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2020-05-24 (Sun)

NHK劇場 「三十六人の乗客」 (1969年)

主演が露口茂、1969年度プラハ国際テレビ祭でカメラワーク賞を受賞とあり長年見たかった作品。


有馬義頼の同名小説のドラマ化で、原作はかなり前に読んだことがあるんですが
短編小説でこれをどういう風に見せているのだろうかと脚本と演出面に興味がありました。


「シンプルなだけにどう味付けをするか?」技量が問われるタイプの作品だと思っていましたので。



●「三十六人の乗客」  
放送日: 1969年4月3日
原作: 有馬義頼  『三十六人の乗客
脚本: 早坂暁
音楽: ピンキーとキラーズ 「恋の季節
監督: 遠藤利男
制作: 荒木 順
出演: 露口茂、日下武史、小山源喜、太田正孝、稲吉靖、高橋征郎、
山谷初男、中田浩二、小川幾太郎、入江正徳、小野泰次郎、此島愛子、
小石真喜、志野まゆき、神保共子、草間京子ほか



NHK劇場 「三十六人の乗客」





チビ、デブ、のっぽの三人組が銀行を襲い警備員を殺し五百万円を奪って逃走するという事件が発生。
現在、三人組はそれぞれ別行動をとっているらしい。
その犯人らしき男が日本橋でスキー服を買ったという情報があり
警視庁の鳥集刑事(露口茂)は草津へ向かうスキーバスに乗り込んだ。


乗客は鳥集を含めて三十六人。



NHK劇場 「三十六人の乗客」





犯人は草津出身、スキー服を買っただけで、乗客の中に犯人が紛れ込んでいるという確証はない。
だが、そうであるなら犯人はピストルを携帯しているはずで逮捕するにも
乗客に被害が及ばないように慎重に行動する必要がある。


スキーへ行く若い男のグループや、幼い子供を抱えた親子連れ、訳あり中年男など
様々な目的を持つ男女を乗せてバスは発車する。



後部座席に座った鳥集に前の二人掛け席に座る酒のみ男(日下武史)がしきりに話しかけてくる。
若い男のグループはすっかり行楽気分で歌を歌うと、近くにいる若い女性客にちょっかいを出してきた。
彼女はそれをキッカケに中年男の隣へ移動しようとして、中年男の隣に座る地図ばかり見ている
若い男に席を代わってくれるように頼んだ。


NHK劇場 「三十六人の乗客」



すると、立ち上がった地図男(高橋征郎)がピストルを落としてしまい車内の空気は凍りつく。
彼はおもちゃのピストルだというと窓から外へ投げ捨て、女性客は中年男の隣へ。


酒のみ男は人間観察が好きなのか、中年男と女性客は社内の不倫カップルで
ソワソワして落ち着かない地図男を「時限爆弾なんか仕掛けるタイプだ」と
自分の推理を鳥集にしきりに喋ってくる。


NHK劇場 「三十六人の乗客」





だが、刑事の鳥集は目つきの悪いチビ(稲吉靖)が鳥集の行動をチェックするように見ていたのが気にかかった。
そんな時、熊谷のドライブインで十五分間の休憩時間に入る。


チビがどこかへ電話を掛けているのを見た鳥集はガムを買う時に盗み聞きしようとするが
若い男女がジュークボックスでピンキーとキラーズの「恋の季節」を掛けて踊り始めたため
チビの声はかき消されてしまった。


年齢から犯人ではないかもしれないが、ずっと鞄を握りしめている中年男もワケがありそうだ。



NHK劇場 「三十六人の乗客」


鞄男(山谷初男)は電話を掛け会話からどうやらバスで誰かと落ち合う予定だったらしいが
相手が乗り遅れてしまったとわかる。
鞄男は電話を切ったあとも落ち着かなく、釣銭がないという売店女子にあるだけ釣をくれればいいと言い
沢山のアルコールを買って行った。




