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2018/07/03
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「黒の切り札」 (1964年) ラピュタ阿佐ヶ谷 大映の”黒シリーズ”第10作

category - 昭和の日本映画
2018/ 07/ 03
                 
先日、ラピュタ阿佐ヶ谷で1960年初期に大映で制作された
『黒シリーズ』 の10作品目 「黒の切り札」 を見てきました。

6月も最終日の午前、とても暑い日だった。




ラピュタ阿佐ヶ谷



ラピュタではこの日まで、映画監督・岡本喜八の特集も行われていました。
最終日の12時50分の回は、「殺人狂時代」(1967年)の上映後に
主演の仲代達矢を迎えてのトークショーが行われるとあって
「殺人狂時代」のみ早々と完売になっていました。



ラピュタ阿佐ヶ谷


どうやら遠くから「殺人狂時代」を見に映画館を訪れたお客さんもいたようですが、
9:30位の時点ですでに完売とあってチケット購入できず無念そうでした・・・。
ちょっと気の毒だが、仲代達矢が来場するとあっては早い段階でチケットが完売するというのは
ある程度予想ができるところなので仕方がないですね。





さて、『黒シリーズ』ですが、私はラピュタのチラシを見て初めてその存在を知りました。


11作品作られたようで、ラインナップを見ると
主演は田宮二郎と宇津井健の二人がほとんどを占めています。


今回見た「黒の切り札」は、その田宮と宇津井二人が競演しています。



黒の切り札


根来(田宮二郎)は将来弁護士か検事になろうと大学で法律を学んでいた。
大学では大崎稔(宇津井健)という友人がいて、
根来はサックス、大崎はピアノでバンドを組んでいた。
二人は、知子(藤由紀子)という一人の女性をめぐってライバル同士でもあった。


知子は根来に心が傾いていて、音楽と学業でも根来は大崎を上回っていた。
長身でハンサムな根来は順調に人生を歩んでいたかに見えたが、
深沢義則(内田朝雄)という男が根来一家のもとに現れてから歯車が狂いだす。



根来の母は深沢と不倫関係に陥ったのちに自殺、
父は深沢に財産を奪われた上に廃人同様になり脳病院に入院中となってしまう。


法を学んでいた根来は、それをもって深沢に戦いを挑んでいくが、
力のある弁護士を雇った深沢に対し太刀打ちできないまま敗れ去る。
この時、法律が完全でないことを痛いほど知った根来は、
大学を辞め愛する知子の前から姿を消すと個人で深沢に復讐をしようと誓う。


根来は深沢の息がかかった難波多組に親分を殺されたやくざ者の多田(待田京介)、
多額の借金を背負い父が焼身自殺してしまった林(山下洵一郎)という
深沢の周辺にいるものに強い恨みをもつ二人を仲間に迎えた。


根来自身は難波多組がやっているナイトクラブ「シルクロード」にサックス奏者として潜入し、
多田と林に難波多(北城寿太郎)を襲わせ自分がそれを助けるという茶番劇を演じて、
難波多の信頼を勝ち取っていく。


根来たちは極東信用金庫を襲い不正の証拠となる隠し帳簿を盗みだし、
それを大崎に送り付けるが理事長の宇部(村上不二夫)は、
難波多の機転により早々に香港に脱出してしまう。


ところが宇部は入院している息子の容態が危ないという知らせを受け秘密裏に帰国する。
だがそれはバレてしまい宇部は空港で捕らえられるのだが、
取り調べ中に息子の命があとわずかというニセ電話により、
大崎が帯同し宇部を病院に送り届けたところで難波多たちに射殺されてしまった。



この間、大崎は内偵もかねてシルクロードを知子と訪れていた。
根来が知子らの前から姿を消してから、知子は大崎と婚約していたのだ。
久しぶりに知子と再会した根来だが、今の自分は父の復讐を果たすことが最大の使命。
あの頃の関係には戻れない。
大崎はこの時の根来との会話から、根来が事件にかかわっていることを察知した。



大学時代、根来は大崎にも知子にも何も告げずに去って行った。
しかし、今回の事件を調べていくと、根来がなぜ学校を辞めざるを得なかったのか、
その辛い事情を知ることになった。



根来たちは、深沢に電話をかけると葬送行進曲を流し続けて
身に危険が迫っているという脅迫を繰り返した。



難波多たちは小山(小山内淳)という小役人にダンサーのミミイ(十和田翠)を抱かせ
賄賂を使っていた。
店内でその様子を見ていた根来はミミイとベッドを共にし詳細を聞き出す。
そして、多田と林の三人で小山を拉致すると、これまでの全てを告白させて
テープに録音した。


難波多は身柄を釈放された小山からこの報告を受け、犯人は三人組だったと聞き出した。
三人のうち多田、林は見当がつくが、残る主犯格がわからず深沢は
見えない大物の存在に怯える。
難波多は小山から事の次第を聞き出すと、自分たちに危機が迫る前に小山を殺害し口封じをしてしまった。



