FC2ブログ
2019/07/15
展覧会レポート昭和のドラマ昔の土曜ワイド劇場懐かし邦画

Post

        

「怪談せむし男」 (1965年 東映)  西村晃の怪演が光る佐藤肇監督作品

category - 昭和の日本映画
2019/ 07/ 15
                 
なんともグロテスクなタイトルにそそられて見てしまいました。
「せむし男」だけでもホラーっぽい印象を与えるのにさらに「怪談」がついている。


ストーリーはさほど重要ではないので、画像を楽しむような気楽さで読んでもらえれば。
といってもモノクロなのでおどろおどろしさはうまく伝わらないと思いますが。



■ 「怪談せむし男」  
制作年: 1965年
脚本: 高岩肇
音楽: 菊池俊輔
監督: 佐藤肇
制作: 東映
出演: 西村晃、楠侑子、江原真二郎、加藤武、弓恵子、加藤和夫、
葉山葉子、春川ますみ、鈴木光枝、桑原幸子、玉川伊佐男ほか





宗方芳江(楠侑子)は悪夢にうなされていた。
目覚めると電話の音が鳴り響いており電話に出た手伝いから、
輝愛精神病院に入院している夫の信一が死亡したと知らされる。


芳江が見ていた夢はまさに信一が死ぬところだった。


病院へ行くと信一の父で精神科医の圭介(加藤武)と
助手の山下隆(江原真二郎)、看護婦の和子(葉山葉子)がいた。


怪談せむし男




山下は脳をやられている信一が死ぬ間際に何かを言い残そうとしていたという。
圭介は信一の脳の状態からそんなことはあり得ないと一笑に付す。
棺を開けると信一はカッと眼を見開き、花を強く噛みしめている。



怪談せむし男



芳江がそれを取ろうとしてもとることは出来なかった。
圭介は死後硬直が起きているだけだと深くは捕らえない。
この時芳江は、信一は何か大切なことを自分に伝えたがっているのではないかと感じた。





遺体はそのまま火葬され、芳江は火葬場で弁護士の磯部(加藤和夫)から
信一が購入していた山荘の権利証と鍵を渡された。



怪談せむし男



かつて会社経営をしていた信一だが会社は人手に渡り借金だけになり
唯一残された資産がこの別荘だった。
芳江は信一が発狂した場所である、別荘へ行ってみることにした。



霧が立ち込める中、妖気を秘めた別荘を見た芳江は不吉なものを感じる。
扉を開けようとすると招き入れるように自然と開き、中に足を踏み入れると
入ったが最後二度と生きては出さないと言わんばかりに扉は自動的に閉まった。



恐怖で表情を歪ませた芳江の前に、番人である不気味なせむしが姿を現す。


怪談せむし男



信一は事件が起こったとき、ここで女の死骸を抱いていたのだという。
おそらくそれは信一の愛人・三沢ユミコの死体だろう。


家の中にカラスが入り込み芳江を襲ってきた。
せむしはカラスを殺すと林に棄てに行く。
そこには大量のカラスの死骸があった。



別荘に帰ると圭介、山下と和子がやってきた。
圭介は広大な敷地に建つ屋敷に目を向け、芳江と結婚して
療養所を建てる野望があることを明かす。


怪談せむし男



その夜、芳江は絨毯から血が浮き上がり嫌がる女を信一が痛めつけている映像が
壁に映し出されるのを見た。
怯えた芳江が部屋から飛び出すとホールで竜巻のような
強烈な突風を受けて気味の悪い彫刻の前で失神した。
介抱した圭介は、一連の妙な現象は全てせむしの仕業だと決めつける。



怪談せむし男




芳江の案内で圭介たちがカラスの死骸が埋められている林を見に行ったところ
外人を埋葬したと思われる3つの墓を発見。
別荘へ戻ってみると和子が「ジュディ」と呼ぶ男の声を聞き
地下室にある怪しい祭壇にはカラスの死骸が白い花を咥えていた。


