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2008/11/14
展覧会レポート昭和のドラマ昔の土曜ワイド劇場懐かし邦画

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「松本清張の地方紙を買う女・昇仙峡囮心中」 (1981年)  

category - 土曜ワイド劇場
2008/ 11/ 14
                 
松本清張の「地方紙を買う女」は何度もドラマ化されていますが
こちらは土曜ワイド劇場で放送された1981年版です。





●「松本清張の地方紙を買う女・昇仙峡囮心中」  1981年11月14日
原作: 松本清張    『地方紙を買う女』 松本清張傑作短篇コレクション〈上〉 (文春文庫) 収録 
脚本: 猪又憲吾
音楽: 羽田健太郎
監督: 渡辺祐介
制作: 東映
出演: 安奈淳、新克利、奈美悦子、森本レオ、
宮井えりな、中原早苗、永井智雄、宮本幸子ほか



地方紙を買う女・昇仙峡囮心中





芳子(安奈淳)は複雑な家庭環境で育ち故郷を飛び出すと
都会へ出て庄田咲次(室田日出男)と出会い、
優しくされて関係が出来たが
咲次は妻子持ちのダニのような男で芳子を働かせては
その金をむしり取るヒモだった。



地獄のような生活が続き、ついに芳子は咲次の留守中に
咲次の金を盗み家を出て泥沼の生活から脱出した。




その後は信州伊那で働いている時に、会社の研修旅行で来ていた
潮田早雄(新克利)と出会い芳子の過去を知らないまま二人は結婚した。




ようやくまともな生活に落ちつけた芳子だが、新婚早々技術者としての腕を見込まれて
潮田は部長(永井智雄)からブラジルへの単身赴任を言い渡される。



そして、潮田がブラジルにたち、芳子が買い物をしていると
偶然咲次と街でバッタリ会ってしまった。



逃げ出す芳子を咲次は追ってきて平凡な主婦におさまったことを見抜くと
盗んだ金はたっぷり利子がついて200万になっていると返済を迫ってきた。

芳子はそばにあった石で咲次を撃退して自宅に逃げ帰ってきて
しばらくホテルへ身を隠そうと支度をしようとしたところ
自宅を見つけだした咲次が家に入ってきた。


地方紙を買う女





前科持ちの咲次が金づるの芳子をそうそう簡単に手放すわけはない。
咲次は過去の出来事を近所や、国際電話で夫に知らせると脅してきた。
こうして芳子は再び咲次に金をむしり取られる生活に戻ってしまった。





金を返済するために、バー勤めに出ただけでなく
夫の金にも手を付けだした芳子を、咲次は情け容赦なく金をせびり続ける。
愛人の福田梅子(宮井えりな)さえもバーによこして金をとりに行かせるまでになった。




追い詰められた芳子は、潮田が帰国する前に、
咲次を梅子と偽装心中に見せかけて殺すことを決意する。
殺害場所の昇仙峡を下見に行ったときに、咲子は茶屋のばあさん(武知杜代子)が
死んだ息子の嫁に似ていると芳子の顔を確認していた。




帰ってきた芳子は咲次と会い、いつまでも帰ってこない夫に気持ちがなくなったといい
梅子と一緒にピクニックへ行こうと誘う。
これまで梅子を嫌っていた芳子の変化に驚くが、梅子と仲良くするという芳子の言葉に
この誘いを受けてそれを梅子に話す。




妻子持ちの咲次に惚れて結婚を迫っている梅子は
自分が咲次のただ一人の女ということを示すチャンスでもあり
芳子の誘いを面白がって受けた。



当日、早朝からおにぎりやサンドイッチ飲み物などを用意して
咲次の家へ自分は9:30の電車に乗るので
二人は10時の列車に乗ってほしいと電話をかけた。



二人より30分早く着いた芳子は近くの定食屋で時間を潰すことにした。


この時に何気なく手にした甲信新聞に「野盗伝奇」という連載があるのを見た。
作者は杉本隆治という聞いたこともない名前で、きっと売れてないんだろうと思った。





待ち合わせ場所に来た咲次と梅子と距離を取りながら歩き
バスでも離れた場所に座り自分と二人が無関係であるように装った。
咲次を独占したい梅子はこれ幸いと、芳子に見せつけるように
ふたりでいちゃつきながら行動していた。



