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2006/05/07
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横溝正史シリーズ 「本陣殺人事件」 (1977年)

category - 昭和のテレビドラマ
2006/ 05/ 07
                 
「横溝正史シリーズ」の2作目となった『本陣殺人事件』
1作目の『犬神家の一族』もインパクトがありましたが、こちらも見どころが多くて好きです。


『犬神家の一族』では、湖から突き出す二本の足、スケキヨマスクが衝撃的でしたが
こちらは三本指というこれまた不気味な見た目と言葉の響きで惹きつけるものがある。




■ 横溝正史シリーズ 「本陣殺人事件」
放送日: 1977年5月7日~1977年5月21日 (全3話)
原作: 横溝正史 本陣殺人事件 (角川文庫)
脚本: 安倍徹郎
音楽: 真鍋理一郎
主題歌: 「まぼろしの人」 (作詞:寺山寿和、作曲、唄:茶木みやこ)
監督: 蔵原惟繕
出演: 古谷一行、淡路千景、佐藤慶、荻島真一、内藤武敏、長門勇、
真木洋子、西崎みどり、菅貫太郎、草野大悟、野村昭子、北村英三ほか
制作: 毎日放送、大映映画、映像京都



横溝正史シリーズ 「本陣殺人事件」




昭和二十三年の初春、東京の私立探偵・金田一耕助(古谷一行)は幼なじみの克子(真木洋子)の
結婚式に出席するために、おばちゃん(野村昭子)と一緒に岡山へ出かけた。


克子の夫となる一柳賢蔵(佐藤慶)は、かつては本陣として栄えた由緒ある一柳家の長男。
父はすでに亡くなり母の糸子(淡島千景)、弟の三郎(荻島真一)、妹の鈴子(西崎みどり)と一緒に暮らしている。
一方の克子は父を亡くして叔父の久保銀造(内藤武敏)が父親代わりとなって育てていた。



横溝正史シリーズ 「本陣殺人事件」



克子はこれまで小学校の教師をしており、賢蔵も大学で教えているという似合いの相手だった。



式は盛大に行われたが、一柳兄弟はインテリで耕助は肩身の狭さを感じた。
賢蔵の叔父・一柳伊兵衛(北村英三)は今でこそ工場経営者であるが
もとは小作人だった銀造の姪である克子との結婚を未だに反対している。



横溝正史シリーズ 「本陣殺人事件」



結婚式が終わり、賢蔵と克子は離れで初夜を迎えた。


明け方近く、「コトン」という物音とかきならされる琴の音を聞いた耕助は部屋を飛び出す。
異変に気付いた銀造、三郎らも合流し賢蔵たちが寝ている離れの戸をぶち壊して中に入ると
布団の上で刺し殺された賢蔵と克子が折り重なって倒れていて
金屏風には琴爪で書かれたと思われる血染めの三本指の跡が残されていた。



横溝正史シリーズ 「本陣殺人事件」





日和警部(長門勇)が現場にかけつけてさっそく捜査が開始される。


犯人は夕方に玄関から離れに侵入しそのまま明け方近くまで隠れ凶行に及んだものとみられたが
侵入した後に雪が降り積もっているにもかかわらず出ていった時の足跡がなく密室殺人であった。
凶器の日本刀だけが降り積もった雪の中に突き刺さっている。



そこへ、三郎がやってきて犯人は金屏風に爪痕を残した三本指の男だと断言した。



横溝正史シリーズ 「本陣殺人事件」


警察の聞き込みでは三日前に、備中高瀬駅前にある雑貨店・川田屋に
黒マスクで三本指の男が立ち寄り女将さんから水をもらい飲み干すと
その日の夕方には一柳の屋敷の中を覗んで通りかかった近所の者に
「久-村へ行くにはこの道でいいのか?」と聞いて立ち去っていたと確認がとれていた。



その三本指の男は、婚礼の日に一柳家のばあやに賢蔵に宛てた手紙を預けていた。
「島で約束した闇討ちを果たしに来た。 君のいわゆる生涯の仇敵より」と書かれており
読んだ賢蔵はそれを破り捨てていたという。


横溝正史シリーズ 「本陣殺人事件」


賢蔵の書斎にあるアルバムから「生涯の仇敵」と書かれた男の写真がみつかり
川田屋に立ち寄った三本指の男が写真と同一人物だと判明。

警察は犯人を三本指の男と断定するが、
耕助は本当に三本指の男が実在していたか疑い始めていた。


横溝正史シリーズ 「本陣殺人事件」


その矢先、鈴子が大切にしていた飼い猫・たまの墓のそばで黒マスクの男を見かけたという知らせが舞い込む。
行ってみると「たまの墓」と書かれた墓標には赤い三本指の指紋がハッキリと残されている。
墓を掘り起こしてみたが、たまの死体以外は何もなかった。



