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2008/09/09
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横溝正史シリーズⅡ 「黒猫亭事件」 (1978年)

category - 昭和のテレビドラマ
2008/ 09/ 09
                 
「横溝正史シリーズⅡ」の第7作目。



■ 横溝正史シリーズⅡ 「黒猫亭事件」
放送日: 1978年9月2日~9月9日 (全2話)
原作: 横溝正史  『黒猫亭事件』  金田一耕助ファイル2 本陣殺人事件 (角川文庫) 収録
脚本: 安倍徹郎
音楽: 真鍋理一郎
主題歌: 「あざみの如く棘あれば」 (作詞:阿久悠、作曲、唄:茶木みやこ)
監督: 渡邊祐介
出演: 古谷一行、太地喜和子、近藤洋介、池田秀一、田口計、多賀勝、
ひろみどり、井上聡子、田中弘史、山本弘、浜田雅史、野崎善彦、山口朱美、
八重垣百合、西田良、小柳圭子、北見唯一、和田かつら、長門勇ほか
制作: 毎日放送、大映京都、映像京都



横溝正史シリーズⅡ 「黒猫亭事件」



昭和二十二年の晩秋、巡回中の長谷川巡査(多賀勝)は「黒猫亭」という酒場の庭を
近くの蓮華院の寺僧・日兆(池田秀一)が懸命に掘っているところに遭遇。
何をしているのかと様子をうかがっていると日兆が人の足を掘り当てる。


驚いた長谷川が日兆と二人で土を払いのけていくと顔面がぐしゃぐしゃになった
女の死体が埋められていた。


横溝正史シリーズⅡ 「黒猫亭事件」




翌日、本庁から日和警部(長門勇)が来て捜査が始まった。


「黒猫亭」は大陸引揚者の糸島大伍(田口計)と妻のお繁(太地喜和子)が経営していた。
女給の加代子(山口朱美)と下働きのお君(井上聡子)がいたが、
客は男好きのする和装のマダム・お繁目当てだったという。


横溝正史シリーズⅡ 「黒猫亭事件」


「黒猫亭」は繁盛していたものの最近になって糸島夫婦は店を売り払い神戸へ引っ越していた。
現在では新しいオーナーが店を改装中である。



庭の前にある部屋の襖と畳から血痕が見つかりそこで殺害したのちに埋められたものとみられた。
襖の血痕は十月二十七日付の新聞で隠されていた。
死後約三週間で、顔も体の特徴的な部分も薪割りで傷つけられていたものの
警察では被害者をお繁とみて捜査を進めた。


横溝正史シリーズⅡ 「黒猫亭事件」


また近くから「黒猫亭」の看板猫”クロ”らしき死体が見つかるがクロは生きており
猫が二匹いたとわかる。
部屋に付着していた被害者の血痕にはなぜか死んだ猫の血も混ざっていた。



日兆は二、三日前黒猫亭の庭の前を通りかかった時に犬が落ち葉を掘り返して
人間の足らしいものが見えたために、気になって掘ったところ死体が見つかったのだと話す。


横溝正史シリーズⅡ 「黒猫亭事件」



その頃、家賃が払えず事務所を追い立てられた私立探偵の金田一耕助(古谷一行)は
中学時代の先輩・風間俊六(近藤洋介)を頼って大森にある風間の会社を訪ねていた。


土建屋として成功を収めた風間は今では「風間組」の社長で従業員も雇い羽振りが良い。
食うに困る耕助にさっそくうな丼を振る舞ってくれた。


横溝正史シリーズⅡ 「黒猫亭事件」



新聞で黒猫亭事件を知った風間は殺されたのは自分の情婦だと耕助に言い
耕助に事件を調べてくれるよう頼んだ。
耕助は日兆に聞き込みを終えた日和と再会を果たし捜査に加わることとなる。


今回の事件は死体の顔がぐちゃぐちゃで体の特徴的な部分もひどく損傷している。
「顔のない死体」とあって事件は複雑で困難なものになる予感を耕助は感じていた-。


横溝正史シリーズⅡ 「黒猫亭事件」



戦後、大金を手にした風間は独身であるものの多くの女の面倒をみていた。


その中のひとりが「黒猫亭」のマダムお繁で彼女が大陸から引き揚げた後の
二年前に横浜のキャバレーで働いていた時に知り合い関係をもつようになっていた。
やがて、糸島が大陸から引き揚げお繁の居所を突き止めると今年の二月に「黒猫亭」を始めている。