芳江にはそれが棺の中の信一の姿と重なった。


これまで芳江が体験してきた恐怖の出来事を神経が敏感になっているだけと
思っていた圭介たちだが、山下が芳江の言い分を信じるようになってきた。





怪談せむし男



圭介たちは食事中のせむしを捕まえて何の魂胆があってこんなことをするのか問い詰めるが
せむしは黙ったまま答えない。
山下が首に掛けていた十字架のペンダントを例の女のものではないかと調べようとすると
せむしは小男とは思えない強い力で激しく抵抗する。



怪談せむし男



たまらず和子が「暴力はやめて!」と仲裁に入ったためせむしは食堂から引き揚げていった。




山下が棺の中で信一が花を咥えて離さなかったのは
「ここへ来るなという警告だったのではないか」と話していると
「お客様が来ました」とせむしが告げに来た。


怪談せむし男



玄関には磯部が信一の愛人だった横田あけみ(春川ますみ)と一緒にいた。
山下の恋人・秋子(弓恵子)のスポーツカーに同乗して来たらしい。


磯部が仲に入ってキッパリと別れていたもののあけみは
受け取っていなかった手切金の残金二百万円を請求しに訪れたのだ。
圭介は財政状況を説明しそんな金はないと要求を突っぱねる。



信一は発病前に遺言を残していて、別荘の権利は圭介と芳江に譲られた。
磯部はあけみの手切金は法的に無効だといい、あとは圭介と芳江次第だという。
土壇場での磯部の裏切りをあけみは激しくなじる。


怪談せむし男



一方、山下は別荘を気味悪がって外にいた秋子のところへ行った。
彼女は父親が山下との結婚を許可しただけでなく
ゆくゆくは病院を任せてもいいと言っていたことを伝える。
圭介の弱みを握っている山下は彼を失脚させ院長の座を手に入れようと野心を燃やした。



二人がくちづけを交わしているところを遠くから山下に思いを寄せる和子が見ていた。
いつの間にか背後にはせむしがいて傷心の和子を見守る。
和子はせむしの案内で井戸へ行くと中から男の声が聞こえた。
「この声が聞こえる限り別荘から出ることは出来ない」と言い残しせむしは消えた。



秋子を伴って別荘に戻った山下は、圭介が中国で生体解剖をしてた事実をあげ
病院を辞め医学界から去るよう脅してきた。
山下は診療に心霊の要素も取り入れようとしていたが
そんなものは信じようとしない圭介とはウマが合わなかった。


怪談せむし男



圭介が科学者としてそれを証明して見ろと山下に詰め寄っていると
目の前のテーブルが動き、奥の部屋から突然男の叫び声が聞こえてきた。
山下がその正体を暴こうと戸を開けようとするがロックされていてびくともしない。


するとシャンデリアが揺れ照明が消えると、目の前に幽霊が現れた。
これには幽霊を信じない圭介もその存在を認めざるを得ない。
幽霊が消えると明かりがつき、廊下から磯部の悲鳴が聞こえてくる。


怪談せむし男



行ってみるとあけみの死体があった。
磯部は怪奇現象に怖くなったあけみと一緒に別荘を出ようとしたが扉が開かない。
すると芳江の時と同じような竜巻があけみに襲い掛かり殺したというのだ。


その後、磯部も殺されてしまう。



秋子はせむしと二人きりになると、知っていることを教えて欲しいと頼むが
話してもどうにもならないことだと聞き出すことは出来なかった。


怪談せむし男



そんな中、玄関で物音がしたため芳江たちが行ってみると
偶然そばを通りかかり屋敷に不穏なものを感じた霊媒師(鈴木光枝)が立っていた。


せむしをひとめ見た霊媒師は
「オマエにはカラスが憑いている。悪魔の遣いだ!!」と正体を暴いた。



怪談せむし男



ひるんだせむしはスルスルとその場から逃げていき、
山下はこの屋敷に憑いている悪霊の正体を教えて欲しいと霊媒師に頼んだ。


さっそく降霊が行われる。


霊媒師は呪文を唱えると床に倒れこみ、起き上がったときには信一の霊が憑依していた。



怪談せむし男



山下が信一と一緒にこの屋敷に来て死亡したユミコの事を尋ねた。


信一はユミコにガソリンを塗り一晩掛けてゆっくりと焼き殺したことを話し始めた。
悪びれる様子もなく愉しみながら話す信一に山下はその時はもう
信一は狂っていたのではないかと問いかけた。
そうでなければ、若い女をむごたらしく殺すことは出来ないはずだ。