地方紙を買う女



昇仙峡に着き、芳子は用意していた弁当を広げるとふたりにすすめ
毒物入りのにぎりを食べさせ殺してその場から逃げた。





東京へ帰ってきた芳子は二人が無理心中として片付けられたかどうか気になっていた。
同僚ホステスの世間話しから、地方紙だったら事件の報道がされるのではないかと思いついた。


芳子はふと定食屋で見た「野盗伝奇」のことを思い出し
この連載が面白そうだから定期購読をしたいと
甲信新聞に19日付けのものから送ってほしいと手紙を出した。



しかし、目当ての事件の記事はなかなか出てこなかった。
一か月経った頃、ようやく二人の死体が発見され
妻子持ちの咲次に結婚を迫っていた梅子が
無理心中を図ったのではないかという記事が載っていた。


その後しばらく購読を続けたが、二人の事件に関する記事はなく
無理心中で終わったと考えて芳子は「野盗伝奇」がつまらなくなったので
購読をやめたいという手紙を新聞社に送った。


あとは、しばらく怪しまれないように店を続け
適当な頃に辞めて潮田の帰りを待てばいいだけだった。




地方紙を買う女


「野盗伝奇」の作者杉本隆治(田村高広)は売れない作家だった。
担当の宮口(森本レオ)からも、先生の作風は堅苦しすぎて
もっと大衆が好むような作品を書いてくれと苦言を呈されていた。



家でも妻(中原早苗)から犬の散歩係と見られいるありさまで
パッとしない男だった。




だが、そんな杉本の「野盗伝奇」が面白そうだからと
わざわざ購読を申し出た女性読者がいると知って
杉本はいい気分になりわざわざ芳子に直筆の礼状まで送っていた。



地方紙を買う女

しかし、それもつかの間。



しばらくして、「野盗伝奇」がつまらなくなったので購読を辞めたいと
その女性が言ってきたことを知り落胆した。




だが、杉本は納得がいかなかった。

「野盗伝奇」は、ドラマティックな展開になってきていて
前よりも間違いなく面白くなってきている自信があった。




杉本はふと芳子はどこで「野盗伝奇」を読んだのだろうかと考えた。
彼女は19日以前どこかで連載を読み、購読を申し込んできた。


もしかしたら、連載に興味を持ったというのは口実ではないだろうか。
19日以降掲載される可能性のある何かを見たくて申し込んだのかもしれない。



杉本は19日以降の新聞を読んでみた。
そして約1か月前の心中事件を見つけ、時間の符号の一致をみた。



杉本は興信所へ行き、潮田芳子の調査を依頼し報告を受けた。
彼女の本籍は山梨で、帝都電機の技術員をしている夫は海外赴任中。

その間に夫が交通事故にあったと嘘をつき新宿の「ニュー愛」でホステスをやっている。
その前に勤めていた「ブラックワン」では芳子のツケで飲んでいる男がいて
死んだ咲次と風貌が似ていることを知った。




杉本は咲次の家へ行ったがそこには咲次に愛想をつかした
妻と息子がいるだけで事件とは無関係そうだった。



杉本は早速ニュー愛へ行ってみることにした。




地方紙を買う女

芳子はヨシエと名乗っていて当日も店に出勤していた。


芳子は杉本がここで働いているのを知っていることに疑問を持ったが
礼状まで送ってきた杉本をよっぽど読者が少ない
売れない小説家だと軽く考えていた。




だが、その日杉本が店へ甲信新聞を忘れていき
しかも咲次と梅子の心中事件の記事の切り抜きが入っていたことから
杉本がただ読者に会いに来たのではないと気づき始める。



地方紙を買う女

杉本は宮口と集文社のフジコ(奈美悦子)に頼み
咲次と梅子が死んだ時と同じ格好をさせて
林の中でその後姿をカメラにおさめた。


杉本の真意がわからないふたりはその行動に不審がる。


杉本はニュー愛へ行き、写真撮影にはまっているといい
宮口とフジコの後姿ばかりを撮影した写真を店で広げて見せた。


地方紙を買う女

興味を持って写真を手にした芳子はそれが咲次と梅子の後姿に
ソックリで驚き、思わず気分が悪くなった。
その姿を杉本が見ていた。
さすがに、芳子も杉本が心中を疑っているのだということがわかった。




