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「自画像の怪・夫の亡霊に脅える女」(1979年) 山村正夫 『自画像の怪』 - 2008.09.08 Mon

●「自画像の怪・夫の亡霊に脅える女」  1979年9月8日
原作: 山村正夫 『自画像の怪』   怪奇標本室 (双葉文庫) 収録
脚本: 須崎勝彌
音楽: 白井更生
監督: 吉川一義
制作: 東宝映像
出演: 大空真弓、山城新伍、前田吟、三上真一郎、
加山麗子、三条美紀、竜崎一郎、佐原健二、
ひし美ゆり子、沼田爆、綾川香ほか


資産家の若妻・千鶴子(大空真弓)には
市原(三上真一郎)に泥棒の汚名を着せられた上、
犯されるという暗い過去があった。

その市原がある日現れて、千鶴子を強請った。
金を渡すところを家政婦に見られてしまった。




山村正夫 怪奇標本室

怪奇標本室 (双葉文庫)


刈屋千鶴子は単身赴任の夫修三がいて
普段は東京の家に一人で住んでいる。
修三は農作具を製作販売している会社に勤めていて
半年前から福島の営業所の次長をしている。
週末だけ東京へ帰ってくるという生活を送っていた。

夫は父の財産を受け継いでいて
家を購入してもまだ五千万ほど残っていた。

ふたりの間に子供はなく修三が醜男で野暮ったく
千鶴子は五歳年下の市原昌治と浮気をしていた。

市原には七宝店を経営したいという夢があった。
二人は修三の財産を手に入れて一緒になるために
彼を殺す計画を立てた。

いよいよ市原が修三を殺害するという日の深夜
東京の自宅に千鶴子がひとりでいると
玄関でチャイムがなった。

さすがになかなか寝付けなかった千鶴子が
睡眠薬を飲んだ矢先の出来事だった。

深夜女所帯の不安を追いやろうと
訪問者にどなたですか?とドア越しに尋ねると
思いもかけなかった夫の声で返事があった。


死んでいるはずの修三の声にうろたえながらも
ドアを開けると、上半身がぐっしょりと濡れて
ところどころ泥まみれになった修三が立っていた。

修三は陰気な声で暗くしてくれという。

強張った表情の千鶴子を見て
今日は平日でこんな時間に帰ってきたから
変な顔をしているのだなと修三は言った。

修三はどうしてもやらない用事が出来て帰ってきたということだった。

もともと画家になりたかった修三は
数年前に洋画壇の登竜門といわれる展覧会に
入選して以来、週末に戻るたびに絵の制作に没頭していた。


千鶴子に今描いている自画像を見せると
この絵は現在の自分を表現していなくて
修正する必要が出てきたと話す。


修三が自画像に修正を加えているとき
薬が効いてきた千鶴子はそのまま寝てしまった。


朝、気がついてみると寝室のベッドの上だった。
かすかな記憶では修三が絵の修正を終えて
満足げに眺めていて、ぐったりとしていた
自分を抱きしめて何度も頬ずりをし
横抱きにされてベッドまで運んでくれたのだった。


しかし、夫の姿は影も形もなかった。
玄関にも修三が帰ってきたときには
泥まみれの靴を履いていたのに
その形跡がなかった。

まるで夢でも見たかのように
昨晩、夫が戻ってきた気配は
どこにも見当たらなかった。


千鶴子が白い布がかけてあった
修三の肖像画を見たときに
のけぞって顔を背けてしまった。

そこには見覚えのある絵ではなく
変死を遂げたような苦しんだあとがみられる
すさまじいデスマスクに変身していた。

頭の禿げ上がった修三の顔は
土気色にむくんでふくれあがり
両眼は白目が剥きだしで
歯の間からは舌がはみ出して
その舌をつたい赤い血が糸を引くように滴っていた。



千鶴子はようやっと夫が、現在の自分と違っていて
修正を加える必要があると言った意味がわかった。

千鶴子はその場を抜け出すと市原に電話をかけて
すぐに家に来るように言った。
到着した市原にこれまでのことを話したが
市原は確かに修三を殺し死体を埋めたという。
その日の午後、現場まで確認に行くことになった。


シャベルで掘り返すと、確かに修三の遺体はあった。
しかも、自画像と違い穏やかな表情をしていた。


千鶴子にはその表情がまるで生きている人間のように思えた。
それをいうと市原はツルハシを修三の顔面をめがけて振り下ろした。

先端が右の耳をそぎ落とし、右の眼球にも突き刺さった。
血と脳みそともつかぬ液体が鼻から頬にかけてべっとりと染め
先ほどの穏やかな死に顔が、化け物の顔に一変した。

千鶴子はそれをみると失神してしまった。


東京へ戻ってくると、市原は外せない用事があるといい
千鶴子は自宅でひとりで過ごさざるを得なくなった。

そこへ市原から電話がかかってきた。

先ほどの話をしていると突然市原の声が途絶えた。
不安になった千鶴子が何があったのか問いただすと
化け物が来たといい、その目は、耳は、許してくれ、助けてくれ!
と叫んだきり応答がなくなった。

しばらくすると玄関のチャイムがなった。
ドアを開ける前に千鶴子には訪問者が誰であるかが察しがついたが---。





//////////////////////////////////////////////////////////////////


原作とドラマでは設定が大幅に違うようです。


これ結構前に見たような記憶があるんですが
その時の記憶が合っているのかどうか自信がありません。



山村正夫の「怪奇標本室」という短編集の中にある
『自画像の怪』のドラマ化ですが
原作は30頁に見たない位のかなり短いお話です。


2時間ドラマにするために美味しい部分だけ取って
あとは独自にアレンジを施して作られたようですね。
短編の場合面白そうな要素を軸に
それを膨らませていく面白さがあったらしいので
小説「自画像の怪」の怪奇の部分を
どういう風に取り込んで、他に何をつけたしていったのか
その辺りをもう一度確認したいです。


ドラマの方もタイトルは「自画像の怪」ですし
サブタイトルも”夫の亡霊に脅える女”なので
本を読んでいてうすら寒く感じた
夫の肖像画の顔の変化と
生きているんだか死んでいるんだかわからない
夫の亡霊のような存在に恐怖を感じるところは
いかされているのかなと思っています。





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