ようやく電話が空いたため鳥集が署へ連絡すると、同じバスに”サイトウ”という所轄の刑事が乗っていると知らされる。
その様子を陰から例のチビが見ていたが鳥集は気がつかないままバスへ戻ると
乗務員に刑事であると身分を明かして車内にいるサイトウが誰か確認するのを協力して欲しいと願い出た。




NHK劇場 「三十六人の乗客」





バスが走り出すと乗務員は「サイトウさんはいませんか?」と呼びかけ
顔に傷を負った青い服の男がサイトウだと判明する。


酒のみ男は「バスの空気が息苦しい。この中に私服の刑事でも乗り込んでいるんじゃないか」と
鳥集に話しかけてきた。
正体がバレる前になんとしてもサイトウ刑事に自分も刑事だと知らせようとするが
アクシデントから若い男性グループとつかみ合いになり失敗。



鳥集は渋川で休憩に入った時に、サイトウの肩をポンと叩き外で会おうとサインを送る。


NHK劇場 「三十六人の乗客」





だが、サイトウはその意味がわからず降りてはこない。
仕方なく鳥集は渋川署に電話を掛けるが途中で誰かが盗み聞きしていることに気づいて電話を切った。


急いでバスに戻ってみると、予想通りチビがいない。
やはり犯人は目つきの悪いチビに間違いないと鳥集が確信した矢先に
乗客の男たちから襲われピストルを発見されてしまう。


彼らはさっきもみ合ったときに鳥集の胸元に堅いものがあることから
ピストルを隠し持っている銀行強盗の犯人だと疑いをかけていたのだ。
密室の中で大勢の男たちが相手ではなす術もなく鳥集は刑事であることを明かした。



NHK劇場 「三十六人の乗客」





騒ぎが収まるとチビがバスに戻り、何事もなかったかのように発車し
乗客の中にいる医者(小山源喜)が鳥集の傷の手当てを始めた。
すると、女のすすり泣く声が聞こえ隣の男がピストルを持って立ち上がった。


銀行強盗の犯人はチビではなくサングラスをかけた男(太田正孝)で
鳥集は大変な思い違いをしていたことに気づかされる。
犯人は鳥集の銃を奪うと、電話の会話を聞いていたのかもう一人の刑事に名乗り出ろと叫ぶ。


そして、サイトウに銃を差し出せと命令するが、彼はただの大学生で刑事でないとわかり
鞄男も会社の金を横領していたために挙動不審だったと判明。




NHK劇場 「三十六人の乗客」




犯人は親子連れから子供を人質にとると刑事に名乗り出るよう要求するが
乗っているはずの所轄の刑事は応答しなかった。



狙いは刑事だけで犯人は一般の乗客に危害を加えるつもりはないというが
刑事の正体がわからずイライラした犯人は子供を殺すと脅し始めたため
父親(中田浩二)が必死で命乞いをし始めた。



この時、鳥集はチビと目が合い彼こそが所轄の刑事だったと直感。



NHK劇場 「三十六人の乗客」




犯人の指示で若い男のグループが男たちを次々に調べていくうち、
饒舌な酒のみ男はスキーの取材するために乗り合わせたルポライターの山中で
地図男は予備校生とわかる。


いよいよ、チビに矛先が向き「おれはただの会社員だ」と否定するが
怪しんだ犯人はチビのポケットを調べろと若い男のグループに命令。


彼らに襲われたチビは抵抗しながら思わず
「キミたちは犯人に協力するのか!」と叫ぶがとうとうピストルを見つけられてしまった。



やがて、バスは雪道を走り後方からタクシーが来たため一旦停車した。


NHK劇場 「三十六人の乗客」




子供を抱えた犯人はバスからそのタクシーに乗り換えて逃亡しようと考えバスを降りようとすると
子供を取り返そうとする母親が掴みかかりサングラスが落ちて素顔がさらされた。
すると乗客のヤスオが犯人が同級生だとわかり思わず「やめろ!」と叫んだ。


