2008/02/05
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「松本清張の寒流・銀行を手玉にとった女」 (1983年)

category - 土曜ワイド劇場
2008/ 02/ 05
                 
●「松本清張の寒流・銀行を手玉にとった女」  1983年2月5日
原作: 松本清張  『寒流』  黒い画集〈第2〉紐,天城越え,証言,寒流 (1959年) 収録
脚本: 大野靖子
音楽: 菅野光亮
監督: 富本壮吉
制作: 大映テレビ
出演: 露口茂、梶芽衣子、山口崇、池波志乃、
近石真介、川合伸旺、川口敦子、内田稔ほか





沖野一郎(露口茂)が勤める東和銀行では
頭取派と副頭取派の間で激しい権力争いが続けられていた。


松本清張の寒流・銀行を手玉にとった女



沖野は株主総会の席で福光喜太郎(川合伸旺)に
ニセのテープと写真をネタに副頭取派の不正を暴く
大芝居を演じさせた。



東和銀行の常務・桑山英己(山口崇)は頭取派で
沖野の大学時代の友人であり、元頭取の息子でもあった。
沖野は桑山の意向を汲みこの計画を立てたのだ。



三軒茶屋支店に勤務する沖野は真面目だけが取り柄の男だが
桑山のひきがあり出世街道を歩んでいた。
家族は病身の妻淳子(川口敦子)と二人の子供がいる。




計画は見事に成功し、沖野は桑山から働きを評価され
渋谷支店長に栄転することになった。


しばらくして、沖野は円山町の料亭”みなせ”の女将
前川奈美(梶芽衣子)から増築の資金として七千万円の融資を頼まれる。
奈美は主人に死なれ、子供を育てながら女でひとつで
店を経営するやり手で美人でもあった。


松本清張の寒流・銀行を手玉にとった女



奈美を一目見た沖野は彼女に惚れてしまい
すぐに深い関係を結ぶようになる。
いつしか奈美は沖野に結婚をほのめかすようになり
銀行を辞めても沖野ひとり面倒をみるという太っ腹なところをみせた。


沖野は完全に奈美に心を奪われていて、淳子にもそのうち離婚を切り出すと
真剣に奈美との仲を考えるようになっていた。
これまで銀行員としての地味な生活しか知らない沖野は
経営力のある美人の女将と恋仲になり初めて男として目覚めた。



ところが、ふとしたことから、沖野の行動に疑問を抱いた淳子は
沖野を尾行し奈美と二人ホテルに入る現場を目撃してしまった。



松本清張の寒流・銀行を手玉にとった女



淳子は沖野をなじり、スキャンダルが明るみになれば退社せざるを得なく
そうなれば奈美からも捨てられると沖野を激しくののしった。
沖野が本当に自分と別れるつもりだとわかった淳子は
睡眠薬を飲み自殺を図るが沖野が気づき一命をとりとめた。





そんな時、渋谷支店へ奈美がやってきた。
そこへ桑山も来て、奈美をみると女関係の派手な桑山は
彼女に好意を持つ。


松本清張の寒流・銀行を手玉にとった女



なんとか奈美をものにしたい桑山は沖野に奈美と三人で
一泊旅行をしようと誘った。
桑山の下心に気づいている沖野はそれをはねのけたいが
サラリーマンの悲しい性で常務の桑山の要求に従わざるを得なかった。


奈美の方もまんざらでもなく、支店長の沖野よりも
権力のある桑山へ心が傾き沖野からの電話を拒否するようになった。


松本清張の寒流・銀行を手玉にとった女

その後、沖野は突然宇都宮支店長となり左遷させられた。
奈美の件を知って以来、淳子は沖野に心を閉ざしたままで
自分を裏切った沖野を未だに憎んでいて夫婦関係は冷え切っていた。



桑山は奈美とすでに肉体関係があり、奈美も邪魔になった沖野が
自分が桑山に頼む前に地方送りになりホッとしていた。



沖野はこれまで桑山のおかげで暖かい暖流にいた。
しかし、地方へ一度行ったら最後定年まで地方を転々とするだけの人生になり
初めて寒流へと追いやられてしまった。


松本清張の寒流・銀行を手玉にとった女

送別会では桑山が白々しい挨拶をして沖野ははらわたが煮えくり返るが
グッとこらえることしかできなかった。
最後に奈美に電話するが客がいるからと嘘をつかれてしまうが
沖野は奈美のそばには桑山がいることはわかっていて
バカにされた悔しさで自然と涙が出てくる。



ふと顔をあげると目の前のビルに大信秘密探偵社の文字が見えた。
沖野はふらふらと歩いていき、事務所にいた伊牟田博助(近石真介)に
奈美と桑山の調査を依頼した。



松本清張の寒流・銀行を手玉にとった女


宇都宮に戻った沖野のもとに伊牟田から二人が密会している日時や場所
写真などが送られてきた。
煮え湯を飲まされた沖野だが、桑山のスキャンダルをつかみ反撃のチャンスを得た。


しかも、伊牟田の話では奈美は本店よりも豪華な十億円程の支店を
持ったことを知り、奈美の財産の資産価値からして桑山が不正に
奈美に融資をしているようなのだ。


松本清張の寒流・銀行を手玉にとった女

沖野は伊牟田の調査報告書をもとに福光に桑山の悪事を暴かせようと目論む。
思ってもみなかった大スキャンダルに福光も喜んでこの仕事を引き受けた。



だが、ある日沖野のもとへ立腹した福光から呼び出しの電話がかかった。


出向いてみると、福光は伊牟田の報告内容が出鱈目であり
報告書に記載されている日時に桑山のアリバイがあることを話す。
写真も暗がりで顔がよくわからず別人であるといきり立っている。


