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2006/01/21
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「青春の荒野」(1978年) モーパッサンの長編小説  『ベラミ』

category - 土曜ワイド劇場
2006/ 01/ 21
                 
●「青春の荒野」  1978年1月21日
原作: ギー・ド・モーパッサン  『ベラミ
脚本: 福田善之
音楽: 高中正義
監督: 須川栄三
制作: 東宝映像
出演: 草刈正雄、太地喜和子、南田洋子、片桐夕子、
岸田森、観世栄夫、平田昭彦、森下愛子ほか


青春の荒野

アメリカでヒッピー生活を過ごして帰国した浩一(草刈正雄)は
ふとしたことから「週刊現代人」の記者に採用された。

野望に燃える浩一は社長阿久津(観世栄夫)に取り入り
森部長(岸田森)の死後、特集班編集部長の地位を獲得した。

その陰には、森の妻で与党民正党の若き幹部鶴島(平田昭彦)の
愛人だった弓子(太地喜和子)のバックアップがあった。







ベラミ (角川文庫)


ジョルジュ・デュロワは軍隊から除隊してアフリカからパリへ戻ってきた。
もともと貧しい家の出のジョルジュは、北部鉄道会社に勤めていて
安い年俸で生活に窮していた。

そんなある日戦友のフォレスチエとバッタリ出会う。
彼はラ・ヴィ・フランセーズという新聞社で働いていて
マドレーヌというやり手の女性を妻にして
ジョルジュとは対照的な生活をおくっていた。


ジョルジュはフォレスチエから新聞記事を書くチャンスをもらうが
うまく書けなくてマドレーヌの手を借りる。

マドレーヌの友人クロチルド・ド・マレル夫人を紹介してもらい
アッサリと彼女と不倫関係になったことで
自分の美貌が周りの女たちをいとも簡単に虜にすることを知る。


ド・マレル夫人はジョルジュに夢中になり
その娘のロリーヌまでもがジョルジュに好意的だ。
ド・マレル夫人たちはジョルジュを美しい男友達を意味する
”ベラミ”と呼ぶようになる。

自分の美貌を使ってマドレーヌを取り込もうとするジョルジュだが
マドレーヌからは友人関係を強調される。
しかし、フォレスチエが死亡すると、マドレーヌをものにすることに成功して
とうとうマドレーヌと結婚してしまうのである。


マドレーヌとの結婚生活はフォレスチエの存在がちらつくもので
ジョルジュはフォレスチエの影に苦しめられる。


それだけでなく、野心家ジョルジュの野望はどんどん膨れ上がり
マドレーヌだけでは満足できなくなり
ラ・ヴィ・フランセーズの社長ヴァルテール夫人に接近すると
敬虔なクリスチャンでかたくなに貞操を守り続けていた夫人に
甘い言葉をささやき続けて籠絡しついに肉体関係を結ぶ。


これまで良き妻と母を演じてきたヴァテール夫人は
禁断の恋にはまりすっかり身も心もジョルジュに奪われてしまう。
まるで少女のようにまとわりついてくるヴァテール夫人。


さらにド・ヴォドレック伯爵が亡くなり遺産の全額が
マドレーヌへ行くことがわかると
ジョルジュはマドレーヌに伯爵との男女関係を疑い
いちゃもんをつけて受け取る遺産の半分を奪ってしまう。


ジョルジュはヴァテール夫人から甘い汁を吸いながらも
ヴァテール夫婦の次女シュザンヌに狙いを定めていく。
シュザンヌは他の女性たちと同じくジョルジュを愛していた。

ジョルジュは邪魔になったマドレーヌを排除すべく
ラロッシュとの不倫現場に警察と踏み込んで
妻の不貞を理由に離婚をする。

晴れて自由の身となったジョルジュは
自分の虜となったシュザンヌをうまく言い含めると
シュザンヌの口から両親にジョルジュと結婚する意志を示させ
家を抜け出させ駆け落ちしてしまう。


嫉妬で怒り狂ったヴァルテール夫人だったが
ふたりの結婚を阻止することはできず
ジョルジュとシュザンヌは教会で結婚式を挙げた。







//////////////////////////////////


モーパッサンは1850年生まれのフランスの自然主義の作家、詩人。
フリーベールに師事し、1880年に普仏戦争をテーマにした
「脂肪のかたまり」という短編小説で作家としての地位を確立した。

1883年には代表作である「女の一生」を発表し成功を収めた。
1885年の「ベラミ」はモーパッサンの2作目の長編小説である。

最初の長編「女の一生」が難産だったのに比べて
「ベラミ」は構想がまとまっていたからかすんなりと書けたようだ。


とはいうものの、モーパッサンも芽が出るまでには時間を要したようだ。
20代の後半には梅毒による片頭痛や脱毛、躁鬱などに悩まされていて
抗生物質のない時代、「ベラミ」執筆後からは病状が悪化していった。

ベラミに登場するフォレスチエのようにいろんな医者にかかり
様々な療法を試したがその甲斐なく人生を終える。

亡くなる前の数年間は、自分がいつ狂うかという恐怖に脅えてたということで
最後は執筆活動どころではなくなったみたいだ。



「ベラミ」は490頁近い長編で、読む前は気が引けたのだが
意外にあっさり読めてしまった。

私が読んだのは新訳でロバート・パティンソンが写っている表紙のもので
第一部、第二部に分かれて構成されている。
以前は上下巻に分かれていたようだ。



「ベラミ」は2012年に「ベラミ 愛を弄ぶ男」という題名で
ロバート・パティンソン主演で映画化されている。






ジョルジュは自分の美貌が成功への階段を上るための
有効な武器になることを知り、それを利用して
女たちを踏み台にしながら自分の地位と富を得ていく。


最初の手掛かりとなったド・マレル夫人だが
ジョルジュに夢中になって部屋まで借りたり
夫さえもジョルジュに会わせている。
夫がこれまたマヌケで関係に気が付かないばかりか
ジョルジュを気に入ってしまうのである。