そんな時潮田から電話があり、芳子がバー勤めをしているのがバレてしまい
店をすぐ辞めるというと、来月潮田がブラジルから帰国するという報告を受けた。


愛する夫が帰ってくる前に、心中事件について
探りを入れてきている杉本を始末しなければならない。





地方紙を買う女

芳子は杉本を店に誘うと店がはねたあとに踊りに連れていってとねだった。
芳子たちは踊ったあと、動物園へ行った。




はじめはそれぞれが、営業用スマイルとトークの芳子に、さえない風貌の杉本に
互いに見た目に騙されてはいけなく警戒しなければいけない相手だと思っていたが
杉本は芳子を”よしべえ”と呼ぶようになり、それぞれの肚の内を探りながらも
打ち解けていっているというような奇妙な間柄になった。




だが、芳子の元へは夫が帰ってくる、その前に杉本の口を封じなくてはいけない。
芳子は杉本に女性の友人を交えて三人でピクニックへ行こうと誘った。
杉本はこれを承諾した。

地方紙を買う女

杉本は早速フジコを誘う。


知り合いの女性と三人ということで、ここのところ変なことばかり頼むと思いながらも
フジコは杉本に誘われるままピクニックへいく事となった。



当日早起きして弁当を用意した芳子は、
杉本に電話をかけ興奮して早く起きてしまったから
先にひとりで行くので後で天城峠のドライブインの先にある
二つの地蔵の前で待ち合わせようと言って出かけた。




あの時と同じように現地で落ち合い、三人で歩き出し目的地へ着くと
杉本は芳子とフジコの二人の写真を撮った。



お腹が空いたからと芳子は持ってきたサンドイッチをフジコにすすめた。


地方紙を買う女


フジコがそれを口にしようとしたとき、杉本はそれに毒が入っていると言って
食べるのをやめさせた。






杉本は「よしべえ、同じことを前にもやったろ?」と言った。



咲次と梅子にも毒の入った食べ物を食べさせて心中に見せかけて殺した。
事件がどう決着するか知りたくて「野盗伝奇」が面白いという口実で新聞を取った。
目的が果たせたあとは、連載が面白くなくなったからといい購読を辞めた。


だが、杉本が決定的におかしいと思ったのは、
連載がつまらなくなったからやめるということだった。
連載は面白くなっているという自信が杉本にはあった。




杉本は咲次達の心中事件に気が付いたので、わざと新聞を忘れていったり
宮口とフジコの写真を見せたりして反応を確かめた。
芳子は杉本の真意をわかりかねて不安になっていた。


二人の間には友情のようなものを感じ始めていたから、自分の邪推かと思ってもいた。
だからピクニックへ誘われた時はショックだった。


杉本は昇仙峡へ行き、芳子の写真を茶店のばあさんに見せたところ
事件前と事件があったころ二度見かけたという証言を得ていた。




だが、そんな杉本の推理を芳子は笑い飛ばし
死ぬかどうか見てといい自分でサンドイッチを食べた。


しかし、芳子は死ななかった。


芳子は出鱈目ばかり言って、
先生とはこれっきりサヨナラと吐き捨てると去っていった。





杉本は全ては自分の妄想かと思い始めていた。



その後、芳子は店にも出ていなく、家にもいなかった。


杉本は苦心してニュー愛のママ(ひろみどり)の家を突き止めて行ってみると
ママは芳子から杉本宛への手紙を預かっていた。



そこには、すべては杉本のいう通りで、
自分が二人を殺そうとしたことを認めていた。



不幸な生い立ちから都会で咲次と会い、地獄のような日々を送り
決死の覚悟で逃げ出してようやく潮田との結婚で幸せな家庭を持ったが
偶然咲次と再会したことから転落が始まったことなどが記してあった。