沖野はちゃんと探偵に調査させたと反論したが
福光はウラをとるために桑山にあっていて
おそらく伊牟田は桑山に買収されたのだろうという。



福光は桑山から罵倒されたのだと激しい口調で沖野に責めよってきた。
沖野はまさか福光が報告書を桑山に見せるとは考えてもいなかった。



福光の勢いに押されて沖野は平謝りするしかないが
自分のメンツはどうしてくれるとさらに沖野を脅してきた。



松本清張の寒流・銀行を手玉にとった女


沖野は大信秘密探偵社へ行き伊牟田に会おうとするが
すでに伊牟田は退職しており、沖野は伊牟田の仕事に文句をつけるが
逆に海千山千の事務所の男たちに痛めつけられて
道路に捨てられてしまう。


沖野はこれまでにない屈辱を受け、無力なわが身を道に突っ伏したまま
泣いて嘆くしかできなかった。



一方、桑山はベッドの中で奈美に福光が沖野の報告書をもとに
強請りに来たが金で丸め込んだことを報告した。
沖野は調査報告書がニセモノであると思っているから
もう自分たちを尾行するものはいないだろうという。
二人は大人しい沖野が二人をここまで憎んでいたことに驚いていた。



奈美は工事中の支店の経費がもう少し入用でさらに四千万円の融資を
桑山に申し出た。
奈美はもう差し出す担保がないので桑山があるプランを提示した。
しかし、まずいことにこのカラクリについては沖野も充分承知している。


桑山は久保田(内田稔)を通じて、クラブに沖野を呼び出すと
暴力団を使って沖野を脅かし、これ以上桑山たちの身辺を探らせないように
圧力をかけた。


松本清張の寒流・銀行を手玉にとった女




そんな時、沖野の家へ伊牟田から手紙が届いた。


伊牟田は退社後探偵社へ顔を出した際に、沖野が自分の仕事に
激高していたことを知り誤解を解きたいという。
現在は中古車のセールスをしているといい居場所も書いてあった。


沖野はさっそく伊牟田に会いに行く。


はじめはニセの報告書をつかませたと思っていた沖野は伊牟田に掴みかかるが
伊牟田はそれなら自分の居場所を教えるわけはなく自分だけは信じてほしいと言った。


冷静になって考えれば伊牟田の言う通りだった。


伊牟田は報告内容も写真もすべて本物であり
福光が桑山を強請ったあと、沖野にも報告書の内容が嘘だと話し
二重に強請りを働いたのではないかと推測した。




伊牟田としても自分の報告書が悪用されたことを知り
沖野の復讐に手を貸すと言った。




松本清張の寒流・銀行を手玉にとった女




沖野は伊牟田が自分の車と同じ車種色の別の車を
自分の車と間違えたことにヒントを得てある計画を練る。



これまで桑山に復讐しようとして、逆襲を喰らっていた沖野だが
地方に回された以上、定年まで寒流でサラリーマン人生を送ることしかできない。
沖野ははじめて捨て身となり、自分も桑山とともに沈むことを覚悟の上で
桑山を失脚させる決心をつけた。




伊牟田に桑山の車と全く同じものを用意させたうえで
それをひき逃げした車であると通報して
奈美と会っている現場を抑え二人の関係を公にしようというものだった。


おそらく桑山は五億円奈美に不正融資をしている。
奈美との関係が知れれば自然と融資の件も明るみに出るはずだった。



こうして沖野は伊牟田の協力を得て計画を実行に移し
見事成功し桑山と奈美がホテルから出てきたところを
公表することができた。


松本清張の寒流・銀行を手玉にとった女


桑山はひき逃げはいいがかりで事実無根を主張できたが
奈美とふたりで宿から出てきた事実は否定できなかった。
こうしてついに、桑山は失脚した。



奈美は桑山との仲はなんでもないといい
融資された金が不正なものであるとは知らなかったとシラを切りとおした。
奈美の夢だった大きな店は無事に工事を終えて開店することが出来た。


したたかな彼女は、沖野、桑山を利用するだけして
自分の目的は確実にものにしたのだった。



一方の沖野は、宇都宮からさらに北の東北の支店へ飛ばされた。



松本清張の寒流・銀行を手玉にとった女



妻子は東京で暮らすこととなり単身赴任の身の上となった。
妻は沖野を許すことなく、沖野は寒流から浮かび上がることは出来ないだろう。








大映テレビが制作した松本清張のドラマということでDVD化されている。
初めてドラマを見たときは、あの「太陽にほえろ!」の山さんが
不倫していて情けない中年男を演じていてショックを受けたものだった。



おそらく放送当時は山さんのイメージが定着していた頃だと思うので
役者・露口茂としては山さんのイメージを裏切るこの役は非常にやりがいを感じていたのではないだろうか。



だけど、その後太陽にほえろ!を一話目から見る機会があり
初期の山さんがミディアムウェーブヘアではなく短髪で
麻雀なんかをしている荒々しいもので
新鮮に感じ、初期の山さんも好きになった。



マカロニこと早見淳(萩原健一)との荒っぽい関係も面白かった。


「寒流」での沖野一郎は無力な行員で、大学時代の友人で上役の
桑山にいいように利用される。
その上、料亭の女将にも踏み台にされるのだ。


何度も屈辱を味わいながら、その時々で大の男が泣くのである。
みっともないし情けない役どころだ。
やられっぱなしの沖野だが最後に捨て身になり反撃を開始する。


しかし、二度と浮き上がることはなく、桑山を失脚させた後は
細々と行員生活を定年まで淡々と歩み続けるという
救いがあまりない人生だ。



そして、探偵事務所の調査員伊牟田博助を演じた
近石真介はアニメ「サザエさん」の初代マスオさんである。



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