2018/04/09
展覧会レポート昭和のドラマ昔の土曜ワイド劇場懐かし邦画

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「夢を見たくて」 (1988年) 山田太一×深町幸男

category - 土曜ワイド劇場
2018/ 04/ 09
                 
ラテ欄には「土曜ワイド劇場」の記載がなく
「開局30周年特別企画」とだけ書かれていますが、
当時の他の資料では「土曜ワイド劇場スペシャル」と記載ありました。




開局30周年特別企画
●「夢を見たくて・やたらにピストルがあったりして!!
山田太一、深町幸男がつづる春の都会の夢と憧れの物語」  
1988年4月9日
脚本: 山田太一
音楽: 毛利蔵人
演出: 深町幸男
制作: 総合プロデュース
出演: 大竹しのぶ、柴田恭兵、早見優、平田満、
佐藤慶、名古屋章、二階堂千寿、谷村昌彦ほか



秋田県の村役場に勤める田村瑞枝(大竹しのぶ)は、
女優になりたいと家を飛び出し東京に出てきた妹・菜美(二階堂千寿)を
連れ戻しにやって来た。


菜美は同じ俳優養成所に通う新倉昌枝(早見優)と同居していて、
瑞枝は休暇の間そこで過ごすことになる。


夢を見たくて



上京した目的はもうひとつあった。
瑞枝には製材所の跡取りで婚約者の森山正夫(柴田恭兵)がいた。
ところが正夫は結婚寸前に行方をくらましてしまった。


あれから月日は流れたが瑞枝は正夫を忘れられない。
その正夫を渋谷のバーで見かけたという情報が入り
彼の居所を捜し会おうと考えたのだ。


瑞枝はその目的を菜美に隠して、秋田へ帰るように説得するが、
女優になる夢が諦められない菜美は首を縦に振らない。
言い合いになったときに、菜美が正夫と連絡を取り合っていることを知り、
瑞枝は喫茶店で正夫と再会することが出来た。


夢を見たくて



正夫は劇団をやりながら生活のためにバーテンとして働いていた。
公演は年に1、2度で芝居だけでは食っていくことができなかった。
狭い田舎の平凡な暮らしではなく、刺激を求めてやって来て、
瑞枝を決して嫌いになったわけではないと話す。
何も言わず自分の前から姿を消した正夫に、
瑞枝はまだ忘れることが出来ないという本心を言えないまま別れた。



そんな中、菜美と同様に東京へ出てきた昌枝を連れ戻しに、
名古屋から彼女の兄・貞雄(平田満)がやって来て、
力ずくで昌枝を家からひっぱり出そうとする。


夢を見たくて


瑞枝はその乱暴さに身を挺して昌枝をかばい、
貞雄ともみ合っているうちに昌枝はスキを見て部屋を飛び出してしまう。
その後帰宅した菜美に貞雄が昌枝の行き先を尋ねるが、
菜美は何も言わないまま、一旦諦めた貞雄は部屋を出ていった。



翌朝、瑞枝が目を覚ますと、書置きを残して菜美まで家を出ていってしまった。
そこへ貞雄がやって来て、二人はきっと一緒だから探し出そうと瑞枝を連れ出す。


瑞枝たちは二人が通う東京アクターズ学院を訪ねていき、
校長の松永謙次(名古屋章)と会った。
菜美たちはきっと仲間たちといると信じていた瑞枝は、
名簿を見せてほしいというが松永はそれを拒否する。



夢を見たくて


そして、松永は田舎へ連れ戻されそうだからしばらく学校には行けないと
かかれた菜美と昌枝からの手紙を見せた。
仕方なく瑞枝は貞雄と、学校から出てくる生徒たちを捕まえ
二人の居所を聞き出そうとするが誰も何も知らないと言い去って行く。



何の手掛かりも得れなかった二人が神社で休んでいると、
サングラスの男たちが現れ二人を追いかけてくる。
田舎から出て来て東京が二度目の瑞枝は、
着いた早々妹が姿を消し、悪人風の男たちが自分を捕まえようとする
わけもわからない恐怖に怯え貞雄と必死で走って逃げた。



男たちを振り切った二人は喫茶店へ入ると、貞雄は若い娘が連れ去られて
海外に売り飛ばされるという噂話を瑞枝に聞かせ
東京は怖いところだと瑞枝を震え上がらせることをいう。
瑞枝は警察に全てを話そうというが、貞雄は相手にしてくれるかと弱気だ。


