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2019/06/08
展覧会レポート昭和のドラマ昔の土曜ワイド劇場懐かし邦画

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松本清張の「一年半待て・女の愛が裁かれる時、何かが起こる」 (1991年)

category - 土曜ワイド劇場
2019/ 06/ 08
                 
夫の暴力に耐えかねて殺した女と、彼女の正当防衛を主張して執行猶予を勝ち取った女弁護士。
世間の同情を集めた事件の裏には意外な真実が隠されていた。



●松本清張作家活動40年記念ドラマスペシャル
「一年半待て・二人の愛が裁かれる時
何かが起こる」 1991年6月8日
原作: 松本清張  『一年半待て』 張込み (新潮文庫―傑作短篇集) 収録
脚本: 吉田剛
音楽: 横山菁児
監督: 永野靖忠
制作: 松竹
出演: 多岐川裕美、小川真由美、篠田三郎、本田博太郎、
鈴鹿景子、山内としお、神津はづきほか



須村さと子(多岐川裕美)は失業してから働こうともせずに
酒乱で暴力を振るう夫・要吉(本田博太郎)に代わり、
子供を抱えながら保険の外交をして生活を支えていた。


ある日、さと子は暴力を振るった要吉を殴り殺してしまう。
さと子はすぐに自首し、事件の背後が明るみになると世間の同情を集めた。
これを大きく取り上げたのが有名な女性評論家の高森たき子(小川真由美)だった。



一年半待て・二人の愛が裁かれる時 何かが起こる



さと子はこれまでの家庭環境と自首したことからも情状酌量の余地は大いにあったが、
たき子は彼女は正当防衛を勝ち取るべきだと特別弁護人を買って出た。


公判ではさと子が夫を殺すまでの経緯が明らかになっていく。


会社がつぶれた要吉は、失業保険ももらわず独立を試みるが失敗。
みかねたさと子は保険外交員となり一家を支えるという決断を下す。
彼女は成績次第で大きく報酬が得られる道を選択し、
未亡人というふれこみで大口の契約を獲得しようとダム建設の現場へと乗り込む。
彼女の目論見はあたり、契約を勝ち取ることに成功し給料も上がっていった。



一年半待て・二人の愛が裁かれる時 何かが起こる



殺伐とした主婦から一転し、山の男たちとの触れ合いは新鮮であり
順調な外交員生活を楽しむようになっていく。
美しいさと子は労働者たちのマドンナのような存在であった。







そこで設計技師の岡島久男(篠田三郎)と出会う。
遊び目的で近づく男がいる中で、岡島だけはさと子を真剣に愛し始めていた。
さと子も自然の中で生き生きと仕事をする誠実な岡島に惹かれるものがあった。



一年半待て・二人の愛が裁かれる時 何かが起こる



しかし、家へ帰れば現実が待っていた。
要吉は家事や子供の面倒もそっちのけで、酒浸りの日々を過ごしていた。
そして、さと子に自分を捨てないでくれと泣きながら縋り付いてくる。



さと子は学生時代の友人で飲み屋をやっている脇田静代(鈴鹿景子)の店へ
気晴らしに飲みに行くようすすめた。
女手一つで夫と子供二人を養い、遊びの世話までしたさと子だったが、
要吉は静代と肉体関係を持ち裏切るという行為に出てしまう。


二人の裏切りを知ってからも、さと子は要吉を責めることもせずにいたが、
要吉から暴力を振るわれついに殴り殺してしまったのだ。



一年半待て・二人の愛が裁かれる時 何かが起こる



検察側はさと子が二度殴っていることから殺意があったと主張してきたが、
さと子はその時の記憶がなく、一度殴って要吉に反撃する力がなくても、
おそらく恐怖心から二度殴ったのだろうと述べた。




なんとしてでも無罪を勝ち取りたいたき子のところへ岡島がやってきた。
これまで彼の存在を知らなかったたき子は、岡島がさと子にプロポーズをし
断られていたことを初めて知った。





さと子は岡島の申し出に「夫は離婚してくれないし、自分も夫を捨てられない」と答えたという。
要吉からあれだけの仕打ちを受けても、さと子は夫を見捨てられなかった。
たき子は嫌がるさと子を説き伏せ、岡島にこのことを証言させた。


一年半待て・二人の愛が裁かれる時 何かが起こる




特別弁護人を買って出たたき子もまた不幸な結婚生活だった。
評論家の夫・英之助(富川澈夫)には若い愛人がいて二人の間には
今度幼稚園にあがる子供までいた。
たき子と英之助の別居生活は五年にも及び、英之助は離婚を要求するが
たき子はそれを拒否し続けている。



英之助は今度はその愛人がたき子と直接話をしたがっているという。
彼は愛人をいじらしく思い詰めているというが
たき子はそんな愛人をしたたかな女だと言い切った。
英之助はそれを拒否せず女が真剣に愛した時したたかになるものだと認めた。



