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2018/02/05
展覧会レポート昭和のドラマ昔の土曜ワイド劇場懐かし邦画

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「火車・カード破産の女」 (1994年)  宮部みゆきの山本周五郎賞受賞作品ドラマ化

category - 土曜ワイド劇場
2018/ 02/ 05
                 
●開局35周年特別企画
「火車・カード破産の女」  1994年2月5日
原作: 宮部みゆき  『火車
脚本: 吉田剛
音楽: 小六禮次郎
監督: 池広一夫
制作: 東映
出演: 三田村邦彦、財前直見、沢向要士、山口果林、
船越栄一郎、森口瑤子、角野卓造ほか



休職中の本庁捜査一課の刑事・本間俊介(三田村邦彦)のもとへ
亡くなった妻の親戚で銀行の係長・栗坂和也(山下規介)が訪れた。



栗坂の婚約者に自己破産歴がありカードが作れなかったことを
彼女に話したその日から突然、姿を消してしまい行方を探し出してほしいと
相談をしにきたのだ。
栗坂は銀行で融資担当をしていて、婚約者が自己破産を起こしたような
人物には見えず何かの間違いだと考えているようだった。



婚約者は関根彰子(財前直見)といい、本間は新宿にある彼女の勤務先
今井事務機へ行くが、彼女の過去の勤め先はいずれも実態がない
嘘の経歴で固められていた。


火車・カード破産の女



本間は彰子が自己破産を申し立てたときの担当弁護士・溝口治子(山口果林)に会いに行く。
彰子は宇都宮出身で、川口に住んでおり、借金返済のために新橋のスナックで働いていた。
去年母が亡くなり簡易保険が二百万円入ることから、
自己破産した身でそれを受け取っていいのかを相談しに
今年の1月15日に再び事務所を訪れている。



彰子は清楚な美人だったが、治子の印象は男好きがするちょっとだらしない女だという。
関根彰子という女の印象が大きく違うことに疑問を持った本間が彰子の写真を見せると
治子は自分が知っている彰子とは別人だという。


火車・カード破産の女

本間は栗坂と一緒に、彰子が住んでいた部屋へ行ってみる。
そこはきちんと片付けられていて、彼女の人となりがうかがわれる。
栗坂に婚約者が関根彰子になりすましているらしいということを話すと
栗坂はそれが信じられず彰子と本間が組んで嘘をいっているのではないかと疑い
捨てセリフを吐いて部屋を出ていってしまう。



本間は治子がいう関根彰子が住んでいたコーポ川口へ行く。
3月18日に彰子は、大家の酒屋に手紙を残して突然姿を消していることがわかった。
そこへ、本間の来訪を受け彰子のことが心配になった治子が来た。


本間と治子はこれまでわかったことを整理した。


本物の彰子は1月15日に母の保険金の相談をしに治子の事務所へやってきて
3月18日に大家に辛いことばかりで東京を離れるから荷物を処分してほしいと
手紙を残して消えてしまった。
大家は勤め先の新橋のスナックに電話したが、彰子は給料も受け取らないまま
店からも姿をけしている。
そして、4月1日に杉並の方南町に、栗坂の婚約者・偽者の彰子が住みついた。


本間は大家から預かっている本物の彰子の荷物を見せた。
封筒の中には母の墓を買おうとしたのだろう、故郷宇都宮にあるみどり霊園のパンフレットが、
さらに女性のおしゃれグッズなどを扱う訪問販売のローズラインのカタログが入っていた。




本間は、彰子の故郷宇都宮に謎を解くカギがあるかもしれないと考え
宇都宮へ向かい、彰子の幼なじみ本多保(沢向要士)と会う。
そこで、本物の関根彰子(森口瑤子)の写真を見せてもらった。



火車・カード破産の女

現在は経営者となり妻・郁美(菅原あき)がいる保だが
初恋の相手彰子の行方が気にかかり、本間と一緒へ東京へ行き
調査の協力をすると申し出てきた。





さらに本間が偽者の彰子の写真を保に見せると、
撮影現場が大阪球場の住宅博であることも教えてくれた。


本間はさっそく単身新大阪へ向かい、展示場の女子スタッフに写真を見せ
偽者の彰子が来ていた制服から三西エージェンシーという会社を割り出した。
行ってみると同じビルには、彰子が残していたカタログの会社・ローズラインが入っている。



本間はローズラインへ行き、ついに偽者の彰子の正体がわかる。


ニセの彰子は新城喬子といい、片瀬秀樹(畠山久)と社内恋愛をしていた。
喬子は準社員として総務部で片瀬の部下として働いていたのだ。
片瀬は喬子から頼まれて、関東甲信越の顧客データを喬子に渡していた。


火車・カード破産の女

おそらく喬子は何らかの事情で、別人になるためにデータの中から彰子を
選び彼女になりすましたのだろう。
でも、一体どんな事情からそんなことをしなければいけなかったのか?


