2009/03/13
展覧会レポート昭和のドラマ昔の土曜ワイド劇場懐かし邦画

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「ヒット曲は殺しのテーマ・忘れない女」(1982年)  ハドリー・チェイス『暗闇から来た恐喝者』

category - 土曜ワイド劇場
2009/ 03/ 13
                 
アイリッシュの「暗闇へのワルツ」ドラマ化の1年後に放送された作品。



●「ヒット曲は殺しのテーマ・忘れない女」  1982年3月13日
原作: ハドリー・チェイス  暗闇からきた恐喝者 (創元推理文庫)
脚本: 松田寛夫
音楽: 菅野光亮
監督: 中島貞夫
制作: C.A.L
出演: 酒井和歌子、渡瀬恒彦、名取裕子、西村晃、
根上淳、犬塚弘、西本裕行、辻万長ほか


ヒット曲は殺しのテーマ・忘れない女


亮(渡瀬恒彦)はしがないバーのピアノ弾き。
ある日、妖しい魅力を持った女マヤ(酒井和歌子)と出会う。


亮は彼女の才能をいかして大金を手にすることを夢見た。

ヒット曲は殺しのテーマ・忘れない女


魔性の女、マヤの魅力のとりことなった亮は
彼女にあやつられて殺人事件に巻き込まれ上に
容疑をかけられプライドまでも傷つけられてしまう。









ジェフはロスにあるラスティのバーで夜の八時から
週給30ドルでピアノを弾いていた。
まだ23歳で故郷には銀行の支配人をしている父がいた。

ジェフは自分に自信もなく万が一不祥事に巻き込まれたときの用心から
ハリウッドでは母親の姓ゴードンを名乗っていた。


22歳のとき将兵の一人として沖縄にいたときに
顔面に榴散弾の破片を浴びてしまい
手術を受けたが右の瞼はやや垂れ下がったまま
あごの右側に負った裂傷も消えなかった。



ある雨の夜、見知らぬひとりの若い女が店にやってきた。
その後、麻薬中毒の男がやってきて
その女を襲おうとしたのをジェフは助けてやる。


女はリマ・マーシャルと名乗り男はリマの情夫ウィルバーだった。


刑事からリマがお礼を言いたがっていて連絡先を知りたがっていると聞いた。
そういいながらも刑事は、あの女は危険だから近づかないほうがいいと忠告してきた。

後日、リマが店にやってきた。
ジェフがピアノを弾いていると不意にリマがピアノに合わせて歌いだした。

その歌声は素晴らしく、宝になると感じたジェフは
リマの歌手としての才能を利用して金を儲けようとたくらむ。

しかし、リマはその気がないだけでなく重度の麻薬中毒だった。
デモテープを作りレコード会社へ売り込みにいくが
リマが麻薬中毒とわかるとどことも契約できなかった。
ジェフは麻薬とさえ手が切れればと麻薬中毒の治療が得意な
クリンジ博士のもとを訪れるがそれには五千ドルかかる。

そんな中、ラスティが店にジュークボックスを入れることになり
ピアノ弾きの仕事はなくなり無職となった。

一向に更正しないリマと失業が重なって
ジェフは故郷へ帰ることを決意する。
その時、帰ってきたリマと会い
自分がやっているエキストラの仕事を紹介される。


治療費を欲しがっているジェフにパシフィック・スタジオに
エキストラに支払うギャラがありそれを簡単に盗めると
強盗の話を持ちかけてきた。
五千ドルの治療費は十分に見込める額があるのだという。


父のもとへ帰る決心を固め、強盗は拒否したジェフだったが
リマの才能が高額を手に入れるチャンスである誘惑に勝てず
ついにリマの案内でギャラを盗みに行くことになった。

リマが金が入っている机の鍵を開けるのに手間どっていると
ジェフは外から人が来る気配を感じた。
ついにリマが開けたとき、警官が入ってきた。

守衛はジェフの姿しか見ておらず、銃口を向けられ
守衛に言われるがままジェフは動きを止めて観念した。
そこへ銃声が鳴り響く。

リマはウィルバーの銃を持ってきていて、それで守衛を撃ったのだ。
しかも机には金はなかった。
ふたりはその場から逃げた。

元警官の守衛が銃撃され死亡し
警察は顔に傷をもつ男を手配した。

ジェフはラスティら友人達の助けもあって
なんとか故郷までたどり着いた。
その頃、日本の広島では原爆が投下された---。





もう、こんな生活はコリゴリだ。
今度こそ本当に改心したジェフは父親の姓ハリディを名乗り
苦学の末、ホーランドシティで建築事務所を経営する技師として生まれ変わった。