夢を見たくて



そこへ、二人が追い回されているのを目撃した正夫が入ってきた。
三人は正夫のアパートへ行き、正夫の同棲相手が麻薬でボロボロになり
新宿の公園で死体となって発見された話を聞かされた。
その同棲相手が松永と会っていたという情報を得た正夫が
松永に会い確かめたが会ったこともないと否定されたという。



夢を見たくて



正夫は彼女の死の真相を探るために動いているとき、
瑞枝たちが男たちに追いかけられているところを見てしまったのだと話す。
菜美たちの身に危険が迫っていると感じた瑞枝は、
学校は仮の姿で何か裏があると感じた。



学校の帰り道で捕まえた生徒の浜田美穂(松岡ちさと)を
正夫が瑞枝と貞雄が待っている喫茶店へ連れてきた。



美保はあの学校を辞めた生徒がそのあと行方不明になっているという
うわさ話を瑞枝たちに話した。
美保もまた夢を追いかけて東京へ出てきたが、
いっこうに目が出ず学校を辞めようと考えているという。


夢を見たくて



貞雄は噂が本当かどうか確かめるために美保に学校を辞めると
校長に話すように提案した。
瑞枝はそれを止めようとするが、これまで何も起こらない日々を過ごしてきた美保は、
やってみるという。



美保は松永に会い学校を辞めることを話すと、いきなりピストルをつきつけられ
そのまま車で運び出されてしまう。
外で待機していた瑞枝たちは、タクシーに乗り込むと松永の車を尾行した。
大きな屋敷の中に車は入って行った。


タクシーを降りた3人を、あの時のサングラスの男たちが
ピストルをつけながら身柄を拘束すると屋敷の中へ連れていく。



夢を見たくて


部屋の中にはロープで体を縛られた菜美、昌枝、美保がいた。
松永も姿を現したが、彼はこの家の主・浦上(佐藤慶)の操り人形だった。
貞雄は昌枝と自分だけでも逃がしてくれと暴れだしはじめ、
ピストルで胸を撃ち抜かれてその場で息絶えてしまう。
目の前で行われた惨劇に瑞枝は半狂乱になり叫んだ。


夢を見たくて



浦上は岩手の百姓だが、若い女が都会に憧れて故郷を捨て、
嫁のきてがなくなった農家の苦労を見ていた。
若い女への憎しみから、彼女たちを痛めつけるようになったのだ。



正夫の同棲相手も彼らの餌食になったことを知り、
それをなじった正夫も撃たれてその場に倒れた。


夢を見たくて


正夫は瑞枝のことが忘れられなかったと言い残し死んでしまう。





浦上は瑞枝の目の前で、ソファにいた菜美に近づき
彼女をいたぶろうとしたところ、いつのまにかナイフでロープを切り
身動きが取れるようになった昌枝が浦上にナイフをつきつける。
その隙にピストルを手にした菜美が松永たちにピストルを捨てるように要求する。



だが、松永だけはピストルを捨てず、浦上を刺したかったら刺せばいいと裏切った。
男たちが捨てたピストルを拾った瑞枝に、松永は捨てるように要求した。
もう充分手を汚した松永は皆殺しにするつもりだった。



菜美はその松永に向かって引き金を引くが弾はなくなり空砲しかでない。
今度は逆に菜美を撃とうとする松永に、瑞枝が銃口を向けた。


夢を見たくて




涙ながらにピストルを捨てろと叫ぶ瑞枝を見た松永は
ピストルで自分の胸を撃ちぬき死んだ。


その混乱の中、浦上は昌枝からナイフを奪い彼女を人質にとる。


夢を見たくて


菜美が女優に憧れて田舎を出て、連れ戻しに来た瑞枝は
芝居に理解がないと思われたが、味気ない日常生活に
しばし夢を見させてくれる芝居の重要性を浦上に訴えた。






夢を見たくて



ナイフを持った浦上はそのまま瑞枝に迫ってくる。
彼は瑞枝に人を殺せるはずがないとタカをくくっているのだ。
浦上に瑞枝が刺されるのか、それとも瑞枝が浦上を撃つのか、
緊迫感が高まったところで銃声が響き浦上がその場に倒れる。


撃ったのは昌枝だった。
無力な自分たちだが悪を憎む気持ちはあると叫んだ。





するとどこからか拍手が聞こえ、死んだはずの正夫たちが立ち上がる。
ひとりあっけにとられた瑞枝もさすがに状況がわかってき始めた。



夢を見たくて



これは彼ら売れない役者たちの一世一代の大芝居だった。
瑞枝たちをここまで運んだタクシーの運転手(谷村昌彦)もグルで、
貞雄も昌枝の兄ではなく永田貞夫という仲間のひとりだったのだ。


