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2020/01/01
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「散歩する霊柩車」 (1964年) 貧相な小男と豊満な妻が織りなす予測不能なミステリー

category - 昭和の日本映画
2020/ 01/ 01
                 
あけましておめでとうございます。


この記事番号がちょうど「2020」番だったので1月1日に使うことにしました。


先月、日本映画専門チャンネルで西村晃主演、佐藤肇監督の
「散歩する霊柩車」という古い映画を見ました。

この前に書いた「怪談せむし男」と同じ組み合わせですね。


雑感はあらすじが終わったあとに。



■ 「散歩する霊柩車」  
制作年: 1964年
原作: 樹下太郎  散歩する霊柩車 (1960年)
脚本: 松木ひろし、藤田傳
音楽: 菊池俊輔
監督: 佐藤肇
制作: 東映
出演: 西村晃、春川ますみ、渥美清、金子信雄、曾我廼家明蝶、
岡崎二朗、宮園純子、浜村純、加藤嘉、小沢昭一、大辻伺郎、花沢徳衛ほか


散歩する霊柩車



小柄で貧相なタクシー運転手・麻見弘(西村晃)の妻・すぎ江(春川ますみ)は
豊満な肉体を持つ大柄な女。


麻見で満足出来ないすぎ江は度々浮気し麻見を大いに悩ませていた。



散歩する霊柩車




ある日、麻見は浮気して帰宅したすぎ江を激しく攻め立て
「別れる!」と開き直ったすぎ江の首を思わず絞めてしまう…。



散歩する霊柩車





麻見は毛利(渥美清)が運転する霊柩車にすぎ江の棺を乗せて
東京の街を走っていた。

散歩する霊柩車




すぎ江の浮気相手のひとりである会社社長の北村(曾我廼家明蝶)を訪ねた麻見は
不倫相手との関係を清算する遺書を残してすぎ江が自殺したと告げる。
麻見は次の選挙で出馬するつもりの北村から地位と名誉を奪うと
ネチネチと脅迫して去っていった。


散歩する霊柩車


次に白十字病院へ向かうと、別の浮気相手で医師の山越(金子信雄)を
北村の時と同じようにすぎ江の遺書を見せながら脅していき
五万円を手に入れてアパートに帰宅した。


散歩する霊柩車



麻見と二人ですぎ江の棺を部屋に運んだ毛利は
翌日の配車の依頼を受けるとアパートを引きあげていく。


一人になった麻見がそっと棺を開けると死体の役目を終えた白装束のすぎ江が
むくっと起き上がった。


夫婦はすぎ江が不貞を詫びた遺書を残して自殺したとして
すぎ江が入った棺を乗せた霊柩車で相手の男たちのところを巡り
強請って走り回る計画を立てていたのだ。


散歩する霊柩車



その夜、すぎ江が出かけている間に北村がアパートを訪ねて
五百万円を麻見に渡す。
麻見は計画が上手くいき内心ほくそ笑んでいた。


散歩する霊柩車


アパートを出た北村は偶然、帰宅するすぎ江と鉢合わせ。
生き仏のすぎ江を見た北村は恐怖に顔を引きつらせると
階段を踏み外して転落死してしまう。


散歩する霊柩車



ほどなく、北村の死体が発見されアパートの周囲は騒々しくなってきた。
すぎ江は自分が金を預かった方が安全だと麻見を言いくるめると
不倫相手が待つホテルへと向かった。


すぎ江には北村と山越の他に小倉民夫(岡崎二朗)という若いツバメがいた。
ガールフレンドの礼子(宮園純子)とホテルにいた民夫はチェックインするすぎ江を目撃。
民夫からすぎ江が不倫相手と密会すると知った礼子は、
すぎ江に一泡吹かせてやろうといたずら心を起こした。



散歩する霊柩車



二人はこの件を、麻見に密告する。



またしても自分を裏切り金を持ち逃げしたとわかった麻見は急いでホテルに向かうと
フロント係(大辻伺郎)に掛け合いすぎ江の隣の部屋をキープ。
ベランダを伝って隣へ行くと隙間から部屋を覗いた。


驚いたことに相手の男は山越だった。
麻見から逃げたがっていたすぎ江を利用して今回の狂言自殺を計画したのは山越だった。
最後の情事を終え北村から奪った五百万を分け合ったすぎ江が部屋を出ようとしたところ
山越がスキを見てビールに毒を入れた。


散歩する霊柩車



これを見た麻見はすぐに隣の部屋に行くと、すぎ江が書いた遺書を手に入れた山越が
自殺に見せかけてすぎ江を殺し金を独り占めしようとしていると暴いた。
山越は麻見を殺そうとするが、麻見も抵抗し組み合う。


すぎ江は麻見に加勢。
山越は麻見から無理やり毒入りビールを飲まされて殺されてしまう。



散歩する霊柩車



二人はホテルから山越の死体を運び出すと
白十字病院の霊安室に隠した。


アパートに戻った二人は体を重ねるも、したたかなすぎ江は
麻見が眠っている最中に金を持ち逃げし民夫のところへ駆け込む。
若い民夫を金で誘惑しようとしたすぎ江は金が入っているはずの
風呂敷を開けるとそこにはすぎ江の死亡通知の束が…。