残念なことに父がその後心臓発作で亡くなったが
ジャック・オズボーンと共同経営で興した事務所は
最初こそ苦戦したが、ふたりのなりふり構わぬ熱心な働きによって
徐々にチャンスに恵まれていく。

事業を拡大していくときにヘンリー・マシソン市長に近づきたいと思い
彼に関する知識を得ようと足を踏み入れた図書館で
そこに勤めていたサリータ・フレミングという聡明な女性と出会う。

サリータの魅力はマシソンにも有効で、ジェフはビジネスの上だけでなく
彼女を愛し始めていることに気がついてプロポーズをした。
ふたりはその後結婚をした。


ジェフはこれまでどこか女に対して醒めていたところがあって
ハリウッド時代、気まぐれなリマが寝てあげるわといっても
それを受け入れることはなかった。


こうして軌道に乗り始めたジェフは、マシソンから
ホーランド橋建設の600万ドルの大工事の話をもちかけられ
ついにはそれをものにすることが出来た。
市の多額の予算を使う仕事を手に入れたジェフたちには
テレビ出演や雑誌の依頼が舞い込んでくるようになった。

遠く離れたロスでのリマが起こした殺人事件は
顔が割れているジェフが手配されていて
距離があるとはいえ安全のために顔をさらすのは拒否したかったが
それは出来るものではなかった。

テレビ出演を終えた日、スタジオにジェフ宛の電話がかかってきた。
ジェフは直感で電話の相手が誰であるかを確信した。
カンは当たっていた、相手はリマだった。


指定されたキャロウェイ・ホテルへ向かい
約11年ぶりにリマと望まない再会を果たした。

長い年月はリマを30という実年齢以上に老けさせてみさせた。
街角に立つ売春婦の荒んだ目のようで
厚化粧もなんの役にも立ってはいなかった。

リマはハリウッド時代に作ったデモテープを
ジェフが無くしたということにつけこんで
六万ドルを強請ってきた。

ジェフは守衛を殺したのは自分じゃないというが
名声を得たジェフとは違い、相変わらずの麻薬中毒で、
若さも無くし、歌も歌えなくなったリマは
失うものが何もなくブタ箱に入ることを恐れてはいなかった。


ジェフは六万だけで済まないとわかっていた。
もう逃れるにはリアを殺すしかないと決意する。
今夜リマを付けていき居所をおさえようと思った。

いつも薬代を探している麻薬中毒のリマだったが
ジェフの心の動きを読んでいた。
足のつかない銀行へ自分宛の小切手を送るようにいい
ジェフの財布から金を全て奪い取ると
追跡されないように用心棒達を金で手なずけて店から出て行った。


これでリマの行方はわからなくなってしまった。

しかしジェフは最後の1滴まで搾り取ろうとする恐喝者を
このままのさばらせておくわけにはいかない。
死ぬ思いで働き続け僅かな休みをとり
知恵を振り絞ってリマの居所を探し出そうとする。


ホーランドに戻ってから良い方向へ向いていた流れは
リマとの再会によってUターンしてきた。
最愛の妻サリータが大事故に遭い多額の医療費がかかることとなった。

リマに支払いの延期を頼む手紙を銀行当てに出したことで
それを受け取ったリマから呼び出しを受けた。
エド・バザーリという屈強な同棲相手を伴ってやって来たリマは
ただ金を要求するだけで1歩も引かなかった。


恐怖と不安にジェフだがもがいているうちに
僅かな光が見えてくる。

あの手この手行った調査活動をすすめていくうちに
バザーリの免許証からついにリマの居所を突き止めたのだ。

ジェフは二人が不在の時に侵入して、事件で使用した銃を盗み出し
リマを殺す機会をうかがう。

その頃、ラスティのバーでリマを襲ったウィルバーが出所して
リマを殺そうとし居場所を探していることを知った。
ジェフはこれを利用して自分の手を汚さずにリマを始末するアイデアを思いつく。



ウィルバーの宿泊先にリマの住所を書いた手紙を送った。
あとはウィルバーがリマ殺害を失敗しないよう
同棲相手のバザーリが家から逃げ出すように手配をした。
これで、リマはウィルバーが始末してくれるはず・・・。