本間は片瀬から喬子に渡した全データをくれるようにいうと、
同僚刑事・碇貞夫(角野卓造)に新城喬子の身元を調査するように協力を依頼した。
碇の報告によると、喬子に離婚歴があることが分かった。


火車・カード破産の女

本間は三重県伊勢市へ行き、喬子の元夫・倉田康司(船越栄一郎)に会い、
喬子が福島の出身で両親と三人暮らしだったが、住宅ローンの負担から
父が闇金に手を出し、厳しい取り立てから一家は離散したという過去があることを知った。



倉田が喬子と知り合った時彼女は仲居をしていて
厳しい取り立てもおさまってきたところで
結婚に反対する倉田の親も説得し結婚した。


ところが、喬子がいいところの若妻におさまったことで
再び厳しい取り立てが始まる。
倉田と喬子は催促から逃れるために法的な手段を考えるが
喬子の父は行方不明でこれから手続きするとしても
身元不明で決着がつくのは七年後になる。


父が死亡したかどうかの確認もとれず、打つ手がなくなった喬子は
倉田のもとから姿を消し離婚届だけが送られてきた。
その後、名古屋の友人宅を数度にわたって訪れた喬子だが
喬子の行方はわからないままだった。


そのうちローズラインを辞めた後に、やってきた時には
喬子は片手に火傷をしたといい包帯を巻いていたらしい。


火車・カード破産の女

その頃、治子から本間に呼び出しの電話がかかった。



治子も彰子の消息をつかもうと、宇都宮のみどり霊園へ行き
そこで彰子が見学ツアーに参加した時の写真を手に入れた。
彰子の隣には喬子が写っている。


喬子は彰子に狙いを絞り、虎視眈々と接触する機会をうかがっていたのだ。
治子の話では彰子は、何者かに狙われているように怯えていたという。
本間は見学ツアーで過去を断ち切り、生まれ変わりたかった若い二人の女が
交わした会話を想像していた。



火車・カード破産の女



そんな時碇から山梨県警から得た身元不明の変死体があるという報告を受ける。
死体はバラバラにされ、韮崎市内の墓地の山林に各部を丁寧に袋詰めした上で
捨てられていたのを5月5日に発見されていた。
本間は片瀬へ電話をかけ、喬子を合わせたという片瀬の姉が
山梨に嫁いでおり、喬子は山梨に土地勘があることを確認した。



片瀬に頼んでおいた、喬子に渡した顧客データ160名分が到着した。
彰子の名前があるのは7月で、その前にはすりかわる候補者がいなかったのか?


本間は名古屋の友人宅を訪れたときに、喬子が手に火傷を負っていた
という話を思い出した。
おそらく、その人物が第一の候補者で、焼き殺そうとして失敗したのだろう。



火車・カード破産の女

そして、第二の候補者彰子を殺害して、すり替わることは出来たが
彼女がカード破産をしていた過去があることを知らずこれも途中で失敗に終わる。


となると、喬子は今、第三の候補者にすり替わろうとしているのではないか?


本間は碇、保と手分けしてリストの人物に電話を掛け
独身か?身寄りはあるか?
条件にあてはまるなら、最近近づいてきた若い女がいないかを調べ
第三の候補者をあぶりだそうとする。

火車・カード破産の女

そしてついに有力な人物を探し当てた。


彼女は木村こずえ(吉野真弓)という23歳の女性で身寄りは姉だけ。
去年の11月に放火があり、こずえは助かったが、姉はその後亡くなってしまった。
その頃、新城喬子が姉妹に接近してきたことを聞き出した。



喬子が名古屋の友人宅を訪れたときに火傷したのは
木村姉妹の家に火を放った時に負った傷だったのだ。
彼女はその時、ターゲットを殺し損ねたからだろう
そうとうに荒れていて浴室の壁に頭を激しく打ち続けていた。