つづいて離れの部屋からも三本指の指紋が発見され侵入経路が明らかになる。
川田屋で水をもらったときにカップについた指紋と、たまの墓についていたもの、
離れから見つかったものも全て一致した。



三郎は日和たちに几帳面な性格の賢蔵が日記をつける習慣があったことを伝え
その一部分が切り取られ燃やされていることを報告。
燃えかすを調べてみると、かつて訪れた瀬戸内海の島でお冬という女を巡って
賢蔵と三本指の男との間で三角関係にあったことがわかった。


横溝正史シリーズ 「本陣殺人事件」


その一方で、克子の元同僚が訪ねてきて克子が結婚前に田谷照三と男女関係にあり
結婚前にそのことを賢蔵に打ち明けていたとわかる。
同僚に宛てた手紙には賢蔵はとても優しくて、自分の過ちを許してくれたが
田谷が付きまとってくるため救って欲しいと書かれている。



日和は三本指の男=賢蔵のアルバムにあった生涯の仇敵=田谷照三であるというが
アルバムの写真を見た同僚に田谷照三ではないと否定された。


横溝正史シリーズ 「本陣殺人事件」



密室殺人の謎も解けず捜査が膠着状態にある中で、賢蔵が三郎を受取人として
五百万円の生命保険を掛けており、保険会社は賢蔵の自殺の線を疑っているという情報を掴んだ。
しかし、凶器の日本刀は離れの外で見つかっており自殺の線はありえないと日和は否定。



耕助は三本指の男が”生涯の仇敵”として実在したのか検証するために独自に調査をすすめる。


三本指の男が最初に目撃された川田屋へ行くと耕助は女将さんに
「隣の久-村へ行くにはどういったら良いか」と尋ねた。


横溝正史シリーズ 「本陣殺人事件」



そこで、道案内をする際に一柳家を目印に教えていたと確認した。
三本指の男はその通りの順路で一柳家を通り久-村へ行こうとしてただけだと考えた。
捜査にあたっていた刑事に久-村で三本指の男を知っているものはいないか調べて欲しいと依頼する。



一方、賢蔵たちの火葬が済むと伊兵衛が克子を一柳家の墓に埋葬することに難色を示し
「余計な口出しをするな」と言う三郎と取っ組み合いの喧嘩となっていた。


耕助は銀造から未亡人の糸子と伊兵衛が男女関係にあり、それに三郎が反発しているのだと聞かされる。
賢蔵もそのことが原因で婚期を逸していたとわかり、賢蔵と三郎は母親と叔父の特別な関係に対し
嫌悪感を抱いている同士とわかり、耕助には事件の謎が少しずつ解けてきた。



横溝正史シリーズ 「本陣殺人事件」




耕助は琴糸を持ち出すと離れ近くにある水車小屋へ行き水車を使ってある実験をしようとしたが
三郎と鉢合わせたために取りやめて、探偵小説好きな三郎にコナン・ドイルの小説の話をする。


それは、自殺を他殺と見せるための簡単なトリックだった。
予め重りがついた紐をピストルに括り付けて、橋の上でピストル自殺をし手を離すと
ピストルは重りによって川の中に落ちるというものだった。
耕助は五百万の生命保険のことも持ち出すと、事件の共犯者と睨んだ三郎に揺さぶりをかける。



三本指の男の存在を日和に知らせ、賢蔵のアルバムや日記を見せて
警察の容疑の目が三本指の男にかかるように誘導したのは全て三郎だった。



横溝正史シリーズ 「本陣殺人事件」




まもなく、耕助の指示で久-村へ行った捜査員が三本指の男の正体を掴んだ。
彼は清水京吉(草野大悟)という大阪のトラック運転手で三か月前に
衝突事故により顔に怪我を負い指を失ったのだという。
耕助は裏山にある炭焼き小屋から靴を見つけ、それが京吉のものであり
もう死んでいるかもしれないと思い始めた。



その夜に離れにいた三郎が日本刀で切り付けられ瀕死の重体となる。

三郎は三本指の男に襲われたと言い残し、ふすまにも三本指の指紋が残されているが
耕助は彼の犯行を装った三郎の狂言だと見破った。


さらに、鈴子からたまの墓がまた荒らされていると聞き、もう一度掘り返したところ
中から切り取られた三本指の右手首が見つかる。
犯人は三本指の男が犯人と思わせるためにスタンプ代わりに使っていたのだ。



横溝正史シリーズ 「本陣殺人事件」




耕助は賢蔵は克子を殺したあとに自殺したのだと断定すると密室トリックを実演してみせた。
あの日、賢蔵は水車小屋の周吉が水車を動かす時間を狙って計画通り犯行に及んだ。