芳子は全てうまくいったら何もかも話して夫の裁きを受けるつもりで
毒はジュースの中にいれていたことを告白していた。



芳子は潮田と会った場所でそのジュースを飲むのだという。


地方紙を買う女



杉本がその場所を探し出し到着した時には
ジュースを飲みほした芳子が死んでいた。



杉本は「よしべえ、オレの推理が間違っていたままでいてほしかった。
かわいそうなことを…。」と
心の中でつぶやき、その瞳からは涙が溢れてきていた。



その頃、潮田が帰国して、
二度と芳子が帰る事がない自宅へタクシーで向かっていた。









田村高広は土ワイの清張ものによく出ているが
この作品の売れない作家杉本も良かった。
疑いながらも芳子と心を通わせていく流れは
ピクニックの誘いを受け自分を殺そうとするのではないかという疑惑が生まれ
信じようとしたのに裏切られるという切なさがあった。


芳子も芳子で、杉本に自分の殺意がバレてしまうんだけど
毒は食べ物ではなく飲み物に仕込んでいて
疑われたサンドイッチを食べて泣きながら絶交を言い渡す場面も
殺そうとした相手にもかかわらず複雑な心理が見て取れるようだった。


不幸な過去から抜け出し、ようやく見つけた幸せを守ろうとした芳子に
同情している感じも伝わってきます。



また、ニュー愛でのシーンで加山麗子がホステス役で映っていました。




「地方紙を買う女」は1973年に放送されたフジテレビの
「恐怖劇場アンバランス」でもドラマ化され
芳子を夏桂子が、杉本を井川比佐志が演じていて
杉本は土ワイと違ってもっと毅然とした感じで
それはそれで面白かったです。







※※※ 松本清張作品記事一覧 ※※※


■ 「ガラスの城」

■ 「声・ダイヤルは死の囁き」

■ 「顔・死の断崖」

■ 「犯罪広告」

■ 「聞かなかった場所」

■ 「種族同盟・湖上の偽装殺人」

■ 「紐・恐怖の大回転遊覧車」

■ 「帝銀事件・大量殺人!獄中三十二年の死刑囚」

■ 「地の骨・犯罪大学・入試問題を拾った女」

■ 「駆ける男」

■ 「白い闇・十和田湖偽装心中」

■ 「小さな旅館」

■ 「死んだ馬・殺人設計図」

■ 「山峡の章・みちのく偽装心中」

■ 「地方紙を買う女・昇仙峡囮心中」

■ 「書道教授・消えた死体」

■ 「風の息・事故か!謀略か!もく星号三原山墜落の謎」

■ 「事故・国道20号線殺人トリック」

■ 「駅路・謎の伊勢路殺人旅行」

■ 「危険な斜面・白骨になった女」

■ 「殺人行おくのほそ道」

■ 「寒流・銀行を手玉にとった女」

■ 「溺れ谷・蜂は一度刺して死ぬ!」

■ 「連環・偽装心中をあばく女」

■ 「熱い空気・家政婦は見た!夫婦の秘密」

■ 「断線・新妻を棄て、愛人を殺し年上の女と心中した男」

■ 「葦の浮舟・奥飛騨―東尋坊密会の旅」

■ 「証言」

■ 「高台の家・美しい未亡人の妖しいサロン」

■ 「黒い樹海・京都密会の旅殺人事件」

■ 「黒い空」

■ 「数の風景」

■ 「一年半待て」

■ 「霧の旗・獄死した兄は真犯人じゃない! 女の肉体を賭けた復讐の旅立ち」

■ 「鉢植えを買う女」

■ 「状況曲線・巨大談合組織の黒い殺人!男と女が欲望の罠にはまる…」

■ 「黒い樹海・姉の金沢不倫旅行が連続殺人を呼ぶ!」




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