横溝正史シリーズⅡ 「黒猫亭事件」



加代子の話ではお繁は三週間ほど前からドーランで顔が被れたという理由で
人前に出なかったがご不浄へ行く姿を見かけており殺されたのはお繁ではないという。
ただ、お繁は一週間前の閉店の時にも店には顔を出していない。


お君は殺されたのは糸島の愛人の桑野鮎子だという。
お君は一度、お繁から頼まれて糸島を尾行しパラソル傘をさした女と密会するところを見たが
派手な洋装姿の女の顔はパラソルで隠れて見えなかったらしい。


その女こそ糸島の愛人でお繁の天津時代の知り合いで、銀座の日華ダンスホールのダンサーをしている
桑野鮎子だと日和に話した。


横溝正史シリーズⅡ 「黒猫亭事件」



お繁は鮎子に嫉妬して糸島と派手な夫婦喧嘩をしていた。
その後、お君は黒猫亭であの時のパラソルを見つけたが一時間ほどで無くなっていたという。
お繁がドーランで顔が被れたと言って人前に姿を現さなくなったのはこの日からだった。





その夜、耕助は風間の愛人(ひろみどり)がやっている料亭「松月」でお繁との詳しい話を聞いた。


お繁は十八の時に絵描きに惚れられて結婚したが、姑にいびり抜かれて毒殺しようと薬を手に入れた。
だが、その寸前に捕まってしまい証拠不十分で釈放されるまで半年ほど監獄にいた。
そして、日本にいづらくなって大陸へ渡り糸島と出会った。



横溝正史シリーズⅡ 「黒猫亭事件」



糸島は日本での事件を嗅ぎつけ、当時自暴自棄だったお繁は糸島と結婚したものの
逃げるようにして日本へ帰り風間に面倒をみてもらう関係になる。
ところが、大陸から引き揚げた糸島に居所を見つけられてしまう。


嗅覚の鋭い糸島はお繁と風間の関係を知ると、お繁が店を持ちたがっているという理由で
さっそく風間に五万円の小切手を切らせるような男である。

風間からそのことを聞いたお繁は「それは手切れ金なのね?あたしと別れたいの?
殺してやるから、あたしを棄てたら。」と情事の後で宣言したのだという。


横溝正史シリーズⅡ 「黒猫亭事件」



耕助は顔が見えないお繁がどんな女だったかだんだんにわかるような気がしてきた。



風間組の労務者・浜本(野崎善彦)が糸島と同じ引き上げ船に乗っていたとわかり
日和が話を聞きに行くと糸島は引き上げ船で仲良さそうにしていた小野千代子という女を
日本に着いた途端どこかへ売り飛ばしてしまったらしく嫌な奴だと印象を語る。


横溝正史シリーズⅡ 「黒猫亭事件」



日和はその女が桑野鮎子でないかと考えたが千代子はどこにでもいる平凡な顔立ちの女で
派手な顔立ちのダンサーだった鮎子とは別人であると確認がとれた。


長谷川巡査の話では鮎子のパラソルが店から無くなった夜、糸島が猫が死んだと言い
その兄弟猫をもらいに来ていたらしい。
その日は襖に貼られていた新聞の日付とも一致すると耕助が確認していると物音がした。


日兆はお繁に惚れていて庭の上にある崖から度々お繁を盗み見していたらしい。
耕助は日兆の寺の墓地のひとつが最近掘り起こされた形跡があるのを確認する。


日華ダンスホールの支配人・早坂(浜田雄史)の話では鮎子は去年の暮れに入ってすぐにやめたという。
上海の引揚者でとても陽気な性格で人気があったらしい。


横溝正史シリーズⅡ 「黒猫亭事件」



ダンサー・富田美子(八重垣百合)は二か月ほど前に有楽町の日劇の前で
小太りの中年男と一緒にいる鮎子とバッタリ会っていた。
相変わらずチリチリパーマで付けボクロを付けていたためすぐに鮎子とわかった。


その後、糸島夫婦は神戸へは行っていないと判明。
警察は被害者を鮎子と断定し糸島夫婦を手配するが耕助はもう一つ割り切れないものがあった。
果たして桑野鮎子という女は本当に実在していたのであろうか?