ド・マレル夫人はその後、マドレーヌやシュザンヌと結婚するときに
さすがにもめたり喧嘩になるのだが
いつもほとぼりが醒めると、またジョルジュを許してしまって
きっぱりと別れることができないんですね。
特にジョルジュが金に困っている時には
ジョルジュに内緒でポケットなどに金を入れてやったりして
金銭的にも面倒を看ている感じになっていて完全に都合の良い女だ。


マドレーヌももう少ししたたかなのかと思ったが
若いツバメを育てるのが好きな性分なのか
最後の不倫も現場を押さえられるツメの甘さがあるし。


新聞社の社長の妻ヴァルテール夫人も
禁断の恋に揺らぐ気持ちを懺悔してみたり
結ばれるときはまるで処女のような振る舞いで
かわいいというよりは正直ゾッとしてしまった。
そんなになるなら、最後まで拒絶しろよと思った。

そんなヴァルテール夫人だから
もう関係が出来た後は煩わしいくらいにつきまとう。
人生最初で最後の恋といわんばかりにジョルジュに固執する。

どんなに暴言を吐かれても、それでもジョルジュに
儲けが入るような情報を教えたり金さえもやろうとしたりと
これまたストーカー行為さえ除けば実に都合がいい。

ただ、娘と結婚すると知ったときの激しい嫉妬
自殺未遂までしてしまったのは気の毒だったが。


第一部ではフォレスチエが死ぬまでで
マドレーヌはジョルジュの好意を知りながらも
まだふたりは清い関係のままです。


貧しいジョルジュの生活を描き
軍隊時代の旧友フォレスチエと出会ったことで
勤め先の新聞社の記事を書くチャンスをもらい
うまく書けなくてマドレーヌに手伝ってもらい
足がかり的なものを得る様子が綴られています。

女関係も安娼婦やマドレーヌの友人
ド・マレル夫人夫人こそ簡単に関係が結べたものの
成り上がっていく過程でまだジョルジュのウブさが感じられるものだった。


だが、第二章でマドレーヌと結婚したところからは
女は全て自分の目的遂行だけのために冷酷に使い倒していく。
最後には女を連打する卑劣さもみせて、女たらしっぷりが醜くなっていく。

こういう場合、ここまではうまく行ったけど
自業自得で最後には仕返しがあるのではないかと思うものだが
ジョルジュは現段階での最大の夢であるシュザンヌとも無事に結婚をして
更に自分の地位もあげていくことに見事に成功してしまう。


一般的な男性諸氏からすれば、美貌のジョルジュが
つまづかずに終わるのは、クソッって胸糞悪く思えるだろうし
女性から見ても女を道具にしか見てない男に嫌悪感を抱くだろうが
人生こういうものかもしれない。
ある種の爽快感みたいなものはある。


女を踏み台に自分の野望のためだけに利用して
不要となったら情け無用で女を切る
こんな色男ジョルジュが最後やっぱり
ずーっとうまくはいかなかったのねで
読者の溜飲を下げるというのがよくある話だが
そういう戒め的なモノがなくそのまま進み続ける
そんな終わり方がいいなと思いましたね。





圧倒的な自分目線で成功の階段を上り続けて
若いジョルジュがこのあと年を重ねていったら
どういう心境の変化が生じてきたのかそちらが気になる。

若さと体力があるときに、一気に突き進み
その後の長い人生ではどうなったのか。


この後映画の方も見てみようかなと思っています。




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さて、土ワイではジョルジュが草刈正雄
マドレーヌが太地喜和子
フォレスチエが岸田森
ヴァルテールが観世栄夫
ヴォドレック伯爵orラロッシュを平田昭彦

でドラマ化しました。

おそらくヴァルテール夫人が南田洋子
シュザンヌが森下愛子
片桐夕子はド・マレル夫人かシュザンヌの姉のローズあたりか。




原作での豪華さはスケールダウンした形になっていて
90分枠時代のものなので正味70分のドラマでは
もっとストーリーがコンパクトにまとめられていたのではないかと予想してます。


マドレーヌが太地喜和子というのはピッタリだと思うんですが
草刈正雄って第一章のジョルジュならいいんだけど
第二章の卑劣で冷酷なジョルジュ像には合わない気が・・・。



目鼻立ちが整った男前なのでその辺はいいんですが
映画「病院坂の首縊りの家」黙太郎みたいな
ハンサムなんだけどどこか飄々としているっていうか
女を手玉にとるワルってイメージはないんだよなぁ。
ジゴロには見えない。


えげつなさは抑え目にドラマ化したのかなと思ってます。
したたかそうな太地喜和子を草刈正雄が利用するって
逆に太地喜和子は女の弱さを見せる演技も上手そうなので
こちらが手を緩めることによって草刈正雄を引き立たせたのかな?
草刈正雄が立場が弱い前半は太地喜和子が上から目線で
後半は弱さを見せることによって
相手の威圧感を感じさせるようにしたのかなと。




この辺りも含め確認したいんですが、こちらもなかなか放送されないんですよね。



太地喜和子の夫に岸田森って、平田昭彦と愛人関係っていうのはわかるけど
岸田森は太地喜和子にエネルギーを吸い取られてしまいそう。



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