寝ていた克子を日本刀で刺し殺すと、三本の指に琴爪をはめて克子の血で金屏風に爪痕を残し
刀の鞘を押し入れに投げ込み琴爪を便所に投げ捨てた。
予め水車を利用して仕掛けておいた琴糸を外から廊下に引き込むと刀の鍔に通し自殺をする。



凶器の日本刀は水車が回ることによって糸が吊られ、近くにあった琴にぶつかると
金屏風を伝って欄間と廊下を通り抜けて離れの外に出ると大木に刺しておいた鎌によって
琴糸が切られて日本刀はそのまま庭に突き刺さる。


横溝正史シリーズ 「本陣殺人事件」




これにより、密室殺人の謎は解け賢蔵が克子を殺して自殺したことが立証出来た。


三本指の手首が見つかり、日和の指示で死体を探すべく警察犬を使って捜索が行われる。
耕助は炭焼き小屋で靴などを見つけたこと、三郎の服に泥がついていたことから
炭焼き小屋へ行きついに京吉の遺体を発見した。



耕助は賢蔵が新妻克子を殺して自分も死んだのは、克子が男を知っていたことを許せず行ったものだという。
糸子は賢蔵が人殺しをしたことは信じられないというが、実は警察が三郎の服を持っていく前に
ポケットから血の付いた軍手を盗み出しており三郎が事件に係わっていることを知っていた。


横溝正史シリーズ 「本陣殺人事件」



賢蔵が使用した日本刀はかつて糸子の夫が糸子と男が一緒に部屋で会っているのを見て
刀を振り回し結局その刀によって自分が死んでしまったという因縁のあるものだった。


まもなく、回復の兆しをみせた三郎が糸子と耕助それぞれに賢蔵が克子を殺して自殺したと打ち明けた。



潔癖症の賢蔵と三郎にとって幼い時から糸子は理想の女性だった。
ところが、父の死後にこの家で糸子が伊兵衛と抱き合っているのを知り激しく傷つき憎悪を抱く。
そんな中で、行き遅れていた賢蔵がついに克子と恋に落ちて結婚を決めた。
しかし、それも結婚直前になって克子の告白により生娘でないとわかり絶望の淵に追いやられる。



婚礼の日の前夜に帰宅した三郎は、離れの大木に鎌が突き立てられ
水車には糸が巻き付けられ離れの中から琴糸が巻き付いた日本刀が飛び出してきた。
わけがわからぬ三郎が呆然としていると、離れから出てきた賢蔵が
「見たな!」と鬼の形相で糸で吊るされていた日本刀を引きちぎって手に取ると
三郎を離れの部屋に連れ込み殺そうとし三郎は泣き叫びながら必死で命乞いをした。


横溝正史シリーズ 「本陣殺人事件」




賢蔵は克子の男が彼女を追って姿を現せば自分は生き恥を晒すことになる。

今になって婚礼を辞めても同じことで自分と克子が何者かによって殺されたように偽装するという。
誇り高い一柳家の当主として自殺するのは敗北を意味し絶対に避けねばならない。
だから、他殺に見せるための協力をしてほしいと三郎に土下座してまで頼み込んできた。


推理小説マニアの三郎は耕助が来ると知り、いずれは暴かれると反対したが
自信家の賢蔵はあのトリックを見破るものはこの世にはいないと計画の実行を止めようとはしない。


横溝正史シリーズ 「本陣殺人事件」




最後は一柳家の人間として克子を許せない気持ちが理解出来た三郎は、
プライドの高い賢蔵が初めて頭を下げたこともあり計画に協力することにした。


賢蔵は水車小屋で久-村へ行く途中で病死した京吉の死体を偶然見つけて持ち帰っていた。
そして、自分と克子を殺した犯人に仕立て上げることを思いついて
京吉の身分証から写真を剥して自分のアルバムに貼り、わざと日記に嘘を書いて
賢蔵と京吉との間に因縁関係があるように細工をしていた。


横溝正史シリーズ 「本陣殺人事件」



婚礼の日、三郎は三本指の男になりすましてばあやに手紙を渡し、賢蔵も計画を実行に移した。



全てはうまくいっていたが、耕助が密室のトリックを見破り賢蔵が自殺したと知ったため
賢蔵と同じく恥辱よりも死を選んだ三郎は三本指の男に殺されたように見せかけて自殺しようとしたのだ。
三郎は「こんな呪われた一柳家は絶滅すればいい。みんな死ぬんです、母も鈴子も…。」と
いい忌まわしい一柳家の運命を背負った己の人生を嘆いた。