菜美を連れ戻しに瑞枝が東京へ来ると知ったとき、
くだらないことをしていると誤解されるのが悔しくて、
正夫たちが松永に頼んでどこまで瑞枝をだませるか挑戦したのだ。
またとない機会に、みんなが真剣になってずっと役になりきった。






緊張が解け泣き崩れた瑞枝に正夫はみんなが気持ちを一つにしてやったことだといい
許してほしいと謝るが、芝居の内容が内容だけに許すことは出来ない。



芝居が終わったあと、正夫たちの馴染みの料理屋へ行き、
菜美が瑞枝と一緒に秋田谷へ帰るつもりだったことを
正夫の口から告げられた。


夢を見たくて


正夫はだまして悪かったと詫びると
こんな芝居を組んだ背景を細かく瑞枝に説明する。



瑞枝は上京した本当の目的が正夫を探しだすことだったことを明かす。
菜美を連れ戻すという理由にしなければ、東京へ1週間も滞在することは出来ない。
だまされてむしゃくしゃした瑞枝は、みんなの芝居に気がついていたというとそのまま店を飛び出して行った。



夢を見たくて


正夫もすぐに後を追い、二人ともお互いのことが忘れられなかったことを知り
そのまま一晩を過ごした。





翌朝、秋田へ帰る支度をしている菜美の部屋に
あれからどうなったか瑞枝を心配した貞雄がやって来た。
どうやら芝居をしているうちに瑞枝に惚れてしまったようだ。



そこへ瑞枝と正夫が来た。
菜美と昌枝は、昨夜瑞枝が帰ってこないことから
正夫とよりを戻した瑞枝は東京に残るものだと思っていた。


そばにいた貞雄に、芝居に気がついていたことは嘘で
すっかりだまされていたと瑞枝は白状した。

夢を見たくて



だが、正夫を探しに東京に来たというのは嘘で、
自分は秋田が好きだから菜美と一緒に帰るという。


二人の間でどんな会話があったかはわからないが、
気持ちの区切りをつけた瑞枝は貞雄たちに
みんなの芝居が見たいから秋田へ来てほしいと理解を示した。


こうして瑞枝は自分の意思で故郷へ帰ると決断した菜美と、
新幹線に乗り帰って行った。


夢を見たくて



残された正夫はこれまでと同じ食いつなぐための
バーテン暮らしへと戻って行った。




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1988年というとまだ出演者紹介の後に、脚本家や監督らの
顔出し紹介があった時期だが、スペシャルとあって
オープニングから土曜ワイドらしくない作りになっていた。


女優になる夢を追い求めて東京へ出てきた妹を連れ戻す姉と、
妹の行動に理解を示す元婚約者らとのヒューマンドラマかなと思っていたら、
途中から一緒に捜索していた貞雄が都市伝説的な話を持ち出し、
妹が自らの意思で失踪したのではなく、誘拐されたのではないかという
疑惑が出てきたあたりから不穏なムードになり一気にサスペンス色が濃くなっていく。


その後はスリリングな展開が続き、怒涛の攻めの後に
一気に解ける緊張感。
なかなか面白いドラマだった。


本放送の前年にNHKをやめた深町幸男の民放初演出である。
NHK時代からコンビを組んでいた山田太一との六作目の共演とあり
息が合っている感じは充分に伝わってきた。


山田太一の脚本とあり、セリフのテンポや言葉のひとつに味があり、
虚実の入り混じった進行の面白さもあり飽きることなく
最後まで楽しむことが出来ました。




また大竹しのぶと柴田恭兵はこのドラマが初共演だということだ。
魅力ある組み合わせでキャスティングも良い。




今回、土曜ワイド劇場のプロデューサーだった関口恭司さんが”制作”として
クレジットされています。
このドラマの初回放送の頃の資料では、
土曜ワイド劇場も10年が過ぎてマンネリ化を防ぐために
担当プロデューサー陣が編成替えされたという情報がある。


関口さんがプロデューサーだった頃から一緒に土ワイを担当していた、
塙淳一さんを班長とする五人になったようだ。
このうち塙さんと稲垣健司さんを除く三人は初参加ということである。



マンネリ化を懸念しつつも、ある程度のマンネリは必要ということで、
新しいスタッフを迎え飽きられない番組作りに挑戦していくという時期だったようですね。



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