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2019-10-10 (Thu)

傑作推理劇場 「殺意」 (1980年) 官能的な音楽に衝撃的なラストが秀逸

CS各局が似たようなサスペンスを垂れ流す中で
東映チャンネルはいつも期待に応えてくれるラインナップで私を魅了する。


今月はかつてテレビ朝日で放送された「傑作推理劇場」から2作品が登場。
(傑作推理劇場やエラリー・クイーンについては『魔少年』の記事に追記)



今回は高木彬光の「殺意」



不器用だけど真面目な妻を持つ画家はようやく売れ始め
大きな一軒家に住みアトリエを構えるまでになった。
そんな矢先、妻から幼なじみで男好きする妖艶な女を
絵のモデルとして紹介される。


女の誘惑にふと魔が差してのめり込んでしまったことから
殺人事件へと発展…。


音楽を担当した菅野光亮のけだるさと甘さを感じる官能的メロディーは
エロティックで心地よく話しの筋に合っている。
それでいて、どこかせつなくて哀しい。


一度耳にしたら忘れられない印象的な曲調で
番組宣伝でバックに流れた時から一発で気に入ってしまった。


ということで雑感含め長いコメントは文末で。



●傑作推理劇場 「殺意」  
放送日: 1980年7月23日
原作: 高木彬光  殺意 (角川文庫 緑 338-54)
脚本: 播磨幸児
音楽: 菅野光亮
監督: 野田幸男
制作: テレビ朝日、東映
出演: 坂口良子、佐分利信、河原崎建三、宮井えりな、
三宅邦子、細川俊夫、相馬剛三ほか



傑作推理劇場 「殺意」






画家の今野(河原崎建三)の妻・純子(坂口良子)が
友人の加藤慶子(宮井えりな)を殺したと自首してきた。



傑作推理劇場 「殺意」





純子の紹介で慶子は今野のモデルをつとめるようになり
いつしか二人は男女の関係になっていった。
それに気づいた純子が別れて欲しいと部屋を訪ねたところ
ひどい言葉を浴びせられ思わずカッとなって刺し殺してしまったと供述。



凶器は裁縫用の目打ちだったが殺した時の状況もよく覚えてない位に
錯乱している精神状態にあった。


今野は向かいに住む老年の弁護士・沼田(佐分利信)に
弁護を依頼し問われるままにこれまでの経緯を語った。



傑作推理劇場 「殺意」





慶子は離婚したばかりで暇を持て余しており今野のアトリエでモデルをしているうちに
その肉体を惜しげもなく今野にぶつけてきた。
持て余していたのは暇な時間だけではなく肉体もだったのだろう。


芸術家の今野にとって平凡な純子とは違い、投げやりで気だるい雰囲気を持つ慶子は
非日常そのもので創作意欲を掻き立てられ妖しい世界にすっかり魅せられてしまった。



傑作推理劇場 「殺意」




しかし、情事の現場を純子に見られてしまい以後は慶子の部屋で
純子の目を盗んで関係を続けるようになった。
火遊びをやめるよう忠告した純子はその後も関係が継続していることを知って悩んでいた。


今野は全て自分が蒔いた種で責任は自分にあると深く悔いている。
今野夫婦の土地は二十年前自分の子どもを宿した妹を兄が殺したという
訳アリ物件だった。
それを承知で沼田から安く売ってもらったが、今野はその祟りではないかと
怯えている様子だ。



純子が刑期を終えても今野が彼女をこれまで通り受け入れると確かめたうえで
沼田は弁護を引き受けることにした。



傑作推理劇場 「殺意」




それから沼田は純子の周辺を自分の足で調べて回った。
血に染まった服を着たまま裸足で路上を彷徨う純子を保護した
発出所の警官も純子に同情していた。



沼田はこれまでのことから純子の犯行は誤殺であること
初犯で自首をして罪を深く悔いていることなどから執行猶予を勝ち取るつもりだと
今野に報告する。


公判で沼田は純子に犯行に至るまでの経緯を明らかにさせた。



純子は幼なじみの慶子との友情を取り戻すことで今野と別れてくれるだろうと信じて
カトレアの花を手土産に彼女の部屋を訪ねた。
ところが、慶子は今野が全てにソツがない純子を面白くない女だと言っていたといい
二人の恋愛に第三者の純子が口を挟むなと強気に出てきた。


傑作推理劇場 「殺意」




さらに今野が家庭的ではない慶子に自分の服の繕いまでさせているという。
女としての侮辱を受け生理日で精神的に不安定な状態だった純子は
とっさにテーブルに置いてあった裁縫箱から目打ちを取り発作的に刺してしまった。



沼田の予告通り、純子は執行猶予の判決を受けた。



傑作推理劇場 「殺意」






沼田の妻(三宅邦子)は沼田が純子を無罪同然にしたことで
近所でも良い噂が流れていると嬉しそうに話す。





判決から一か月、今野は負い目を感じる純子を気遣って優しく接している。


ある日、今野が慶子をモデルにして描いた絵を見ると
心臓がある左の乳房に無数の刺し傷があるのを発見し凍りついた。



傑作推理劇場 「殺意」




その様子を洗濯物を取り込んだ純子がひっそりと見ていた。
今野は絵を処分しようかと思っていると言いその場を取り繕った。


一度わいた疑念は今野の中で次第に肥大していった。


その晩、今野はそっとベッドを抜け出すとアトリエへ行き再び絵を確かめる。
暗闇に光る無数の穴は純子の激しい憎しみそのものだった。
今野が純子の裁縫箱を調べると目打ちがなくなっている。