その通り、鈴子は脳腫瘍を患っていてあと少しの命だった。
日和に「やっぱり犯人は三郎だったか?」と聞かれた耕助は
「犯人は一柳家の忌まわしい因縁ですよ」とやり切れない気持ちで答えた。


三郎は床から這い出すと最後の力を振り絞って琴を弾く糸子の部屋にたどり着いた。
異変を感じた糸子は倒れている三郎を抱き上げるとそのまま糸子の腕の中で息を引き取った。


横溝正史シリーズ 「本陣殺人事件」


全てが終わり耕助は銀造と一緒に屋敷を出て帰ることにした。

そこへ、日和が取れたてのイイダコを土産に耕助を見送りに来る。
耕助の耳には糸子が奏でる琴の音が聞こえてきたような気がした。






本陣殺人事件 (角川文庫)



子供の頃から横溝正史は好きで「犬神家の一族」など有名どころはもとより
こちらの「本陣殺人事件」も持っていてちょっとだけ読んでみたが
久しぶりに見直してみると意外に長くて驚き。


ドラマでは三郎の人物像が小説とは少し異なっていてドラマの方が良かった印象。



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それは、最後の三郎が金田一に向かって事件の真相を語る回想シーン。

賢蔵が犯行の前夜、密室トリックの予行演習をしているところに
夜遅く帰ってきた三郎が離れを通り抜けようとしてその現場を見てしまう。


何が行われているのかわからない三郎がしばし立ち尽くしていると
部屋から賢蔵が出てきて「見たな!」といい三郎の首根っこを掴んで部屋に連れ込むところ。


「見たものは殺す!!」と日本刀を片手に切りかかろうとする兄に対して
「に、兄さん!」と声をからしながら「殺さないでくれ!」と泣きながら逃げ回るのだが
この兄弟が佐藤慶と荻島真一という曲者同士で嫌な組み合わせ。


三郎は23歳の京都大学の大学院生で推理小説マニア、賢蔵も大学の先生で
兄が密室殺人の筋書きを書き、彼の死後は弟がそれを完成させる二人三脚ぶりを見せている。
金田一耕助に対して、挑戦的な態度をとっていた三郎が殺されそうになり
逃げ回る姿は私にとっての大きな見どころ。


23歳の大学院生って設定にも年齢的に無理がありそうなのも笑えるが
最後のこの場面はキョーレツで、以後私の中では荻島真一というと
「に、兄さん!」のイメージが強くなった。



この兄弟が理想とするのは琴を弾く美人の母親。

横溝正史シリーズ 「本陣殺人事件」


三郎は死ぬ前に「子供心にも、琴を弾く美しいかあさんが好きだった」と打ち明けている。

その母さんは、男と二人で部屋にいるのを夫に見られ
なぜかこの時だけ夫は興奮して刀を持ち出しそれによって自分を刺してしまうという
事故のような形で夫を失ってしまう。


横溝正史シリーズ 「本陣殺人事件」

それ以後は、夫の弟と不倫関係(妻帯者なので)になるのだが、
兄弟はこの下品な叔父と交わったことに嫌悪感を抱き
賢蔵の女性観にも影響を与えたのだろう、賢蔵は長いこと独身を貫いていた。


この叔父が北村英三で嫌らしい感じが伝わってくる。
関西系の人なのか、京都殺人案内でもよく目にした印象がある俳優さん。
(横溝正史シリーズは毎日放送制作で、京都殺人案内は朝日放送制作)


横溝正史シリーズ 「本陣殺人事件」

この上品に見えて男に弱い賢蔵、三郎の母糸子を演じたのが淡島千景。

琴を弾くシーンでの指捌きは鮮やかでかっこよかった。


横溝正史シリーズ 「本陣殺人事件」

また、兄弟の妹の小夜子には西崎みどり。
おかっぱ頭が横溝正史シリーズらしい。


小夜子は脳腫瘍で余命僅かなのだが、ちょっと頭が弱く愛猫のたまの墓が度々掘り返されているのを嘆いている。
それは、三郎が捜査陣の目を欺くためだったり、三本指スタンプを隠すためだったりで
わざわざ自分の妹が大切にしている場所を荒らさなくてもと思うんだが。




************ 横溝正史シリーズ一覧 ************


1. 「犬神家の一族」

2. 「本陣殺人事件」

3. 「三つ首塔」

4. 「悪魔が来りて笛を吹く」

5. 「獄門島」

6. 「悪魔の手毬唄」



************ 横溝正史シリーズⅡ一覧 ************


1. 「八つ墓村」

2. 「真珠郎」

3. 「仮面舞踏会」

4. 「不死蝶」

5. 「夜歩く」

6. 「女王蜂」

7. 「黒猫亭事件」

8. 「仮面劇場」

9. 「迷路荘の惨劇」





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