怒り狂ったすぎ江は麻見から五百万を奪おうとして二人はもみ合いとなり
ついに麻見は本当にすぎ江を絞殺してしまった。


散歩する霊柩車



しばらくして、約束通り毛利が麻見を迎えに来た。
棺の中のすぎ江を見た毛利は彼女が死んで間もないと知り
火葬場へ向かう途中の墓地で麻見を強請り始めた。


毛利は霊柩車の運転手にほとほと嫌気がさしていて
個人タクシーの運転手への転身をしたがっていた。
その資金として三百万円を麻見に要求。


散歩する霊柩車




麻見は持っていた風呂敷包みを開け五百万円の金を見せると
要求に応じるふりをして毛利を殺害。


死体をすぎ江が眠る棺の上に置くと、麻見は霊柩車を走らせる。


これで、麻見の犯行を知るものはすべてこの世から消えた。
大金を手にしてご機嫌の麻見は思わず奇妙な歌を口ずさみながら
霊柩車で街をドライブ。


散歩する霊柩車



ところが、目の前に死んだはずのすぎ江の姿が-。


ハンドル操作を誤った麻見はそのまま木に激突!


霊柩車は爆破して木端微塵となり、麻見の死体は木からぶら下がっていた。


散歩する霊柩車



そこへ礼子とドライブ中の民夫の車が通りかかる。
麻見の死体を見た礼子は


「あの人、天国に行くわね」

と、笑い飛ばしながら走り去っていった。


霊柩車からは持ち主がいなくなった一万円札が風に乗って吹き飛ばされていく。





散歩する霊柩車 (光文社文庫)



昭和の怪談で使われそうなBGMをバックに、人が行きかう都心の交差点が映る。
画面が切り替わりデパートで挙動不審な動きをする西村晃。
妻の春川ますみの浮気の現場を抑えようと尾行していたのだ。


散歩する霊柩車


ベッドで金子信雄と抱き合い悦びの声を上げる春川ますみのカット。


散歩する霊柩車


こんなシーンからスタートした「散歩する霊柩車」


タクシーの運転手西村晃は、妻の浮気相手のひとり岡崎二朗を乗せると
何も知らない岡崎に妻との関係をそれとなく聞き出す。


散歩する霊柩車


岡崎二朗は無邪気に情事の相手の亭主がタクシーの運転手なんだと
それが西村晃だとも知らずに笑いながら話す。

そして、情事を終えた春川ますみが帰宅すると浮気を問い詰め激しい夫婦喧嘩となるのだが、
小柄な西村晃と豊満な春川ますみのケンカはいい勝負で
小さな体で体当たりしてくる西村晃を春川ますみは足を振り上げて部屋の隅まで突き飛ばしてしまう。


散歩する霊柩車



西村晃と春川ますみが夫婦ってすごい組み合わせだなと思っていたところに
いきなりコレである。
グラマーな春川ますみの体に吸い込まれちゃいそうな西村晃が
やられちゃう格闘シーンは笑えるものがあり何度見ても面白い。


豊満な肉体を持て余す春川ますみは文字通りの悪女で
うだつの上がらないタクシー運転手の夫から逃げることばかりを考え
何人もの男と浮気して体の火照りを沈めている。


春川ますみというと肝っ玉母さん的なイメージしかなかった自分にとって
若いころの春川ますみを見たときには悪女も演じていてビックリでした。


ビックリといえば、金子信雄!


禿げ頭に眼鏡のイメージだったのに、今回は黒髪で登場。


散歩する霊柩車



これ、金子信雄と書いてなければ誰かわからなかった。
だけど、声は確かに金子信雄の声。
顔は全然違っていて髪の毛があったときはこんなだったと初めて知った。


それに比べてもう一人の愛人、曾我廼家明蝶のわかりやすさといったら。
容貌の変わらない人なんですね。



そして、いい味を出していたのは渥美清。
霊柩車の運転手ということでなんかいわくありげだなと思っていたけど
終盤に来て西村晃を強請るところ。


棺を開けて春川ますみの死体を見たときに、死人ばかりを見てきた渥美清は
西村晃が春川ますみの首を絞めて殺してからまだ時間が経ってないことを見抜く。
そこで、火葬場へ行く途中で墓地に立ち寄るとそれをネタにして
ジワジワと西村晃を脅迫するのだ。


散歩する霊柩車


この時の表情が実に良くてね。
だけど、結局はその場で殺されちゃうのよね。



散歩する霊柩車


そして、死体となって西村晃に担がれて自分の霊柩車に乗せられてしまうというオチ。


西村晃もこういう不気味な作品では随所にみられる顔芸が光っていて
いろんなところで見せ場を作っている。

散歩する霊柩車


西村晃ってなんか顔がピエロっぽい。

不気味だけど、どことなく哀しげで滑稽にも見える。


最後ではなんとも表現できない異様な歌を歌っているし。
存在感が抜群です。

また、金子信雄が勤める白十字病院にいる守衛たちの顔ぶれもすごい。


加藤嘉、小沢昭一に加え浜村純もいる。




sanposurureikyushaDSCN6390.jpg



こんなに曲者が揃っている病院ってコワイ。



さて、ストーリーの方は言われている通り予測不能な展開が続き
渥美清が殺されるところまでは目が離せないものとなっていました。
最後は西村晃も生きては終わらないだろうと思っていたのでここは案の定といった感じ。


クセ者揃いで面白い映画でした。
それを彩る菊池俊輔の音楽もピッタリ合っていて独特のムードを創り上げています。




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