お繁は風間にも桑野鮎子を殺すと話していたというが、もし警察の見立て通りにお繁が鮎子を殺したなら
なぜお繁は仮病を理由に三週間も人前に姿を見せなかったのか。
耕助はこの時、お繁が人々の疑惑を深めたかったのだと気がついた。


横溝正史シリーズⅡ 「黒猫亭事件」





鮎子もお繁も写真は一枚もなく二人の顔はわからないままだった。
お繁は最初の結婚で姑を殺そうとして牢屋にぶち込まれている。
耕助はその時の新聞記事を探してとうとうお繁が十八歳の時の写真を手に入れた。



そんななかで、日和は黒猫亭の改装をしている大工から日兆が女の死体を掘り当てた前日に
落ち葉をかき集めて焚火をやったがその時には死体がなかったと知らされた。


日兆は嘘をついていたことをすんなりと認めた。
糸島が黒猫の死体を埋めるのを見て不審に思い黒猫亭を監視していると
十月二十七日以降そこにいたのはお繁の服を着た見知らぬ女がいたというのだ。
そのため日兆は殺されたのはお繁だと確信している。


横溝正史シリーズⅡ 「黒猫亭事件」



ところが、お君は顔は見てはいないが姿形や声がお繁だといい意見が割れた。


そこへ、耕助が来てお繁と鮎子は同一人物であったと明かす。


お繁はいつも和服であるのに対し、鮎子は派手な洋服でヘアスタイルもメイクも違い
それぞれの印象だけ聞いているとまるで別人のように見えた。
ところが、新聞記事に載っていた写真をお繁を知るものはお繁と、鮎子を知るものは鮎子だという。


耕助のその後の調べで、糸島が連れて来たという千代子が十月二十七日に
突然店を辞めて出ていったこと、それ以前にお繁が千代子に会いに来ていたことがわかった。
風間の話ではお繁は大陸時代に自分を食い物にした糸島をひどく憎んでいたという。
一足早く引き揚げてきたお繁は風間と出会い本気で愛してしまった。


横溝正史シリーズⅡ 「黒猫亭事件」



そんな時、遅れて大陸から引き揚げた糸島がお繁の居所を突き止めた。
耕助はお繁は鮎子と糸島を殺して逃亡しているものと確信する。


その翌朝、耕助は日兆が飛び込み自殺をしたと知らせを受け日和らに自分の推理を話した。


糸島を憎んでいたお繁は糸島殺しを計画し、架空の女に自分を殺させることで事件の迷宮入りを狙う。


お繁は日華ダンスホールに桑野鮎子として勤めると、何も知らない糸島を利用して糸島と鮎子が愛人関係で
自分がそれに嫉妬しているのを周囲に印象づけた。
そんな時、日兆が自分を愛しているのを知り肉体を差し出して手なずけると共犯者として利用する。


横溝正史シリーズⅡ 「黒猫亭事件」


お繁は自分の身代わりとして千代子を日兆に殺させると庭に埋めた。



引っ越しの夜にお繁は黒猫亭の地主である蓮華院に最後の挨拶に行こうと糸島を誘い出し
日兆が糸島を殺すと蓮華院の墓地に埋めた。
日兆が自殺した原因はお繁の本心に気がついたからだろう。



そのお繁の隠れ家がわかり耕助が日和たちと足を忍ばせて近づくと
階段の上からピストルを持ったお繁が鮎子の格好をして姿を現した。
お繁は威嚇のために一発発射すると腰が引けた日和たちに向かってくる。


横溝正史シリーズⅡ 「黒猫亭事件」


「大丈夫だよ、逃げやしないよ。でもひとりで行くのは寂しいからアンタにも死んでもらうよ。」といい
耕助を死の道連れにしようとする。
そこへ、風間が「バカな真似は止めろ!」と説得に来たためお繁は観念した。


耕助はある墓石が掘り起こされたのに気づいており、その下から糸島の死体が見つかり
逮捕されたお繁も素直に自供し事件は無事に解決した。
猫を殺したのは、千代子を殺した時に予想以上に血痕が飛び散ったために
糸島を誤魔化すためだったらしい。



