
うまいこと生きているのだが館にはそんなやり方は出来ない。


億万長者

税金の取り立てさえ失敗する館は署長に怒られたりしている。
署長はやり手の署員で娘の麻子(左幸子)と一緒に取り立てに行くよう命ずる。


麻子は署長が母を子を生む機械としか考えてなく
23番目の子供を産むと亡くなってしまったことで
自分は子供なんか絶対に産まないとまくしたてる。


その上、再度取り立てに訪れた贋家で麻子は
長男の門太と意気投合してしまう。


館は麻子にいいところをみせようと
財産の差し押さえをしてみせる。
その後は汚職することもいとわなくなった。

納税者の接待に応じて料亭へ行っては見たものの
融通が利かない館は300円弱しか節税できないといい
大阪弁で押しの強さを聞かせてくる男に恐れをなして
早々に料亭を後にしてしまう。

その後、未亡人山子から1万円握らされてみると
汚職をしてしまったと罪の意識が出てきて
死ぬ決心をしてしまう。


その1万円は原爆を作っていたすてにやってしまう。


結局死ぬことが出来なかった館は
ひょんなきっかけで知り合った
芸者の花熊(山田五十鈴)にそそのかされ
「脱税メモ」なるものを作成する。


館は、麻子から門太の子どもを身ごもってしまったと
相談を受けるが「脱税メモ」作成に気が行っており
それどころではない。




完成した「脱税メモ」を持参して花熊の店へ向かうが
花熊には元愛人で政治家の団海老蔵(伊藤雄之助)という先客があり
部屋の前でふたりの話を立ち聞きしてしまう。

館は正義感に基づいて「脱税メモ」を作ったのだが
花熊はうまいことこれを利用して汚職政治家などに
高く売りつける算段をしていたのだった。
館は花熊に会わずに店を後にする。
放心状態にあった館は道端に座り込み
「脱税メモ」を置き忘れてきてしまうのだ。


その「脱税メモ」が検事総長に拾われてしまったから
さぁ、大変・・・!


館は署長や花熊から攻められるものの
行政監査委員会が行われ
汚職政治家団は記憶にないととぼけてみせ、
署長は泣き落とし作戦に出るのだが
そこへ、脱税メモは自分が書いたと
館が毅然と入室してきた。

しかし、もとが小心者の館、作成した動機を
「汚職日本を救えるのはわたくしだからと信じたからです。
私も汚職をしました。未亡人から1万円受け取ってしまいました。」
と、発言しまわりからの嘲笑を受けると
心臓がドキドキと激しくなりその場に倒れてしまうというオチ。


その後、政治家の団はぼーっと道路を歩いていて
自動車に撥ねられて自殺として処理されてしまい、
差し押さえを受けた贋家も一家心中をしようとする。


門太は死ぬための薬を買いに行く。
残った贋夫婦は子供たちに一張羅を着させて
子供が拾ってきたマグロを食べた。
このマグロは原爆マグロだったのだ。


一家心中するとき館が贋家を訪れていた。
2階のすての部屋で寝かしてもらい、起きてみると
すてが原爆4号が完成したと喜んでいる!


慌てた館が1階へ降りると、門太と鉢合わせ。
門太は薬を調達するためにズボンを売ったので下着姿だった。
門太以外の贋家の人々は館が寝ている間にマグロの
放射能にあたって全員死んでいた。