犯人はヤスオに「東京でいろいろやったけど全部うまくいかなかったんだよ」と言い残すと
タクシー運転手が発車する前に、タイヤにチェーンを巻きたいという要求をのんだ。
棒を持った鳥集はチビの刑事と二人で、そのすきにバスを抜け出してバスの下に潜り込む。



NHK劇場 「三十六人の乗客」






犯人の足が見え鳥集が棒で犯人を倒すと、チビ刑事が子供を保護し鳥集は犯人と格闘し
銃で撃たれ負傷しながらも逃走する犯人を必死に追いかけていく。
まもなく、チビ刑事や乗客の男たちも鳥集の応援にかけつけた。



若い男のグループは犯人を見つけると感情の赴くまま若さに任せて勢いよく殴り続ける。
鳥集とチビ刑事は襲っている男たちを引きはがすと、犯人は雪の上で倒れ動く力も残ってはいなかった。


そこへヤスオがやってきた。


NHK劇場 「三十六人の乗客」



犯人は「いい服着て、うまくやっているんだな」と呟くと、ヤスオは「違うんだ、おれ故郷に帰るんだ。」と答えた。
都会でうまくいかなかったのは犯人だけではない。


鞄男もまた犯人に盗まれて雪の上に散らばった金をかき集めている。
BGも指から指輪を抜き取り不倫を清算する決心をつけたようだ。



NHK劇場 「三十六人の乗客」



鳥集は医師の言った「スキーバスに乗る者に悪い人はいない」という言葉を思い出しながら手錠をかけ
チビ刑事と一緒に犯人を連行した。





三十六人の乗客 (光文社文庫)



期待を裏切らず見ごたえがある骨太の作品で満足でした。

ドラマの舞台はほとんどがバスの中で、強盗犯が乗っているかもしれないという
狭い密室の中でルポライターの山中が漏らしたような息苦しさが生々しく視聴者に伝わってくる。


時折、大学生と思われる若い男性のグループが呑気に歌うピンキーとキラーズの「恋の季節」や
ザ・テンプターズの「神様お願い!」が重苦しい空気を薄める。


息苦しいのは何も銀行強盗が乗っているからだけではなく、不倫の恋に身をやつす若い女性や
会社の金を横領した中年男、夢破れて故郷へ帰る若者が醸し出していたこともあるだろう。


それだけに、バスを降りて雪山へ出たときに事件は解決していないものの開放感を感じた。


私の拙い文章ではこの独特の空気感はうまく伝えられないが、犯人の人生だけではなく
他の乗客たちの人生までも表現する作り手の素晴らしさを堪能しました。



NHK劇場 「三十六人の乗客」


鳥集刑事を演じた露口茂と、その鳥集から初めは犯人と疑われる
所轄の刑事を演じた稲吉靖のツーショットが渋くてカッコイイ。
この二人が重厚感をプラスしてましたね。


私も原作を読んでいながらも「犯人は誰だろう?所轄の刑事は一体誰か?」など
それがわかるまでスリリングな気持ちにさせられた。


とかく重い空気になりがちな車中で、おしゃべり好きな山中の存在も際立っていた。


NHK劇場 「三十六人の乗客」


年齢から犯人でもそして言動から刑事でもないなっていうのはわかるんだけど
妙にいろんなことに首を突っ込んでくる。


終盤、ルポライターと明かし、この好奇心旺盛っぷりは職業柄だとわかるのだが。


若い男性グループが鳥集と争ったときに胸元に堅いものがあったと発言したことから
鳥集が強盗犯と疑われ探ってみるべきだと提案したのも山中。


鳥集が刑事とわかると済まないと思ったのか飲んでいた酒をすすめるのだが
「おれは飲めないんだ」と断られてしまう。


さて、ピンキーとキラーズの「恋の季節」、ザ・テンプターズの「神様お願い!」は
若い男性グループが歌っていただけではなくちゃんと曲も流れてましたね。




ピンキーとキラーズ「恋の季節/つめいた雨」【EP】





この時代にピッタリでドラマの演出面で効果的な役割を担っていました。





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