横溝正史シリーズⅡ 「黒猫亭事件」


被害者がお繁なのか鮎子なのか二転三転する中、事件が危うく迷宮入りする可能性も大きく
日和は耕助の功績に対して大いに感謝した。


最後に耕助は風間にこういった。


「お繁はあなたに本気で惚れてしまった。それにあなたは本気で応えましたか?
風間さん、あなたは遊びだったのかもしれない。だから傷つけまいとしてしたことがお繁そのものを殺してしまった。
この事件の主犯は、風間さんのその優しさなんだ。」


横溝正史シリーズⅡ 「黒猫亭事件」


耕助は「黒猫亭」へ立ち寄り、主人がいなくなった黒猫をなでるとカバンを下げて帰って行く。




金田一耕助ファイル2 本陣殺人事件 (角川文庫)



悲劇のヒロインお繁に太地喜和子を持ってくるとはナイスキャスティング!
この役は彼女以外に考えられないとドラマを見ながら思っていました。


切れ長でくるくる表情が変わる瞳に、猫のように気まぐれでいて寂しがりやのイメージがある太地喜和子。
これだけお酒、煙草、男の三点セットが似合う女優もいまでは見かけなくなりました。


横溝正史シリーズⅡ 「黒猫亭事件」



勝ち気そうで姉御肌的な外見ながら抱えきれない寂しさを抱えた女。
強そうに見えて脆い魅力的な女性ですね。


風間に言った「あたしを棄てたら殺すから。」というセリフにはゾッとするような恐ろしさがある反面
可愛らしさも含んでいる。


横溝正史シリーズⅡ 「黒猫亭事件」



太地喜和子というと「白い巨塔」での愛人役が印象的ですが
「月曜ワイド劇場」でやった『悪女の手記』も良かったです。

確か硫酸を浴びせるとかなんとかで結構壮絶だったような記憶が…。
風間杜夫が共演していたのは覚えているのですが。

こちらはところどころしか覚えてないのでもう一度見たいなと思っていますがなかなか再放送されませんね。



さて、原作では金田一耕助がYさんこと横溝正史に書いた手紙で始まります。

本陣殺人事件で「密室殺人」を書いた横溝正史が「顔のない死体」を書きたいと
言ったことを覚えていた金田一耕助が「顔のない死体」にぶち当たったと言い
別便でその資料を送るというものです。


それが「顔のない死体」の黒猫亭殺人事件というわけです。

すごく珍しい始まり方ではないですが、ちょっとユニークというか
原作の方がそんなだったのでドラマの方でもこれまでと違う演出がされていた。


前篇のラストで金田一耕助がカメラ目線になって視聴者に直接語り掛けてきます。



横溝正史シリーズⅡ 「黒猫亭事件」


「探偵小説の場合だと顔のない死体っていうのは被害者と加害者が入れ替わるっていう公式があるんです。
ただ、この場合その公式に当てはまるかどうか…。
この謎を解くのは、そうあなたです!」


いつも2話以降は冒頭で「ボク金田一耕助です」と前回までのあらすじを振り返り本編がスタートするんですが
後篇ではここをやはり黒板を背にした金田一耕助がカメラに向かってあらすじを語ります。

横溝正史シリーズⅡ 「黒猫亭事件」


いつもと違う展開で面白かった。


また、黒猫亭の下働きお君として登場した井上聡子ってシリーズ1作目の
「犬神家の一族」の旅館の女中役の人ですよね。


横溝正史シリーズⅡ 「黒猫亭事件」


「犬神家の一族」で金田一が滞在するホテルの女中は映画版で坂口良子だったのが
ドラマでは井上聡子だったのでギャップが激しくて印象に残ってたんですよね。






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************ 横溝正史シリーズ一覧 ************


1. 「犬神家の一族」

2. 「本陣殺人事件」

3. 「三つ首塔」

4. 「悪魔が来りて笛を吹く」

5. 「獄門島」

6. 「悪魔の手毬唄」



************ 横溝正史シリーズⅡ一覧 ************


1. 「八つ墓村」

2. 「真珠郎」

3. 「仮面舞踏会」

4. 「不死蝶」

5. 「夜歩く」

6. 「女王蜂」

7. 「黒猫亭事件」

8. 「仮面劇場」

9. 「迷路荘の惨劇」







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