原爆から逃れるため館と門太は家を飛び出す。
途中まで夢中になって一緒に走ると
それぞれ反対方向へ向かって逃げていった。


--おわり--




原泉

区役所と税務署の区別がつかず孫の出生届を出しに来た原泉。

この時まだ49歳くらいなのにものすごい婆さんぶり。



この映画原泉のような老け役で知られている役者が結構出てきます。


億万長者

未納の税金を徴収するため木村功がある家へ向かう。
どこのアジアのスラム?ってかんじでビックリ。


億万長者

この家は子沢山夫婦が住んでいた。
ただでさえ傾いて壊れそうな家に
小さな子供がわんさか住んでいる。



岡田英二

その家の長男門太は岡田英次。
どっかの養成所で、ニューフェイスというがまだ稼げていない。
他の子どもたちに比べてひとりだけやたら年をくったオジサンな子ども。

おまけに最後には下着姿となり
まるでオムツのようなブリーフ姿で走って逃げていた。



奥はこの家の夫婦。
贋十二役の信欣三と、妻のはん役の高橋豊子。


岡田英次って二枚目なんですけど
役をあまり選ばないっていうか
あれ、こんな役もやっちゃうの?っていう
そんな印象があります。

ここでもオムツブリーフのかっこ悪かったこと。


久我美子

久我美子は華族という名家の出身ながら、ここでは原爆作りに没頭する女鏡すてを演じている。
役でボロを着ていても、やはり育ちの良さは隠せない感じ。


北林谷栄

この人も老け役で有名ですね。
北林谷栄は当時43歳くらい。
子沢山で旦那が借金を残して死んでしまい
木村功が税金を納めるよう催促しにくるのだが
生活するのに手一杯。

なけなしの1万円を握らせなんとかその場をしのごうとする未亡人役だった。




多々良純

そのダンナ役が多々良純。
飛行機事故で早々に死んでしまうので登場シーンは少ない。


山田五十鈴

問題となる「脱税メモ」を館に作らせた芸者の花熊役は山田五十鈴。
花熊も13人子供を抱えていてこのメモを売って一儲けするつもりだったが。





伊藤雄之助

花熊の元愛人で、政治家団海老蔵役の伊藤雄之助。
悪徳政治家と思いきや、最後はあっけなく事故死してしまう。
汚職容疑で小菅刑務所から出所してきた団は
会わない間に勝手に花熊から縁を切られていた。
花熊に未練タラタラで、妻子と別れても
政治家を辞めても一緒になりたいとすがる。





加藤嘉

木村功が勤める税務署の署長伝三平太に加藤嘉。
やはり子沢山で学歴もなく、定年までなんとか
今の位置にしがみついていたいという。


老け役といえば加藤嘉もそうですね。
この時41歳くらいなんですが、そうは見えません。
20代位はどんなだったのでしょうか?



最後のほうで木村功が作成した「脱税メモ」をめぐって
元妻の山田五十鈴と共演していた。

調べるとどうやらこの映画が公開された年に
加藤嘉と山田五十鈴は離婚しているらしい。


映画ではそんなことも感じさせない息の合った演技を披露。
元夫婦だからこそできた阿吽の呼吸か。

この映画、山田五十鈴の芸達者ぶりが光ってましたね。




西村晃

館が初めて納税者の誘いに応じ料亭へ行く。
税金を少しでも安くしてもらおうと
よりによって気弱な税務署員館を接待してしまった
納税者の大阪弁の男に西村晃。




左幸子

税務署長・加藤嘉の娘の麻子は左幸子。
あれだけ子供はいらないといっていたのに
貧乏一家の門太の子どもを宿してしまう。


左幸子は左時枝の姉だったんですね。
今回初めて知りました。


億万長者

木村功らが勤務する税務署内の風景。
資料は全て紙ベース、中央にいる左幸子の手にはそろばんが。
何か調べるといっても、これだけの量があると
探し出すだけで一苦労。

億万長者

署長室にも大量の資料が。

億万長者

交通巡査役で高原駿雄。


内容としては「女性に関する十二章」の方が好みです。
いろんな役者の若いころ(?)を見れたのは良かったけど
コメディにしてるけど、テーマが原爆とか汚職とかですからね。

昔の役者たちの芸が楽しめたけど
事前におおまかなあらすじを知っていたら
敢えて見なかったと思う。


子だくさんの貧乏一家が差し押さえにあい
生活苦から一家心中を決め
知らなかったとはいえ最後の食事に
原爆マグロを食べてしまい全員死んでしまうとか
ブラック・ユーモアがきつすぎて笑えないぜ。


私のようにテーマの暗さが気にならない方は
見てみると楽しめるかと思います。

館の小心ぶりとか笑えるところもありますしね。








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