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2006/12/03
展覧会レポート昭和のドラマ昔の土曜ワイド劇場懐かし邦画

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松本清張の「断線」 (1983年)

category - 土曜ワイド劇場
2006/ 12/ 03
                 
妊娠した妻が喜びを伝えた翌日、突然夫が蒸発した。
幸せなはずの男がなぜ姿を消し次々と女を棄てていくのか。

松田優作が清張サスペンスに初挑戦した作品。



●「断線・新妻を棄て、愛人を殺し、年上の女と心中した男」
1983年12月3日
原作: 松本清張 『断線』  松本清張ジャンル別作品集(5) 犯罪小説 (双葉文庫) 収録
脚本: 橋本綾
音楽: 梅林茂
監督: 崔洋一
制作: 東映
出演: 松田優作、風吹ジュン、木村理恵、
辺見マリ、加藤武、星正人ほか




松本清張の断線




田島光夫(松田優作)は、東西銀行大森支店の女子行員
滝村英子(木村理恵)と結婚した。
光夫は親兄弟がなく、英子が一人娘だったことから
付き合って半年後に婿入りすることになったのだ。




松本清張の断線

やがて英子は妊娠し、英子の実家で父(三谷昇)、母と光夫の4人で
祝いの食事をしたが、喜ぶ英子達とは裏腹に光夫はいつも通り
感情がないままで英子はそれが気がかりだった。


英子の喜びもつかの間で、翌日に光夫は貯金を全額おろして蒸発してしまった。



心配になった英子が光夫が勤めている証券会社に行くと、営業課長の田宮(北村総一郎)は
光夫が留意を押し切り突然退職していたことを聞かされて驚いた。
さらに同僚の話しから、光夫が家を出るために口実にしていた
マージャンも嘘であることがわかった。



独身時代、光夫は「山岡秋子」名義の通帳を持って
英子が勤める銀行に客として来ていた。
英子は同僚から山岡秋子のことを聞くとすでに口座は解約されていて
山岡秋子の住所を訪ねていくとそこは、アパートなどなく野地商店という店になっていた。



光夫の消息がつかめないまま時間は過ぎ、英子は妊娠中絶を決意する。



その頃、光夫は友永悟郎と名乗り、新宿のキャバレーでホステスをしている
浜井乃里子(風吹ジュン)と同棲していた。
英子と一緒に暮らしている時から、光夫は週末会社の連中とマージャンをすると
偽っては乃里子の家へ会いに来ていたのだ。




松本清張の断線


ひとり暮らしの乃里子は光夫がいることで寂しさが紛れ
結婚も夢見て、初めのころこそ同棲生活を楽しんでいたが
証券会社を辞めヒモになりさがり通帳の残高が気になりだすと
生活費も入れない光夫に苛立ちが募るようになり
暴言を吐くようになってきた。





何を考えているのかわからない光夫だが、
ある日突然四谷のクラブでのボーイのバイトを決めてきた。


そこへは証券会社時代に上客の木崎(西尾三枝子)から
鎌倉の貿易商夫人と紹介されたことがある
左恵子(辺見マリ)が偶然通っていて二人は久しぶりに再会した。


左恵子は光夫が友永悟朗と名乗りボーイをしてることに驚いた。
しかし、金を得るために証券マンをやるのもボーイをやるのも光夫にとっては同じだった。
そんな冷めた光夫をうらやましがると、二人はその晩一夜を過ごした。
左恵子は木崎もあの店に来ているので会いたくなければ店を変えた方がいいというが
そんなことは光夫にとってめんどくさいだけだった。


松本清張の断線

好意が終わると左恵子はそっと光夫の上着に金を入れた。
帰り際それに気が付いた光夫は札を捨てたものの
考えを変えて拾い上げるとそのまま帰って行った。




松本清張の断線


だが、その後乃里子は光夫がクラブをやめて、
新しい女が出来たことを悟った。
相変わらず生活費を入れない光夫に乃里子は出て行けと言った。



そんな時、左恵子も光夫に鎌倉へ来てくれという。
夫がいる時にはなかなか東京へ行きづらいからだ。
証券マンの光夫に初めて会ったときから
左恵子は光夫に目をつけていて生活の面倒も見るという。



左恵子と会った帰り、光夫を待ち伏せしていた乃里子が現れた。
乃里子は左恵子のことも調べていて、金を持っているとみると
別れるからこれまで貢いだ300万円を手切れ金として要求してきた。