自分の手を汚さなくても、人をつかって殺させようとしていることに
良心の呵責を感じたジェフだった。
絶望的だったサリータも手術が成功し
ジェフがもとの生活を取り戻すのは時間の問題に思えてきた。


不安と緊張の日々を送っていたジェフのもとに
ケアリイ主任刑事が訪れた・・・。




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イギリスのハードボイルド作家ジェームズ・ハドリー・チェイスの
「暗闇から来た恐喝者」ですが、原作はめちゃめちゃ面白かったです。

日本もまだ戦争をしていた時代
ロスのバーで出会った一人の女。
その女は骨の髄まで麻薬に侵されていて
破滅的な生き方をしている。

本来その世界にいるべきでなかったジェフだが
夜の世界に身を置いたことでリマと出会ってしまい
危険な方向へ足を踏み入れていく。

この様子がスリリングに表現されていて
思わず引き込まれてしまいます。


さて、終盤ケアリイ刑事が来たところから
さらに面白さが増してきます。

ジェフの良心の呵責それが現れる場面もあり
頁が残りわずかになってきてからも
緊張感が途切れません。

そして、意外なフィナーレを迎える。


前半は失うものは命しかないジャンキー女リマの恐ろしさ
後半初めは改心して自分の人生に向き合って
必死に成功を追い求めるジェフの姿が描かれています。


普通に生活していたら接することはない暗黒世界。
その暗闇からやって来た恐喝者、リマという女の怖さが
常人では理解しがたい言動から読者に伝わってきます。




あれほど重度の麻薬中毒だったのに
リマは再会するまでの11年死ぬこともなく生き続けていた。
ラスティのバーで情夫に殺されそうになりながらも
その後の男関係でも喧嘩こそすれ無傷だったようで
生きながらえている悪運の強さがまた恐ろしい。


リマと彼女をとりまく前の男ウィルバーと今の男バザーリ。
この3人のその後はどうなったのか。
これがまた実に面白い。



最後に登場したケアリイ主任刑事。
実は35年務めて退職間際で最後に扱ったケースで
ジェフの前に現れました。


退職間際の刑事が最後に扱ったある事件。
こういう場合だからこそ事件解決に執念を燃やすというのが
よくあるパターンですが、だからこそこの展開は面白い。





最後の最後に予期せぬ展開になって
スリルと疾走感を心地よく感じながら
読了したときには爽快感がありました。



これをドラマ化したものもなかなか良かったです。
90年代以降は長寿シリーズ「タクシードライバーの推理日誌」の
夜明日出夫のイメージしかなくなっちゃった渡瀬恒彦ですが
若い時はケンカが強くて、ハードボイルドなイメージがありました。
だから今回のジェフ役にはピッタリです。

リマの酒井和歌子は、前年にもアイリッシュの
「暗闇へのワルツ」で悪女役をやっていて
今回もまぁイメージはあるのだが
なんせ原作のリマの壊れっぷりがすごいから
この狂気の部分をどれだけ表現できたかですね。


ドラマは大昔に見たのですが、さすがに詳しいことは忘れちゃいました。
名取裕子が妻のサリータで、辻万長がリマの男、
西村晃が刑事、根上淳は市長(地位がある役)じゃないでしょうか。
アニメ「ムーミン」のスナフキンの声をやっていた
西本裕行はリマのもうひとりの男ですかね。
犬塚弘はラスティ役が似合うように思うんだけど、どうでしょうか。


写真2枚目の恐喝を受けているところ
この辺りはまだ記憶に残っています。
その前の週は、前に書いた「銀の仮面が」放送されてました。





原作の邦題は「暗闇から来た恐喝者」ですが
ドラマは「ヒット曲は殺しのテーマ・忘れない女」となっていて
原作タイトルもいいのですが、ドラマのタイトルも見事だなと思いました。


サブタイトルの”忘れない女”って原作でも何度か
「あの女は忘れない 忘れない」みたいな記述があって
この印象的なフレーズを持ってきたんですね。

当時の土曜ワイド劇場はサブタイトルまでもがセンスがありました。
後に長ったらしくなり、ウザさへと変わってしまいましたが。


この頃はメインタイトル・サブタイトルとシンプルだったので
その上には毎月のシリーズ名がついていて
今回は「特選推理第2弾!」となっています。







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