またしてもあと一歩のところで、父の仇・深沢を破滅させることが出来ない。



根来はこうなったら最後の手段、直接ぶつかるしかないと思い深沢に電話をかけると、
殺された小山の告白テープを聞かせ、自分が根来夫婦の息子であると正体を明かした。
ついに深沢はあの時の息子が両親の復讐のために仕組んだことだと知った。



根来は多田と林に深沢を張らしていたが深沢の行方がわからなくなってしまった。
多田の連絡で根来は深沢が別荘にいるしかないとあたりをつけて、
三人でそこへ乗り込むことにした。



出発前、根来は知子を連れて、精神を侵された父が入院している脳病院へ連れていった。
廃人となった根来の父の姿を見た知子は、根来のいいよいうのない憎しみを理解しつつも、
法律で悪人を裁くべきだと根来にいうが、法の網を潜り抜ける深沢には自分が直接手を下すしかない。
心配する知子の気持ちを感じながらも、根来は方針を変えるつもりはなかった。





シルクロードではミミイの他に別の女(万理昌代)ともデキていた根来は、
難波多たちの姿が消えたという知らせを受け、深沢の別荘に集まっていると予測を立てた。



根来たちが別荘へ到着すると、案の定深沢と難波多の姿があった。
部屋に乗り込んだ三人は、いよいよ復讐を完成させようとするが、
それは根来たちの動きを察知した難波多たちの罠だった。



根来たちはロープで縛られ身動きが取れないようにされ、ダイナマイトを仕掛けた部屋に置き去りにされる。
だが、間一髪三人は部屋から脱出しロープウェイに乗り難波多たちを追いかける。
その途中、深沢を乗せた車を発見、根来たちは持っていたダイナマイトに火をつけて
車めがけて上から落としまくる。


とうとう深沢を乗せた車は炎上し、谷底へ転落。
ついに深沢の息の根を止めることに成功した。



すると、向かいからこちらにロープウェイがやってくる。
それは三人を始末しようと難波多が沢山のダイナマイト積んだ凶器だった。
何も知らない根来たちが深沢を始末したことを喜んでいるとふいにロープウェイの動きが止まった。
近くにはダイナマイト入りのロープウェイが停車している。



根来たちが異変を感じたときには時すでに遅し。
難波多は、向かいのロープウェイにダイナマイトが積んであるというと、
導火線に火をつけてしまう。



空の上で身動きが取れなくなった根来たちは必死にそれから逃れようと試みるがなすすべがない。



その頃、大崎は深沢の別荘へ向かう前に根来が送っていた小山のテープなど
深沢たちの悪事を暴く証拠の品を郵送で受け取っていた。
そして、深沢の別荘へ向かおうと大崎はヘリに乗り込んで空中での捜査をしていた。


大崎は上空から、下にあるロープウェイで必死に助けを求める根来、多田、林の存在を確認。
すぐにロープを下ろすと、三人はロープをよじ登ってヘリに到着。
爆発まであと少しのところで、無事に保護された。



こうして逮捕された根来は、かつて学んだ法律によって裁かれて罪を償うことになる。



JALのスチュワーデスをしている知子は現在香港に行っており、
気持ちの整理を完全につけ大崎と結婚する運びになるようだ。






映画 黒の切り札



『黒シリーズ』で主役をはっていた二大スタア、田宮二郎と宇津井健のシリーズ初共演作品だが、
”ダブル主演”というよりは田宮主演作という印象が強い。


また、二人が劇中争うスチュワーデス・知子を演じているのは、
後に田宮二郎と結婚することになる藤由紀子。
やはり善人役の宇津井健よりも過去に暗い影があり復讐に燃える
田宮二郎とのツーショットの方がサマになっていました。



今回は刑事役で中条静夫も出演していて、宇津井&中条の組み合わせが
「ザ・ガードマン」っぽい。



監督は石原裕次郎主演「嵐を呼ぶ男」の井上梅次。
私にとっては土曜ワイド劇場の”美女シリーズ”の印象が強い監督さん。


最後のロープウェイでの脱出劇なんか、美女シリーズの
「黄金仮面」を思い出してしまった。


美女シリーズと言えば、「魅せられた美女」くらいでしか見たことがなかった
待田京介が角刈りやくざで、やたら二重が強調されていて
美女シリーズで見た時の容姿と全然違っていたのにビックリ。
若い時は結構武闘派っぽい見た目をしていたんですね。



また内田朝雄が田宮二郎一家を破滅に追い込む大悪人という
らしい役柄で出演している。
法を網をかいくぐり悪事を働きながらものうのうと生き続けるというふてぶてしさ。


何より若かりし田宮二郎のハンサムさがたまらない。
ナイトクラブでサックスを吹く姿もしびれるし、
親の敵に復讐するために女を利用する冷酷さもまた良い。


それでいながら、学生時代の意中の人、知子に対しては
複雑な心境ながら検事という立派な職業をもった友人と
幸せになってくれることを願う純粋さは安易に女に体を使って
情報を得る男とは相反するピュアさを感じさせてくれる。



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