光夫は左恵子から直接もらえと言い、めんどくさいことには巻き込まれたくなかった。


自分から逃げようとする光夫に乃里子はしがみついて離さない。
それを撥ね退けようとすると、乃里子は壁に頭を打ち付けて
長い階段から転げ落ちていった。



一旦はその場を去った光夫だが、さすがに起き上がってこない乃里子が気になり
引き返してみると乃里子はすでに死亡していた。


これまで無気力で感情を見せなかった光夫だが
さすがに人が死んだとあった驚きの表情を見せる。
しばらくどうしようかと思いあぐねていたが
結局は乃里子の死体を見捨ててその場から去っていった。



翌日、乃里子の死体が発見され警察が来た。
やがて乃里子の身元が割れると友永悟朗と名乗るヒモがいることを知った。


松本清張の断線

光夫は左恵子の世話になることになり用意してくれたマンションにいた。
左恵子は夫は海外にいくのでしばらく一緒にいられるといい
ふたりは一緒に暮らすようになった。


光夫を愛する左恵子だが、光夫は相変わらず無気力でつまらなそうにしていて
自分のことを愛していないことがわかった。
それを言うと、光夫はだったら亭主のところへ帰ればいいとポツンとつぶやいた。


左恵子はこれまで光夫に嘘を言ってたと言い
貿易商夫人ではなく男の妾であり
その男の会社が倒産して本宅と左恵子の家もとられてしまい
もう帰るところがないことを打ち明けた。


松本清張の断線

光夫は貿易商夫人でないことは知っていた。
左恵子は光夫に一緒に死んでくれといい、光夫もそれを受け入れた。


ふたりは睡眠薬心中を図ったが、途中で光夫は意識を取り戻し
薬を吐きだすとそばにいた生きているとも死んでいるともわからない
左恵子を置き去りにしてその場から逃げた。


光夫は夜の海にひとり入っていくが--。


遺書を残した左恵子の死体がみつかり心中を図ったとわかった。
町川刑事(加藤武)は犯人が女を置き去りにする癖があると感じ
乃里子と左恵子の影にいる男の共通性を見つけた。



町川は5月15日に乃里子が死に、5月16日に左恵子がマンションを契約していること
どちらの部屋にも同居している男の匂いが全くしなかったことから
それが同一人物であると確信を深めた。


町川は左恵子の身辺を洗ううちに光夫が勤めていたクラブへ聞き込みに行った。
左恵子が以前は木崎という女性とよく通っていたことを聞きだし
友永悟朗という男の存在を知ると、木崎に話を聞きに向かった。



松本清張の断線

木崎は友永悟朗を知らなかったが、刑事がその男の特徴を話し似顔絵を見せると
証券会社にいた田島光夫に似ているという。



ある日、英子のところへ突然光夫から電話が入り
英子は光夫がいる安宿へ出かけていった。


英子は光夫を探すために山岡秋子の住所を尋ね横須賀まで行ったことを話すと
光夫は昔その場所に一人暮らしの山岡秋子というおばあさんがいて
自分に親切にしてくれたことを話す。


夫婦だったものの、これまで光夫は自分の子ども時代の話しを
英子に聞かせることはなかった。
二人はその晩一夜をともに過ごすと、英子は実家へ帰って行った。


松本清張の断線

だが、父母の様子は明らかにおかしかった。
父は栄子に、光夫が女性二人を殺して逃げていて
昨日警察が光夫の事を聞きに来たことを話した。




とっさに英子は家を飛び出すと先ほどの宿へ引き返した。
だがわずかの間に光夫は宿を出ていて再び行方が分からなくなっていた。
宿の女主人の話しから、光夫は出る時に「帰るところがわかった」と
話していたことを聞きだした。


身寄りがない光夫が帰る場所というのはひとつしかない。
英子は山岡秋子が住んでいた野地商店があるところへ急いで向かった。
その後を刑事たちが尾行していた。



英子が光夫を待ち続けていると町川と若手刑事(星正人)は
光夫はここへはこないという。
英子にあの男の性格をわかってないようだから、今日は家へ帰るように諭される。



松本清張の断線

仕方なく英子は刑事の言葉通り駅へ向かうと切符を買い電車に乗ろうとする。
だが、やはりあの時話してくれた光夫の言葉が忘れられずにそのまま改札を出た。



そして、夕暮れ時になり英子はついに光夫の姿を見つけた。
二人は何かから逃れるように激しくむさぼり合った。


翌朝、海岸に二人の姿があった。
光夫は海へ向かって花や札を投げていた。


全てが終わると二人は覚悟した表情を見せる。
光夫は懐からナイフを取り出すと、そのまま英子のところへ歩いていった。



松本清張の断線

しかし、光夫は英子を殺すことが出来なかった。
二人がしっかりと抱き合っているところへ、
刑事たちが二人のところへ押し寄せてきた。



光夫は逮捕され取り調べを受けていた。




ひとりになった英子はまだ海岸にいた。
その後姿を見た警官(井上昭文)が英子に話しかけた。


警官は昔その場所で目撃した親子心中の事を話す。


母親は幼い女の子を抱えて入水自殺をした。
その時の後姿が今の英子にそっくりだった。
母娘が身を投げてしまうと、一人の男の子が海へ向かって
「アキコーー!」と叫び続けていた。