その時、今野の異変に感づいた純子がアトリエへ姿を現した。



傑作推理劇場 「殺意」



純子は自分の目打ちは先が折れたので捨てたというが
慶子は目打ちを持つほど裁縫が得意ではなく裁縫箱にも目打ちはなかった。
初めから慶子を殺すつもりで自分の目打ちを持ち出し
それで慶子を殺したと自分の推理をぶちまけた。


完全犯罪を企ててもそれは無理な話だ。
だったら執行猶予を取ろうと考えを変え、
友人に夫を寝取られたかわいそうな妻を演じて世間の同情を集め
わざわざ生理日を選んで発作的な犯行に見せかけたのだと暴く。


今野の激しい責めに純子はついに殺意があったことを認めた。



傑作推理劇場 「殺意」



子どもの時から慶子は人の一番大切なものを奪ってきた。
ようやっと掴んだ夫婦生活をも壊そうとする彼女が憎かった。


今野は純子が初めから殺意があったのかなかったのか今ではどうでもいい事で
どちらにしても人を殺した純子に恐ろしさを感じ別れる決心をしたと本音を打ち明ける。


純子は今野を失いたくないというと、覚悟を決めナイフを取り出した…。


傑作推理劇場 「殺意」






翌朝、沼田は今野の訪問を受けた。


今野は純子が殺意をもって慶子を殺したと白状したと告げた。
だから、自分も沼田もみんな純子に騙されていたのだと興奮がおさまらない。


そして、自分もカッとなって純子を殺してしまったと告白すると
純子と同じく誤殺であり自分の弁護を引き受けて欲しいと土下座して頼んだ。


沼田が凶器の目打ちについて質問すると、あれは純子が殺すつもりで
自分の目打ちを持ち出したと答えた。


それを聞いた沼田は「なぜ、嘘をつく」と今野を一喝する。


沼田は裁判中は明らかにされなかったが警察は凶器の目打ちは
殺される数日前に慶子が購入したと調べあげていたと言い返した。



傑作推理劇場 「殺意」




さらに沼田は今野が人を殺めた純子から離れたがっていたことも見抜いていた。
そのために執行猶予を狙った誤殺を考えたが初めから殺意がある謀殺で
せいぜい狙えるのは情状酌量で罪は軽くないが
それでも良ければ弁護を引き受けると言い渡した。


目論見が大きく外れ気がおかしくなった今野は
純子の死体のそばで狂ったように叫び続けた。


沼田は廊下に出ると受話器を取り上げて警察へ通報するためダイヤルを回した。





殺意 (角川文庫 緑 338-54)



ラストがキョーレツ!!
身勝手な夫を演じた河原崎建三がどん底に突き落とされるのが見もの。



はじめこそ、自分の浮気のせいで妻が悩み衝動的に友人を殺してしまい
自責の念から妻の刑を軽くしようとしたり執行猶予になった妻を受け入れる
優しい夫を演じていたが、やがて殺人を犯した妻と同居していることに耐えられなくなってくる。


そんな時、計画的な犯行とわかりそれに便乗するかのように別れを宣言。
ナイフを持ち出した妻を殺害するのだが、自分の場合は誤殺が認められず
実刑を喰らう可能性が高いと知り叫び狂う。


この人にイイ人は似合わない。
悪党なんだけど小悪党で最後にやられちゃうというのがピッタリな人。
佐分利信が河原崎建三を平手打ちするのもウケる。



気まぐれといたずらな気持ちから友人の夫を誘惑する宮井えりなとともに
ナイスなキャスティングです。


また妻が以前から殺意を持っていたと知るシーン。
それに気づいた夫を雷雨に打たれながら妻がジーっと見る場面は
すごく怖かった。
その妻がかわいらしく可憐な坂口良子だっただけになおさら。


傑作推理劇場 「殺意」



疑惑を抱いた夫に責め立てられついに殺意を認めるところもコワイ。
ヌードの絵の心臓部分に開いた無数の穴がキラリと光る演出も見事。


傑作推理劇場 「殺意」



さて、冒頭に書いた東映チャンネルについてですが
時間の関係上、土曜ワイドメインで書いてますが
これまで放送された火曜サスペンス劇場の作品も見ていました。
(もちろんそれ以外の1時間枠のやつも)


これまでのラインナップを振り返って、東映チャンネルは他局と違い
80年代の古めのサスペンスにある一定層のコアなファンがついているってことを
バッチリ把握している感じが伺えます。


毎度、「そうきたかーっ!」と唸らされる作品がリストアップされてますよね。


ちょっと前は、チャンネル銀河や日本映画専門チャンネルも他でやらない
単発ものもやってくれたんだけど気がついたらいつの間にか無難な線に落ち着いている。


かなーり前はファミリー劇場、ホームドラマチャンネル、AXNになるまえのミステリーチャンネルが
頑張ってくれましたが最近はサッパリ。


まだAXNミステリーは見たかったのをやってくれるのでちょいとマシかな。



こうしたブログを書いていると結構そのあたりのドラマのファンが多いんだなと実感させられる。
だいたい人気記事は決まっていますが、それ以外のものもコンスタントにアクセスがあり
「あぁ、私と同じようにこういうのが好きな人っているんだわ~。」と嬉しくなります。


おそらくこのブログを読んでいただいてる方々は私と同じく
単発ものや海外作家の作品が見たいって人多いんでしょうね。


AXNミステリーなんて海外のサスペンスを沢山放送しているんだから
土ワイや火サス、ザ・サスペンスなんかでやった海外作家のものを
放送してくれれば他との差別化も図れるのに。


もう終わっちゃったみたいだけど早川書房のオリジナル番組も放送してたようだし
コネクションは他に比べて強いはずなので頑張って欲しいところ。



東映チャンネルのこの枠来月も傑作推理劇場から2作品放送される。
昔、再放送で見たことがあるやつだが内容をすっかり忘れているので今から楽しみです。




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