火事の後、姉妹の前から消えた喬子から久しぶりに連絡が入り
姉がその後に死んだことを話すと墓参りがしたいといい
明日の土曜日の午後銀座で会うことになっているというのだ。



翌日、待ち合わせ場所のレストランへ本間、碇、保も同行した。


そして、いよいよこずえの待つテーブルに喬子がやってきた。



火車・カード破産の女


初めてその姿を見る新城喬子は何も知らずに、こずえのテーブルにつくと
恐ろしい犯罪者とは思えないくらい、明るい表情でこずえと会話を楽しんでいる。



本間は彼女の不幸な過去を断ち切り、幸せになりたいというひとりの女としての気持ちが
痛いほどわかり、目の前の犯人を捕まえたいのか逃がしてやりたいのか葛藤する。


だが、本間は刑事だ。


どんな事情があれど、これまで起こした罪は償わせなければならないし
次の犯行も阻止せねばならない。


複雑な思いを抱えたまま、本間は椅子から立ち上がり
負傷した足を引きずり一歩一歩彼女に近づいていく。


保も碇も、本間と同じく椅子から立ち上がり
喬子へ向かって歩みを進めていく。



三方向から堅い表情をしながら近づいてくる三人の男の気配に
談笑していた喬子も異様な空気を感じて表情がかわる・・・。









「火車」というのは、仏教用語で、罪人を地獄に運ぶ
火が燃えている車の事だという。




脚本の吉田剛が「原作を渡されたときは五時間ドラマだと思った。」
と、語っているように複雑なストーリー展開らしい。
池広一夫監督も、「ヒロインの気持ちをどう表現するのかがポイントで、
松本清張の”砂の器”の雰囲気を出したかった。」と語り
ヒロインの悲しみや苦しさを表現する演出には苦心したようだ。



確かに90年代半ばの作品であるが、しっかりとしたつくりで
思わず引き込まれてしまう演出がされていてとても良かった。
作り手の意気込み、原作への敬意や愛情を感じて
良い作品を作り出そうとする熱意は伝わってくる。




犯人となる女性と、身代わりにされた女性、
二人の若いが不幸な過去を背負った二女性の心理を
事件を追う刑事の目を通して描かれている。

喬子はラストシーン以外では全て回想シーンでしか登場しない。



刑事は妻の親戚の婚約者とはいえ、犯人の喬子には
会ったこともなく、写真の中でその姿を見て
周囲の人の話の中でしか喬子の人となりがわからない。



だからこそ主人公たちの前に喬子本人が登場した時の
ようやく実物を目の当たりにした彼らの心境が
まるで自分事のようにリアルに感じて臨場感があった。




ラストも犯人に刑事たちが迫ってきて、それに彼女が気が付いたところで
終わっている。
よって、喬子が刑事に逮捕され長々と自白することなく
それまでも彼女の心境などは刑事の口を通して語られていた。



いったい刑事たちはどういう言葉を喬子にかけて逮捕し、
彼女の口からはどのような言葉でこれまでのことが語られたのか。
それは視聴者の想像にゆだねられていて
だからこそ印象に残るラストシーンとなった。



ただ、難を言えば、十代の頃から激しい取り立てに追われて
そのためにようやっと掴んだ妻の座も手放さざるを得なく
生きるためにはもう別人になるより他手段がなかった
新城喬子を演じた財前直見にどうしても健康さが見え隠れしてしまい
若いながらも運命に弄ばれたやつれや不幸感が薄かったこと


カードの借金が膨れ上がり、水商売に身を落としたが
それでも最終的には自己破産するしか逃げ道がなく
挙句の果てに自分と同じ借金に苦しむ女に殺されてしまう
被害者・関根彰子を演じた森口瑤子の優等生感が隠し切れず
派手なメークとファッションをしても、男好きでちょっとだらしない女という
感じがしなかったことが残念。





そして、今回何より驚いたのは



最後の銀座のレストランでのシーン。



店内に流れていたのがサイゼリヤで流れている曲だった。
今回、記事を書くために改めてドラマを見なおしてみて初めて気が付いた。



しかも、ラストの印象的な場面で流れているのだ。


当初は今年記事を書く予定でなかった「火車」だが
なんとなく書いてみようと思い久しぶりに見ることになったが
そんな新たな発見もあり記憶に残る作品となってしまった。




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