一年半待て・二人の愛が裁かれる時 何かが起こる



自分を裏切って離婚を要求する英之助に裁判を起こすよう叩きつけたが、
本当の愛を知らないたき子がさと子の裁判に首を突っ込んでいることに対し、
痛い目を見るのではないかという心配もしていた。



いよいよ、判決の日が来た。
懲役三年、執行猶予四年というものだった。
無罪とならなかったことでたき子は控訴をすすめるがさと子はそれを固辞した。


納得がいかないたき子であったが、それでも執行猶予を得たことで、
お祝いのパーティをしようと提案し、岡島も招こうとした。
ところが、当日岡島は海外へ行くことになり数年は帰ってこないことがわかった。


一年半待て・二人の愛が裁かれる時 何かが起こる




岡島はたき子にもうさと子と会うことはないと言い渡す。


彼は事件の経緯を時系列に沿って考えたときさと子の犯行に疑惑を抱いた。


法廷では口にしなかったが、岡島のプロポーズを苦しい気持ちで断ったさと子は、
「一年半待って欲しい」と岡島に頼んでいた。



一年半待て・二人の愛が裁かれる時 何かが起こる




岡島がプロポーズした後、さと子は要吉が体を求めてくるのを拒否し続けていた。
半年後、さと子は静代を紹介しやがて二人は肉体関係を持つ。



その半年後、酒に溺れた要吉が暴力を振るいさと子が殺してしまった。
すぐに自首したさと子の判決が出たのが半年後。


さと子は短大を出ており、保険会社で働いたことである程度の法律の知識は
あったか得やすかったのではないかと岡島は考えた。


法廷では無職の夫に代わり一家を支えながらも夫の裏切りに耐える日々。
そして、ついに殺されそうになるほどの暴力をふるわれて
正当防衛のような形で夫を殺害してしまった不幸な女を演じた。


一年半待て・二人の愛が裁かれる時 何かが起こる




自首をすることで刑を軽くし、情状酌量されさらに軽くなる。
そして、刑は執行されず猶予された。
一事不再理があるため同じ犯罪で裁かれることはない。



岡島はさと子が計画的に要吉を殺したという確信を持ち、
彼女の前から姿を消す決心をしたのだった。


岡島の推理を信じられない気持ちで聞いていたたき子だったが、
英之助が言った「女が真剣に愛した時、したたかになるものだ」という言葉がよみがえった。


おそらく、すべては岡島が言う通りさと子の綿密に練った計画通りだったのだろう。
しかし、唯一岡島がそれを知り去ることだけが計算外の出来事だった。


呆然とするたき子を置いて、岡島は静かにその場から去って行った。


そして、何も知らないさと子が祝賀パーティーに出席するため、
笑顔を見せながらたき子のところへと近づいてきた。



一年半待て・二人の愛が裁かれる時 何かが起こる


法廷で見せたやつれた姿とは違い美しく着飾っている。


しかし、たき子の表情をみたさと子は異変を感じとり顔をこわばらせた。








一年半待て [VHS]





張込み (新潮文庫―傑作短篇集)




※※※ 松本清張作品記事一覧 ※※※


■ 「ガラスの城」

■ 「声・ダイヤルは死の囁き」

■ 「顔・死の断崖」

■ 「犯罪広告」

■ 「聞かなかった場所」

■ 「種族同盟・湖上の偽装殺人」

■ 「紐・恐怖の大回転遊覧車」

■ 「帝銀事件・大量殺人!獄中三十二年の死刑囚」

■ 「地の骨・犯罪大学・入試問題を拾った女」

■ 「駆ける男」

■ 「白い闇・十和田湖偽装心中」

■ 「小さな旅館」

■ 「死んだ馬・殺人設計図」

■ 「山峡の章・みちのく偽装心中」

■ 「地方紙を買う女・昇仙峡囮心中」

■ 「書道教授・消えた死体」

■ 「風の息・事故か!謀略か!もく星号三原山墜落の謎」

■ 「事故・国道20号線殺人トリック」

■ 「駅路・謎の伊勢路殺人旅行」

■ 「危険な斜面・白骨になった女」

■ 「殺人行おくのほそ道」

■ 「寒流・銀行を手玉にとった女」

■ 「溺れ谷・蜂は一度刺して死ぬ!」

■ 「連環・偽装心中をあばく女」

■ 「熱い空気・家政婦は見た!夫婦の秘密」

■ 「断線・新妻を棄て、愛人を殺し年上の女と心中した男」

■ 「葦の浮舟・奥飛騨―東尋坊密会の旅」

■ 「証言」

■ 「高台の家・美しい未亡人の妖しいサロン」

■ 「黒い樹海・京都密会の旅殺人事件」

■ 「黒い空」

■ 「数の風景」

■ 「一年半待て」

■ 「霧の旗・獄死した兄は真犯人じゃない! 女の肉体を賭けた復讐の旅立ち」

■ 「鉢植えを買う女」

■ 「状況曲線・巨大談合組織の黒い殺人!男と女が欲望の罠にはまる…」

■ 「黒い樹海・姉の金沢不倫旅行が連続殺人を呼ぶ!」

■ 「黒革の手帳」





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