怪談せむし男


ところが、信一はそれを真っ向から否定する。



さらに芳江もユミコも二人とも愛していたといい芳江に抱き着いてきた。
入院中に芳江を抱いていた時に、それを圭介がのぞき見していたことを暴くと
圭介には気をつけろと芳江に忠告する。



怪談せむし男



山下が「この屋敷には何か憑りついているのか?」と質問した時
霊媒師は倒れ何か伝えようとするが言葉に出来ないまま喘いでいた。
すると、突然せむしが悲鳴をあげて部屋から出て行き一同はあとを追った。



発狂したせむしの雄たけびがおさまった時、せむしの顔は見知らぬ男に変わっていた。
男はこの屋敷の前の持ち主・富永男爵(西村=二役)だと正体を明かすと
ここに足を踏み入れたものは一人残らず殺すと宣言しその理由を語り始めた。



怪談せむし男




終戦間近、富永は若い白痴(桑原幸子)を手に入れ何もかも捨てて女にのめり込んでいた。
ある日、屋敷に軍人が侵入し富永を地下室に閉じ込めると
目の前で白痴を犯し用が済むと白痴を殺して引き揚げていった。


富永は閉じ込められたまま死んでしまう。


軍人は帰る途中、富永の呪いにより車で林の大木に突っ込み死んでしまう。
せむしは富永の弟で、地下室で死んでいる富永の死体を発見した時
「この呪いを一生背負っていけ」と地獄からの兄の声を聞いた。



信一もおそらく富永の呪いが憑りついてしまったのだろう。
せむしに閉じ込められた圭介たちは必死に脱出を試みて
部屋を出ると地下室にある富永のミイラを発見した。


玄関で物音がしたため行ってみると、
降霊が終わった霊媒師が恐怖におののき屋敷から逃げ出したが
木が降りかかってきて全身血まみれの状態で戻ってきてその場で死亡した。



怪談せむし男



続いて磯部が彫刻のところで富永の悪霊が憑依したせむしに殺される。




せむしの宣言通り屋敷の中で次々と訪れた人が殺されていく。
山下は秋子をひとり部屋に残して屋根裏から脱出できないか探ることにしたが
せむしはいとも簡単に山下と秋子を殺してしまう。



圭介はベッドで重なり合う二人の死体を発見し屋敷から逃げようとした。


怪談せむし男



ところが体当たりしても玄関の扉はびくともしない。
もう外へ出られないと悟った圭介は、芳江に愛人を持つ発狂した亭主に
病室で抱かれていた淫蕩な女だといいながら襲い掛かってきた。



抵抗する芳江は、抱かれながらそばにあったナイフで圭介を刺し殺した。


怪談せむし男



その芳江もせむしから圭介を刺したナイフで殺されてしまう。



次々と殺戮が行われついに残ったのは和子ひとりとなった。
彼女は祭壇のそばで気を失って倒れていた。


起き上がったが意識が朦朧としている様子で正気ではない。



怪談せむし男


このままでは自分に優しく接してくれていた彼女まで死んでしまうと思った
せむしは「帰れ」といい逃がしてやろうとするが、
和子は燭台を持ったままゆっくりと林の中へ歩いていく。