松本清張の断線

男の子は母親に道連れにされた女の子の兄だった。
警官から置き去りにされた男の子の話しを聞いた英子は
「アキコ」という名前にピンときた。



置き去りにされた男の子は、その後に女を置き去りにするという
自分が過去にされたことを、無意識に相手にしてしまう男に成長した。



















幼い時に自分だけ残して、母親が妹を連れて死んでしまうという
トラウマを抱えたまま成長した男の無気力でなげやりな人生を描いたドラマ。


二人の女が死ぬわけだが、殺すつもりは全くなくて
ひとりは付きまとってきたのを撥ね退けたのが
運悪く女が壁に頭を打ってそのまま階段を転げ落ちてしまう。



さすがに気になって引き返してきたものの
病院へ運ぶこともせず見捨てて立ち去る。



心中しようとしたときも、無意識で行きたい気持ちがあったのか
意識を戻すと薬を吐きだし、女を見捨てて海へは入ったものの
そのまま生き延びてしまった。


家庭を知らなかった男は、なぜか結婚をしたが
子どもが出来たことを知ると翌日に姿を消してしまう。


しかも結婚相手は銀行員で、実家は商売をしていて
一人娘であることから両親も婿を迎えたがっているという
こういう男からしたら息苦しさを感じる環境だ。


刑事役の加藤武のセリフ通り、そんな男に奥さんがいたとはねぇ。


女と女の間を漂いながら生き続けるのだが
自分から口説くとか仕掛けるということはせず
一緒にいたいという女の言葉に成り行きで生活を共にするという
何をどうしたいのかわからない感情のない男を
松田優作が独特の雰囲気を持って演じている。


松田本人は、「役作りはセットに入ってから、ムードで考える。」という
スタンスだったようだ。


この作品で監督をつとめた崔洋一は、助手、助監督時代から
松田優作とコンビを組んできた人。

「これまで持っていた肉体的なハードさを脱却して、
彼の違う魅力を引き出した。」と語っている。





松田優作と木村理恵って「太陽にほえろ!」のジーパンとアッコ。
ですけど、同時期には太陽に出ていないんですよね。




※※※ 松本清張作品記事一覧 ※※※


■ 「ガラスの城」

■ 「声・ダイヤルは死の囁き」

■ 「顔・死の断崖」

■ 「犯罪広告」

■ 「聞かなかった場所」

■ 「種族同盟・湖上の偽装殺人」

■ 「紐・恐怖の大回転遊覧車」

■ 「帝銀事件・大量殺人!獄中三十二年の死刑囚」

■ 「地の骨・犯罪大学・入試問題を拾った女」

■ 「駆ける男」

■ 「白い闇・十和田湖偽装心中」

■ 「小さな旅館」

■ 「死んだ馬・殺人設計図」

■ 「山峡の章・みちのく偽装心中」

■ 「地方紙を買う女・昇仙峡囮心中」

■ 「書道教授・消えた死体」

■ 「風の息・事故か!謀略か!もく星号三原山墜落の謎」

■ 「事故・国道20号線殺人トリック」

■ 「駅路・謎の伊勢路殺人旅行」

■ 「危険な斜面・白骨になった女」

■ 「殺人行おくのほそ道」

■ 「寒流・銀行を手玉にとった女」

■ 「溺れ谷・蜂は一度刺して死ぬ!」

■ 「連環・偽装心中をあばく女」

■ 「熱い空気・家政婦は見た!夫婦の秘密」

■ 「断線・新妻を棄て、愛人を殺し年上の女と心中した男」

■ 「葦の浮舟・奥飛騨―東尋坊密会の旅」

■ 「証言」

■ 「高台の家・美しい未亡人の妖しいサロン」

■ 「黒い樹海・京都密会の旅殺人事件」

■ 「黒い空」

■ 「数の風景」

■ 「一年半待て」

■ 「霧の旗・獄死した兄は真犯人じゃない! 女の肉体を賭けた復讐の旅立ち」

■ 「鉢植えを買う女」

■ 「状況曲線・巨大談合組織の黒い殺人!男と女が欲望の罠にはまる…」

■ 「黒い樹海・姉の金沢不倫旅行が連続殺人を呼ぶ!」




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