正気を失った和子を必死で止めようとしたせむしだが
彼女は笑みを浮かべながら火に焼かれて死んでいった。


怪談せむし男




せむしの目に初めて涙が浮かぶ。


こうして全員生きて帰ることは出来ないまま、せむしだけがトボトボと屋敷に帰って行った。





//////////////////////////////////////////////////////////////////



なんとも凄まじい映画だった。


白黒だし古い映画なので、今であれば当然カラーで色彩の豊かさ
映像技術の進歩から映像面で恐ろしさを演出できる分
この時代の映画は劣るはずなのだが
それを超える俳優陣の役作りや演技力が実に素晴らしい。



逆にモノクロだからこそひしひしと伝わってくる怖さというのもあったが。


怪談せむし男



満月を雲が覆い隠していき、霧で囲まれた山荘はまるで幽霊屋敷のような
気味の悪さを感じさせる。


怪談せむし男



特にせむし男を演じた西村晃の狂気が迫力を持って伝わってくる。

不気味なだけでなくどこか自分の呪われた運命を悲観するような哀しい表情も持ち合わせ
キョーレツなキャラクターになっていた。


怪談せむし男



ところが、兄の富永男爵が顔を出すと悪意に満ちた殺人鬼へと豹変し凄みをきかせる。
インパクト大です。



冒頭のカラスの死骸を持つ場面はおぞましい。

怪談せむし男


子供の頃に見ていたらトラウマで夜眠れなくなりそうな恐ろしさだ。


西村晃の怪優っぷりもすごかったが、霊媒師を演じた鈴木光枝にも驚かされた。


地味で大人しいおばあちゃんの印象が一変した。



屋敷に漂う妖気を感じて思わず足が向いてしまったということだが
来た時にはただの男っぽい霊媒師だったのに

怪談せむし男



発狂した男を降霊させると狂った表情に変わりコワイ。


怪談せむし男


まさか原泉を上回るようなイカレっぷりを披露してくれるとは。
ヨダレが垂れてきそうなほどの常軌を逸した表情。


言葉では表現しきれない位の怪演でした。

二人の存在感がデカく、これを見れただけでも見た甲斐がある。



さらに終盤、弓恵子って意外とグラマーなんだと思っていると
せむしが部屋に隠れていた彼女を襲い服を引きちぎるとベッドに押し倒す。


怪談せむし男


さすがにこの時代なのでブラジャーまでで胸はさらしてはいませんが
下着から胸がはみ出さんばかりに抵抗し、結局はせむしに首を絞められて殺されてしまうという
エロの要素も盛り込まれていました。



江原真二郎は屋根裏で服を着たまま絞殺されたのに
なぜか加藤武が発見した時には二人は半裸のような状態で
ベッドで死んでいたというエロティック(?)な演出がされていた。



終盤、訪問客が次々と殺されてしまうがせむしをかばった
心根の優しい看護婦の和子だけはもしかしたら助かるかもと考えていた。
せむしが彼女とは徐々に心を通わせていったことで
仏心を出して助けてやろうとするが結局は焼け死んでしまうという救いのなさ。




さて、この映画で宗方圭介役を加藤武がやっているのですが
東映チャンネルのホームページでは北村和夫になっていました。


いくら古い映画で私がおっちょこちょいなところがあるとはいえ、
さすがに顔が似てもいない加藤武と北村和夫を見間違えるわけがなく
あらためて映画を見てみると

怪談せむし男


ホラね


加藤武の名前はあるけど、北村和夫の名前はない。
もしかして圭介役、はじめは北村和夫がやる予定だったんですかね?



東映チャンネルでは真一となっていたがどうやら信一っぽい。
(まぁどちらでもいいが)


こちら、どうやらDVD化されていないようで
こんな激レアな作品が観れ東映チャンネルには感謝です。


時間がないのでなかなか記事を書けませんが
東映チャンネル、日本映画専門チャンネルは古い映画やドラマを放送してくれるので
自分にとっては貴重なチャンネルです。


少し時間に余裕が出てきたら、このあたりの映画やドラマの記事も書いていきたいです。






関連記事
スポンサーサイト



                         
        

スポンサードリンク

                         

コメント

非公開コメント